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ゾンビにご飯

今日もとし君の帰りは遅い。夕飯のシチューのじゃがいもは、もうぐちゃぐちゃだ。 お玉でくるくるかき回していたらじゃがいもは溶けて無くなった。 その鍋を、じっと眺めていると、後ろでガサゴソと音がする。何かと思って、振り向くと、 そこにはゾンビが居た。 ゾンビは私に襲いかかって来た。 物凄い息遣いで、私の胸を鷲掴みにし、服を脱がせ、ジャージをパンツごと下した。 そしてあっという間に私に挿入し、あつい息を吹きかけうめき声をあげ、あっという間に果てた。 私は何が起こったのか理解するまでに少し時間がかかった。 ゾンビは私を物凄い形相で睨みつけた。 私は怖くて、とにかくゾンビをなだめようとシチューを指した。 「一緒に食べよう!」 ゾンビはゴクリと喉を鳴らして私の目を見た。 そして、首を縦に振った。 どうやらゾンビはお腹が空いていたらしい。 皿にシチューをよそって差し出すと、ぱくぱくとあっという間に平らげてしまった。 皿をいつまでも眺めているので、たっぷりシチューをよそってあげた。 物凄い笑顔であっという間に食べてしまった。 ぱくぱく夢中で食べるその姿は可愛くてたまらない。 この頃とし君は帰りが凄く遅い。 ご飯を作っても食べてくれない。 残飯を毎日作る私。 作らなければ良いのだけれど、美味しいご飯を作って待っていたら、早く帰って来てくれるようになる気がする。 そんな風に待ち続けて、三年になるだろうか。 ゾンビは皿を差し出した。 どうやらお代わりらしい。 私は何だかとても嬉しくなった。 結局ゾンビは鍋にあったシチューを全て食べ尽くした。 目の前にいっぱい私を求めてくれる人が居るので、とし君の事は忘れていた。どうでもよかった。 嬉しすぎて、ゾンビが愛おしくてたまらなくなってゾンビにキスをした。 いっぱいキスをした。 そうしたらゾンビは私の胸に顔を埋めて私に甘えた。 可愛くて、愛おしくて、胸が苦しくて、ゾンビを抱きしめ頭を撫でてあげた。 それから、二人で服を脱ぎお風呂に入った。 お風呂のなかでも、いっぱい触りあい、キスをした。 ボロぞうきんのような服を着、頭はボサボサ 髭もじゃで、顔はどろどろだったゾンビの顔は、私が丁寧に洗ってあげた。 綺麗になったその顔は、私と同じ位の歳のようだった。 綺麗になり、ゾンビで無くなった、ゾンビを私はゾンビと呼んだ。 ゾンビは無口だ。何も言わない。 指で物を指すか、目で言う。 綺麗になったゾンビと裸でベッドの上で抱き合った。二人でそうしているとあっという間に時間が経っていたようで、もう十一時だった。 とし君は今日も帰りが遅い。ゾンがそろそろ帰ってもらわなくてはならない。 「明日も来ていいから、今日は帰ってね。旦那さんが帰ってきちゃうから。」 コクリと頷きゾンビは帰って行った。


