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20131005近況

 おやつに回転焼きを食べる。
タップリと入ったあんこが甘くてたまらない一品だった。

 回転焼きの他には、大判焼きなど沢山の呼び方があるようだが、
小麦粉の生地を焼いて間にあんこを挟んで円筒状に焼き上げたも
の。丸太を輪切りにしたようなカタチに仕上がっていて、とても
単純なものであるけれども、あんこが好きならばお腹いっぱいに
なるまで食べてしまうようなおやつである。
 焼くための鉄板もコレ専用のものだろう、丸いカタチに整形さ
れていてそこに生地を流し込んで焼き、あんこを乗せて、反対側
の生地を焼いて上下で合わせて仕上げる。こうして書いていても、
また食べたくなる一品。

 子供の頃からコレ大好き、記憶が曖昧な頃から好きだったよう
な気がするけれども、いかんせん曖昧なので思い込みなのかもし
れない。
 はっきりとした記憶があるのは、母方の祖父がまだ元気で居て
くれた頃の話。まだ孫が少ない時だったので、とてもよくしても
らっていたので、今でもとても楽しい思い出としてよく思い出す。

 祖父にこの回転焼きを買ってもらっていたのは、正月に遊びに
行った時のこと。母の里帰りに付いて行って、小学校の冬休みが
終るギリギリまで泊まっていた。その泊まっている間に、その地
域では毎年ある縁日があってほぼ必ずと言っていいくらい連れて
行ってもらっていたものだ。中学に入った頃には祖父も少し体が
弱ってきていたのと相まって、私も少し思春期に入ったので、も
うあまり一緒に行ってなかったように記憶している。
やれやれと思われていたか寂しがられていたかは、今となっては
確かめられないけれども。
 一通り出店を周ってみても、欲しくなったのは必ずこの回転焼
きだった。子供の頃からあんこ好きで、今でも全く食の嗜好が変
わっていないというのは、成長がないのか若々しいというのか。
私にお土産を買ってくる人は、悩まなくて楽でいいとのことなの
で、まぁいいことなのかもしれない。

 そうやってかわいがってくれた祖父が無くなって、もう随分の
時間が経っている。祖父と一緒に過ごした時間よりも、祖父を亡
くしてからの時間のほうが、もうすでに逆転してしまっている。
 時間が経つのは本当に早いものです。忘れてしまわないように、
これからも過ごしたいと思います。

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最終更新日 : 2016-06-25 17:31:18

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20131007近況飯エッセイ

 おやつに生八ツ橋を食べる。
あんこの甘さにニッキの香りが上品な一品だった。

 誰かからおみやげでもらっていたであろうものを、お下がりと
して頂いて帰る。もらった家族が甘いモノをあまり必要としない
タイプなので、甘いモノをとても必要とする私に譲ってくれた。
 食べ物の好みが同じだとここで取り合いになるところだが、う
まいこと住み分けができていて助かっている。

 買おうと思えば全国どこでも買えるのかもしれないけれど、生
八ツ橋といえばやはり京都土産だろう。生八ツ橋だけでも十二分
に京都らしいお土産なのに、求肥の抹茶味の方がより一層京都ら
しさを醸しだす。
 この様なお菓子なら全国どこの名産になってもおかしくないと
思うのだけれど、その他の地域に出かけてもお土産屋でその地域
ならではの生八ツ橋に出会ったことは、私は今のところ無い。全
国に仕事で出かける人ならば、出会っているのかもしれないけれ
ど。

 求肥の皮に香りをつけているニッキを味わうと、子供の頃食べ
て食べきることが出来なかったニッキのアメを思い出した。
祖父が食べているのをもらって食べたのだけれど、子供には刺激
が強くて、その辛さに吐き出してしまった。
辛さの中に甘さも感じていたのだが、耐え切ることが出来なく
て出してしまい、もったいないことをしたものだと想い出す。
 よく考えると、辛いアメとは実に斬新な味付けだと思う。
ニッキの味が辛かったのかニッキは香りだけで辛さは他のものの
味だったのかは、わからないけれど、確かにとても辛かったよう
に記憶している。私の記憶違いかも知れなくて、はっきりとしな
いところがもどかしいが。

 今度昔ながらのアメを扱っているお菓子屋さんを見つけたら、
ニッキのアメが売ってあるか探してみようと思います。

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最終更新日 : 2016-06-25 17:31:18

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20131008近況飯エッセイ

 おやつにチョコチップクッキーを食べる。
ほんのりシナモンの香りが漂う美味しい一品だった。

 今日食べたものはチョコチップの含有率がしっかりと書いてあ
って、12パーセントとのこと。一割以上チョコチップが入ってい
るので、どの一枚をとってもシッカリとチョコチップが入ってい
た。
 子供の頃食べていたチョコチップクッキーは、もっと混ぜ方が
荒いというかチョコ含有率が少ないというか、ハズレを取るとチ
ョコチップを探すのが難しい普通のクッキーのような一枚があっ
たように思う。
 今例にあげているチョコチップクッキーだけでなくて、あらゆ
るお菓子に昔は当たり外れがあったような記憶があるのだけれど。
製造に使われている機械が、今のものより大雑把に作るように出
来ていたのだろうか。
 当たり外れがあることは決して悪いことばかりではないと思う、
そのハズレに当たったことで一つ誰かと話す話題が増えるし、ハ
ズレを引いた相手とは親近感が高まるだろう。そういう点で言う
と、製品の仕上がりにばらつきが少なくてよくできた品物という
のも、ありがたくもあるが寂しくもあるのかもしれない。

