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【本編】「バブル期の名残を教えるもの」

 今から70年近く前、日本は戦争に負けました。僕はその当時生きていなかったので学校の勉強や読書でその当時の国民が何を思い、感じていたのかを知るだけでした。
  焼け野原の中からの復興となった1945年8月15日。あれから日本は猛烈なスピードで成長しました。
  当時の日本は今とは比べ物にならないくらい貧しい国でした。
テレビ、冷蔵庫、洗濯機、今では当たり前にあり、さらに携帯電話を一人一台持つ時代です。
  戦後間もない頃は、貧しくて明日生きるためのご飯を食べるのにも苦労した時代です。お腹が空いてひもじい、何でもいいから食べたい、でも芋ばかりだと体が受け付けない、そんな時代だったというのです。
  選択することが許されなかった時代に、ただただ「上官の命令は絶対」と戦中は志願兵、戦後は自衛隊に入隊したCさんは一生懸命働きました。一生懸命働いたあとは仲間と飲みに行きます。これが楽しみだったのです。
 時が過ぎてCさんは80歳を過ぎました。もちろん、自衛隊は退職しています。Cさんの楽しみはお酒を飲みに行くことです。それが若い頃からの楽しみだったからです。
 それが……です。病院から言われたのです。健康のため、禁酒・禁煙です。サービス担当者会議でも集まったサービス担当者は言いました。
「Cさん、体調のためにもタバコは止めたほうがいいですよ
「Cさん、お酒はほどほどにしましょう。飲みに行かないで自宅で晩酌しましょう」
 もちろん、Cさんは医師の指示も、僕たちサービス担当者たちの意見に耳を貸しませんでした。
……あなたならどうでしょうか?   自分の人生の半分も生きていない人に、残り何年生きることができるかわからない状況で、今まで自分が楽しみにしていた生き方を否定されたとしたら……。
 Cさんの気持ちが少しだけ伝わってきます。自分の今までの生き方を否定されてまで、自分の楽しみをなくしてまで、健康に気遣う必要があるのでしょうか?
 僕たちの心配をよそに今夜もCさんは飲みに行く。それがCさんが楽しみにしてきた生き方だからです。

【考察】「バブル期の名残を教えるもの」

 Cさんが働いていたバブル時代。みんなが一生懸命働き、疲れた心身を飲みに行って癒していました。仕事の後に飲みにいくことが悪とまでは言えません。上司や同僚、部下との交流の時間にもなっていたでしょうし、その時間のおかげで交流が増えて仕事が円滑になります。飲みに行くから明日も頑張ろうと思えた時代だったと思います。それがCさんが……バブル時代に働いた人の生き方の一つだということは忘れてはいけません。正直なところ今の僕にはその生き方はわかりませんし、まねしたいと思いません。僕はタバコは吸わないし、お酒も飲まなくなりました。仕事で疲れた心身を飲みに行って癒すくらいならそんな仕事はしたくないとは思っています。

 それでは、バブル時代を経験し、一つの時代の働き方を示してくれるCさんは僕たちに何を教えてくれるのでしょうか?

 僕の一つの答えは「あなたの生き方、働き方は満足ですか?」という問いかけをされていると思っています。

 あなたの今の生き方、働き方に、あなたは満足していますか? あなたは一生懸命生きていますか?

 ここまでお読みいただきありがとうございます。コメントは自由制です。一見さんも読者も大歓迎です。

※心無い非難・誹謗・中傷等は削除させていただきます。

 

次回の配信日は2月18日です。

「家族の闇を見つけるもの」です。


この本の内容は以上です。


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