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11

「よし、焼けたぞ。ほれ、起きたなら出て来いよ、おめーら。朝メシにしようぜ」
 にぃっと笑うウィンザレオの手には、こんがりと焼かれた何かの肉があった。
「いい匂いだね」
「頭に気をつけろ、ディア。出入り口が低いからな」
 香ばしい匂いにつられ、僕は小屋から外に出た。
 クリスも、僕の後について出てくる。
「ほらよ。やるから食え。その辺に余った丸太があるから、それに座ればいい。おっと、こいつを忘れちゃいけねぇ」
 言われるまま、側に横たわっていた丸太に座る。
 ウィンザレオが差し出す肉を受け取ろうとしたけど、それは一旦止められた。
「塩、塩。塩をかけた方が、肉は断然うまくなるからな」
 ウィンザレオの腰に巻かれたベルトには、小袋とか小さな樽とか、いろんな物が提げられている。そんな袋の一つを外すと、ウィンザレオはその中身を一掴みして、ぱぱっと肉に振りかけた。
「ほう。貴重な塩を人にふるまうとは。貴様はなかなか太っ腹だな」
 クリスが少し驚いている。

 ここグランデール地方は、内陸の国だ。海を持たないこの国では、塩は大変な貴重品であり、貨幣の代わりとして、取引にも用いられる。昔、戦で塩の供給路を断たれた際には、同じ重さの金と交換されたりもしていたくらい、塩は貴重なものなんだ。塩分が不足すれば、人は死ぬ。
「時に塩は、金より価値を持つのです」と、ケイオスが言っていたのを思い出した。
「ほらよ。熱いから、気をつけろ」
「ありがとう、ウィンザレオ」
 僕は肉を受け取った。人数分焼かれていた肉は、クリスにも渡された。
 そういえば、クリスってごはんはどうしていたんだろう? お城にいるときは、ずっと水晶珠だったわけだから、何も食べていなかったんじゃないのかな?
「ところで、あの『魔物』どもは、全て貴様がやったのか?」
 肉を受け取ったクリスは、ウィンザレオの向こうを見ている。
「『魔物』? あっ!」
 視線を追うと、人に近い形をしているものの、角が生えていたり、こうもりのような翼を背中に持つ“何か”が、小川に沿って何体も倒れていた。

「まぁな。夜中にうるせーもんだから、とりあえず全部ぶちのめしといた。グファファ」
 ウィンザレオはそう言うと、肉に豪快に齧りつく。
 クリスは若干呆れたような表情を浮かべた。
 じゃあ、「夜中に目が覚めた」のは、こいつらのせいなんだ。
 で、ついでにこの丸太小屋を? 凄い。全然、気付かなかった……。
「やっぱ、まずかったか?」
「え?」
 ぼうっとしていると、ウィンザレオに声をかけられた。
「どういう意味?」と、僕は問い返す。
「だっておめー、『魔王』だろう? こいつらは、おめーの仲間じゃねーのかよ?」
「!」
「おっとと」
 びっくりして僕の手からこぼれ落ちた、木に刺された肉を、ウィンザレオが受け止めた。

「落としちまったら、もったいねぇ。ほれ」
「あ、うん。ごめん」
 再び手渡された肉を持ち、僕はぺこりと頭を下げた。
 クリスは肉を手にしたまま、何も喋らない。
「なんで、僕が魔王だって分かったの?」
「グファファ。随分簡単に認めるなぁ」
 咀嚼中にも関わらず豪快に笑うウィンザレオ。口の中のものが少しだけ飛び出したけど、僕は気にしないようにした。
「なんで分かったか、だって? ここは魔王の居城の懐だぜ。連れているのもとんでもないヤツみてーだし、される会話も高度で、人間と比べても遜色ない。『悪魔』は知能が高いがな、そんなに強そうなのを従えているヤツは、見たことも聞いたこともない。第一、おめーの頭には角だってあるしな。間違いなく、人間じゃあねぇだろう?」
「角? あ!」
 僕は頭に手をやった。
 そういえば、僕はこの角、まるで隠してなかったんだ。
 とりあえず『人間じゃない』のは丸分かりだよ、これ!

