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女性線維筋痛症、慢性広範痛症(chronic widespread pain)、慢性局所痛症(chronic regional pain患者におけるBMIの比較

 

 

 

廿日市記念病院リハビリテーション科

戸田克広

 

 

はじめに

 女性ではbody mass index (BMI)が高いと線維筋痛症(FM)の有病率が高いと報告されている[1]。女性FM、慢性広範痛症(chronic widespread pain; CWP)、慢性局所痛症(chronic regional pain; CRP)患者のBMIを比較した。

 

方法

 2009年6月から201012月まで廿日市記念病院を初診した女性FMCWPCRP患者のBMIを調べた。アメリカリウマチ学会が1990年に定めたFMの分類基準[2]を満たす場合、すなわち身体5か所に3か月以上痛みがあり18か所の圧痛点のうち11か所以上が陽性の場合をFMと診断した。身体5か所に3か月以上痛みがあるが圧痛点の数が10以下であり、他の疾患で症状を説明できない場合をCWPと診断した。CWPの基準を満たさないが、他の疾患で症状を説明できず、肩こりのみや腰痛症のみより痛みの範囲が広い場合をCRPと診断した。一元配置分散分析(Fisher’s PLSD法)にて三群間のBMIを比較した。

 

結果

 25人のFM患者(12-83歳、平均49.3歳)のBMI22.9±5.438人のCWP患者(38-81歳、平均58.1歳)のBMI21.7±3.732人のCRP患者(26-86歳、平均56.8歳)のBMI21.4±3.9であった。CRP群とFM群の間でのみ有意差があった(p=0.0465)。

 

 

 

考察

 腰痛、肩こりからCRPCWPを経由してFMに至ると推測されている[3] [4]。臨床症状もそれに従い重篤になる[5]FMの有病率は約2%であり[6]FMを含むCWPの有病率は約10%と報告されている[7]CRPの有病率はCWPの有病率の1-2倍と報告されている[7]。世界ではCWPには通常FMと同じ治療が行われている[8]CWPCRPFMの治療を行えば、有意差はないがFM以上の治療成績を得ることができる[9]FMCWPCRPは中枢性過敏症候群(CSS)の代表的疾患である[10] [11]。先進国の中でこれらの概念が知られていない国はほぼ間違いなく日本のみである[12]。有病率が膨大であるため、これらの概念を知らずに腰痛、肩こり、慢性痛を論じることは、豊臣秀吉を知らずに戦国時代を論じるようなものである。

 CRP群とFM群の間でのみ有意差があったが、CRPCWPFMとなるに従いBMIが増加することを本研究は示した。FMの論文の大部分は白人を対象にしているが、日本人は白人ほど太っていないため、BMIに差がつきにくい可能性がある。減量によりFMの症状が軽減するという報告もある[13]。これらを総合するとCRPCWPFM患者は少なくとも太らないことが望ましい。FMに有効な薬物はしばしば体重増加をもたらすので定期的な体重測定が必要である[14]

 

まとめ

 FM患者、CWP患者、CRP患者のBMIは各22.921.721.4であった。一元配置分散分析(Fisher’s PLSD法)ではCRP群とFM群の間でのみ有意差があった。

 

引用文献

1) McNally JD et al: The epidemiology of self-reported fibromyalgia in Canada. Chronic Dis Can 27: 9-16, 2006.

2) Wolfe F et al: The American College of Rheumatology 1990 Criteria for the Classification of Fibromyalgia. Report of the Multicenter Criteria Committee. Arthritis Rheum 33: 160-72, 1990.

3) 戸田克広: 線維筋痛症がわかる本. 主婦の友社, 東京, 2010.

4) 戸田克広: 腰痛、肩こりから慢性広範痛症、線維筋痛症へー中枢性過敏症候群ー http://fibro.exblog.jp/12998832/

5) Toda K: Comparison of symptoms among fibromyalgia syndrome, chronic widespread pain, and an incomplete form of chronic widespread pain. J Musculoskelet Pain 19: 52-5, 2011.

6) Toda K: The prevalence of fibromyalgia in Japanese workers. Scand J Rheumatol 36: 140-4, 2007.

7) Toda K et al: Prevalence, classification, and etiology of pain in Parkinson's disease: association between Parkinson's disease and fibromyalgia or chronic widespread pain. Tohoku J Exp Med 222: 1-5, 2010.

8) Toda K: Treatment of chronic widespread pain is similar to treatment of fibromyalgia throughout the world. J Musculoskelet Pain 18: 317-318, 2010.

