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坂は語る 1 出逢イ坂

俺は、配達中のトラックが、駐禁パトロールにキップを切られないように、助手席に乗っているために雇われた、いわば駐禁対策員です。

 やることは、朝九時から、配達が終わる夜まで、助手席に坐っているだけ。

 たまに、大量の荷物があるときには、手伝うこともありますが、とにかく、一日坐っていればいい。

 楽ですが、ただボーッとしていると、なかなか時間が過ぎません。

 そこで、俺は、街を眺めることにしました。



 駅前の繁華街の、一本の長い坂道の周りにあるビルに配達をしているトラックなので、その助手席に坐っていると、イロイロなものが見えて来ます。

 中でも一番多いのは、食べ物店です。

 ハンバーガーショップ、ドーナツショップ、カレー屋、ラーメン屋、牛丼屋、弁当屋、ランチをやっている居酒屋、ランチをやっていない居酒屋、ランチをやっている老舗の料理店、ランチをやっていない老舗の料理店、個人経営のコーヒーショップ、チェーン店系のコーヒーショップ等々々。

 この街には、多数のオフィスと学校があり、ランチ系の店が充実しています。

 そして、コンビニ、ドラッグストア、ケータイショップ、スポーツ洋品店、銀行、病院、結婚式場、カラオケ店、パチンコ店、ゲームセンター、パブ、ショットバー、郵便局、交番等々々、HiTo々が生活するために必要なものが、全て揃っています。

 まぁ、繁華街、オフィス街とはいえ、マンションや民家もありますので、当たり前と言ってしまえばそれまでなのですが、不況だ、雇用不安だと言われているにもかかわらず、たくさんのHiToが街を闊歩し、様々なものを消費しまくっているのですから、日本人は大丈夫ですし、政治家とか、官僚とか呼ばれているHiToたちが、舵取りを誤らなけば、日本は安泰です!

 な〜んて、話は逸れてますし、甘い甘〜い私見総論ですし、今の日本が、かなり深刻な問題を抱えていることはわかっていますし、そんなことを言いたいために、これを書き始めた訳じゃないのです。

 街にはHiToが溢れ、そのHiToの数だけ、それぞれの物語があります。

 そこで、助手席から見える風景と、坂道で見かけたステキな女性たちのことを書いて行こうと思います。

 とはいえ、あまり長い時間、助手席を離れることは出来ませんので、情報の足りないところは、憶測や思い込みを加え、勝手に創作して書き進めさせて頂きます。

 そう、俺の夢は、小説家になることです。

 皆さんに、この坂の風景が見えるように、お伝えして行きたいと思います。

 そして、この小説を読んで頂いている間だけでも、抱えている深刻な問題を忘れて頂ければと思います。

 また、物語を始めるにあたり、お断りしておきますが、俺の乗っているトラックは、坂の周りをぐるぐる回って配達して行きますので、順次、トラックが停まった場所の物語を書いて行きます。

 そのため、時系列が狂っている場面も出て来るかもしれませんが、その都度、その場面の時間を書き添えますので、何卒ご了承の程、宜しくお願い致します。

この本の内容は以上です。


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