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川を守るもの

七色の妖精たちシリーズは三部作から成り立っている。

一つは、最初の妖精たちが、圧政に対して戦っていた時代。

次はその妖精たちによる、平和な統治の時代。

最後は、妖精たちの子孫が自分たちが消えていく存在であると自覚した時代である。

本書では三部作のうち三部目の時代を扱う。

すなわち、妖精たちが自分たちが消えていく存在であることを知った時代である。


「あーもう何処にいるの?」と妖精のサニーがいいました。バニラとショコラがいないので。

バニラはピンク色の羽をもち、ショコラは綺麗な透き通った緑の羽。サニーは白い羽をもっていました。

「今日はクリスマスなのよ! 正確にはあと28時間で、だけど」とサニーが叫びました。

ここトリネコの森では森の住民たちが、クリスマスの飾り付けに大忙しです。

森の動物たちは、それぞれ着飾って、クリスマスのパーティを行うのが慣わしなのです。

当然妖精たちは妖精たちで、パーティをしなくてはなりません。妖精のサニーは、友達のバニラとショコラを誘って、自分たちの木の家(ツリーハウス)で、パーティをする予定でした。

「あと、24時間しかないわ!」とサニーがいいました。ずっと飛び回って、探していたのです。

と、そこに妖精のバニラとショコラがやってきました。なんと「人間」を連れて来ています。

「バニラ! ショコラ!」なんてこと!?とサニーは思いました。

「「人間」は、むかし妖精が戦った相手じゃない!」とサニー。

「でも・・・この人・・・川で溺れていた」とショコラがいいました。緑の羽が綺麗ですが、とても無口なのです。

「そうそう。そういうこと」とバニラもいいました。

「いい!」とサニーはいったのです。人間に対して。

「あなた何者!?」

「ぼくは歌を捧げるもの」

「「「はい?」」」と三人の妖精たちがユニゾンする。

「違った。木こりだ。だが歌を捧げるために、この森に近づいたのは確か」

「なぜ・・・そんなことを・・・」ショコラ。

「人間と妖精たちが争うのはよくない。例え過去のわかだまりがあろうとも。だ」と彼はいった。

「で、川で船に乗ったのね。難破の魔法があるのに?」

三人から相談を聞いた、大妖精アルマジカは、男をこの場に留めることにした。戸惑いとともに。

「せっかくのノエルを邪魔をして、申し訳ない」と三人が暮らす木の家を訪れた男がいった。

「人間の世界ではノエルっていうの? クリスマスのことを?」とバニラがいった。

「そ、そうだが・・・」と男。

「ま、多少の用語の違いはあるものね」

そして、クリスマスの夜。月は満ちていき・・・とふと三人が目を覚ますと、男がいない!

「どこ?」

「もしかして、あたしたちを嫌って?」

「うそ!」

と三人の妖精たち。

三人の妖精たちが木の家からとび出していくと、その森の広場には、男がいた。背中には美しい羽を広げて。

「驚いた。あなたも妖精だったんだ」とサニーたちがいった。

「そう。ぼくの母は妖精だった」と人間の男がいった。そして・・・。

アルマジカが緊張した顔で出てきた。

「その男は悪しき妖精だよ」

「ぼくが?」

「なんで?」

「妖精と人間が交わると、半分は妖精。半分は人間になる。そして、どちらの良いところも受け継がない。西方王国の動き。貴殿はなにものか?」

とアルマジカ。

「ぼくは・・・人間だ」と羽が消えていく。とその羽が強烈な光となって、分散し、乱舞し、あたりの木々を焦がした。

「サニー、ショコラ、バニラ! よく聞け! あの光に触れてはならん! あの光は妖精を滅ぼすもの。

アルス・マグナの光だ!」とアルマジカ。

三人の妖精たちは、追跡する光に対して、妖精魔法を使って、姿を消した。光は乱舞していたが、やがて、消えていく。男は気を失っていた。

「さて、この男をどうするか・・・」とアルマジカはいった。その場にいた、三人の妖精たちは無事。

しかし、森を守る川が突破されたのは初めての出来事。

夜が明けた。森は・・・いつもどおりの朝を迎えていた。


この本の内容は以上です。


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