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バトルボーラーはるか

 

第二集

星間戦争

 

 

第5章

正体

 

作・Ψ(Eternity Flame)


 「…まだ戦るのか?」

 「フン。一度まぐれで勝ったくらいでいい気になるなよ!」

  秀樹の言葉にジャギは含みのある言葉で返した。すると、パーピリオン星人達の三体の機体が寄りあい、眩しい光を放ち出した。

 「これぞ我らが最強の証し、トリプルトランスアソシエイト

 (三大神獣覚醒交信波(さんだいしんじゅうかくせいこうしんは))だッ。」

 三体が強い光を放ち終え姿を現すと、ボロボロになっていた筈(はず)の装甲(そうこう)が三体とも元通りに復元されていた。そして、飛行形態となったそれらは、機体上部に光り輝く大きな槍を搭載(とうさい)していた。

  「フハハハ。どうだ!これぞ我らが科学の力だ。」

  振り出しに戻るどころか、内力を浪費したはるか達にとっては、大変、不利な状況になったんじゃないかと言わんばかりに、ギエンが声高らかにそう述べた。 

 「ハハハ。さっきの礼をさせて貰(もら)うぞ!!」

  ジャギがギエンの言葉に続く。

  「そうだ!このディハインクライム(三獣神槍撃(さんじゅうしんそうげき))

  の餌食(えじき)にしてくれるわッ。」

 二人の自信に勢いを盛り返したダイキがそう言い、高圧的な態度に出た。 

 「それがどうした。」

  ジャギ達の姿を見て、恐れをなすのかと思いきや、秀樹は平然とそう言ってのけた。

  「何!?貴様、絶望(ぜつぼう)して頭がおかしくなったのではあるまいな。」

 ジャギは、秀樹が強がっているようにしか見えないでいる。

 「思い上がっているのはお前達の方だ!俺達がお前達に手こずっていたのは、

  お前達の能力が未知数(みちすう)だったからだ。今、それを証明してやる。」

  「何だと?」


 「分かってねぇ~なぁ。アンタらは自分らの力を過信(かしん)し過ぎてるって

  コトだよ…オレ達に同じ技は通じない。その槍みたいなのも使わせねぇよ!」

 目立ちたがり屋の正友が、ここぞとばかりに会話に割り込んできた。ジャギ達が秀樹達の目を眩(くら)まし、自分達の力を回復している間。それを秀樹達も指をくわえて見ていた訳ではない。三人がそれぞれの特性を出し合い、ジャギ達を倒す技の根回しを行っていた。

 「準備は整った…行くぞ!!」

 「うん!!」

 「あいよ!!」

 秀樹の号令一下(ごうれいいっか)、三人がオーラを最大限に引き出すと、湿(しめ)り気(け)を帯(お)びた風の流れが一瞬にして沸(わ)き起こった。

 「コスモクライシス(宇宙開闢(うちゅうかいびゃく))!!」

 三人が声を揃えてそう言い放つと、風はぐんと勢いを増した。

 「な、何だ…こ、これは!?」

 秀樹達の起こした湿り気のある風は、じきに台風のような勢いとなり、その荒れ狂う暴風の真っ只中(まっただなか)に呑み込まれたジャギ達の機体は、どうにも一ヶ所(いっかしょ)に踏み止まれず、かと言って逃れる事もできないでいた。

 それは、間もなくして三体の神獣に平行感覚を完全に失うほどのめまぐるしい回転を与え、更にそこに風と炎と水から成る、三種のカマイタチのような刃が無数に襲い始めた。三半規管(さんはんきかん)が崩壊しそうな激しい遠心力の渦の中、ジャギ達はせめて機体の損壊だけでも防ごうとしたのであったが。

 「ぐわぁぁ…ケ、ケイオスインセクターの…き、機体が…言う事を聞かん…!?」

 凄まじい暴風の起こす力と、そこに含まれる豪雨(ごうう)のごとき斬撃(ざんげき)を前に、気流からの脱却はおろか、機械の再生も思うように作動せず、ダブルの衝撃(しょうげき)にジャギは悶絶(もんぜつ)した。

