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線維筋痛症に関する日本とトルコの英語論文数の比較

 

廿日市記念病院リハビリテーション科

戸田克広


はじめに

 線維筋痛症(FM)は先進国の常識であるが、少なくない非先進国でも常識になっている。非先進国であるトルコとFMの普及度を英語論文の数で比較した。

 

方法

 19921月1日から20071231日までと200811日から20101231日までに出版された日本とトルコのFMの論文数をPubMedにより比較した。「fibromyalgia AND Japan」および「fibromyalgia AND Turkey」により全文が英語の論文を選択した。論文名にfibromyalgiaが含まれている論文のみを選択した。論文が作成された施設が日本とトルコである論文のみを選択し、著者の国籍は問題にしなかった。Letter to the editorや動物実験も含めた。

 

結果

 1992年から2007年までの日本の論文が6、トルコの論文が91であった。総務省統計局のホームページ[1]に記載された2000年の日本の人口は12690万人であり、トルコの人口は6650万人である。2000年の両国の人口で補正するとトルコの論文の数は日本の論文の数の28.9倍であった。

 2008年から2010年までの日本の論文が10、トルコの論文が42であった。総務省統計局のホームページ[1]に記載された2009年の日本の人口は1億2750万人であり、トルコの人口は7480万人である。2009年の両国の人口で補正するとトルコの論文の数は日本の論文の数の7.2倍であった。

 

考察

 トルコは数少ない親日国でありイスラム教国である。国土の大部分はアジア大陸に位置しているが経済的、政治的にはヨーロッパの一員として扱われている。NATOに加盟しておりEUに加盟申請中である。トルコ語はアルタイ諸語に含まれ、日本語は孤立言語と考えられている。共にインド・ヨーロッパ語族のゲルマン語派に含まれる英語とは全く異なる言語である。医学教育は原則的にトルコ語で行われている。FM患者の生活の質を示す指標であるfibromyalgia impact questionnaireFIQ[2]は日本語版より早くトルコ語版が完成している[2]

 両国の論文数の差は日本語という言語的な障壁が原因ではなく、日本とトルコにおけるFMの認知度の差を示していると考えている。FMは日本以外の先進国の常識である。トルコは先進国でも、キリスト教国でもないがFMの概念が普及していると判断せざるを得ない。

 人口補正をすると、1992年から2007年まではトルコからは日本の28.9倍の英語論文が出版されたが、2008年から2010年までは7.2倍であった。未だにトルコに追いついてはいないが、日本にもFMの概念が広まっていることがわかる。Revised FIQFIQR[3]2009年に発表された。トルコ語版のFIQRは存在しないようであるが、日本語版(試案)は2010年に発表された[4]。現時点ではFMに関する英語論文を書く日本人はごく限られている。今後FMの概念が日本に広まり、多くの日本人が英語論文を書き、トルコに追いつくことを願っている。

 現在、日本には日本式のリウマチ的あるいは膠原病的な線維筋痛症が導入されつつあるが、世界標準のfibromyalgiaは神経障害性疼痛あるいは中枢性神経障害性疼痛としてのFMあるいは中枢性過敏症候群の代表としてのFMである[5-6]。英語論文を書くためには英語論文を読む必要がある。FMの英語論文を書く際にFMに関する英語論文をたくさん読むことにより、世界標準のFMが日本に導入されることも願っている。

 

まとめ

 人口補正をすると、1992年から2007年まではトルコからは日本の28.9倍の英語論文が出版されたが、2008年から2010年までは7.2倍であった。

 

引用論文

1) 総務症統計局ホームページ. 2-4主要国の人口の推移(20002010年)

  http://www.stat.go.jp/data/sekai/02.htm#h2-02

2) Bennett R: The Fibromyalgia Impact Questionnaire (FIQ): a review of its development, current version, operating characteristics and uses, Clin Exp Rheumatol, 23: S154-2, 2005

3) Bennett RM et al: The Revised Fibromyalgia Impact Questionnaire (FIQR): validation and psychometric properties, Arthritis Res Ther, 11: 415, 2009

