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HOUSE-DOC Ver3でマスターする耐震診断(精密診断・補強設計編>

1章 2012年改訂版「木造住宅の耐震診断と補強方法」変更点解説

 

 本来、2011年中に改訂される予定であった「木造住宅の耐震診断と補強方法」の改訂版は、2012年6月に大幅に遅れて発表になった。なまあず本舗では、事前に収集した内容をあらかじめ編集しておき、1回目の講習会内容を踏まえ加筆修正を行い速報版として、付録部分を執筆し本編を発表しました。初回の講習会であり今後内容の変更がありうることを理解の上読んでくれ。また本編も間違い等あるかもしれない。あらかじめ了承してくれ。当方では本編の記載によって負ったいかなる損害も補償いたしません。速報版なのですべての変更点を網羅しているわけではありません。重要と思われる箇所をピックアップし記載しました。ツーバイフォーと伝統構法などは省略しております。

 

改訂概要

①各診断法における必要な調査内容の明記

②一般診断法の方法1における「その他の耐力」の見直し

③実験結果に基づく耐力要素のデータの充実と見直し

④柱頭・柱脚接合部の低減係数の見直しと不連続による不具合の解消

⑤精密診断法2の保有水平耐力計算による方法等の適用範囲に学校幼稚園等非住宅を追加

⑥耐震診断の実務に参考となるよう解説をさらに充実し、記号・用語を統一したこと

 

 いうまでもなく、木造住宅の耐震診断と補強方法は、耐震改修促進法に基づく建築物の耐震診断及び耐震改修に関する技術上の指針と同等と位置付けられている木造住宅の耐震診断と補強方法です。これを機に是非、木造耐震診断をマスターしたいものです。

 

おもな変更点

・本が2冊になった

 マニュアル本体と、例題編・資料編の2冊に分けられた。それぞれ薄くなったので使い勝手が良くなった。

・主な変更点は2011年7月6日のパブリックコメント(意見公募用資料)は変わらなかった。

・一般診断法は、予想通り変更点が多かった。

・精密診断法は、診断法自体はほとんど変わらなかった。

・従来耐力がないとされたラスボードが耐力として正式に認められた

・精密診断法では、「診断専用」の部材が指定され、故意に補強で使わないようにした。

 

パブリックコメントからの変更点の解説

・細かい点はかなり変わっている。

・特に数値がかなり変わっている。パブコメで新設された部材が削除されている

 サイディング類が5種類から3種類に減ったこと、門型の構造用合板張りが、すべて無くなっていたこと。

 

変更がなかった点

 「誰でもできるわが家の耐震診断」は、変更がなかった。

 

主な目次

 目次概要を紹介する。詳細は原本でご確認ください。

 

<本編>

1:適用範囲と概要

2:誰でもできるわが家の耐震診断

3:一般診断法

4:精密診断法1 保有耐力診断法

5:精密診断法2

6:補強計画

7:補強方法

8:調査方法

 

<別冊 例題編>

・一般診断法診断例A

・一般診断法診断例B

・一般診断法診断例C

・精密診断法1診断例B 補強前と補強後

・精密診断法1診断例C(保有耐力診断法)

・精密診断法2診断例(保有水平耐力診断法・大規模木造建築物)

・精密診断法2診断例B(限界耐力計算)

<別冊 資料編>

耐震診断法の参考資料

1:基礎・地盤

2:固定荷重・積載荷重

3:必要耐力・必要壁量

4:耐力要素の評価法

5:床構面の評価法

6:老朽度と劣化の評価法

木造住宅の地震被害例

 

一般診断法

 

 事前に大きく変わると言われていた一般診断法。ふたを開けるとほぼ予想通りでした。やや煩雑になり精密診断法に近づきました。最大の争点?だった必要耐力の25%の評価が改善されました。

 図3.1の一般診断の流れが変わってきている。方法1・2が「その他の耐震要素の耐力」のみ変わり他は共通となったチャートとなっている。左側は変わらない。一般的な木造住宅のラーメン的効果の算定が除かれ、有開口壁の耐力が追加されている。この部分が精密診断法1に近づいた部分である。ただ選択できるようになっているので、方法については熟読が必要である。

 3.4の上部構造の耐力の診断では、多雪区域の場合の評価が変わった。無積雪時の評点と積雪時の評点の両者を求め、低い方の評点を当該建物の耐震診断評点とすることになった。これは、積雪の重みでの地震力の増加と、積雪の重みによる柱頭柱脚の押さえ込み効果の増加を考慮しての追加項目である。

 3.4.1の必要耐力は記述が不明確な部分が残ります。精算法についての注意点が加えられている。

 3.4.2は大幅に変わっている。旧版は用語に不統一な部分が多くわかりにくかったが、改定版では、壁の耐力は壁基準耐力と統一され壁強さ倍率という名称は使われなくなった。意味は同じである。

 壁基準耐力は、不明な場合と上限が変更になった。不明な場合は2.0(旧版は1.96)、最大値は10(旧版は9.8)となり、注意が必要だ。2.0は乱用は避けるよう注意書きが目に付く。

