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COPD(慢性閉塞性肺疾患)
■肺への空気の流れが悪くなる病気■
聞きなれない言葉、見なれない言葉ですが、とてもやっかいな病気です。
COPD(シーオーピーディー)はChronic Obstructive Pulmonary Diseaseの略で、「慢性閉塞性肺疾患」と呼ばれます。
あなたは「階段の上り下りがキツイ」、「セキやタンが多くなった」などといった体の変化を、年齢のせいと見逃していませんか? 同世代の他の人よりも「息切れしやすい」と感じていませんか?
COPDは、セキやタン、息切れが主な症状で、「慢性気管支炎」と「慢性肺気腫」のどちらか、または両方によって、肺への空気の流れが悪くなる病気です。
WHO(世界保健機関)では、死亡原因の第4位に挙げていて、2020年には第3位になると予測しています。
日本では、1999年の厚生労働省による調査で、21万2000人の患者がいるとされましたが、2000年から2001年にかけて行った調査では、COPDの潜在患者は40歳以上の8.5%(男性13.1%,女性4.4%)に相当する530万人と推測されました。その潜在患者のうち治療を受けているのは、5%未満といわれています。
■別名はタバコ病■
別名タバコ病ともいわれるように、最大の原因は喫煙で、患者の90%以上は喫煙者です。長年に渡る喫煙が大きく影響するという意味で、まさに"肺の生活習慣病"です。
タバコを吸わない人でも4.7%の人がCOPDにかかっています。これは、副流煙による「受動喫煙」の危険性を物語っています。
副流煙には、喫煙者が吸う主流煙よりも発ガン物質を始めとする有害物質、例えばタール、トルエン、メタンなどが、多く含まれています。
喫煙者が近くにいる人は、タバコを吸わなくても喫煙者と同等か、それ以上の有害物質を吸い込んでいるのです。家族がヘビースモーカーだったり、分煙されていない職場で仕事をしている人は、COPDにかかる危険性が高まります。
■喫煙指数のチェックを■
タバコとCOPDの関連を示す数字として、「喫煙指数」があります。
「喫煙指数」=1日に吸うタバコの本数×喫煙している年数 |
例えば、1日に40本、20年間喫煙している場合は40×20=800で、喫煙指数は800。この指数が700を超えるとCOPDだけでなく、咽頭ガンや肺ガンの危険性も高くなるといわれています。
喫煙指数が同程度の男女を比較すると、男性よりも女性のほうが重症化しやすい傾向があるとわかっています。
■壊れた肺は元に戻らない■
COPDには、頑固なセキやタンが続き気管支が狭くなる「慢性気管支炎」と、肺の組織が破壊されて息切れや呼吸困難を起こす「慢性肺気腫」が含まれます。
どちらも初期には自覚症状がほとんどない場合が多く、ゆっくりと進行して、次第に重症になっていきます。
呼吸機能の低下が進んで、通常の呼吸では十分な酸素を得られなくなると(呼吸不全)、呼吸チューブとボンベの酸素吸入療法なしには日常生活が送れなくなってしまいます。
■一番の予防法は禁煙■
診断は「スパイロメトリー検査」によって行われます。
息を深く吸い込んで思い切り最後まで吐き出した量が肺活量ですが、最初の1秒間に吐き出す息の量が肺活量に占める割合(1秒率)によって、呼吸機能を計測します。この1秒率が70%以下の場合に、COPDと診断されます。
タバコを吸い続けている方、吸ったことのある方は、ぜひこの検査を受けてみてください。
予防は、言うまでもなく禁煙です。家族にタバコを吸う人がいる場合は、喫煙の有害性を話し合って、禁煙を勧めましょう。
禁煙したくてもなかなかできない人は、禁煙外来などで医師に相談してみてください。
特に不安な方には、医療機関で肺機能検査や胸部CT検査を受けることをお勧めします。
■治療と日頃の注意■
COPDになると呼吸機能は元の健康な状態には戻らないので、「今より悪くしないこと」が治療の最も重要な眼目になります。喫煙者の場合は、症状をそれ以上に進めないよう、まずは禁煙。
同時に、気道を広げて呼吸を楽にする気管支拡張剤、咳を切れやすくする去痰剤などが、対症療法的に用いられます。