 


12

「意外だったな。魔物を殺したことで、貴様がディアを気遣うとは」
 クリスは僕の隣に腰掛けて、肉をいろいろな角度から眺め回しながら、ようやく会話に入ってきた。
「グファ。まぁ、自分でも意外なんだがな。このお姫様、まるで底が見えねぇからよ。興味が出た、ってとこかな。グファファファ」
「ふん、なるほどな。ただの戦バカではなさそうだ」
 互いの目を覗き込み合う二人の間には、ぴりっと張り詰めた空気と、がっちりとした信頼感のようなものが漂っている。
「ウィンザレオよ、結論から言おう。ディアが『魔物』を殺されたからといって、怒ったり恨んだりすることはない。その辺は安心するといい」
「へぇ。不思議な話しだな。魔物ってのは、魔王の手下であり、仲間なんじゃねぇのかよ?  やっぱ、そんな感傷的な理由で怒るのなんて、魔王にゃ当てはまらねぇってか?」
「違う」
 クリスは首を振った。
「何が違うんだ?」
「貴様が知る必要はない。それよりも、だ。ウィンザレオ。貴様、ディアが魔王だと、最初から気付いていたな?」
 ウィンザレオは口角を吊り上げ、肩をすくめてみせた。
 カチャ、と背中の大剣が音を立てた。
「だったらどうだっていうんだ?」

「油断のならん男だ。そもそも、こんな開けた土地で眠るなど、豪胆を通り越して、ただの阿呆だ。常に戦に身を置く者が取るような行動ではない」
「そうかもな。で?」
 ウィンザレオはクリスの言葉に、静かに耳を傾けている。
 何が言いたいんだろ、クリス?
 僕は二人の顔を交互に見遣った。
「つまり、わざわざ危険な場所で、我われを無防備な状況下に置こうとしていた、ということだ」
「えっ? それって、どういうこと、クリス?」
 話しの風向きがおかしい。僕はそう思い、クリスに訊ねた。
「ふふん。天使ちゃん。俺が、何の目的でそんなことをする?」
 がぶ、とウィンザレオは肉にかぶりついた。
「尋常な手段では我らに敵わぬとみて、寝込みを襲おうと考えたのだ。違うか?」
「ちょ、ちょっと待ってよ、クリス! ウィンザレオは、僕らのために、こうして丸太小屋も作ってくれたし、朝ごはんだって用意してくれていたんだよ? それに、この人が、そんな戦い方するなんて思えないよ!」
「そうかな? 人間など、強い欲望の前では、簡単に自分を捨てられるものだ」
「そんな……!」
 クリスは、人間のことなんて、全く信用していない。
 僕はそれを痛感した。

「グファファ。一理あるねぇ、天使ちゃん。人間なんて弱ぇもんだ。そんなこともあんだろう。でもよ。仮にそうだとして、俺がそこまでする理由はなんだ?」
 ウィンザレオの口が、ぐっちゃぐっちゃと鳴っている。その目は、楽しげに細められていた。
「貴様、勇者ウィル・ハーバーライトとは、共に戦ったことがある、と言っていたな?」
「ああ、言った。それは事実だからな」
「では、ウィルのあだ討ちだろう。魔王討伐軍が《ギルトサバスの城》に攻め入ったことは、この辺りで暇つぶしをしていたということから、貴様は知っていたはずだ。そして、魔王がここにいる。貴様はそれが指し示す事柄を、瞬時に悟っていたのだろう」
 クリスはウィンザレオに強い視線を向けた。
「ウィルが、敗北したことを。すでに、この世にいないことを」
 チチ、と小鳥のさえずりが、どこかから聞こえた。さらさらという小川のせせらぎが、やけに大きく思えた。ふと、ウィンザレオがクリスから目を逸らした。


