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微熱山丘のパイナップル・ケーキ

 予定時刻どおり13:30に台北・松山空港到着。

 前回は、そのままMRTでホテルへと向かった。

 台北の主なホテルのチェックイン時刻は、15:00。

 少し早い時間だが、あまり混んでいない時は早めに部屋に通してくれる場合もある。

 

 

 今回はホテルに行く前に、一つの目的があった。

 空港を一歩出て、空を眺める。

 あれッ、先ほどまで降っていた雨が止んでいる。

 ランディングから、まだ30分程度。

 なのに、この幸運。

 神じゃあ。神がお助け給うたわ。

 伯爵のツレは、意味ありげに唇を緩めた。

 空港のコインロッカー(スーツケース用)に荷物をパイルダー・オン。

 長袖の上着まで放り込み、キャスト・オフ。

 これで、身軽になった。

  

 空港を出て、ひたすら左へ。

 関係者のみが利用するような建物を横目に、先を急ぐ。

 この道で良いのだろうか?

 そのような疑問が湧き、地図を確かめる。

 むむう、細部が載っておらん。

 

 分からぬ、分からぬぞー。

 

 引き返そうかとも思う。

 しかし、ツレはそれを一喝。

 

 『こっちで、良いんじゃね?』

 

 仕方なく、先を進むことに。

  交通量が無茶苦茶多い道路をアクロスし、排気ガスに曝されながらも、どうやら正しい道を歩いていることが分かった。

 Tシャツ1枚でも暑い。

 日本の寒さが、ウソのようだ。

 しかし、道行く通行人は、コートなぞを着用。

 外気24℃はあるはず。

 このギャップは、旅行最終日まで続く。

 寒がりーや、台湾人。

 

 伯爵らが目指していたのは、『微熱山丘』というパイナップル・ケーキ店。

 台湾土産の代名詞ともいえるパイナップル・ケーキ。

 職場の人間など、あまり重要でない方たちのバラまき土産としては、最大限の効力を発する。

 もらった方も『ああ、台湾行ってきたのね』と暗黙のうちに了解し、ポイと口に放り込んで『ごちそうさん』となる。
 そこに『凄い美味しい!』『ブラボー!!』『どこに売っているの!!!』などの感激は微塵もなく、一種の社交辞令として処理される。

 パイナップル・ケーキの一般認識とは、こういうものだろう。

 ところが、実際はもっと奥が深い。

 

 あれは、伯爵が会社の研修旅行の時だった。

 他社の人間も合同で参加しており、ツアー・メンバーはお互いに見知らぬ者ばかり。

 そのメンバーの一人であるオバちゃんが、現地ガイドにお願いしていたらしい。

 バスは、台中のとある菓子店に横付けされた。

 聞けば、台湾では有名な店らしい。

 

 オバちゃん、そこでパイナップルケーキ20箱ぐらいを大人買い。

 

 凄い大荷物にも関らず、表情に溢れる達成感。

 伯爵は、今でもそれを忘れない。

 その時知ったのだ。

 パイナップル・ケーキが店ごとに味が違い、実に奥が深いということを。

 そして今、伯爵が辿りついたのは、台湾でも人気絶大らしいパイナップル・ケーキ専門店である。

 

 

 

 

 

 

 その店は、公園に面していた。

 空港から徒歩15分程度。

 一見すると、何の店だかわからない。

 看板があるものの、それは極めて地味。

 店内は混雑しているようだが、売っているものは外からは確認できない。

 伯爵はビビり、ツレが先頭に立って入店。

 入口に女性店員が立っており、笑顔で迎え入れる。

 こちらが日本人だということは、すぐに外見で判断できるらしい。

 『試食しますか?』と、日本語で聞いてくれる。

 あなたは、頷くだけで良い。

 すると、大きなテーブルへと通され、着席をすすめられる。

 間もなく、試食用のパイナップル・ケーキ1個と烏龍茶が供される。

 

 

  

 従来のパイナップル・ケーキを覆すパッケージ・デザイン。

 餡は、パイナップル100%(一般的には冬瓜を混ぜているらしい)。

 味の違いは、一食瞭然。

 洋菓子に近い。

 一個食べれば十分なボリューム感。

 人気が高いのも納得。

 

