閉じる


<<最初から読む

2 / 12ページ

試し読みできます

ケジメ

 

「 あのぉ、それは僕のゴミです・・」

「 ああ?やっぱりおまんかぁ~」

端から"小鳥"を疑っていたに違いない言い方。

「 おい"小鳥"~ おまんさっきは違うと言ったじゃねえかぁ?どういうこんだぁ~」

「 いや、実はさっきは・・」

"小鳥"があるがままを説明するも、

「 おまん男ズラ~?男だったらケジメはつけろぉ!」

鎮まる様子を見せない。

「 ケジメですか?」

「 おぉ、あたりめぇズラァ~!ヒトの枕にゴミを置いてなぁ、小馬鹿にするじゃねえぞぉ!俺はなぁ、まだ おまんぐらいの頃不良とケンカになって相手をボコボコに負かしちまった事があるだけんどなぁ、相手は本職だわぁ・・ 素人に負けましたじゃ飯は食えねえ訳だ、わかるかぁ?」

「 はい 」

「 それっから幾日か経って俺がアパートで寝てる時だわ・・ 突然夜中に何人かが部屋に入って来てなぁ、ボコボコにされて便所に顔を突っ込まれて言われたもんだぁ・・ 「 悪いが兄さん、ワビを入れてくれるかい?」 ってなぁ・・ 顔こそ見えなんだが相手が誰かはすぐにわかってなぁ・・ テメエが悪いとはちっとも思わなんだが便所の水に顔を押しつけられながら気付いたわ! どっちが良い悪いじゃねぇ、こいつらの面子を潰す訳にはいかねえんだ・・ ってな!」

「 はい・・」

「 てめえも男なら筋は通さなきゃいけねえわなぁ~」

( ケジメ ?、スジ? 何をすれば良いのだろうか・・)

"イタチ"の話からすれば、自分が悪くなくとも相手の面子を潰したらワビを入れろという事になる。

( 預かりの自分に舐めたマネをされたとなれば"イタチ"さんの立場が無くなるって事か?)

片身の狭い境遇で文句も言わず寡黙に徹している"イタチ"を知っていればこそ、この豹変に大いなる怒りを見た"小鳥"は、今度はちゃぶ台の足先よりも低くなる程に頭を突き、

「 "イタチ"さん、すみませんでした!」

土下座をした。

「 "小鳥"~、おまんのケジメを見せてくれや 」

「 え?」

( 謝罪じゃねぇのか?それとも謝罪の仕方が悪いのか?)

完全に戸惑う"小鳥"。

「 いいかぁ!」

「 はい 」
 
 

試し読みできます

疲弊の選択

 

「 男だったら指の一本でも詰めろや~」

「・・・」

( 指を詰める?)

握り締めたコブシを太ももに押し当ててうつむく"小鳥"に、

「 おい!」

と"イタチ"が据わった目を鋭く向ける。

「 おまんがひとりで詰めれんじゃぁ、若い衆を呼んで手伝わせてやるわ~」

「 "イタチ"さん、勘弁してください 」

「 ふざけるじゃねえ!日本刀で叩ッ切るぞぉ!」

"イタチ"が吠える。

( 何?日本刀まであんの?)

と驚く"小鳥"。

「 "赤鬼(社長)"や"大蛇(専務)"が昔どれ程だったか知らねえけどなぁ、俺は兄弟の中じゃぁ一番荒っぽいだぁ・・ アイツらより甘かぁねえぞぉ!」

「 はい・・」

最早手の打ちようが無い。
 
全身の力は奪われ、蛇に睨まれた蛙よりも絶望してうつむいてしまう。

( 小指の一本くらい良いかぁ・・ 殺される訳じゃないしな・・)