13

「そうか。やっぱり死んだか、ウィルのヤツ。ま、しゃーねーな。あいつ、弱ぇくせに、勇者なんかに祭り上げられちまってたからな。逃げることも出来ず、やるしかなかったんだろう。グファファ」
 肉が生焼けだったのか、ウィンザレオは再びそれを焙りだした。
「怒らないのか、ウィンザレオ? ウィルとは、それほど親しい間柄ではなかったのか?」
「んー? どっちかっつーと、親友だったな」
「えええっ?」
 肉の焼き加減を確かめながらそう言うウィンザレオに、僕は思わず声を上げていた。
「悲しくないの?」
 僕にはウィンザレオの気持ちが分からない。僕は、あんなに泣いたのに。
「悲しい、ってーよりか、ちょいと寂しい、かな。んでもよ。あいつは、命を奪いに行ったんだ。それなら、逆に奪われたって、文句は言えねーだろ?  あいつだって、そこんとこは納得してるはずさ。だから、俺がどうこう言う問題じゃねーんだよ。卑怯なだまし討ちとかされてなきゃ、だけどな」
 ウィンザレオは肉を噛んだ。「アチ」と短く上がった声が、少し元気なく思える。僕は、そんなウィンザレオから目が離せずにいる。分かりやすいけど、分からない。納得出来そうで、出来ない話だった。

「ふむ」と唸るクリス。
「なぁ、お姫様。ウィルは、勇敢だったか?」
 ウィンザレオの瞳に陰を見つけ、僕は一瞬言葉に詰まる。
 でも。
「うん。凄く、凄く勇敢だった。ウィルは、間違いなく勇者だったよ」
 それは、ちゃんと言わなくちゃ。
 僕はこの言葉に、ウィルに対するありったけの気持ちを込めた。
「そうか。それを聞けば、きっとシャルルも喜ぶだろうな。グファファ」
「シャルルも……?」
 豪快に笑い、「肉が冷めるぜ。食え食え」と僕らに促すウィンザレオ。
 僕はこくりと頷いて、肉を口に運んだ。
 クリスも無言で食べ始めた。
 焼いただけの、なんの動物のものかも分からない肉は、程よく塩が効いていて、やけにおいしく感じられた。

 ところで。
 ウィルを死に追いやった直接の原因って、クリスが作っているんだけれど。
 ウィンザレオは、僕がウィルを殺したって思っているんじゃないだろうか?
 僕がクリスにちらりと投げた視線は、さっと逸らされた。
 言わない気だね、クリス?
「さ、さぁ! 今日中には、シャルルの元に辿り着こう! そうと決まれば、のんびり食事などしている場合ではないぞ、ディア! さぁ、食べろ! 早く早く!」
「もがががが!」
 纏わり付くジト目に耐えかねたのか、クリスは一人で不自然に盛り上がりつつ、僕の口に肉を詰め込んできた。
「グファファファファファ! おいおい、そんなにしたら、お姫様が死んじまうぜ。グファファファファ!」
 僕らのそんな様子に大笑いしているウィンザレオ。この人の笑いには、なんの他意も感じられない。僕はそう思った。
 空は真っ青に澄んでいて、鳥が仲良く飛び回る。常春の柔らかな風が撫でてゆく。心がどこまでも広がって、どこにだって届きそうな気がした。
 そう。シャルルにだって、届くんだ。
 この時の僕には、そんな予感だけしか無かった。


14

 一時間後。
 僕らは、勇者ウィルの妹の住む町、《アルクデスタ》に到着した。
「はー、はー。け、結構飛んだな。意外と遠いではないか……」
 クリスは《アルクデスタ》と書かれた板切れの打ち付けられた巨木に手をつき、荒い息を吐いている。
「なんだ? バテてんのか、天使ちゃん? 意外と体力ねぇな。そんなんで、俺を《ドラムフォルス》にまで連れて行けるのかよ?」
「うるさい! 私がこれほど疲弊しているのは、貴様が重すぎるせいだぞ!」
 やれやれと肩を竦めるウィンザレオに、クリスが怒る。クリスはウィンザレオと彼の肩に掴まった僕を、ここまで空を飛んで運んでくれていた。ウィンザレオはその間、クリスの足を掴んでいたけど。
 凄い握力と持久力だなぁ、ウィンザレオ。僕なら、五分ともたなかったと思う。

