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B級映画妄想 クロコダイル・ハンティング

さっきシャワー浴びながら考えた「いかにもありがちな映画」の話をしよう。

映画の題名はおそらく「クロコダイル・ハンティング(邦題 THE HUNT ON THE LAKE)」
製作:1984年 アメリカ

最初、霧のかかった湖でボートを漕ぐカップル。女性はピンクのラフなドレスみたいのを着ていて、男性はジーパンにジージャン。
女性「ねぇ 湖のこんなに奥まで漕いできて大丈夫なの?」
男性「大丈夫さ。何か怖いものでもあるのかい? ふたりっきりになれた」
女性、周りを見渡しながら「霧が濃いわ。帰り道がわかるの? ジョージ?」
女性が振り返ると、男性はいない。
女性「ジョージ! どこにいるの? 馬鹿な真似はやめてよ! あたしほんとに怖いのよ・・・ 冗談はよして! ねぇ! ジョージったら! 返事して! 全然面白くないわよ!」
カメラは湖水面を写す。ぶくぶくと泡が上がってくる。
女性「ジョージ! ねえったら! 返事してよ!」
ジョージはわかりやすいほどピンチなのに、女性はそれを信じようとせず、ジョージのジョークだと思い込もうとしている。それがこういう映画の登場人物というものなのだ。
女性は泡があがってくるのを発見する。
その瞬間!
泡に血が混じる!
女性「きゃああああ」
フェードアウト。

ででーん・・・ オープニングに入る。
黒い背景に白い文字が出る。

監督 ・・・・・・・

主演 ・・・・・・・

そしてタイトル。
THE HUNT ON THE LAKE が大きく映し出される。
タイトルが違ってる。新聞のTV欄に書いてあるのと違ってる。
でもTVの前の子どもは英語が読めないからそんなことには気がつかない。
日本の現実母親「なんだこれ つまんなそうな映画 ニュースみよ」
こども「変えないで!」

映画のシーンは湖畔へ。
翌日、警察が捜査に来ている。
太った警官「事件があったのはここか?」
背の高い警官「ええそうです」
太った警官「どっちにしろ・・・ 俺だったらこんなところに彼女をデートに誘ったりはしないね」
部下数人「わははは 同感です」
太った警官と背の高い警官がブルーシートをはぐ。
ブルーシートの中から警官二人を映し出す視点。二人の驚いた顔をカメラが映す。
背の高い警官「なんだこれは! ひどい・・・!」
太った警官「まったくだ・・・ いったいどんなにすれば人間の身体がこんなになっちまうんだ!」
死体は映さない。

家の中でトランクス一丁で寝てる男が映し出される。当然いびきをかいている。当然だ。
その家の前にパトカーが静かに止まる。
太った警官が降りてくる。
「おーい ハリー! いるんだろ! 返事しろよ!」
こんこんこんとドアをノックする。どんどんどんとうるさくドアをノックする。
トランクス一丁男が目を覚ます。目を覚ますときの吹き替え音声は「ぐごお!」
一丁男「あんだってんだ、土曜の朝だってのに・・・」
一丁男はとりあえずたばこをくわえて、火をつけないで玄関に向かう。
太った警官はひっきりなしにドアをたたいて「ハリー! ハリー!」と叫んでいる。
この! パンツ一丁男こそ! この映画の主人公 ハリーである!
下に名前の紹介字幕が出る。


ハリー・マックイーン
(・・・・  ・・・・)


一丁男「だれだぁ? よおっと!」ドアを開ける。「なんだ? グレイクじゃねぇか?」
会話の中で太った警官グレイクはハリーの過去と現在をそれとなく話す。
ハリーは昔警官だったこと、かつてグレイクとコンビを組んでいたこと、奥さんに逃げられたこと、今は引退して地元湖のレンジャーをやっていること・・・
ハリー「おいおいやめてくれよ、昔の話はこぉりごりだぜ。で、オレにその事件を頼みたいってことかよ?」
グレイク「まぁそういうことだ、ハリー。やってくれるな?」
ハリー「はぁん。警察も随分丸くなっちまったもんだな」