 この店、商品はパイナップル・ケーキのみ。

 壁に5個入り、10個入り、20個入りの三種が、見本として置かれている。

 購入方法は、レジで注文。

 英語で通じたが、日本語が通じるかどうかは疑問。

 なかなか洒落た袋に入れてくれるので、土産としての見栄えも良い。

 ツレも満足したのか、15分の復路をスキップで戻る。

 タクシー使えば、もっと楽なのにね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


6
最終更新日 : 2013-01-06 20:54:53

MRTでホテルへ向かう

 無事に『微熱山丘』のパイナップル・ケーキをゲットした伯爵ら。

 意気揚々と空港に戻り、スーツケースをコインロッカーから取り出した。

 タクシー使えば楽だが、嫌いだからしょうがない。

 ちなみに、タクシーに関するトラブルがあって嫌いになった訳ではない。

 ただ、伯爵がヘタレなだけで、車だとどこに連れて行かれるか分からないという恐怖心があるだけだ。

 

 スーツケースを転がし、MRT(地下鉄)の駅へと向かう。

 自動券売機で切符を購入。

 カジノのチップのような青い円形のものが切符だ。

 改札入る時に所定の位置にかざし、出るときは投入口に入れる。

 時間は15:00近く。

 さすがに列車内は混雑していなく、大きなスーツケースを持っていても問題なし。

 ホテルの最寄り駅・大安までは乗換え不要だった。

 

 MRT内は、飲食禁止。

 うっかりペットボトルでも飲みそうになるが、それは『ダメ、ぜったい』なのだ。

 感心させられるのは、乗客のマナーが比較的良いこと。

 大声で話す人も見られず、優先席はかなりの割合で空いている。

 マナーが良いって、素晴らしい。

 

 昼間は比較的空いているMRTだが、やはり通勤ラッシュ時は混雑する。

 その時間帯にスーツケースを持って乗りたくないし、何の荷物を持っていなくても同じ。

 1日目の夕食は小籠包で有名な鼎泰豊を予定していたが、MRTのラッシュにぶつかりたくなかったので、徒歩でも移動が可能な地域を宿泊地とした。

 ちなみに鼎泰豊は店舗が幾つか存在し、今回は忠孝復興駅直結そごう内を選択。

 食事場所によってホテルを決めるのはどうかと思うが、伯爵の価値観はそういう風に出来ている。

 


7
最終更新日 : 2013-01-06 20:57:01

パークタイペイホテル 台北美侖大酒店

 1泊目の宿泊先『パークタイペイホテル』。

 MRTの大安駅階段をおりてくると、目前に横断歩道が現れる。

 MRTで来た方向に戻る位置にあり、徒歩2分程度。

 雨でも最小限の移動で済むのが、チェックポイントの一つ。

 そして何よりも新しい

 開業して数年も経っていない。

 裏情報でもないのだが、このホテルのオーナーは旅行会社の社長でもある。

 当然ながら日本人観光客の求めるものは分かっている。

 豪華さというよりは、機能を追求したホテルだ。

 

 

 

 

 

 

 見落としてしまいそうなエントランス。

 入るとすぐにドアボーイならぬドアシニアなオジサンが『チェックイン?』と聞いてきた。

 流暢とは言えないが、間違いなく日本語。

 少し安心するも、フロント男性は英語を駆使した。

 しかも異常に早口だ。

 台北でこんなに早い英語は、聞いたことがない。

 脳内いきなりトップ・スピード回転。

 エンジン全開、サイクロン。

 

 

 

 

 海外のホテルチェックイン時に言われることは、大体分かっている。

 パスポートの提出。

 クレジット・カード(旅行会社等で先に支払っている場合も、提示を求められる場合が多い)の提出。

 チェックアウト日の確認。

 朝食場所の説明。

 伯爵の理解度は80%程度だが、さも理解したかのように振る舞った。

 内心は、冷や汗タラタラ。

 冷や汗のタラちゃん状態である。

 

 キーをもらうと、これ以上の会話をせぬよう、エレベーターを目指す。

 なんと、フロントのおっちゃんが追尾。

 ホーミング・ミサイルじゃあ。

 ツレが、ぼそり。

 こちらはスーツケースがある分、不利だ。

 エレベーターのドアがあく。

 おっちゃん先に入り、キーを特定の場所に挿入。

 なるほど、セキュリティが働いているのか。

 そういえば、先の説明でそのようなことを説明していたような気がする。

 客室フロアは、キーによって記録されているフロア、つまり自分の部屋のフロアだけに行くことができるのだ。

 おっちゃんの親切心に感謝するとともに、疎ましく思ったことを心の中で謝罪。

 ホーミング・ミサイル扱いしたツレは、知らん顔。

 

 

 部屋の広さは十分。

 トイレもウォッシュ・レット。

 風呂もバスタブがあり、清潔感漂う。

 そして、楽しみにしていた部屋からの眺め。

 101ビュールームという部屋を選択してあったので、窓から台北101という高層ビルを眺めることができる。

 

 オー、101が真正面ではないか!!