息が切れると動くのが面倒になり、運動不足になって運動機能が低下して呼吸困難がさらに悪化する、という悪循環になりがちです。そのため、ウォーキングなどの軽い運動や腹式呼吸も効果的です。
肺や気管支の障害は、インフルエンザや肺炎などにかかった場合に重症化する危険性があります。
インフルエンザが流行する冬にはうがいを励行する、秋には前もってワクチン接種受けておくなど、十分に注意することが大切です。
HTLV−1関連脊髄症(HAM)
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IgA腎症
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O157感染症
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SSS症候群(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)
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WPW症候群
■発作があると危険な不整脈
WPW症候群(Wolff-Parkinson-White syndrome)とは、脈拍が速くなる頻脈性の不整脈を生じる疾患の一つ。不整脈とは、一定感覚で行われている心臓の拍動のリズムに、何らかの原因によって乱れが生じる疾患です。
1915年頃からその存在が知られ始め、1930年に多くの症例についての詳しい報告がなされ、世に知られるようになりました。この際の3人の研究者であるウォルフ、パーキンソン、ホワイト各博士の頭文字から、WPW症候群と名付けられました。
血管系統の中心器官である心臓には、4つの部屋があります。上側の右心房と左心房が、血液を受け入れる部屋です。下側の右心室と左心室が、血液を送り出す部屋です。4つの部屋がリズミカルに収縮することで、筋肉でできている心臓は絶え間なく全身に血液を送り出すことができるのです。このリズムを作っているのが心臓の上部にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分で、1分間に60~80回の電気刺激を発生させて、心臓を規則正しく収縮させています。この電気刺激が正常に働かなくことによって、拍動のリズムが乱れる不整脈が生じます。
WPW症候群の多くの原因としては、ケント(Kent)束と呼ばれる副伝導路が存在することによって、電気信号の旋回(空回り、リエントリー)が起こることが挙げられます。通常は洞結節から発した電気信号は心房を経由して心室へと伝達されますが、この疾患では信号が通常のルートのほかケント束を経由する2つのバイパスを伝わるため、発作が起きると拍動のリズムを乱してしまいます。発作時の脈拍が240回以上にも達する場合もあり、救急隊員が驚くことがあります。
しかし、バイパスがあっても症状が出る人は一部で、多くは健康診断などで発見されるまで、自覚症状がないため気付かずにいます。多くは放置しても自然に治まりますが、長時間続く場合は投薬により抑えます。
従来は危険性のそれほどない疾患として高血圧、高脂血症、肥満、喫煙等の生活習慣をコントロールすることで改善されることがあるとだけされてきましたが、1980年代からの研究により、心房細動から心室細動に移行したケースがあることが判明し、危険な不整脈であると位置づけられたため、発作が見られた場合は即座に専門医に診察してもらう必要があります。
■WPW症候群の検査と診断と治療
WPW症候群は心電図検査で見付かり、危険度の高いタイプかどうかもわかります。
動悸(どうき)がない場合は、治療は必要ありません。脈拍数が150以上で、突然始まって突然止まる動悸、あるいは全く不規則に脈が打つ動悸がある危険度の高い場合は、不整脈を抑える薬を飲み続けて発作を抑えます。カテーテル焼灼法(カテーテルアブレーション)といって、鼠径(そけい)部などから管を挿入し、バイパス部分を焼いてしまう根治療法も行われています。
危険グループでなければ、経過をみていけばいいのですが、禁煙と肥満解消を心掛け、食事などによる高血圧や高脂血症の予防と改善が大切です。過激な運動、過労や睡眠不足、不摂生、強いストレスなどは発作の引き金になるので注意します。