ハリーは死体を見る。でも死体はカメラには映さない。特殊メイクとか人形に金がかかるから。
ハリー「なるほどねぇ。警察じゃあどうしようもないわけだぜ・・・ 犯人は人間じゃねぇんだからな!」

グレイク「ところで、お前にこいつを預けたいと思うんだ。まだ新米だがよ!」
栗毛の新米「はじめまして! スティーブといいます」
ハリー「おいおいやめてくれよ! オレに子守りをさせる気か?」
グレイク「現場検証をこいつにしてもらうんだよ! お前にカメラを持たせたら湖に落としちまうぜ! それに、お供はこいつだけじゃない」
そこにバイクに乗ってさっそうと現れるピンクでボディコンでドレスの金髪女!
ヘルメットを取ると金髪がなびく。
化粧が濃くて、金髪には部分パーマかかってて、口紅が濃くて、ちちが不自然なほどでかくて、アイシャドウが濃くて、うっふんな感じで、でかいイヤリングが濃くて、ところでこの人はなんでピンクドレスなんだ?流行ってたのか? そしてマスカラが濃くて・・・
足コプターはさっぱりこういう人の魅力がわからない。
ほ ん と う に さ っ ぱ り み り ょ く を か ん じ な い
しかし、ハリーは「わお、とびっきりの美人が現れたな」
ちなみにこの台詞を副音声で再生すると「Oh,Wow! What’s going on here!?」となります。
化粧の濃い女「おせじなんかいわなくていいのよ?」
ハリー「おせじじゃないぜ! 誓うって・・・」
グレイク「彼女はアニタ。お前が引退したあとに配属した警官で・・・」
グレイクの話を聞いていないハリー「あんたどこからきたんだよ?」
化粧の濃いアニタ「コネチカットよ」
グレイク「お前とは逆にレンジャーから警官になったんだ、そして・・・」
ハリー「あんた、名前は?」
アニタ「アニタっていうの。よろしくね」

ハリー、スティーブ、アニタの3人でモーターボートに乗って湖を行く光景。
スティーブ「ぼくは昔から写真のことばっかり勉強してたんだ・・・ でも平凡なカメラマンになんてなりたくなくて、警察官になったんだ!」
ハリー、アニタに向かって「あんた、結婚してんのか?」
アニタ「まだだけど・・・ 私って男運がないみたいなの」
ハリー「あんたみたいなヒトだったら、いい男もたくさん寄って来るだろうのによ!」
スティーブ「ねぇ! あれ、何かな!」
熱心に写真をとりまくるスティーブ。
アニタ「クロコダイルよ。大きいわね。でもあいつじゃないわ。犯人は」
ハリー「あんたの胸のモノのほうが大きいって!」
アニタ「もっと大きいのがいるのよ・・・ 間違いないわ!」
ハリー「オレのアレも大きくなりそう!」
TVの前にいる思春期前のこどもは話についていけない。

なぜか大雨が降って夜のシーン。なぜ夜までいるんだ。
ハリー「ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ 
それでよ オレの車ぶっ壊れちまったんだ! ぎゃはは!」
アニタ「静かに! 何か来るわ!」
ぬーんと向こう側に動く影。
スティーブ「なんだろう、あれ」
アニタ「スティーブ、・・・ 銃を構えて」
スティーブ、リボルバー拳銃を構える。
ハリーもショットガンを持つ。
そのとき、がぶりと大きな顎がスティーブの両足に噛み付く!
明らかにワニのはりぼて。眼球もうごかない。
しかしそんなことを気にしてはいけない。
この映画が作られたのは80年代なのだ。
我々はCGで眼が肥えているのだ。
スティーブ「うわあああ! 助けて! アニタ! ハリィィィィー!」
スティーブはクロコダイルに向かって拳銃を乱射!
しかしひるまない! 血すら出ない!
スティーブ「銃が効かないー!」
クロコダイルが2回くらい顎をがぷがぷやるとスティーブの胸まで飲み込んで、彼を水中にさらっていく。
アニタ「逃げて!」