9) 戸田克広: 線維筋痛症とchronic widespread painCWP)・不全型CWPの治療成績の比較. 臨整外 44: 1203-7, 2009.

10) 戸田克広: 線維筋痛症と慢性広範痛症ー中枢性過敏症候群の代表疾患ー診断と治療 99: 1088-1093, 2011.

11) 戸田克広: 中枢性過敏症候群(central sensitivity syndrome. 日本医事新報 4553 (2011.7.30): 84-8, 2011.

12) 戸田克広: 「正しい線維筋痛症の知識」の普及を目指して! まず知ろう診療のポイント

http://meditalking.carenet.com/expert/forum/drtoda20110927.php

13) Shapiro JR et al: A pilot study of the effects of behavioral weight loss treatment on fibromyalgia symptoms. J Psychosom Res 59: 275-82, 2005.

14) 戸田克広: エビデンスに基づく薬物治療(海外の事例を含む). 日本線維筋痛症学会編, 線維筋痛症診療ガイドライン2011. 日本医事新報, 東京, 2011; 93-105.



著者紹介

著者紹介

 

戸田克広(とだかつひろ)

1985年新潟大学医学部医学科卒業。元整形外科医。2001年から2004年までアメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)に勤務した際、線維筋痛症に出会う。帰国後、線維筋痛症を中心とした中枢性過敏症候群や原因不明の痛みの治療を専門にしている。2007年から廿日市記念病院リハビリテーション科(自称慢性痛科)勤務。『線維筋痛症がわかる本』(主婦の友社)を2010年に出版。電子書籍『抗不安薬による常用量依存恐ろしすぎる副作用と医師の無関心、抗不安薬の罠、日本医学の闇http://p.booklog.jp/book/621402012年に出版。ブログにて線維筋痛症を中心とした中枢性過敏症候群や痛みの情報を発信している。実名でツイッターをしている。

 

ツイッター:@KatsuhiroTodaMD

 実名でツイッターをしています。キーワードに「線維筋痛症」と入れればすぐに私のつぶやきが出てきます。痛みや抗不安薬に関する問題であれば遠慮なく質問して下さい。私がわかる範囲でお答えいたします。

 

電子書籍:抗不安薬による常用量依存恐ろしすぎる副作用と医師の無関心、精神安定剤の罠、日本医学の闇http://p.booklog.jp/book/62140

 日本医学の悪しき習慣である抗不安薬の使用方法に対する内部告発の書籍です。276の引用文献をつけています。2012年の時点では抗不安薬による常用量依存に関して最も詳しい日本語医学書です。医学書ですが、一般の方が理解できる内容になっています。

 

・戸田克広: 「正しい線維筋痛症の知識」の普及を目指して!―まず知ろう診療のポイントー. CareNet 2011

http://www.carenet.com/conference/qa/autoimmune/mt110927/index.html

 薬の優先順位など、私が行っている線維筋痛症の最新の治療方法を記載しています。

 

・戸田克広: 線維筋痛症の基本. CareNet 2012

http://www.carenet.com/special/1208/contribution/index.html

 さらに最新の情報を記載しています。

 

ブログ:腰痛、肩こりから慢性広範痛症、線維筋痛症へー中枢性過敏症候群ー戸田克広 http://fibro.exblog.jp/

 線維筋痛症を中心にした中枢性過敏症候群や抗不安薬による常用量依存などに関する最新の英語論文の翻訳や、痛みに関する私の意見を記載しています。

 

線維筋痛症に関する情報

戸田克広: 線維筋痛症がわかる本. 主婦の友社, 東京, 2010.

医学書ではない一般書ですが、引用文献を400以上つけており、医師が読むに耐える一般書です。

 

 


電子書籍

通常の書籍のみならず電子書籍もあります。

電子書籍(アップル版、アンドロイド版、パソコン版)

http://bukure.shufunotomo.co.jp/digital/?p=10451

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電子書籍(XMDF形式)

http://books.livedoor.com/item/4801844



奥付

女性線維筋痛症、慢性広範痛症(chronic widespread pain)、慢性局所痛症(chronic regional pain患者におけるBMIの比較

 

201314日 第1版第1刷発行

201315日 第1版第3刷発行

http://p.booklog.jp/book/63497

著者:戸田克広(とだかつひろ)

発行者:吉田健吾

発行所:株式会社ブクログ

150-8512東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー

http://booklog.co.jp


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