目次
はじめに
選手の評価方法
巨人1位指名 菅野 智之(元東海大)投手
巨人2位指名 大累 進(道都大)遊撃
巨人3位指名 辻 東倫(菰野)遊撃
巨人4位指名 公文 克彦(大阪ガス)投手
巨人5位指名 坂口 真規(東海大)内野
巨人育成1位 田原 啓吾(横浜高)投手 (野手編)
巨人育成2位 松冨 倫(別府大)内野
2012年 巨人の指名を考える
中日1位指名 福谷 浩司(慶応大)投手
中日2位指名 浜田 達郎(愛工大名電)投手
中日3位指名 古本 武尊(龍谷大)外野
中日4位指名 杉山 翔大(早稲田大)内野
中日5位指名 溝渕 隼人(九州学院)遊撃
中日6位指名 井上 公志(シティライト岡山)投手
中日7位指名 若松 駿太(祐誠)投手
2012年 中日の指名を考える
ヤクルト1位指名 石山 泰稚(ヤマハ)投手
ヤクルト2位指名 小川 泰弘(創価大)投手
ヤクルト3位指名 田川 賢吾(高知中央)投手
ヤクルト4位指名 江村 将也(ワイテック)投手
ヤクルト5位指名 星野 雄大(香川OG)捕手
ヤクルト6位指名 谷内 亮太(国学院大)遊撃
ヤクルト7位指名 大場 達也(日立製作所)投手
2012年 ヤクルトの指名を考える
広島1位指名 高橋 大樹(龍谷大平安)捕手
広島2位指名 鈴木 誠也(二松学舎大付)投手
広島3位指名 上本 崇司(明治大)遊撃
広島4位指名 下水流 昂(HONDA)外野
広島5位指名 美間 優槻(鳴門渦潮高)投手
広島育成1位 辻 空(岐阜城北)投手
広島育成2位 森下 宗(愛知工業大)外野
2012年 広島の指名を考える
阪神1位指名 藤浪 晋太郎(大阪桐蔭)投手
阪神2位指名 北條 史也(光星学院)遊撃
阪神3位指名 田面 巧二郎(JFE東日本)投手
阪神4位指名 小豆畑 真也(西濃運輸)捕手
阪神5位指名 金田 和之(大院大)投手
阪神6位指名 緒方 涼介(東洋大)外野
2012年 阪神の指名を考える
横浜1位指名 白崎 浩之(駒沢大)遊撃
横浜2位指名 三嶋 一輝(法大)投手
横浜3位指名 井納 翔一(NTT東日本)投手
横浜4位指名 赤堀 大智(セガサミー)外野
横浜5位指名 安倍 建輝(NTT西日本)投手
横浜6位指名 宮崎 敏郎(セガサミー)内野
横浜育成1位 今井 金太(広島国際学院)投手
2012年 横浜の指名を考える
日本ハム1位指名 大谷 翔平(花巻東)投手 (投手編)
日本ハム1位指名 大谷 翔平(花巻東)投手 (野手編)
日ハム2位指名 森本 龍弥(高岡第一)内野
日ハム3位指名 鍵谷 陽平(中央大)投手
日ハム4位指名 宇佐美 塁大(広島工)内野
日ハム5位指名 新垣 勇人(東芝)投手
日ハム6位指名 屋宜 照悟(JX-ENEOS)投手
日ハム7位指名 河野 秀数(新日鉄広畑)投手
2012年 日ハムの指名を考える
西武1位指名 増田 達至(NTT西日本)投手
西武2位指名 相内 誠(千葉国際高)投手
西武3位指名 金子 侑司(立命館大)遊撃
西武4位指名 高橋 朋己(西濃運輸)投手
西武5位指名 佐藤 勇(光南)投手
西武育成1位 水口 大地(香川OG)内野
2012年 西武の指名を考える
ソフトバンク1位指名 東浜 巨(亜細亜大)投手
ソフトバンク2位指名 伊藤 祐介(東北学院大)投手
ソフトバンク3位指名 高田 知季(亜細亜大)遊撃
ソフトバンク4位指名 真砂 勇介(西城陽)外野
ソフトバンク5位指名 笠原 大芽(福岡工大城東)投手
ソフトバンク6位指名 山中 浩史(HONDA熊本)投手
ソフトバンク育成1位 八木 健史(BC群馬)捕手
ソフトバンク育成2位 大滝 勇佑(地球環境)外野
ソフトバンク育成3位 飯田 優也(東農大生産学部)投手
ソフトバンク育成4位 宮崎 駿(三重中京大)外野
2012年 ソフトバンクの指名を考える
楽天1位指名 森 雄大(東福岡)投手
楽天2位指名 則本 昴大(三重中京大)投手
楽天3位指名 大塚 尚仁(九州学院)投手
楽天4位指名 下妻 貴寛(酒田南)捕手
楽天5位指名 島井 寛仁(熊本ゴールデンラークス)外野
楽天6位指名 柿沢 貴裕(神村学園)投手 (野手編)
楽天育成1位 宮川 将(大体大)投手
2012年 楽天の指名を考える
ロッテ1位指名 松永 昴大(大阪ガス)投手
ロッテ2位指名 川満 寛弥(九州共立大)投手
ロッテ3位指名 田村 龍弘(光星学院)捕手
ロッテ4位指名 加藤 翔平(上武大)外野
2012年 ロッテの指名を考える
オリックス1位指名 松葉 貴大(大体大)投手
オリックス2位指名 佐藤 峻一(道都大)投手
オリックス3位指名 伏見 寅威(東海大)捕手
オリックス4位指名 武田 健吾(自由ヶ丘高)外野
オリックス5位指名 森本 将太(BC福井)投手
オリックス6位指名 戸田 亮(JR東日本)投手
オリックス育成1位 原 大輝(BC信濃)捕手
オリックス育成2位 西川 拓喜(BC福井)内野
2012年 オリックスの指名を考える
最後に
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はじめに

