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キスしようとしている落下中の二人

 二人はキスしようとしている。でも二人は首というか後頭部というか、その辺をばっさりを切られていた。だからその辺が欠けている。

 二人は装飾用のナイフを頭につけている。トサカみたいに。きっとこのファッションが流行りなのだろう。

 二人とも腕が途中までしかない。肩と肘の中間あたりまである。

 そして二人とも妊娠している。

 今気づいたことだが、この二人は落下しているね。どこか高いところから落下中なんだ。それでも二人はキスしようとしている。

 お互いの唇をくっつけ合おうと頑張っているんだ。


グロテスクモンスターズ

 さまざまなタイプのモンスターが、魔王の塔に向かっているように見えました。

正義のモンスターと悪のモンスターが混ざっていました。正義のモンスターは魔王を倒すために、悪のモンスターは魔王を守るために、それぞれ魔王の塔に向かっていました。

 モンスターは可愛いものではなく、人間の眼からみるとどれもグロテスクでした。

 直接肉弾攻撃するのが得意なモンスターも、魔法で攻撃するのが得意なモンスターもいました。モンスターは種類ごとに、その能力がとても違ってしました。

 

 魔王は、かまってもらえるのが嬉しそうでした。

 

 もう一度見ると、今度はモンスターではなく、それはサラリーマンに見えました。やれやれ、という気持ちで会社に向かっているのでした。


殻のある生き物

 これは殻のある生き物だね。海の底に住んでいるんだ。

 分類上は、軟体動物腕足類だと思う。

 体の半分を占める大きな口吻を伸ばして獲物を捕食する。口吻には色鮮やかなひだひだがついていて、このひだひだの美しさでオスはメスに求愛する。

 

 と思ったら、これはやっぱり武器だね。

 手甲みたいに装備するんだ。

 全部金属で出来ている。

 殻が手甲部分で、刃物による攻撃をガードする。

 そして先に伸びている口吻みたいな部分、これは相手に突き刺す針とか刃とか槍とか、そういう部分だ。

 ひだひだに見えていた部分は、相手の肉を深くえぐるためのトゲトゲだ。

 両手に装備するといいと思う。


不適応なサルの顔

 サルの顔だ。オス。発情期になるとね、顔のあちこちが大きく大きく膨らむの。大きく膨らんでる方が、メスに求愛するときに有利なの。

 でもこのサルは、ちょっと大きく膨らみすぎですね。大きく膨らみすぎて、異常なレベルに達している。

 そういうわけで、彼の求愛は全然成功しませんでした。

 大きく膨らみすぎて、不適応になりました。


金が十分に貯まった

 金が十分に貯まった。今や、世界の97%の富を私が所有しているのだ。そのせいで、世界経済は破綻し、人々は失業し、路頭に迷い、餓死し、自殺している。

「どうしようか?」と私は尋ねた。

 妻は答えた。「ユーラシア大陸を買って、ユーラシア大陸をふんだんに使った豪邸に住みましょう」

 悪くない考えだった。きっと世界遺産になる、大きな大きな館ができる。

 しかし、建築するには長い時間が必要だった。多数の建築士の計算では、ユーラシア全土を覆う豪邸を建設するには、2000年はかかるということだった。設計するのも大変だ。しかし、2000年かかっても構わない。私はお金を使いたいのだ。建築を依頼した。

 建築はそこそこ順調に進んでいったけれど、私は結局のところ、日本にある二階建ての家に住み続けていた。

「内装を豪華にしましょうよ」と妻が言った。

 200兆円の、誰か有名なデザイナーの作ったシャンデリアを玄関に飾った。私の知る限りではもっとも高いシャンデリアだった。でもデザインは私の趣味ではなかった。

 ちっとも面白くないと私は思った。

 私が求めたのはこんなものだったのか?

 貧乏だったころを思い返した。

 人々は私を成功者だと思っているかもしれない。

 きっとそうなのだろう。お腹いっぱいにご飯が食べられる地点で、すでに成功者だ。

 こんなものが私の望んだものだったのか?

 繰り返す。ちっとも面白くないと私は思った。

 妻も、内心では面白くないと思っていることが、私にははっきりとわかった。

 外で雨が猛烈に降り、雷が鳴った。

 私は雷が怖かった。我慢できないほど猛烈に切実に怖かった。

 私は妻とセックスをした。ベッドは普通のベッドだった。

 結局のところ、私はベッドの上で妻と仲良くふざけあうことが一番好きだった。



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