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なぜ、起業は失敗するの?

 そもそも、起業の「失敗」って何なんでしょう。

会社の倒産?解散?
創業者の破産?

いえいえ、これらは起業の「躓き(つまづき)」ではあっても、「失敗」ではないと私は思います。本当の意味での失敗とは、

「起業し、発展させることをあきらめること」

なのではないでしょうか。

誰が言ったのか知りませんが、
「勝負は負けを認めるまでは、敗北ではない」
なんてことも言います。

「あきらめたら、そこで終了」
なんてことも言いますよね。某マンガにも有名な台詞があります。

 でも、実際にはたくさんの躓きがあり、なおかつそれの積み重ねによって事業の継続を断念、つまり「失敗」をすることになる方もたくさんいらっしゃいます。どんな些細な躓きであっても、それが創業者の心をくじき、事業を終わらせかねないものであれば、大きな失敗の種と言えます。本書では「失敗」を、そうした「事業継続、起業をあきらめるに結びつきかねない【躓き】」と定義して、これらの小さな失敗をどうやって避けるかを考えていきたいと思います。

人間は誰しも弱いものです。
絶対にくじけない!という意志を持っていたとしても、何度かはくじけそうになるものです。私もそうでした。何度転んでも、何度でも立ち上がる強さを持つことも大切ですが、目の前に見えている石ころは取り除こう。これが、本書のテーマでもあります。

なぜ、起業は失敗するのか?
どうしたら、失敗せずに済むのか?

ともに、考えてみましょう。

起業の失敗、タイプ別分析

 私がしてきただけでも、山のように失敗例があります。私が見聞きしてきたことを含めると、それこそ無限大。ですが、大まかに分けるといくつかのパターンに分けられます。ここでは、原因となった「コト・モノ」による分類を少しだけ紹介しましょう。


《パターン1:お金》

 起業に置ける失敗といえば、カネ。
カネが原因の失敗っていうのが多いという印象をお持ちの方も多いでしょう。あなたもそう思いますか?確かに、表沙汰になる失敗例の大半はカネがらみですし、倒産・解散・破産など企業の存続にとどめを刺すのもお金の話ですよね。でも、実際にはお金での失敗ってそう致命的になるとは限らないんです。

 前のページで述べたとおり、私が思うに起業における「失敗」って、起業することをあきらめてしまうことだと思うんですよね。その意味では、お金の失敗ってかなりキツいんですが、もしかすると1番の失敗原因ではないのではないか、と思うこともあります。
 もっとも、あらゆる失敗の結果が、お金、というかたちで出ているわけですし、そもそもお金にこだわらない企業なんてほとんどありませんからね。私も、お金のことで死のうかと思ったコトなんてしょっちゅうでしたし。やっぱり、お金の問題って大きいんですよね。「気持ちが折れるとどめ」になるのは、お金の問題ということも多々あるわけですね。


《パターン2:ヒト》

 筆者個人的には、一番「失敗」の元になるのが「ヒト」だと思います。もちろん社長本人の「失敗」もヒトによる失敗ですが、ここではそれ以外のヒトを表しています。

・起業したときの仲間(創業メンバー)
・従業員、スタッフ
・取引先、仕事仲間
・家族、彼女

こうした周囲のヒトとのトラブル。これはかなりキツいですよ。
カネは無くなっても、また稼ぐなりもらうなり盗(自粛)…どうにかすることもできますが、ヒトとの関係は壊してしまうと修復は非常に大変。くれぐれもヒトとの関係、ご用心ください。


《パターン3:場所》

 カネ、ヒト、モノ…と来ると思ったところで、あえてコレ。モノ、だとおおざっぱすぎますしね。ずばり、場所です。
 お恥ずかしながら、私臼井は事務所の場所を何度も変えています。唯一ずっと変えていない拠点は、今の私の家兼事務所だけ。

・実家近く…この事務所はずっとあります
・都内(港区)※都内進出
・都内(台東区)※移転→撤退
・都内(新宿区)※再進出
・都内(新宿区2)※拠点増加→どっちも撤退
・埼玉県 ※移転→撤退
・そして今の事務所

