閉じる


【本編】「変わらない素晴らしさを知ること。」

介護とは・・・「変わらない素晴らしさを知ること。」

 

とあるグループホームの見学をしたところ、数年前に僕たちのデイサービスを利用していたお客様Gさんに偶然出会いました。

デイサービスを利用していた頃から認知症の深い方で利用当時も僕の名前や顔を見ても次の利用日には忘れてしまいます。

 

そのときもGさんは当然あかりデイサービスを利用していたことは記憶にはありませんでした。

 

僕が話しかけると Gさん目の前にいる若者は自分のことを知っている人だと感じ取り、一所懸命思い出そうとしてくれる、話を合わせようとしてくれる・・・あの頃となんら変わらないGさんが目の前にいたのです。

 

僕が出会った当時から話す内容は、

・自分が若いときのこと。

・倒れたときのこと。

 など、Gさん自身が輝いていたときのことや印象に残っているときの事を 繰り返し、何度も何度も話していました。 
 

これを認知症の中核症状で短期記憶障害によるものと医学的に片付けることは簡単です。脳の状態を言えばそれまででしょう。 
 

しかし、介護の専門職である僕はそれ以上に考えることがあります。  

たまたま、グループホームの見学をして、たまたま、Gさん出会ったのですが、 これは本当にたまたまのことだったのか?

 

いや、違う。何か意味があるのだと。 僕は確信したのです。
 

なぜ、僕の目の前に以前のGさんが現れたのか?

 

自分に問いました。 そして、感じとりました。

 

時代が変化して、スピードが求められる現代において、

子育てでは 「早く食べなさい」、「早く寝なさい」、「早く勉強しなさい」、そうです。”早く”がキーワードになっています。

 

つまり、遅いあなたはダメだよ、早くなりなさいということです。言い方を変えるとそれは「変化しなさいということ。 」です。

 

この時代の流れに対して、 そのお客様の存在は僕にこう訴えました。

「岡本君、何もかも変わることばかりが正しいわけではないよ。」

 「岡本君、早さの追求よりももっと大切なことがあるんだよ。」 と。

 

今、僕が大切にしているものは何か?

スピードを求めているのは何のためなのか?

お客様のため、家族のためのなのか、それとも自己満足のためなのか?


さて、あなたがこれから大切にしたいものはなんでしょうか?

 

あのお客様との出会いはこの問いかけだったのです。

 

介護とは・・・「変わらない素晴らしさを知ること。」

変化できることは素晴らしいことだが、変わることだけが正しいわけではない。


【考察】「変わらない素晴らしさを知ること。」

2006年のベストセラーの一冊「千円札は拾うな」の著者の安田佳生さんは著書の中で「成長とは変化すること」と述べています。

 

急速に時代が変化していくなかで生き残っていけるビジネスパーソンは「成長(変化)できる人」と述べているのです。

 

生物学者のダーウィンも「最も強いものや賢いものが生き残るのではない。最も変化に適応したものが生き残る」と説いています。

 

昨今の不況の中で日本経済はますます「変化できる人」を求めていくわけですが、今回のGさんの登場はその”変化”に対しての問いかけであると僕は感じます。

 

変化していくことは確かに必要だ。でも、変化しちゃいけないものはないのか?

 

現場での連絡がうまくまわっていなかったときのこと、(盆と年末年始以外は)毎日営業しているあかりデイサービスでは、現場のスタッフが交代で休むため連絡がうまくいかないことがあります。

 

その解消として、パソコン上に連絡事項のページを作成し、そこにお客様やご家族様、ケアマネジャーからの連絡など現場のスタッフに読んでもらえるようにしました。

 

しかし、結局はそのページを見忘れてしまっていることが多く、連絡が伝わらないことがありました。

 

とあるスタッフからは、「確かにそのようなページがあると便利だけれど、口頭で言えることは口頭で伝えた方が早いと思う」という意見がありました。

 

連絡ページを作って、そのページに何でもかんでも書き込み、変化させてはいけない、口頭で伝える・・・フェイス・トゥ・フェイスをなくすところだったのです。

 

時代が変化してもコミュニケーションの原点はお互い顔を見合わせて話すことなのです。

 

連絡ページについても間違っているとか正しいなどというわけではなくて、場面や状況に応じて使い分ければいいのです。

 

便利さや効率に踊らされて、何でもデジタルな風潮になっている時代に対して、そしてデジタルの波に溺れかけた僕の前に現れて、変化しない大切さを教えてくれたGさんに改めて感謝です。

 

【参考文献】

サンマーク出版
発売日:2008-08-05

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまでお読みいただきありがとうございます。

コメントは自由制です。一見さんも読者も大歓迎です。

※心無い非難・誹謗・中傷等は削除させていただきます。

 

次回配信日は1月3日です。

「介護とは・・・気付くこと、察すること」です。

岡本大輔。


この本の内容は以上です。


読者登録

岡本大輔@読書コミュニケーター(社会福祉士)さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について