 

 感激するも、その周辺にはアパートやらマンションが立ち並ぶ。

 これが、台北だなぁ。

 妙に感慨深い。

 ちなみに、部屋は防音機能が備えられているらしく、外の音は聞こえてこない。

 街中に位置しながら、静寂。

 これって、普段から周囲の音に悩まされる伯爵にとっては喜ばしいことだ。

 たまたま周囲に客が入っていないのか、防音の効果なのかは分からぬが……。

 とりあえず快適なベースキャンプの確保に安堵。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 


8
最終更新日 : 2013-01-06 21:17:55

鼎泰豊でホフ・ホフ

 ホテルで小休止後、夕食に出掛ける。

 前々回は、MRT大安駅から徒歩で永康街にある『鼎泰豊』の本店へ。
 やはり、本店でないとダメなのではないかという、全く根拠のない強迫観念に駆られたからだ。
 さらに前回は、太平洋そごう百貨店復興店内にある支店を訪れた。
 結果、自分の舌では味の差が感じられなかった。
 本店にこだわらければ、使い勝手はグッと良くなる。

 (ちなみに2012年にMRTの新線が開通し、観光客に人気の永康街への利便性が高まった。)

 別に本店でも良かったが、大安から本店までの道筋は交通量が多く、排気ガスが気になる。
 時間にして15分程度だが、食事前の排気ガスは避けたいところ。

 そのため、今回も忠孝復興店に決定したのだ。

 

 大安から忠孝復興駅までは、MRTでわずか一駅。
 排気ガスが気になるといっておきながら、再び徒歩にて移動。
 しかし、道はこちらの方がまだマシだった。
 ホテル周辺の探索も兼ねるので、これはこれで楽しい。
 歩くこと10分程度。
 太平洋そごうの建物は、外見から簡単に判断できた。

 

 既に何回か訪れているので、迷わず地下へ。

 ここに『鼎泰豊』の支店がある。

 店の入り口付近はいつも賑わっており、周辺ベンチにも腰かけている人たちがいる。
 時刻は16:30。

 こんな時間でも、待っているのか?と思ったが、まずは入り口の店員に人数を告げる。
 すると、そのままテーブルに案内された。
 あの人たちは、何だったのか?

 疑問が解消できないが、メニューを見たら集中・集中。

 何を喰うか?
 この選択に、命をかけるのだ。

 

 小籠包は、欠かせない。

 これが、店の最大のウリ。
 台湾人はもとより、外国人も魅了して止まない、看板メニュー。
 伯爵は、この料理を漫画『美味しんぼ』で知った。
 『ホフ、ホフ、熱い、熱い』
 あの海原雄山が、子供のような食べ方をしたのが強烈な印象を残した。
 外見は、ベビー肉まんのよう。
 だが、中には肉の餡とともにアツアツのスープが仕込まれている。
 このスープが重要で、これがヌルいと正統とはいえない。
 『美味しんぼ』を読んでいなければ、伯爵は小籠包という名前すら知らなかった可能性が高いのだ。

 

 さて、熱いスープに話を戻す。

 比較的スープの量が多いので、口に入れるとリスクを伴う。
 絶妙な薄さと弾力を持つ皮は、ちょっとした歯の圧力で破ける。
 すると、熱いスープが、口中にピューッと出る。
 ピューッと吹くジャガーならぬ、ピューと吹くスープ。


 当然、熱い。

 

 熱いが、美味い。

 

 それが、小籠包の醍醐味なのだ。

 火傷など、気にしてはいけない。
 火傷を怖れては、真の小籠包には辿りつかない。
 熱過ぎて無様な姿を曝そうとも、美味探求を忘れるべからず。

 口中の皮がベロベロになっても、伯爵は美味を追求する。

 
 

 残念ながら、常にアツアツの小籠包が供されるとは限らない。
 これは鼎泰豊だけにあらず、他店にも言えることだ。
 小龍包は、非常に繊細な料理。
 すぐに冷めてしまうので、出されたら即食の必要がある。
 伯爵のように写真などを撮ったり、はたまた余裕こいて別の料理を先に食べたりすると、アツアツなスープはすぐに冷めてしまう。
 もちろん、すぐに食べても、アツアツでない状態でない店もある。
 店と客の双方で、注意が必要なのだ。
 

 また、作り手の技術が非常に色濃く反映されるのも小籠包の特徴。
 皮の厚さや強度が、重要なところ。
 鼎泰豊は、この皮が凄い。

 基本、皮は薄く滑らかな方が美味。

 だが、皮を薄くすれば、それだけ脆くなる。
 これまでにも、箸で持ち上げたら口に入れる前に破けてスープが流出なんて事例が多々あった。
 美味なスープが、目前で消える喪失感。

 釣った魚をバラす行為に似ている。

 そういう小籠包は、レンゲに載せたりして、余計な神経を使わなければならない。

 

 レンゲの力など、借りとうないわっ!!