 ドラフト候補検証サイト「ドラフト 迷スカウト」の管理人として14年以上もの間、アマチュア球界の逸材を追いかけ続けてきた 蔵建て男(くらたてお)が、12球団のドラフト指名選手(育成枠を含む)全選手のスカウティングレポートを作成。

 

 毎年秋に行われるプロ野球ドラフト会議に向けて、将来プロで活躍することが期待される金の卵達を、全国津々浦々まで追いかける日々。年間数百試合を観戦し、詳細なスカウティングレポートを作成すると言う作業を行い続け今年で14年になります。元々ドラフトを意識してアマチュア野球の試合をみるようになったのは中学生の頃ですから、それも含めると、こういったことを行って30年近くになります。

 

 では実際どんな感じのレポートを作成しているのか、2012年度のセリーグ新人王に輝いた・野村 祐輔(広島カープ)投手の寸評を例にあげてみたいと思います。


 

      野村 祐輔(明治大)投手 177/72 右/右 (広陵出身)

 



          「別に問題ないんじゃないかな。」





4年秋の 野村 祐輔の成績は、ここまでで 7試合 5勝1敗 防御率 2.68 と、勝ち星こそ恵まれているが、防御率や被安打などが高く、精彩に欠く投球が目立つ。しかし今シーズン最初の登板となった早稲田大学との一回戦では、これまでの集大成と言うぐらいの内容を魅せてくれて、私はそれほど悲観しなくても良いのではないかと考える。

 今回の狂いは、日米大学野球などでアメリカにも遠征。春から休む間もなくシーズンに突入していことも、一つ原因だと考えられる。特に緒戦の早稲田戦の投球は見事だったのだから、特に能力を落とした理由も見当たらず、私はそれほど悲観する必要はないと判断した。ただ慶大戦を見ると、肘が下がって出てきたり、フォームのバランスを崩しているのかなと言う印象は受ける。



(何が素晴らしいのか)


 野村を見ていて素晴らしいのは、普段のコントロールの素晴らしさにある。右打者外角一杯に決めるストレートの制球力とストライクゾーン~ボールゾーンに切れ込むスライダーのコンビネーションは、プロのローテーション投球だと実感させられる。同様に左打者にも、外角に速球、スライダー・チェンジアップを集めることができ、外でしっかりピッチングを組み立てることは、プロの一流投手に不可欠な要素。

 外角への投球が絶妙なだけでなく、内角にも厳しい攻めができる。そういった投球ができながら、緩いカーブを混ぜたり、フォークで空振りを誘えたりと、そのコンビネーションの豊富さと、多彩な球種を自由に操られる能力は、他のアマチュア投手にはない芸当だ。


 また彼の特筆すべき点は、フィールディングの上手さ、牽制の鋭さ、クィックの素早さと、投球そのもの以外の部分にまで追求されている点。そこからは、彼の野球への意識の高さとその野球センスを垣間見ることができる。


(心配な点)