愛おしい。

次の日も夕食の支度をしている時にゾンビはやって来た。 昨日は不用心にも玄関のカギを閉めていなかった為にゾンビに侵入されたのだが、今日は、わざと開けておいた。 ゾンビのために今日はグラタンを作った。 寒い外からやって来るのだから、温かい物が良いだろうと思い、生クリームのたっぷり入ったベシャメルソースに、ベーコン、鶏肉、  きのこをたっぷり入れたスパゲティグラタンに、ニンニクとごま油を隠し味に入れ、片栗粉をまぶして揚げた皮がカリカリの唐揚げを作った。 ゾンビはグラタンを勢いよく食べ、やけどしそうになっているから、冷たい水を入れてあげると一気に飲み干した。 美味しそうに食べてくれるゾンビを眺めていると、あっという間にご飯を平らげてしまい、私の所へ駆け寄って来て、私のスカートの上から私の匂いを嗅いだ。 そして、あっという間にスカートは脱がされた。 が、その手は昨日と違いとても優しく私を愛撫する。そしてこれでもかという位私のあそこを舐め回したあと、ズボンを下ろしゆっくり挿入した。 充分にぬれていたその中に入れられたら、気持ち良すぎて思わず声が漏れ、私は直ぐに昇りつめた。 ここ二、三年、とし君とはそういう事をしていなかったから、私の体はそれを待ち望んでいたように、反応した。 そんな私の姿を見て、ゾンビは興奮したのか越の動きを激しくさせ、うめき声をあげ果てた。 なんだかとっても愛おしくなって、ゾンビの頭をそっと撫でたら、ゾンビは恥ずかしそうに、照れ臭そうにした。 そしてまた二人でお風呂に入った。 今日のゾンビはとても優しい。私の体を丁寧に洗い、私の気持ちいい所も丁寧に洗ってくれる。お礼にゾンビの体も洗おうとしたら、恥ずかしそうに拒まれた。 そして、湯船に浸かるとゾンビは私を膝の上に乗せ、おっぱいを揉んだ。気持ち良くなってきてゾンビの口の中に私の舌を入れた。ゾンビも舌を絡め、吸いつく事に夢中になる。 ゾンビの口が私の胸の突起を含み、きゅっと吸い上げる。 「あんっ」 また声が漏れ、ゾンビのそこも立ちあがっていた。それから二人は繋がり気持ち良くなって同時に果てた。 あっという間に今日も十一時前になっていた。 なんだか急に切なくなった。ゾンビが愛おしくて、離れたく無くて悲しくて辛くて胸が苦しくなったが、とし君が帰ってきてしまうので、このまま一緒には居られない。 ゾンビには「ごめんね。明日も来て。」と言って帰って貰った。ゾンビもどこか不安げで、悲しそうな目をしていた。


孤独

とし君は今日も家に居ない。 日曜日なのに。 ゾンビの事をずっと考えていた。 会いたい、会いたい、会いたい。 なんだか平和は休日の昼下がり。 私は孤独に耐えかねて、一人でベッドの上で枕を股に挟み快感に酔い痴れる。 ゾンビの体が愛おしい。 こんなに興奮し、求めているのは久々だった。 昨日のゾンビの手の感覚を思い出し、自分の手を気持ちいいところに当てる。 中心から周りを撫でます。だんだん我慢出来なくなり、指で中心を触れると、 「はうんっ。」 思わず声が漏れた。誰も見ては居ないがなんだか恥ずかしい。 でも、もう止まらない。 指を中に入れる。 「あああっっ。」 指は止まらない。 中指を上下に動かし、親指で突起をグリグリ触る。 「あんっ。あんっっ!!」 中から温かい物が一気に沸きあがり、足は硬直し、いってしまった。 ベッドの上でボー然と佇んでいるといつの間にか夕方の西日が射し込んでいた。 ゾンビは今日も来てくれるだろうか? 美味しい物を作ってあげよう! 今日は二人ですき焼きを食べよう! そう思い立つと急いでスーパーへ行きすき焼きの用意をしてゾンビを待った。今日のすき焼きは、私の好物の鶏肉と牛筋肉のすき焼き、 それに、きのこをたっぷりと、シャキシャキの水菜を入れる。割り下は、白だしに、砂糖、味醂、酒、醤油を入れ、水で薄める。 関西風とも関東風とも違い、だしで煮るようなすき焼きだが、あっさりしていて沢山食べられる。私の好物の一つだ。ゾンビは気にいってくれるだろうか? わくわくしながら、ゾンビを待つ。 しかし、時計は十一時を回ったが、ゾンビはやって来なかった。 そうしていたら、とし君帰って来て、すき焼きを見てビックリした。 「今日なんかあった!?」 「もしかして、日曜日だから一緒に食べようと思ってくれてたの?」 「ごめんな、花。本当にごめんな、一人にして。」 と言って私をぎゅうっと抱きしめた。 久々に抱きしめられた、その体はとても大きく温かく、久々に嗅ぐとし君の匂いはとても懐かしかった。 「俺の好きな御馳走作って待っててくれたんだろう?有難う。一緒に食べよう!」 「えっ。!?」 「なっ。ほら!」と言って私を椅子に座らせた。 「とし君ご飯食べて来たんじゃないの?」 「ん、いや今日は食べられなかったんだ。花の顔見てたらマジ、腹減ってきたよ。ほら食べよう!」 そうして、とっても美味しそうに、残さずにすき焼きを食べた。 その晩私と、とし君は一年ぶりに愛し合った。


どちらのための?

