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プロのプロデューサーからの伝達

 次回の右脳を鍛えるクイズ番組では、東大生を出演させようと思う。むろん視聴者は、東大生が番組内で間違え、大恥をかくことを期待している。視聴率のためには、もちろんこの期待に応えなければならない。

 それにより、視聴者が東大生へ抱くイメージが悪くなっても、それは私達の責任ではない。

 だめな東大生のイメージといえば、勉強ばかりしか能がなく、親の期待に応えて勉強し、入学したとたんに生きる目標を失い、自分でものを考える能力はまるでなく、何かに感動することもできず、そのくせプライドだけは高く、楽しく遊ぶ方法を知らず、精神的には幼稚なままテストの点数だけが大人になったというタイプだ。

 むろん、東大生の多くはそうではない。彼らは実に聡明で、活力に溢れ、人を思いやる気持ちがあり、精神力も強く、友達も多くいる。

 しかし、我々はプロの番組スタッフだ。視聴者の期待に応えなければならない。よって、私は君に頼みたいと思う、だめなイメージを体現したような東大生を見つけ、つれてくることを。

 東大生でない人間を、東大生だと偽るのは、倫理的によくない。従って、本物の東大生の中から探してくること。


反抗期のビデオ

 家庭科の授業。ビデオを見る。

 回転寿司のシーン。両親と、小6の男の子と、小2の女の子。

 両親は割り箸を割った。子どもにも割り箸を薦める。女の子はとったが、男の子は「僕はいいよ」と言う。

男の子「手でつかんで食べたい。そのほうが粋なんだ! さっき、手で食べるためにちゃんと手を洗ってきたんだ」

母親「ちゃんと箸で食べなさい。そのために割り箸がここに置いてあるんだから」

男の子「割り箸を使うかどうかは客の自由だよ」

父親「どうして箸では食べられないんだ? お父さんもお母さんも、ほらチエだって箸を使ってるじゃないか」

男の子「でも僕は手で食べたい。粋でかっこいい。そのほうがきっと美味しいんだ」

母親、大声で「どうしてそんなわがまま言うの! みんな箸で食べてるでしょ!!」

女の子は両親の剣幕に驚き口を開け沈黙している。

父親「そうだぞ、お母さんの言うことをちゃんと聞きなさい。どうして聞かないんだ? わがまま言わないでちゃんと箸で食え」

男の子「今日は手で食べようって楽しみにして来たのに! 手で食べたいよ!」

 

ナレーション「親の言うことに、理由なく反発する。これが、反抗期です」

 

 シーンは、回転寿司を食べ終わった後の、駐車場へと移る。

 男の子はしょぼんとしている。両親は不機嫌そうである。女の子はどうしていいかわからない雰囲気である。

母親「あー せぇっかく回転寿司に来たのに、ぜぇんぶヨシタカのせいでつまんなくなった! あーああーつまんなかった!!」

父親「そうだぞ、ヨシタカのせいで、せっかくの寿司もゲロまずだったな」

女の子チエは、両親の味方に付く。「お兄ちゃん、どうして箸で食べなかったの」

母親「ヨシタカのことは二度と回転寿司には連れてこない! 二度と連れてこないからね! ヨシタカがいるとせっかく楽しいはずの回転寿司が糞つんっっまんなくなるから! 家で留守番してカップ麺でも食ってろ! あーああー お前なんか生まなきゃよかった! いいんだからね! 今からでも施設に預けたっていいんだからね!」

 

ナレーション「反抗期には、毅然とした態度で臨みましょう」


オルモスト11時

「オルモスト11時、オルレディ11時だ」と俺は言った。

「どうして英語を混ぜるの?」と彼女は言った。

 彼女といっても、恋人ってわけじゃない。女の子を指す代名詞として、彼女という言葉を使ったんだ。彼女は言う。

「意味もないのに英語を混ぜるのとか嫌いだよ。英語を混ぜる意味がない。私達は日本人なんだから、日本語で喋ればいいじゃない。日本語で喋るべきだよ。」

「まぁ一理ある。でも俺の方はね、なんとかするべき、と決めるのが嫌いなんだ。通じるのなら、英語だって古代ペルシャ語だっていいと思ってる。意味のことをいうなら、日本語で喋る意味だってない。だろ?」

「ふぅん…」

 彼女は数日後に、拳銃で頭を撃って自殺してしまった。もしかしたら俺の話を聞いて、生きることに意味を感じなくなったのかもしれない。そう思うと、責任を少しは感じる。どうして日本なのに、拳銃が手に入ったのだろう。切腹じゃなかった。俺が自殺するなら、何かメッセージを残したいと思う。わざわざ拳銃を使うあたりに、俺に向けてのメッセージが入っているのかもしれない。でもね、俺には通じていないぜ。


キスしようとしている落下中の二人

 二人はキスしようとしている。でも二人は首というか後頭部というか、その辺をばっさりを切られていた。だからその辺が欠けている。

 二人は装飾用のナイフを頭につけている。トサカみたいに。きっとこのファッションが流行りなのだろう。

 二人とも腕が途中までしかない。肩と肘の中間あたりまである。

 そして二人とも妊娠している。

 今気づいたことだが、この二人は落下しているね。どこか高いところから落下中なんだ。それでも二人はキスしようとしている。

 お互いの唇をくっつけ合おうと頑張っているんだ。


グロテスクモンスターズ

 さまざまなタイプのモンスターが、魔王の塔に向かっているように見えました。

正義のモンスターと悪のモンスターが混ざっていました。正義のモンスターは魔王を倒すために、悪のモンスターは魔王を守るために、それぞれ魔王の塔に向かっていました。

 モンスターは可愛いものではなく、人間の眼からみるとどれもグロテスクでした。

 直接肉弾攻撃するのが得意なモンスターも、魔法で攻撃するのが得意なモンスターもいました。モンスターは種類ごとに、その能力がとても違ってしました。

 

 魔王は、かまってもらえるのが嬉しそうでした。

 

 もう一度見ると、今度はモンスターではなく、それはサラリーマンに見えました。やれやれ、という気持ちで会社に向かっているのでした。



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