疲弊した心理の選択とは不思議なもので、普段とは価値観を別にするものである。

「 わかりました・・ 指詰めます 」

"小鳥"がとにかく欲していたのはこの状況からの解放だった。

「・・・」

しばらくの沈黙が流れる。
 
そして、

「 わかったわ、寝ろ 」

「 は?はい 」

"イタチ"が事の終わりを告げる様に部屋の灯りを消す。

しびれた足を引きずりながら静かにベッドへと戻るも、目をつむったら殺されかねないという恐怖心から小刻みに震える"小鳥"の体。決して睡眠など出来る状態では無い。
 
しかし、張り詰めた極度の緊張からの開放は気絶にも似た形で"小鳥"をすぐに睡眠へと引き込んでいた。

翌朝。
 
目を覚まして真っ先に確認したのは自分の両指。
 
「 ある・・」
 
そして、すでに出かけた後の"イタチ"のベッドに近付き、

( 無い・・)

枕の辺りを念入りに確認する。

夕べの出来事を誰にも告げずに作業場で一日を過ごしても、

( これじゃこの先、指が何本あっても足りねえだろうなぁ・・)

胸の内に抱える大きな不安。
 
"小鳥"は、就寝前のベッドで考えた。
 
( もしも再びあんな事になったら・・)
 
しかし、豹変した"イタチ"から逃れる術は、これと言って浮かばない。
 
「 もしもし、俺だけど・・」
 
思わず掛けていた母親への電話。
 

試し読みできます

奥付


 
  著者 : k.kaminari
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/gethope/profile

 
k.kの小説はコチラから ↓ ↓ ↓
人生とは  1巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/59409/read
人生とは   2巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/61178/read
人生とは   3巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/62939/read
人生とは   4巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/65155/read
人生とは   5巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/69837/read
人生とは   6巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/89048/read
人生とは   7巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/89857/read
人生とは   8巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/90325/read
人生とは   9巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/90887/read
人生とは  10巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/91632/read
人生とは  11巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/92426/read
人生とは  12巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/92972/read
人生とは  13巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/93002/read
人生とは  14巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/98096/read
人生とは  15巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/100291/read
人生とは  16巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/100351/read
人生とは  17巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/100381/read
人生とは  18巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/100486/read
人生とは  19巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/100543/read
人生とは  20巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/100846/read
人生とは  21巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/113873/read
人生とは  22巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/113916/read
人生とは  23巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/114010/read
人生とは  24巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/114116/read
人生とは  25巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/114440/read
人生とは  26巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/114593/read
人生とは  27巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/114768/read
人生とは  28巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/115021/read
人生とは  29巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/115115/read
人生とは  30巻 ⇔ http://p.booklog.jp/book/121727/read
 
人生とは   1章 ⇔ http://p.booklog.jp/book/112348/read
人生とは   2章 ⇔ http://p.booklog.jp/book/113331/read
人生とは   3章 ⇔ 
 
 
k.kの詩作品はコチラから ↓ ↓ ↓
歩道         ⇔ http://p.booklog.jp/book/100563/read
コンシステンシー  ⇔ http://p.booklog.jp/book/100598/read
孤独のしるべ      ⇔ http://p.booklog.jp/book/100766/read
イーストヘッド      ⇔ http://p.booklog.jp/book/110530/read
voice              ⇔ http://p.booklog.jp/book/110668/read
カミナリ興し       ⇔ http://p.booklog.jp/book/112008/read
 
 

感想はこちらのコメントへ
http://p.booklog.jp/book/59409

ブクログ本棚へ入れる
http://booklog.jp/item/3/59409



電子書籍プラットフォーム : ブクログのパブー(http://p.booklog.jp/
運営会社:株式会社ブクログ

 

 

 


試し読みはここまでです。続きは購入後にお読みいただけます。

この本は有料です。閲覧するには購入する必要があります。
購入するにはしてください。
有料本の購入に関しては、こちらのマニュアルをご確認ください。
販売価格10円(税込)
人生とは 3巻 』 を購入した方は 50円(税込)

読者登録

k.kさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について