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バトルボーラーはるか

 

第二集

星間戦争

 

第4章

宇宙(そら)へ

 

作・Ψ (Eternity Flame)


「お兄ちゃん。」

「なんだ?」

「パーピリオン星人達の言ってた“約束の日”って今日じゃないの?」

「あぁ、そうだな。」

「いつ行くの?」

「“宇宙へ”と言う事か?」

「うん。」

「今晩行く。それまで二人とも休め。」

「分かったわ。」

 その夜―

「これから宇宙へ行く。準備はいいか?」

「うん。」

「はいよー!いやぁワクワクすんな。」

 勝つ気満々の正友は、遊びにでも行くかのように嬉しそうにしている。

「でもどうやって月まで行くの?」

 そんな正友とは反して、月までの道のりの遠さを冷静に考えるはるか。

「その心配はいらない。」

「でもどうやって…」

「それは儂から話そう。」

「おじいちゃん!」

 鮎吉が言うには、はるか達を架空(かくう)の眉山(びざん)へと送った技術の応用で、月の近くへと三人を送るのだと言う。

 その時と同じように、はるか達の体が光り輝くと、鮎吉の眉間(みけん)へとその光は溶け込んでいった。

「はるか!正友!」

「はい。」

「何なん?」

「今の内にケルビムに搭乗(とうじょう)しとけよ。」

「うん。」

「分かってるよ。」


 空間を転送されていく道中。はるか達は秀樹の指示通り、ケルビムに乗り込み戦いに備えた。異次元を渡り終える出口には眩しい光が差していて、そこを抜けると、漆黒(しっこく)の闇に無数の星々が遠くに散りばめられた宇宙空間が拡がっていた。

「ようこそ宇宙へ。」                

 出迎えの声の主は、十日前にはるか達に決戦の日どりを告げた者からの物であった。

「約束どおり着たぞ。ジャギとか言ったな、ところでどうやって戦うんだ?」

「その前にルールの説明も兼ねて話をせんか?我らが主、ポモプン様のご命令で、お前達を手厚くもてなせと言われておるからな。」

「あぁ。それはこちらも望むところだ。“ポモプン”と言うのがお前達のリーダーの名か?」

「そうだ。正式なご尊名(そんめい)は、パニャホニョロカポモプン135世様だ。」

「…そうか。パーピリオン星人は何処に住んでいる?」

「定住はしていない。他に訊きたい事は?」

「パーピリオン星人の人口は?」

「我らが偉大なる王を含め4人だ。」

「4人!?…たった4人なのか?」

「お前達のような、生物として未熟(みじゅく)な輩(やから)には分からんだろうな。」

「ほーう。究極(きゅうきょく)の生物さんとやらは“数”より“質”ってワケかい。」

 自分達を遠回しに下等だと見下すジャギに、正友がキレ気味にそう口を挟んだ。

「そんな所だ。」

 ジャギは余裕な感じで正友の問いかけにそう頷(うなづ)いた。

「それにしては垢抜(あかぬ)けない顔してるな。」


「何ィ!」

 秀樹は相手が気にしてる事を平然と言ってのける。緑色のナメクジが人型をしたようなジャギのルックスは、確かにパッとしない物であった。

「これはオレの顔ではないわッ!!」

「じゃあ何なんだ。」

「お前達の乗っておる“ケルビム”と同じような物だ。」

「なぜ、その名を…?」

「我らが王であらせられるポモプン様も、お前達と同じ“心拳”の使い手なのを忘れたか?」

「…なるほどな。だが“俺達と同じ”と言うのであれば、何故“神”などと名乗る?」

「それはこれから戦えば分かる事だ。ルールは簡単。三対三の団体戦だ。」

「そっちのあと二人はドコだ?」                                     

「お前達のすぐ後ろにいる。」

「何ッ!?」

 秀樹達がふり返ると、二体の動物のような巨大な影が立っていた。

「げッ!?いつの間に…。」

 正友は思わず驚きの声を漏(も)らしてしまっていた。

「フッ。俺達の背後を取るとはな。」

 そう言って秀樹は頭の中を切り換える為に目を閉じ、相手の実力を見極めんとするような視線で見返すと、再びジャギと話し出した。

「こっちの二人の名を教えてくれ。」

「我が名はギエン。」

 スフィンクスのような姿をした怪物が、そう自ら名乗りを上げた。

「我が名はダイキ。」

 もう片方の怪物は巨大なカメのような形を成していて、それがそう名乗った。


「団体戦と言ったが、集団で戦(や)るのか?それとも順々か?」

「こちらはどっちでも構わん。」

「なら一対一で同時に始めよう。あと、最後に一つ聞きたいのだが。」

「何だ?」

「ポモプンとかいうお前達の王様はドコにいる?」

「我らに万が一でも勝つ事ができたなら、王が直々(じきじき)に現れ相手されるであろう。」

「フッ…なるほどな。」

「準備ができたら我らの元へ来るがよい。」

 秀樹とジャギの会話が終わると、ギエンとダイキが合戦の合図を告げるかのように大きな声を上げた。その雄叫(おたけ)びは猛獣(もうじゅう)のような低い迫力のある声で、はるか達を威圧した。

「お兄ちゃん、作戦は?」

「俺はあのジャギとかいうリーダーっぽいのと戦る。お前達は互いに意識しあって互いをカバーしながら残りの二人と戦え。相手の能力が分からんから、とりあえずはそれで様子を見よう。」

「分かったわ。正友はギエンと戦って!わたしはあの亀みたいなのと戦うわ。」

「なんでお前が仕切るんだよ…ま、いっか。」

「はるか。一対一でとは言ったが、危ない時はお互いに助けあえよ!」

「お兄ちゃんは大丈夫なの?」

「俺は何とかするさ。」

 秀樹の事が心配ではあったが、そう言われて、はるかは目の前の敵に専念する事にした。

「行くぞ!!」

 秀樹の掛け声と共に、三人はそれぞれの敵を目指した。



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