 これだけ普段から神経を使って投球をしていると、その集中力を1試合持続させるのは正直困難だ。まして圧倒的に打力の違うプロの打者相手には、なおさら神経をすり減らさなければならない。そう考えると、もう少し抜くところはぬきつつ、勝負どころではアバウトでもいいから、大胆に開き直ることも覚え無いと、とてもプロで一試合、もしくは長いシーズンをこなして行くことは困難なこと。これは藤岡(東洋大)にも言えることだが、普段から100%を求めすぎて、返って肝心なところで力が発揮できない傾向にある。ピンチになって大事なのは、繊細なコントロールよりも、開き直って腕を振れる大胆さだ。これを身につけないと、プロで二桁という領域は見えてこない。

 そうやって自分の気持ちを、どんどんと汲々とさせて追い込んでしまう完璧主義なところがあるので、どうしても勝負どころでは力んで、甘いところ甘いところに入ったり、普段よりもいい球が行かなくなる。彼がここ一番に弱いのには、気持ちの持ち方、勝負どころでの力の加減を、履き違えているからだと私は考える。そこで勝てるコツを覚えられるかで、成績は全然変わって来るはずだ。


(この秋の変化)


 下半身の筋肉などを中心に、だいぶ体に厚みが出てきた。以前よりもボール全体に、ボリューム感が感じられるようになってきて、投球の薄っぺらさがなくなってきている。

 フォームを見ていると、以前よりも「着地」までの粘りが出てきて、「開き」も少し遅くなってきたように思えます。すなわち打者からは、タイミングが合わされ難くなっているはずです。しかし実際には、被安打が増えています。

 この矛盾はなんのか?何か足の甲の押しつけが浮き気味で、しっかり押しつけられていないように見えました。これによりボールが上吊りやすくなっているのではないかと思います。ようは、以前よりも「着地」の粘りは出ているようには見えますが、少し腰高になって下半身が上手く使えていないという非常に微妙な狂いが生じているように思えるのです。ようはタイミングは狂わせられるように少しはなったが、そのぶん制球が甘くなっているのではないかと。

 あとは、これは終始今までそうだったのですが、やはり「体重移動」が発展途上であり、ボールに上手く体重が乗せきれていません。そのため彼のボールには、勢いや球威といった意味で、凄みが感じられないのだと思います。

 春と比べても、微妙なフォームの狂いが生じています。これは意図的なのか、それとも単にバランスが崩れているのか?あるいは、筋肉のつき方など肉体の変化によるものなのかはわかりません。ただそういったフォームの狂いを指摘してくれる、指導者のいる環境に進まれることを祈ります。



(最後に)


 春にも書いたことですが、彼が早く一人前になるには大事な条件がある。それは、彼がいきなりエースのような立場になるような球団ではなく、すでに絶対的なエースがチームにいて、その脇を固める立場として実力を養う期間が必要だと言うこと。妙なプレッシャーを感じることなく、チームの2番手、3番手ぐらいの立場で、毎年安定した成績をあげる。そんな役割が、彼には合っている気がするのだ。そういった意味では、彼は入る球団によって、随分とその後の野球人生は変わって来るのではないだろうか。

 ただいずれにしても、今季の内容で悲観する必要はないだろう。勿論入る環境にも左右されそうだが、今の力を持ってすれば開幕からローテーションの一角に。年間通して、7,8勝~10勝ぐらいは望める成績を残すのではないのだろうか。菅野(東海大)・藤岡(東洋大)と比べても、最も失敗するリスクが少ない投手。そう計算の立つ投手が、この 野村 祐輔 だといえよう。この秋の内容を見ても、その評価が変わることはありえない。


蔵の評価:☆☆☆☆


(2011年 秋)              

 

と、このような形で指名選手のレポートを作成しています。

 

 今回も、過去に有料ページでご紹介した記事を推敲する形で2012年度のドラフト指名選手の全選手のレポートと各球団のドラフト会議を評価したドラフト総評を掲載致しました。また今回ご紹介するのは、あくまでも最終的なレポートのみです。彼らが指名されるまでには、その前に何度も下級生の時からのレポートなどを作成していますし、そこには動画などを参考資料として掲載させて頂いています。そういった記事を補足の意味で読みたい方のために「迷スカウト」のページ内にある私のページにも 関連情報 と記しリンクしてあるので、今回のレポートだけでは不足している部分を、ご自由にお読み頂けたら幸いです。ただそこには、有料ページへのリンクも貼られているので、そちらは今回のレポートと内容が重複します。今回のドラフト指名された新人選手のレポートのみを読みたい方は、新たに会員登録するのはおやめくださいませ。ただすでに2013年度のドラフトにむけても連日レポートを作成しておりますので、興味のある方は、有料ページの登録をして頂けたら幸いです。内容としては、一ヶ月の間掲載されているすべての記事が見放題になります。

