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不適応なサルの顔

 サルの顔だ。オス。発情期になるとね、顔のあちこちが大きく大きく膨らむの。大きく膨らんでる方が、メスに求愛するときに有利なの。

 でもこのサルは、ちょっと大きく膨らみすぎですね。大きく膨らみすぎて、異常なレベルに達している。

 そういうわけで、彼の求愛は全然成功しませんでした。

 大きく膨らみすぎて、不適応になりました。


金が十分に貯まった

 金が十分に貯まった。今や、世界の97%の富を私が所有しているのだ。そのせいで、世界経済は破綻し、人々は失業し、路頭に迷い、餓死し、自殺している。

「どうしようか?」と私は尋ねた。

 妻は答えた。「ユーラシア大陸を買って、ユーラシア大陸をふんだんに使った豪邸に住みましょう」

 悪くない考えだった。きっと世界遺産になる、大きな大きな館ができる。

 しかし、建築するには長い時間が必要だった。多数の建築士の計算では、ユーラシア全土を覆う豪邸を建設するには、2000年はかかるということだった。設計するのも大変だ。しかし、2000年かかっても構わない。私はお金を使いたいのだ。建築を依頼した。

 建築はそこそこ順調に進んでいったけれど、私は結局のところ、日本にある二階建ての家に住み続けていた。

「内装を豪華にしましょうよ」と妻が言った。

 200兆円の、誰か有名なデザイナーの作ったシャンデリアを玄関に飾った。私の知る限りではもっとも高いシャンデリアだった。でもデザインは私の趣味ではなかった。

 ちっとも面白くないと私は思った。

 私が求めたのはこんなものだったのか?

 貧乏だったころを思い返した。

 人々は私を成功者だと思っているかもしれない。

 きっとそうなのだろう。お腹いっぱいにご飯が食べられる地点で、すでに成功者だ。

 こんなものが私の望んだものだったのか?

 繰り返す。ちっとも面白くないと私は思った。

 妻も、内心では面白くないと思っていることが、私にははっきりとわかった。

 外で雨が猛烈に降り、雷が鳴った。

 私は雷が怖かった。我慢できないほど猛烈に切実に怖かった。

 私は妻とセックスをした。ベッドは普通のベッドだった。

 結局のところ、私はベッドの上で妻と仲良くふざけあうことが一番好きだった。


地球滅亡

地球滅亡

 

隕石「いやー・・・ そういわれてもさぁ、俺の方だって好きでぶつかるわけじゃないんだよね、ほんと。申し訳ないよ、ほんと。たまたま軌道ずれちゃってさ、仕方なくなんだよ。あんまりうらまないで欲しいね。いや、俺一個の犠牲でさ、この星のみんなが助かるってんなら、俺は砕けてもいいよ。核とか持ってんだろ? こういうときのために使えよな。地球に使わず隕石に使え、核は。

 あー あー やっべーって やっべーって ほんとまじぶつかるって

 ぎゃああああああ 痛ってえええええええ! おごえご!」

隕石は死んでしまった。


地球滅亡2

地球滅亡2

 

  ある日、NASAは、隕石が軌道を外れて、地球に飛来してくるのを発見した。

  職員「パニックになるから秘密にしておこうね」

     「うんそうしようね」

 地球は滅亡してしまった。


地球滅亡3

地球滅亡3

 

 ある日、NASAは隕石が軌道を外れて、地球に飛来してくるのを発見した。

 職員「大変だ! 隕石が地球に向かっているんだ! ただちに対策チームを結成してくれ!」

 せーじか「は? あいつ何言ってんだ?」

       「ただの馬鹿だろ」

       「映画と現実の区別もつかねーのか」

       「頭狂ってるんだろ」

                 「病院に閉じ込めとけよ」

       「そんなところに税金使ったら国民からの支持が得られん」

       「うちらは経済対策で忙しいっつーの」

       「あとテロとの戦いも終わってねーし」

       「そうそう、今まで隕石で死んだ人よりテロで死んだ人のほうが多いんだからな? 

        こんな簡単な計算すらできんのか、NASAの職員は。国家の恥だね」

       「次の選挙どーしよ」

 

 こうして地球は滅亡してしまった。

 ごめん嘘です。滅亡していません。

 人類は滅亡したけど。

 隕石衝突を生きのびた生物達がその後進化して、長い時間をかけて失われたニッチへ進出し、また地球は豊かで多様な生態系を築いたのでした。

 

 3億年後。

人類の次に誕生した知的生命体

「すごいことがわかった。どうやら3億年ほど前、我々より先に高度な知性と文明を持った生物がいたらしい。背骨と大きな頭蓋骨と直立二足歩行が特徴だ。しかし、隕石が衝突したときに滅んでしまったようだ」

「隕石からこの星を守るほどの科学力も兵器も持っていたようなんだが・・・」

「どうして使わなかったんでしょうね」

 この知的生命体にとって、生物学史上最大の人気を持つ謎は学会で数え切れないほど議論され続けた。

 しかしついぞ正しい学説を打ち出す者はいなかった。

 正解を出す前にこの知的生命体もいろいろあって絶滅してしまった。

 それでも地球は豊かで多様な生態系を持ち、その日も生物たちは今日も自然の中で生きたり死んだりしていた。

 



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