ボートを一直線に飛ばすハリー。
なぜか洞窟がある。
アニタ「やつは今頃満腹のはず。襲ってこないわ」
アニタの化粧は崩れない。
そこで二人で焚き火して夜を明かす。
二人で一緒の毛布に包まる。
Hなシーンはなしだ!
なぜならこれは、硬派のパニック・アクション・ムービーだからだ!

次の日。
ハリー「昨日は大雨で吸えなかったからな うまいぜ!」
赤いマルボロ。ライトたばこなんてこの時代には多分ない!
アニタの化粧は崩れない。
ボートで広い湖を走る。
ハリー「どうだ? やつは出そうか?」
アニタ「見て! あそこに!」
でかいワニの影。
消える。
水面に銃を向けながらハリー「どこだ? どこへ消えやがった!」
がぼむ! 船体にかじりつくクロコダイル!
ハリー撃つ。しかし効かない。
ハリー「弾切れだ!」
クロコダイルの体当たり! 船体が大きく揺れる!
アニタ「ああん!」
ハリー支える! 「大丈夫か!?」
アニタ「それよりやつを!」
でかい口あけて現れるクロコダイル!
アニタ「これを! ぶちこんでやるのよ!」
アニタはボートのガソリンタンクを外してクロコダイルの口にぶっこむ。
アニタ「今よ!」
ハリー、たばこを投げる。どがぼん! 
別角度から撮影したフィルムをスローモーションで3回繰り返す!
爆発炎上するクロコダイルの口! そして静かに湖に沈んでゆく・・・。
ハリー「やれやれ。帰れなくなっちまったじゃねえか」
アニタ「いいじゃないの。帰れなくたって。もう敵はいないんだし・・・ 今日は日曜日よ」
ハリー「そうだな・・・」
湖の反射光きらめく。シルエットになったふたりはキスを交わす・・・
フェードアウト。


TV版なのでスタッフロールはカット。
見たい人はDVD買ってください。
BDは出ません。

ナレーター「さああて! 来週の洋画劇場は!
錯綜する思惑! 飛び交うサスペンス! 一本の電話が全ての切り札!
次週! 6/22! ダイアルZ! 

再来週の洋画劇場は!
集まるテロリスト! やつらの殲滅のために特殊部隊が向かう!
しかしそこで彼らを待っていたのは!
6/29! エイリアンコマンドー2!」

声の出演
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・

「イケメン二人組みでお台場のスイーツを食べ尽くす!
こんなに大食いなの、イケメンじゃあない~!?
カロリー無限伝説! このあとすぐ! チャンネルはそのまま!」

TVの前の子どもが気づくと、両親はもう寝ている。
一人で歯を磨く。
鏡に映る自分の姿が少し怖く見える。
歯磨き粉の泡がたまってきたのを理由にして、歯を全て磨き終える前に口をゆすぐ。
こどもの奥歯はそろそろ生え変わる。
こどもは布団をかぶる。
ワニが出てきそうで怖いとか、そんなことは全然思わずに眠る。
こどもは思う、明日は土曜だってのに、部活の練習試合かぁ、さぼりたいなぁ。

 

おしまい


読者の皆様へのお願い

足コプターから読者の皆様にお願いがございます。皆様にしか頼めない、重要なことです。それは、「この本が面白かった」と他の人に紹介して頂くことです。よろしくお願いします。ちゃっかり頼みましたよ。


奥付

 

シュールで極端で残酷な短編集


http://p.booklog.jp/book/62647


著者 : 足コプター
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/asicopter/profile
乱丁・落丁本にお気を付け下さい。

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この本の内容は以上です。


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