 こういう工場生産品や、個性のない物の集まりを喩える時に、
どこを切っても同じ顔が出てくるということで、金太郎飴が喩え
に出されることがある。しかし、この喩えはいかがなものかと思
う。
 記号化されているとはいえ、複雑な人の顔を飴細工で再現した
ものが、どこを切っても同じであるとは思えない、観察不足なの
ではないだろうか。まあわかりやすい物のたとえなのだろうけれ
ども、今の時代ならコピー&ペーストのようだと言ったほうが、子
供にでもスマートフォンが普及しつつある今ならわかりやすいか
もしれない。

 安定して美味しく食べることが出来るのはとても有難いことだ
けれども、なにもかも完全に同じようにはならないのではないか
なと思います。とくに自然の産物については、当たり外れがある
ことが当たり前くらいに思っておいたほうが、気楽でいいような
気がします。

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最終更新日 : 2016-06-25 17:31:18

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20131010近況飯エッセイ

 昼食と夕食に鯖寿司を食べる。
パッと見た見た目が小さい枕のような、豪快な一品だった。

 毎年この時期は秋祭り、先日も地域の秋祭りでお宮さんに参っ
て宴会があったところ。私の家でも恒例の鯖寿司が作られた。
 鯖の半身の一番幅があるところに合わせて、もち米を炊いたご
飯で合わせた寿司飯をたっぷりと長方形に整えて、しばらく重し
を乗せてなじませたもの。鯖も酢で締めてあり、しっとりとして
いながらシッカリとした歯ざわりが美味しい。

 毎年とても美味しく頂いているのだけれど、鯖の尻尾の方に近
づくと、ほとんど寿司飯のおにぎりを食べているような感じにな
ってしまうのが、おもしろくもあり困ったところでもあり。
 なによりもそのご飯の量が食べる人を驚かせる、幅がさばの半
身の一番太くなったところと同じなら、それを切り分けた時の断
面の高さがそれの半分から3分の1位はある。かける重しの重さで
この高さは変わってくるし、時間が経てば更に縮むが、ご飯の量
が変わるわけではないので、5切れも食べればお腹いっぱいになっ
てくる。
 地方によっては鯖の半身に頭も付いているところがあるようだ
が、私の地方では頭までは付いていない。その点は少し豪快さに
かける感があるが、食べやすくていいと思う。

 今年もこの次期を迎えることが出来て、無事一年を過ごせたん
だなと感慨深く思います。

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最終更新日 : 2016-06-25 17:31:18

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20131012近況エッセイ

 食後に栗の渋皮煮を食べる。
秋の夕食を締めくくるにふさわしい一品だった。

 親族からもらったもので、手作りのありがたいもの。甘いもの
好きの私としては、嬉しくてもらった現場にいたら小躍りしてし
まったかもしれない。と言ったらいい過ぎか、しかしそれくらい
うれしくて美味しいものだった。

 茹でて食べるだけならば邪魔でしょうがない渋皮だけれど、渋
皮煮となればその名の通り主人公の仲間入り。しっとりと煮上げ
られた渋皮は、食べるうえで全く邪魔にならず、中の実を食べる
上での食感の違いを出すためにとてもいい働きをしているように
思う。
 多分渋皮と一緒に煮て作ることには、なにか他にも意味があっ
て伝わってきているのだろうけれども、今のところ知らない。
うまく煮ることで渋皮も美味しく食べることが出来るということ
と、渋皮を剥く面倒から解放されるというのが、渋皮煮のメリッ
トだろうと思う。大体渋皮を剥いて煮たら、ただの甘露煮になっ
てしまう。

 好みの問題はあるだろうけれども、甘露煮と渋皮煮を並べた時
に、甘露煮の方が食べやすいヒトが多くなるのではないかと思う。
渋皮の食感を良しとする人よりも、渋皮のない栗の身のみを食べ
る方がいい人が多いと、他の果物の皮を剥いて食べることから思
う。
 けれど、今取れる旬の栗を食べている気分を味わうなら、断然
渋皮煮のほうが雰囲気が出るのではないだろうか。

 また来年も渋皮煮が食べられますように、秋らしくない暑さを
なんとか乗り切りたいと思います。

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最終更新日 : 2016-06-25 17:31:18


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