 世の中のアンチ・レンゲ派は、歯ぎしりして屈辱に耐えるのだ。

 その点、鼎泰豊の小龍包は素晴らしい。
 箸で持っても、破れない。

 口に入れると、皮なめらか。
 噛むと、ピューッ。

 緻密なシステム分析と、職人技術の合致。
 やるじゃない。

 

 いかにも鼎泰豊ファンであるような私だが、実は否定派であった。
 ひっきりなしに訪れる観光客。

 旅行会社のパッケージ・ツアーには必ずといってよいほど組み込まれている。
 そのような状況で、味が落ちぬ訳がない。

 サービスだって、期待できぬ。
 勝手にそう決めつけて、他店にばかり行っていた。


 ある時、台湾人と話す機会があって、聞いたことがある。

 『あれだけ毎日混んでいるけど、本当に美味しいの?』

 答えは、イエス。

 地元の人でも、やはり評価は高いようだ。
 この答えによって、伯爵の反・鼎泰豊思想は終わりを告げた。
 それなら、行ってみるか?

 何とも、自分勝手。

 小さい人間だよ、伯爵は。

 そういう声が、聞こえてきそうである。

 

 伯爵を虜にしたのは、小籠包だけではなかった。
 麺類やチャーハン、スープといった、日本でいう中華定番料理の味が予想以上に美味なのだ。
 初めは、小籠包にばかり気を取られていた。

 小籠包は、意外と腹にたまる。

 しかも、蟹ミソ入りだの、海老入りだのと魅力的な具材も多く、ついつい注文してしまう。
 これでビールを飲めば、かなり満腹。
 これでチャーハンでも頼めば、一話完結となる。

 だから、他の料理をあまり試すことができない。

 しかしある時、気付いてしまったのだ。

 麺やチャーハンが、予想以上に伯爵好みの味付けだということを。

 

 

 

 今回は、ビールを断念。
 食に全精力を傾ける。

 前菜に『きくらげの酢漬け』。

 コリコリの食感と、適度な酢加減が癖になりそう。

 『これは、日本ではあまり御目にかかれないシロモノですよ』

 などと、余計な解説をツレに披露。

 『そんな事、言われなくとも分かっている』オーラが漂い、伯爵は口を閉じる。

 

  

 続いて、小籠包登場。

 醤油と酢をブレンドしてタレを作り、細切り生姜と共に口へ。

 ああ、これだよなあ。

 あっと言う間に、籠内を食べ尽くす。

 小籠包は、これで終わり。

 本当は、もっと食べたい。

 しかし、後にも選手は控えている。

 

 

  汁なしタンタン麺。

 これは、まったく初めての注文だった。

 外見を偽らない辛さ。
 激辛ではなく、食べるのに適した辛さをキープ。

 ときおり感じられる味の深み。

 

 麺の硬さも適当だ。

 正解。大正解。 

 

  

 続いて、ワンタンノスープ。
 良い味だしてんじゃないか、このヤロー。
 嬉しくなって、なぜかアントニオ猪木口調になる。

 

 

 締めは、海老チャーハン。

 パラッとした米粒。

 上品。

 海老、プリッ。

 ワンタンスープとのコラボ、最高。

 『こんなチャーハン、日本でもあまり食べられないですよ』

 ハッとして、視線はツレに。

 ああ、同じ眼で睨んでいるゥ~。
 

  


9
最終更新日 : 2013-01-06 22:59:42

誠品書店 信義店

 夕食を終えて店を出たのが、17:30。

 早いように思えるが、鼎泰豊が混雑することを見越しての結果だ。
 伯爵は行列が苦手で、できるだけ待ちたくない症候群である。

 さらに、日本と台北との時差は1時間。
 日本時間では18:30であり、けっして早すぎる時間でもない。

 