 

 今回は、晴れてプロ野球選手になれた金の卵達の、アマチュア時代のプレーぶり、プロでの可能性 について触れています。彼等を知っている方も、これから興味を持たれる方にも、ぜひ一読してください。この作品が、彼等を知るひとつのきっかけになれれば幸いです。

                                                                                                                       2013年2月 蔵建て男


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選手の評価方法

私の評価付けは、基本的にの数でなされます。

☆☆☆☆☆  その年の目玉レベルに相応しいと判断する選手に

☆☆☆☆   上位指名候補だと評価する選手に

☆☆☆    中位指名ぐらいの選手だと評価する選手に

☆☆     下位指名ぐらいが妥当だと評価する選手に

      最も最後の方で指名する、もしくは育成枠でなら面白いと評価する選手




などになります。しかし  が一つでも付いている選手に関しては、プロのドラフト指名レベルにあると言う評価であり、このが付く選手は極稀であります。殆どの選手達は、指名レベルには達していないと言う評価になり、ここではとりあげません。もしくは、今後の成長次第でと言うことで評価保留や調査継続中と言う選手達になります。1年間で私がチェックする選手は、云千人のアマチュアのトッププレーヤー達。その中でを付ける選手は、毎年50人前後しかおりません。

 しかしが付けなかったから言って、可能性がないのかと言うとことはなく、あくまでも今年プロに入るべき「旬の時期」なのかどうかで評価致しております。プロ入りする上で一番大切なのは、その才能を最もプロで活かすことが出来る「旬の時期」を見誤らないことだと私は考えます。どんな食べ物にも、食べ頃の旬の時期があるように、それを誤ればせっかくの好素材を潰すことになるからです。

 またドラフトとは、「可能性」で指名するのではなく、「確信」があって初めて指名されるべきものであり、その評価には、明確な理由付けが必要だと考えます。それこそが、私のスカウティングにおける一番の核の部分。けして直感で語っているのではなく、そこには明確な理由づけを行う。それを皆様にご紹介して行くのが、私のスカウティングレポートとなり、本著の内容となります。


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巨人1位指名 菅野 智之(元東海大)投手

 菅野 智之(東海大)投手 185/86 右/右 (東海大相模出身)





           「頭ひとつ抜けた存在!」





 2011年度のドラフト戦線において、菅野 智之 は、頭一つ抜けた実力の持ち主だと言える。2010年度組と比較しても、菅野レベルの投手は存在しなかった。そういえるぐらい、菅野 の充実ぶりは素晴らしい。


(投球内容)

 これまで残してきた首都リーグでの実績、日本代表での活躍などを観ても、私がアマチュア野球を観るようになってから、ほとんど例がないくらい完璧な実績を残してきた選手。そんな菅野が、最終学年を迎えてどのように成長してきたのか、改めて考えてみたい。


(確固たる自信)

 以前は、コンスタントに145~150キロ強の圧倒的なスピードを披露していたピッチングも、今春は常時140キロ台前半ぐらいと、かなり大人しくなっている。しかし要所では、いつでも150キロ近いストレートを投げ込めると言う、力の加減を変えたメリハリのある投球に変わってきた。すでにマウンドでは、風格すら感じさせるマウンド捌きで、首都リーグの打者ならば完全に見下ろして投げている。

 この選手のストレートは、ピュッと手元でキレるような快速球。けして球威で押すような重いボールではない。打者が思わず差しこまれるような鋭い球質であり、逆に言えばきっちり捉えればボールは飛んで行く。その分手元で切れるので、力を入れて投げたボールは空振りも誘える代物。

 現在の菅野投球は、スライダーとのコンビネーション、時々緩い90キロ台のスローカーブを織り交ぜつつ、追い込むと鋭いフォークで仕留めると言うケースが多い。特に長打を浴びないように普段は制球を重視、両サイドに丁寧に投げ込んでくる。

 素晴らしいのは、ストレートと見分けの難しい腕の振りでスライダーとフォークを投げられるところ。左打者に食い込んで来るスライダーは、左打者には見えず。またフォークの落差もあり、この球も見分けが困難。ストレートで空振りを誘えるだけでなく、スライダー・フォークで三振を狙えるキレがある点は、プロ入り後も大いなる強味となるはずだ。