「それにしても、だ。なぜ、町の入口で降りるのだ? シャルルの家は町の奥にあるのだろう?」
「あー。ま、そう慌てるなよ。大体、天使ちゃんみたいなのが空飛んで町に入ったら、大騒ぎになるのは確実だろ? それに、お姫様の服だって、なんとかしなくっちゃな」
「え? 僕の服?」
 言われて自分の姿を確認する。重々しかった革の外套と黒いマントは脱ぎ捨ててきたから、今の僕は、シャツ一枚羽織っている姿だ。ウィルから預かった《カイロスの盾》は、僕の腰に、後ろ向きに装着している。ウィルの腕には丁度良かった、盾を固定する皮のベルト。僕には腰でぴったりだった。
 ウィルの腕、凄く太かったんだな。それとも、僕が細いの?
 それより、頭の角が丸出しだ。
 このままじゃ、きっとシャルルも警戒するだろうなぁ。

「……ふむ。ディアの格好か……。言われて冷静に見てみれば……」
 クリスは僕をじろじろと眺め回し、
「“変態”にしか見えないな」
 と、酷いことを言ってのけた。
「へ、変態!? 僕が!?」
「そうだなぁ。今にも『見て見てー!』とか言って、シャツをめくりそうだよな」
「僕、そんなことしないよ!」
 ひどいよ、クリスもウィンザレオも! 凄くショックだよ、それ!
 でも、今の僕は、そんなことしそうな格好をしているのか。
「はー」
 僕は溜め息を吐いて座り込んだ。
「グファファ。そんなに落ち込むなって、お姫様。だから、こうして町の入口で降りたんだからよ」
「どういうこと?」
「無いんなら、買えばいいだろ」
「そっか!」
 ウィンザレオの提案に、僕は元気を得て立ち上がった。
 “買い物”かぁ! 一度やってみたかったんだ、それ!
「買うと言っても、我われはお金など持っていないぞ」
「ええええええ!」
 クリスの言葉に、僕は再び座り込んだ。

「分かりやすいお姫様だな。心配すんな。金なら、俺が持ってるからよ」
 バン、とウィンザレオに背中を叩かれた。
「いてっ。え? そうなの?」
 痛いけど、凄く嬉しい!
 立ち上がる勢いがつきすぎて、僕はぴょこんと飛び上がった。
 両手は無意識に上がっている。
「喜びすぎだ、ディア」
「う」
 呆れ顔のクリスに窘められ、僕は手をふにゃりと降ろした。
「グファ。そうと決めれば、さっさと行くぜ。ほれ、天使ちゃんも翼を引っ込めな。出来るんだろ?」
「ん? ああ、そうだな」
 クリスの翼が光の粒になってさらさらと消えていった。ウィンザレオは先頭に立って歩き出す。歩く度、ウィンザレオの上半身を覆う鉄製の甲冑と背中の大剣が、ガシャンガシャンと音を立てる。
 僕は急いで後を追った。
 歩幅が広いウィンザレオについていくのは大変だ。看板のある巨木はなだらかな丘にぽつんと一本生えており、僕らはそこから町に続く一本道を進んでゆく。周りには高く伸びた草が青々と茂っている。道だけはそれが無かった。
 人が二人、ゆったりと並んで歩ける道には真ん中に轍があり、割と頻繁に馬車が通ることを示していた。

 