 「な、ピラミッドフォース…も使…えん…ぐわぁぁー…!?」

 強力な電磁波(でんじは)らしき物も、激しい暴風と山と湧(わ)く斬撃の強襲(きょうしゅう)に、張り巡らす事さえ叶(かな)わない。


 「我が鉄壁(てっぺき)の甲羅(こうら)がぁぁー…」

 キラーカーリングが甲羅の中にその身を閉じ込め、一番長く永らえたが、相次ぐ斬撃による被弾(ひだん)の嵐が、堅い甲羅さえもバラバラに砕いてしまっていた。暴風の中心にいるはるか達は、ちょうど台風の目の中に入っているのと同じ原理で、ほとんど風の影響を受けていない。

 「トドメだ!!」

 正友がそう言うと風が止み、ジャギ達の機体が同一線上(どういつせんじょう)に横一列(よこいちれつ)の状態で並んだ。

 「メノラバスター(聖三叉印証断空波(せいさんさいんしょうだんくうは)!!」

 そうはるかの言ったレッドクラウンを先頭に、三体のケルビムが三角形の編体(へんたい)を組み、ドライブモードで螺旋(らせん)を描く。互いの力を取り込みあいつつ、ジャギ達の機体に接近すると、それぞれが三つ編状(みつあみじょう)に絡み合ったオーラを棚引(たなび)かせながら三方向に枝分かれした。

 そして、標的(ひょうてき)の寸前でそれぞれがナイトモードに変形し、手に刀や槍をそれぞれに持つと、加速した勢いを利用し思い思いに自分の標的を斬り裂(さ)き貫いて行った。はるか達のケルビムがジャギ達を粉砕(ふんさい)した軌道(きどう)を辿(たど)ると、絡み合う三色が融けあう事で描かれたオーラの軌跡(きせき)が、めまぐるしく彩りを変えながら滞留(たいりゅう)し、まるで巨大なメノラーの絵が宇宙空間に刻まれているようであった。

 それは、さながらナスカの地上絵(ちじょうえ)のように壮大(そうだい)で、且(か)つイルミネーションのように華やかな色合いで、虚空(こくう)の世界を美しく彩(いろど)った。

 「勝ったのね…。」

 「あぁ…俺達の勝ちだ。」

 はるかの言葉に秀樹がそう言って頷くと、メノラーの軌跡が消え、静寂が包む元の空間となった。そこにジャギ達の姿はなく、はるかは勝利を確信した。


 「フフフ…なかなかやるではないか。」

 その余韻(よいん)に浸(ひた)る間もなく、ドコからともなく声が響いてきた。

 「誰ッ!?」

 レッドクラウンを身構えさせると、得体(えたい)の知れない声の主に向かい、はるかがそう呼びかけた。静かな宇宙空間に、異様(いよう)な圧力が加わったかのような緊張感が充満(じゅうまん)しだした。

 「なんてプレッシャーだ…。」

 その圧力に正友が冷や汗を流し、そう言った。辺りを警戒(けいかい)するはるか達。その殺気立(さっきだ)つ警戒(けいかい)の視線(しせん)を意にも介(かい)さず、敵らしき影が、はるか達の真正面から現れようとしていた。真空(しんくう)に立ち込め出した巨大な陽炎(かげろう)。やがてそれは巨大な漆黒(しっこく)の闇(やみ)となり、はるか達の視界から星々の瞬(またた)きを覆(おお)い隠(かく)した。

 「デケぇな…この闇。どうする、秀さん?」

 「…しばらくは相手の出方(でかた)を見るしかあるまい。」

 不穏なる闇から光が射し、その眩(まぶ)しさに意表(いひょう)を突かれたはるか達。光が消え、視力を取り戻すと、巨大なイカのような物体が目の前に現れていた。

 「デカッ!?なんじゃこりゃ?」

その大きさに驚いた正友。いびつな姿にド肝(ぎも)を抜かれた様子であった。

 「お前がポモプンか?」

 しばしの沈黙(ちんもく)から秀樹が巨大なイカのような物体に、そう話しかけた。

 「いかにも。余がパーピリオン星人が王、ポモプンじゃ。」

 王としての気位(きぐらい)の高さからだろうか。ポモプンは、秀樹の言葉を待っていたかのように即答をした。

 「お前の部下らしき奴らは俺達が倒した。次はアンタが相手をしてくれるのか?」

 「いかにも。」

 「それで誰と戦(や)るんだ?」

 「三人まとめてでも構わんぞ。」



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