次の日、私はとし君の事を考えながらご飯を作っていた。 スーパーに買い物へ行き、即座に思い浮かんだメニューはとし君の大好物の豚バラブロックのゴロゴロ入ったカレーだった。 玉ねぎを飴色に炒め、ベーコン、しめじを炒める。カレー粉を振りいれ小麦粉を振りいれ炒める。そこへ、トマト缶水をひたひたに加え、 コンソメを入れ、大きく切った豚腹ブロック、じゃがいも、人参を入れ、豚バラの脂が溶けだしとろみが付くまで煮込む。 グツグツグツ。 コンコン。 玄関の扉を叩く音がした。 覗き穴から外を見るとゾンビが寒そうにしながら立っていた。 玄関を開けるのがおっくうだった。 ゾンビに会うのが面倒だ。 多分換気扇から出る匂いが家の外を漂っている事だろう。 どうしようか迷った挙句、追い返す方法を考えるのも面倒になって、ドアを開けた。 そこにはゾンビが立っていた。手には可愛いピンク色のコスモスの花が握られていた。 凄い笑顔でゾンビはそれを私に差し出した。 私は何だか気持ちが悪くなった。 追い返すのも怖くなり、ほうっておく訳にもいかず、家に入れ、カレーを食べさせた。 とし君の分が無くならないか心配になった。 が、今日はゾンビは、お代わりをしなかった。 寒い所に居たゾンビまだ寒そうだったが、今日はとにかく早く帰って欲しかった。 とし君は、昨日、今日は出来るだけ早く帰ると言っていた。 「お風呂入る?今日はやめとく?」と私は冷たくゾンビに言った。 ゾンビは何かを悟ったらしく、何だか寂しげな顔をした。 私の唇に自分の唇をそっと重ねると、私の頭を撫で、玄関へ向かい、そのまま帰った。 キスをされてしまった事が、なんだか悔しかったが、私はゾンビが帰ってホッとした。 ようやく落ち着いて、とし君の帰りを待っていたが、とし君は帰って来ない。 ようやく帰って来たのは十二時過ぎだった。 「花ちゃん、本当にごめんよ。待っていてくれて有難う。」と本当に申し訳なさそうに謝った。 とし君は、急な接待が入り、抜けられなかったそうだ。 理由なんてどうでもいいから早く帰って来いよ。 次の日、私はムシャクシャしていた。 今日はご飯何か作るか!とイライラしていた。 とし君の事ばかり考えていたら、イライラがピークに達して、頭がおかしくなりそうだったので、ゾンビの事を考えた。 そうしていると、気持ちが落ち着いてきた。 そうして、今日はゾンビに美味しい物を作ってあげて喜ばせようと思い、献立を考えた。 寒い所から来るゾンビに温まる物を作ってあげよう。 今日はロールキャベツに、ドライカレーにしよう。 キャベツを外側からはがし、綺麗に洗う。それをラップし、レンジにかける。合挽ミンチに、黒コショウ、ナツメグ、 塩コショウ、溶き卵、パン粉、みじん切りの玉ねぎをいれ、粘り気が出るまでよく捏ねる。俵型にした種をキャベツで巻き 、鍋に入れ、水をひたひたに入れる。コンソメを入れベーコンを巻いてく。キャベツがトロトロになるまで煮込む。 ドライカレーは玉ねぎのみじん切りを良く炒め、角切りの茄子、みじん切りのピーマン、ロールキャベツに使った残りのミンチを入れ、 更に炒め、火が通ってきたら、カレー粉、ケチャップ、ウスターソース、コンソメ、塩を一つまみ入れ、炒め、ミスを少しだけ加えて煮る。 ドライカレーの辛みを抑える為にドライカレーには目玉焼きをのせた。 今日はゾンビは来てくれるだろうか? 外は寒い風が吹いている。 が、ゾンビはなかなか来ない。昨日冷たくしたからもう来てくれないのだろうか? 私を一人にしないで。ゾンビの温かい 腕の中を思い出すと、切なくて、寂しくて、苦しくて痛かった。 昨日ゾンビにした事を後悔し、涙が止まらなかった。 ごめんね。本当にごめんね。お願いだから会いに来てよ~。 喉を詰まらせながら、一人で泣いた。