 また柱接合部の低減係数も壁基準耐力が表に掲げた数値の中間の場合、その上下の壁基準耐力の低減係数から直線補間して算出することになった。

 壁基準耐力の表は全面改定。従来の数値は忘れた方がよい。土塗り壁は最低基準が40ミリと改められた。土塗り壁は横架材まで達する場合と7割以上の2基準となった。わかりにくかった、木ずり下地モルタル塗りなどの表現も使われ、全体的に整理された。特筆すべきは、石膏ボード・合板で、合板は3ミリ以上、ラスボードは、ラスボード単体と漆喰塗りが新たに加えられた。これで極端に数値が下がってしまうという診断の欠点が改善されるでしょう。一方、フレキシブルボードや炭酸マグネシウム板など基準法にはあるが、実際あまり使われなかったと思われる物は除外された。

 有開口壁と太い柱(伝統的工法等)をその他の耐力要素として扱う。考え方は精密診断法1に近い。ただ記載されているところがまとまっていないので注意が必要。P42に詳しい。

 また、何故か斜め方向の壁の評価方法、N値計算法の解説がついている。軸組の倍率は、等価壁倍率を用いるか、無開口壁の壁基準耐力を1.96で割った値を使うことができると明記された。3階建てについても記載があるが、説明不足でわかりにくい。

 耐力要素の配置等による低減係数も、いろいろと注意書きが増えたので注意が必要だ。特に有開口壁は方法1の場合のみ、建築基準法に準じ評価しないので要注意である。

 

精密診断法1

 

 一般診断法よりも変更点は軽微だが、主に壁基準耐力が大幅に変更されている。また細かな部分で係数が異なっている。誤記の可能性もあるのでしばらくは注意が必要だ。

 診断の流れは、ほぼ同じなのにフローは大幅に簡略化されて見やすくなった。

 積雪については、一般診断と同じ変更がある。

 壁基準耐力の上限は変更なく14である。

 面材の高さの比による低減が定められた

 壁基準耐力要素は、やはりラスボードが追加となった。また備考欄が設けられ診断時のみ使える「診断専用」の項目が追加された。これは補強時に使えないと言う意味で、従来基準法に満たない雑壁を利用することで金物を増やさず補強するという間違った手法の改善に役に立つと思われる。90角の方杖や真壁の構造用合板など新しい要素も追加になった。パブリックコメントにはあった、合板を使った門型張りは掲載を見送られている。一般診断法ではなくなったフレキシブル板などはなぜか残っている。石膏ボードがなぜか12ミリ以上になっている。また9ミリは??という質問が出そうな感じ・・・。

 開口低減係数が変更になっているので注意が必要。

 柱接合部による低減係数は、新たに平屋建てが独立して表にのり緩和されている。直線補間になったのは一般診断と同じ変更点である。積雪についても一般診断同様の変更がある。

 劣化度についての図や表現が変わっている。念のため熟読したい。

 剛性率による低減は変更無し、偏心率と床の仕様による低減は変更があるので要注意である。細かく区分され全体的に厳しくなった。床倍率の表も変更(追加)になっているので注意が必要である。

 

精密診断法2

 今回の改訂の目玉である、非住宅(学校・幼稚園など)の対応は精密診断法2からである。そのため、注目が集まっているが、旧版では記述が少なかった。改定版ではどうであろうか?

 旧版では、P108~117と10ページに満たなかったです。計算例があるとはいえ、これでは難しいです。一方、改定版ではP105~124と20ページ近くに増えました

 保有水平耐力計算による方法がもっとも使われると思いますが、この部分の文章が増えたことが目に付きます。おそらく実用的に非住宅を診断できるようにとの配慮だと思われます。しかし前半部分は旧版とほとんど変わりません。新たに加わったのは5.2.3の単体壁の終局耐力の累加により保有水平耐力を求める場合以降です。壁高さ、劣化、接合部による低減が記載されています。この部分で増加ページの大半を占めている。

 限界耐力計算による方法は、基本的に量も変更ありません。

 時刻歴応答計算による方法も、基本的に量も変更ありません。 

 

補強計画

 あまり変更がない章です。それでも細かく見れば記載事項は異なります。前述した一般診断法による補強の計画は、この章の最後に1ページ割かれているので見落とさないように。

 

補強方法

 むしろページ数が減って残念な章。内容もほとんど同じ。ただし最後の2ページは異なる。下屋・野地板の補強と周辺接合部の補強例は新たな図が加えられ、劣化部材の補修・交換は絵自体が大幅に変わっている。

 

調査方法

 従来わかりにくかった構成ですが、調査方法で独立した章としてまとめられ、内容も充実した。土塗壁の厚さの測定の仕方や面材の判断方法などの記述が追加されている。また写真も増えた。道具の写真が充実した。調査表の例も追加されたので参考になるでしょう。

 

別冊

 診断例は目次解説の通り。サンプルの数字が当てにならず現状では実用性が薄いのが残念。資料編はあまりまとまっておらず読みにくいです。通常の診断に必要ないこれらを別冊にしたのは正解だと思う。

 後半の木造住宅の地震被害例は20ページほどある。各地震の被害を簡潔にまとめてあり、過去の地震の知識を最低限に覚えるには適した資料だと思います。

 

改訂版についての補足

 改訂版発行とはいえ、かなりの誤記などがあります。そのうち訂正などが発表されると思います。まずは細かい点を無視して改善の趣旨や、そもそもの耐震診断の理論を学習することを先決としたほうがいいと思います。この変更点解説も間違っている点もあるかもしれません。速報性を重視し作りましたので、あらかじめご了承ください。


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