 ツレの希望で、そごうから徒歩数分のところにある蜂蜜店へと向かう。

 蜂蜜店とはいっても、実際は蜂蜜を使用した化粧品店といった方が良いかもしれない。

 ハンドクリームやリップ・クリーム、石鹸などの製品があり、店の内装も女性を意識している。

 あまり広い店でないので、伯爵はどうにも居心地が良くない。

 ツレは、店員とアレコレ商談。

 小さなカップに、蜂蜜飲料をサービスでいただく。

 女性の店員さんばかり、3名。

 他にお客はいない。

 興味のない伯爵だが、時間潰しにひたすら蜂蜜石鹸を凝視する。

 こういう店、一度入ったら、何も買わずに出るのは気が引ける。

 ヘタレな伯爵は、気が小さい。

 ツレがハンドクリームを買ったので、安堵のため息をつく。

 

 蜂蜜店を出ると、MRTに乗って市政府駅へ向かう。

 時刻18:00。

 ホームは、凄い人高り。

 通勤ラッシュの時間帯なのだ。

 こんな満員電車に、乗りたくない。

 そのために、ホテルを大安地区に決めたのではなかったか。

 それなのに、MRTを使うとは……。

 ホームに入ってしまった手前、止めると言ったらツレの怒りは間違いなく大噴火する。
 ここは、行くしかない。

 意を決して進むと、電車が入線。

 やはり、無茶苦茶混んでいる。

 

 ところが……。

 

 あっさり降りた。 

 皆、この忠孝復興駅で他線に乗り換えるのだ。

 逆方向(台北駅方面)だったら、最悪だった。

 やはり、自分の読みは素晴らしい。

 危機回避能力が、優れている。

 オーケイ、伯爵。

 お前に任せれば、ノープロブレムだ。

 

 

 MRT市政府駅は、高層ビルで有名な台北101の最寄り駅である。

 しかし伯爵の興味は、別のところにある。

 それは台湾の有名書店『誠品書店』の信義店だった。

 誠品書店は、台北駅地下や西門地区などにも見られるチェーン店である。

 その旗艦店とも言える存在が、信義店だ。

 伯爵が見たところでは、一番規模が大きい。

 MRTの市政府駅から徒歩3分。

 地下で繋がっているので、雨の日でも傘なしで移動できる。

 

 他店舗との圧倒的な違いは、やはりスケール。

 本やCD・DVDのほか、文房具や生活用品まで売っている。

 地下には、フードコートまであった。

 伯爵は、主に雑誌と漫画コーナー、そしてCD・DVDを物色する。

 雑誌は、日本のものが多い。

 アメリカ等の洋書も多く、逆に台湾オリジナルの雑誌は少ない。

 特に台湾の雑誌は、発売日付近でないと陳列されていないようで、探すことが困難だ。

 伯爵は台湾の旅行雑誌やゲーム雑誌を探したが、今回は購買意欲をそそるものは発見できず。

 ちなみに前回は、王心凌(台湾のアイドル)が表紙の旅行雑誌を購入。
 満ち足りた時を過ごした。

 

 

 続いて、漫画コーナーへ移動。

 やはり、日本の漫画が多い。

 日本の漫画を中国語に訳した正規品である。

 目につくのは、日本でも人気が高い『ワンピース』など。

 伯爵的には、『孤独のグルメ』デラックス版が堂々と陳列されていたことが印象に残る。

 渋いぞ、台北。

 

 しかし、伯爵が求めるは、台湾オリジナル作品。

 日本勢に比べると、圧倒的に数は少ないらしく、漸くそれらしき陳列棚を探り当てる。

 中には、面白そうなものがあるが、コミックは意外と重い。

 初日から飛ばすと、後が心配だ。

 とりあえず、購入は見送る。

 

 

 

 最後に、CD・DVDコーナーへ。

 本と同様、洋モノが目立つ。

 映画は、ハリウッド製が大多数。

 日本のものも、一角にまとめられている。

 ホラーで目立つは、福谷修氏原作・中村静香嬢主演の『心霊写真部』か。

 日本よりも扱いが良いようで、作品ファンの伯爵としては嬉しいかぎり。

 また、前回の訪問でも発見した『飯島愛』イメージビデオが健在。

 未だ人気があるのか、はたまた売れ残りかは不明。

 

 他に目立ったものはなく、少々の焦りを感じながら物色は終了。

 やはり、前回の訪問からわずか一年では、劇的な変化は期待できないのであろうか?

 ちなみに、ここで何かを購入する場合、パスポートの提示を求められることがある。

 なんでも外国人割引のような制度があるらしい。

 言葉が解らないので、詳細は不明だったが……。

 


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最終更新日 : 2013-01-06 23:13:04


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