私達の出会い。

コンコン。 扉を叩く音がする! 急いで玄関のドアを開ける。そこには腕の中いっぱいにピンク色のコスモスを抱えたゾンビが立っていた。 私は嬉しくてゾンビに抱きついた。 「ごめんね。ごめんね。ごめんね。」 泣きじゃくりながら何度も謝った。 そうして、長い。長い。長い。キスをした。ゾンビの唇が溶けて無くなりそうな位熱い。熱いキスをした。 ゾンビは何があったのか分からない様子で目を丸くしていたが、やがてとても優しい顔をして私の頭を撫でた。そうして安心して私はゾンビに抱えられたまま眠っていた。 「花ちゃん、こんなところで寝ていたら風邪ひくよっ。」 「あっ、とし君」 気が付いたら、ゾンビはそこにはおらず、台所には、ロールキャベツとドライカレーの盛ってあった皿が綺麗に洗ってあった。 「今日も御馳走作ってくれてたんだね。俺 めちゃくちゃ腹減った~。ロールキャベツ食べたいな。」 「あっ!うん。すぐ温めるね!」 「いいよっ。俺自分で温めるから、花ちゃんはちゃんとベッドで寝ててね。」 と言うとロールキャベツを皿に盛り、レンジにかけた。 「ドライカレーも有る!やったー!」 と言うとドライカレーも温めた。 私はベッドには行かず、とし君が食べている姿をじっと眺めていた。 「花ちゃん、体冷えて無い?一緒にお風呂入ろうか?」 あまりにも久しぶりに聞く言葉だったので、少し驚いた。 「うん。」 久々に一緒にお風呂に入るのは何だか照れ臭い。 「花ちゃん、いつも一人にしてごねん。子供がいたら、一人にさせる事無かったのにな。」 「とし君いつも一生懸命働いてきてくれるのに、何も文句何てないよ。有難うとし君。」 とし君は私をぎゅっと抱きしめた。 とし君は、若いゾンビのようにその場の勢いで私を求めてくる事も無く、お風呂を上がって、ベッドの上で私達は愛し合った。 次の日、私はゾンビを探しに町に出た。 いつもどこにいて、何をしているのだろう? ゾンビなのだから、昼間はうろうろしてる訳無いか。とか思いつつ、コスモスの花の沢山咲いている河川敷を歩いた。 秋風が心地よく、私の肌を撫でる。 昨日のゾンビの手の平を思い出す。 とし君がゾンビみたいに、寂しい時にいてくれたらいいのに。 さて、今日は何を作ろうか?秋の空のイワシ雲を眺めていたら、イワシフライが食べたくなった。 今晩は、イワシフライだ!とし君はイワシのフライが大好きだ。ゾンビは魚は好きだろうか? スーパーで三人分のイワシを買う。 私の作るイワシフライは油で揚げない。衣に卵も使わない。どうやって作るかと言うと、小麦粉を水で溶いてドロっとさせた液体の中にイワシを潜らせて、パン粉を纏わせる。 アルミホイルに油を敷き、衣を付けたイワシをのせ、油を振りかけ魚焼きグリルで焼く。 こうすると、油で揚げたようになる。 しかも、油で揚げるよりも身がジューシーに仕上がるのだ。 このフライに、ゆで卵をおろし金で卸したもの中に塩もみした玉ねぎのみじん切りを加え、 マヨネーズ、塩コショウ、黒コショウ、隠し味にケチャップを入れ、生クリームでクリーミーなソースに仕上げる。私特製のタルタルソースの完成だ。 これに、キャベツの千切りを添え、副菜は焼茄子。南瓜のスープを作った。 お腹が減って来た。 自信の有る美味しい物を作ると愛しい人が帰ってくるのが待ち遠しくなる。 私は以前小さなカウンター式の定食屋で働いていた。そこの客として、とし君と出会った。 初めてきた時は上司に連れて来られていたようで、その後、何回か後輩を連れて来ていた。 少し、話をするようになりいつの間にかデートをしていた。 もう五年前の話だ。



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