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飽きる

批判すれば

偉くなったみたいに

 

悪口を言えば

正しい側に立ったみたいに

 

時代という名の

正義を振りかざす

勝者のための敗者を作り出す

 

僕らは未来をも

消費して使い古す

飽きる速さを

競っている


ヤケ

割れた皿を片付ける

大変さを知っているから

投げつけることなんてできない

 

壊した関係を修復する

いい術を知らないから

邪険にするなんてできない

 

どんな苦しい状況になっても

ヤケを起こすなんてできない

明日があるから


数学

全ての数字は答えじゃなく

まだ式の途中かもしれない

何かに足されたり引かれたりするのを

じっと待っているのかもしれない

 

全ての数字は固形物じゃなく

流動物なのかもしれない

ノートの上で体の中で

まだ計算は続いているのかもしれない

 

人が作り出した統計を手に

人々は社会問題を論じ合う

神々はその間にも

複雑な方程式を繰り返しているのかもしれない


ラジオ

受験勉強の途中でつけた

深夜のラジオのノリのいい喋り

ついつい止まるシャーペンの動き

 

ラジオはいつも秘密の匂いがしていた

知らない人と知らないままに

小さなボリュームで繋がっていた

 

いつもの音楽でフェードアウトするラジオ

朝が近づいてくる不安と寂しさ

掻き消すように眠りについた


想像

内側にある体の循環と

外側にある物質の循環

そのひしめき合いの中で

かろうじて存在している自分

 

僕の中で育った心が

僕を育てた世界を見上げる

何かがひそかに広がっている

何かがひそかに限られている

 

宇宙の果て

その向こうにあるものを想像する

心が届くところまで

言葉が届くところまで



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