4) 戸田克広: The revised Fibromyalgia Impact Questionnaireの紹介-線維筋痛症やchronic widespread pain(慢性広範痛症)の生活の質の新しい評価方法-, 広島医学, 63: 133-5, 2010

5) 戸田克広: 線維筋痛症がわかる本. 東京. 主婦の友社. 2010

6) 戸田克広: 中枢性過敏症候群(central sensitivity syndrome, 日本医事新報, 4553 (2011.7.30): 84-8, 2011

 



著者紹介

著者紹介

 

戸田克広(とだかつひろ)

1985年新潟大学医学部医学科卒業。元整形外科医。2001年から2004年までアメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)に勤務した際、線維筋痛症に出会う。帰国後、線維筋痛症を中心とした中枢性過敏症候群や原因不明の痛みの治療を専門にしている。2007年から廿日市記念病院リハビリテーション科(自称慢性痛科)勤務。『線維筋痛症がわかる本』(主婦の友社)を2010年に出版。電子書籍『抗不安薬による常用量依存―恐ろしすぎる副作用と医師の無関心、抗不安薬の罠、日本医学の闇―http://p.booklog.jp/book/621402012年に出版。ブログにて線維筋痛症を中心とした中枢性過敏症候群や痛みの情報を発信している。実名でツイッターをしている。

 

ツイッター:@KatsuhiroTodaMD

 実名でツイッターをしています。キーワードに「線維筋痛症」と入れればすぐに私のつぶやきが出てきます。痛みや抗不安薬に関する問題であれば遠慮なく質問して下さい。私がわかる範囲でお答えいたします。

 

電子書籍:抗不安薬による常用量依存―恐ろしすぎる副作用と医師の無関心、精神安定剤の罠、日本医学の闇―http://p.booklog.jp/book/62140

 日本医学の悪しき習慣である抗不安薬の使用方法に対する内部告発の書籍です。276の引用文献をつけています。2012年の時点では抗不安薬による常用量依存に関して最も詳しい日本語医学書です。医学書ですが、一般の方が理解できる内容になっています。

 

・戸田克広: 「正しい線維筋痛症の知識」の普及を目指して!―まず知ろう診療のポイントー. CareNet 2011

http://www.carenet.com/conference/qa/autoimmune/mt110927/index.html

 薬の優先順位など、私が行っている線維筋痛症の最新の治療方法を記載しています。

 

・戸田克広: 線維筋痛症の基本. CareNet 2012

http://www.carenet.com/special/1208/contribution/index.html

 さらに最新の情報を記載しています。

 

ブログ:腰痛、肩こりから慢性広範痛症、線維筋痛症へー中枢性過敏症候群ー戸田克広 http://fibro.exblog.jp/

 線維筋痛症を中心にした中枢性過敏症候群や抗不安薬による常用量依存などに関する最新の英語論文の翻訳や、痛みに関する私の意見を記載しています。

 

線維筋痛症に関する情報

戸田克広: 線維筋痛症がわかる本. 主婦の友社, 東京, 2010.

医学書ではない一般書ですが、引用文献を400以上つけており、医師が読むに耐える一般書です。

 


電子書籍

通常の書籍のみならず電子書籍もあります。

電子書籍(アップル版、アンドロイド版、パソコン版)

http://bukure.shufunotomo.co.jp/digital/?p=10451

通常の書籍、電子書籍(kindle版)

http://www.amazon.co.jp/%E7%B7%9A%E7%B6%AD%E7%AD%8B%E7%97%9B%E7%97%87%E3%81%8C%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%8B%E6%9C%AC-ebook/dp/B0095BMLE8/ref=tmm_kin_title_0

電子書籍(XMDF形式)

http://books.livedoor.com/item/4801844



奥付

線維筋痛症に関する日本とトルコの英語論文数の比較

 

201315日   1版第1刷発行

http://p.booklog.jp/book/63564

著者:戸田克広(とだかつひろ)

発行者:吉田健吾

発行所:株式会社ブクログ

150-8512東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー

                http://booklog.co.jp 


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著者 : 戸田克広
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/katsuhirotodamd/profile


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