15

 しばらく進むと、二階建ての櫓(やぐら)が見えてきた。櫓の前には高く聳える木製の門が立っていて、その前には全身を甲冑で固め、槍を持った戦士がいる。
 あれはきっと門番だ。
 門の前で、荷馬車を引いた商人風の人たちも、なにかいろいろ訊かれている。
 門番って、不審者を町に入れないようにするのが仕事だと思うけど。
 僕ら、入れてもらえるのかな?
 そんな僕の心配など関係なく、ウィンザレオは堂々と門番の目前にまで歩を進めた。
 そして、
「よぅ。久しぶりだな。俺だ。ウィンザレオだ。ちょっと入れてくれや」
 と、ウィンザレオは門番に気軽に声を掛けた。
 言われた門番は、
「あ! 久しぶりだな、ウィンザレオ! しばらく見なかったが、どうしてたんだ、お前?」
 満面の笑みで、そんなウィンザレオを迎えた。
「グファファ。アーク公のとこで、《セレクタ》をしてた。が、昨日辞めてきた。飽きちまってな」
「ははは。お前らしいな。で、後ろの二人は? 連れか? ……おい。なんだ、その二人は?」
 ウィンザレオと和やかな挨拶を交わした門番は、僕らを見るなり顔色を変えた。

「う……」
 まずい雰囲気に、体が硬直する。
 クリスは?
 僕はクリスの様子を横目で見る。と、クリスは興味なさげに空を見ていた。
 ぴん、と僕の勘に引っかかる。
 クリス。
 面倒なことになったら、この人、平気で殺しそう……。
 クリスはきっと、すでにあらゆる場面を想定し、自分の取るべき行動を決めている。クリスのことだから、多分、どんな場面でも“力ずく”なんだろうけど。
 でも、ウィンザレオは落ち着いて門番に対している。
「ふふん。この二人はな、《アルクデスタ》の偉大なる領主『ガードナー卿』への貢物さ」
「おお、ガードナー卿への。……しかし、貢物? 恥じらいなど無縁そうな白い女もおかしいが、そっちの小さい女の子なんて、頭に角が生えているじゃないか。確かに素晴らしい美しさではあるが……。もしかして、魔物じゃないのか? もし魔物なら……」
「あ」
 僕は慌てて角を手で隠した。
 忘れてた。
 まずい? まずいよね、これ?
「恥じらいが、無縁?」
 クリスは不機嫌そうに眉をぴくりと動かした。
 わあぁ。こっちもまずい!
 前に通過を許可された商人風の一団も、僕らの方を興味深そうに見つめている。
 一瞬、時間が止まったように感じた。
 そんな張り詰めた空気を、ウィンザレオがあっさりと破った。

「角? グファファ! 馬鹿言ってんじゃねぇ。これはな、ウンコだ!」
「ウンコ?」
 門番の顔が、予想外の答えにとんでもなくひしゃげた。
「ウ、ウンコ!」
 僕はびっくりしてその下品な言葉を叫んでしまっていた。
「ぶふーーーーっ!」
 クリスが僕の後ろで吹き出した。そしてお腹を押さえて体を折り曲げ、肩を激しく上下させながら笑い始めた。
「おいおい、ウィンザレオ!」
「嘘じゃねぇって。こいつら、サーストン地方の原住民族でな。処女はこうしておかしな男が寄り付かないよう、乾燥してかちかちに固まったウンコを頭に乗せて、純潔を守るって風習があんだよ」
「……ほー。確かにそれなら、迂闊には近づけないかも知れないな」
 ウィンザレオのあり得ない嘘に、門番は感嘆の声を上げている。
 納得されちゃったよ! なんか悲しいよ、これ!
 僕の角が、ウンコにも見えるってこと、これ!?
「では、そっちの白い女は?」
「こっちは売女(ばいた)だ。格好を見りゃ、分かんだろ?」
「ば、売女だとっ!?」
 さらっとウィンザレオにそう言われ、クリスは怒りをあらわにした。
 売女って、なんだろう?
 僕にはクリスの怒る理由が分からなかった。



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