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引越し

生まれた時から

取り残されてる気がする

湿気のこもった下宿にたたずむ

 

孤独が生んだ言葉は

どれも貧しくて使い物にならない

喉元に積もらせたまま

 

去れども去れども

取り残されるのは僕の方

分かっていて繰り返す引っ越し


暗い地面に滲む影

体が疼くのは稀

思い浮かばない術

動きかけて停滞している夢

向こうの歩道からの声

僕じゃない人の名を呼ぶ誰?

傘から覗きこんだ上

相変わらず降り続く雨


あのときの言葉

あのときの言葉を

笑顔で言えてたなら

もっと良い意味に

受け取ってもらえただろうに

 

あのときの言葉を

スムーズに言えてたなら

もっと格好よく

決められていただろうに

 

言葉が言葉だけで

伝えられたなら

たかが言葉くらいでと

思っていられた

 

あのときの言葉が

似合う自分だったなら

あのときの言葉に

説得力を持たせられる生き方だったなら


夕陽

薄雲に

見え隠れする

鮮明な赤

なまめかしくて

優しい

 

誤解を

解きほぐせずに

しこりを残した日

今日の夕陽は

なんだかひりひりして

 

明日

持っていくべき心を

見つけられない胸は

かすかな夕陽を

いっぱいに浴びる


闇に消えゆく今日の寂しさと

姿を魅せる明日への不安

その隙間に涙がぽとり

 

小さなリビングで落とした涙は

拾ってくれる人もなくこぼれて

カーペットの上で光る

 

なにか価値あるものに

つなげられなかったとしても

輝かしい涙



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