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想像

内側にある体の循環と

外側にある物質の循環

そのひしめき合いの中で

かろうじて存在している自分

 

僕の中で育った心が

僕を育てた世界を見上げる

何かがひそかに広がっている

何かがひそかに限られている

 

宇宙の果て

その向こうにあるものを想像する

心が届くところまで

言葉が届くところまで


翻訳

どんな翻訳家にも

訳しきれない言葉がある

人と人とを隔て

人を多様化させる要素

 

どんな心理学者にも

訳しきれない心がある

自分と他人の距離を作り

人を個性化させる部分

 

どんな生物にも

訳しきれない世界がある

世界の受け止め方の違いが

別々の進化に向かわせる


盗作

その目に留まった

風景を描く

その皮膚で感じた

凹凸を掘る

その耳が捉えた

さえずりを詠う

 

心にぴんときたものを

突き詰めては

突き放し

分解しては

ごちゃ混ぜにし

芸術は世界を

全身で盗む


卒業

心は上の空

校長先生が何か言ってる

急ぐ用事もないのにそわそわ

 

後輩たちが作った道を歩く

涙する女子となぐさめる女子

握手してうなずく先生と同級生

 

僕たちの一年は

3月で終わるから

咲き乱れる桜の花が

妙に鮮やかに映るのだろう

 

卒業証書の筒を開ける音

新しい始まりの合図

思い残すことだらけの校舎を

ぼんやり見上げてさよなら


美しい言葉

それを追っていたつもりが

言葉を追っていた

夢という美しい言葉を

 

あなたを求めていたつもりが

言葉を求めていた

愛という美しい言葉を

 

心と言葉がいつの間にか

すり替えられていたのに

気付かずにいたんだ

 

言葉の眩しさに苛まれて

逃げ出した足だけど

まだ何かを追っているような気がするんだ



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