(藤岡 貴裕との違い)

 今年のドラフト戦線において、右のNO.1が菅野 智之ならば、左のNO.1は、東洋大の藤岡 貴裕 だろう。そこでここでは、彼との違いについて考えてみたい。菅野と藤岡の違いは、やはり力を抜けるか抜けないのかと言うこと。藤岡は、常に全力で力を出し切る投球のため、苦しくなると投球がどんどん汲々と自らの首を絞めてしまう傾向にある。しかし菅野は、普段は力を抜いているので、勝負どころで力を発揮でき余力が投球に残されているのだ。こういった部分を、投球のメリハリと表現するわけだが、まだ藤岡の投球には、そういった抜きどころと勝負どころの区別に乏しいところがある。

また藤岡の投球の多くが、ストライクゾーンで勝負したがるのに対し、菅野は、ストライクゾーンからボールゾーンに切れ込む投球ができると言うこと。それだけ相手から空振りも誘えるし、危険のリスクも回避できる。そういった投球に遊びの部分もあるので、いざと言う時にも余裕が生まれれて来る。

 最大の違いは、残してきた実績の違いだ。1年生の頃からリーグ戦で主戦として活躍してきた菅野は、マウンドですでに自信に満ちた風格がある。その一方で藤岡は、常に紙一重の相手に全力でぶつかって来ると言う余裕のない内容。藤岡からは、タフな精神力や体力は感じても、自信にみなぎる余裕は、あまり感じさせない。そういった意味では、持っている雰囲気は、現時点では菅野の方に断然分がある。集約すれば、投球における精神的な余裕と言うものが、決定的に2人には差があるように思えるのだ。これが、プロでの活躍、実績によっていずれは逆転する可能性も否定できないが、現時点で1年目の活躍を予測するのであれば、菅野はワンランク上の投球を行っていると言えるであろう。


(それでも心配な部分が)

 首都リーグ史上に残る実績を残し、更に全日本でも活躍。彼に残されたことは、日本一と言う勲章ぐらいだろうか。昨年斎藤佑樹のいる早稲田大に、神宮大会決勝で敗れた。こういった悔しい経験が、今年いかに生きるのか注目していた。

 しかしリーグ戦では、負けられない日体大との息詰まる投手戦に敗れ勝ち点を落とし、更に絶対に取りこぼしてはいけない別の試合でも、早々自己ワーストの早さでK.Oをきするなど、してはいけない取りこぼしをしてしまった。こういった部分は、「持っていない」と思われても仕方ないことで、大学野球最大の大会に出場できないと言うのは、これからの彼の野球人生を考えると暗雲が立ちこめてくる。この汚名返上は、最後に残された大会 明治神宮大会で、日本一を実現するしかないだろう。

 もう一つ以前から気になっていたのが、彼の未来像が何故か想像できないと言うこと。この選手は、意外に体力がないのかな?と思えたのは、昨年の大学選手権。連投になると顕著に肘が下がって来て、投球内容が低下するところがあった。元々身のこなしも固く、基礎体力も足りないとなると、プロの長いシーズンを考えると、不安を覚える部分。疲れが溜まってきてフォームが崩れてきたり、それでも無理に投げることで故障を誘発すると言う悪循環につながなければと言う不安は拭えない。何か持っている能力は絶対的でも、それをコンスタントに発揮できないのではないか?と言う不安が頭によぎる。


(それでも評価する)

 今の持ち得る能力をプロのマウンドでも発揮してくれるのならば、一年目から二桁どころか、15勝前後でチームのエース級として、活躍できるのではないのだろうか?プロでも空振りを誘える速球と、見分けの難しいスライダーとフォークの存在。抜きどころを理解し、遊び心も持った投球術。久々に、一年目から15勝を意識できる器に出会った気がする。


(やり残したこと)

 それは、文句なし日本一の称号を勝ち取ることだろう。そしてトーナメント戦の中でも、質の落ちないパフォーマンスを見せつけ、プロへの不安を完全に払拭させる活躍を見せつけて欲しい。本当に彼が「持っている男」ならば、ドラフトの目玉に相応しい最後を、我々の目に焼きつけてくれるはずだ!


蔵の評価:未確認(2012年度は公式戦登板なし)


参考:2011年度評価は ☆☆☆☆☆


(2011年 春季リーグ戦)






試し読みはここまでです。続きは購入後にお読みいただけます。

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販売価格500円(税込)

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