とまあ、7カ所も事務所を転々としているわけです。創業から14年で、と考えるとちょっとふらふらしすぎですね。
 この「場所」ですが、事務所や本社の所在地に限らず、店舗を出す場所、露店や屋台を出す場所、営業をかける場所、地方進出、海外進出…などなど結構トラブルの種になりやすい「原因」なんです。移動するだけでもお金が掛かりますしね、事務所などは。

 ここでひとつ、私が経験して、その後いろんな話を聞いて、ああ、これはと思った実例をお教えしましょう。

 それは…「地下室に事務所を構えるとうまくいかない」ということ。

 理由は、またいずれお話ししますが、きちんとした理由もありますし、風水的にもあんまりよくないとか。実は私も、ダメでした。
 そんなわけで、いよいよ本編に突入です。起業にまつわる失敗談、とくとご覧あれ。

1.家族、友人の応援が得られない

 第1話のネタを何にしようか…。
ネタ案自体は100本以上ありましたが、その中で迷いに迷って選んだのが、このテーマです。起業するときの、家族や友人の反対。起業を志して動き出す人の中で、およそ半分くらいが突き当たる問題です。
 私の見てきたケースですと、年齢を経れば経るほど、反対される率も高い様子。もっとも、若くても「まだ若いんだから我慢しろ」とか「若いうちに雇われる経験をもっと積みなさい」とか言われるケースもありますから、必ずしもというわけではありません。
さあ、では失敗例を見ていきましょう。


【失敗例:家族に黙って起業して…】

家族に黙って退職、とか、リストラでクビになったことを家族に言えず…というケースはよく耳にします。起業の場合でも、家族に黙ってはじめた場合、成功すればまだしも、失敗すると大変です。

すでに家庭を持っている方の例では、
・勤め人のときよりも帰宅が遅くなり、浮気を疑われた
・収入が減っていることをごまかすために、サラ金に手を付けた
・手元の資金が足りなくなって、こっそり家の貯金に手を付けた
などがあります。

独身の場合でも、
・なぜかバレて田舎の両親からこっぴどく叱られた
・いざ困ったときに援助・協力してもらえなかった
などの例があります。

家族もそうですが、独身の方の場合、おつきあいしている彼氏・彼女という存在もキーポイントになります。家族や、自分の周りのごく近しい人たちには、どうせやるなら「応援されて」起業したいものです。

「でも、みんな反対するし…」

そうおっしゃる方の気持ちもわかります。私だって、自分なりに決意したことにいろいろ言われるのは苦手です。もちろん、家族に黙ってはじめたものの、今ではちゃんと周囲の応援も得ているという方もたくさんいます。反対されるくらいなら黙ってやってしまおう!と考えることにも一理あるとは思います。

でも、私は「それでも家族や近しい人たちには応援してもらってほしい」と思います。今後いろいろな失敗についてお話しますが、起業家って結構孤独なんです。つらいときに、戻れる場所って必要だと思うんですね。それはやっぱり家族や友人たちのトコロだと思うんです。退路を断って、背水の陣で…というのもカッコイイですが、もしものときを考えるとオススメできません。

そして、もう一つ。

「あなたを理解してくれているはずの家族や友人も説得できないのに、
 アカの他人であるお客や投資家、銀行などを説得できるのか?」

ということを私からお聞きします。
どうですか?あなたの場合は。


【解決策:とことん話し合え!すでに始めていても、話し合おう!】


 偉そうなことを言っていますが、実は私自身「黙って」始めたクチです。それはもう、あとあと苦労しました。まして、親にカネを出してもらって入学したはずの大学にさっぱり行っていませんでしたから…。
 まあ、私の話はさておきまして。やはり、話し合いが肝心です。理詰めで、きちんと、粘り強く。決して感情的にならずに。相手が根負けするまで、がんばりましょう。
資金計画、経費や開業資金、事業の見込み、自分が新たな事業に賭ける思い…
きちんとまとめてから話しましょう!あなたがその努力を放棄する、というなら…あなたの起業に対する情熱はその程度の覚悟だった、ということにも受け取られますよ。

「失敗したらどうするの!」
「どうせ失敗するよ!」
「大手の会社にいたほうがいいよ!」

というような返しも考えられます。
私がよく使う反論?はこんなところです。正しいとは思えませんけれども。

・山一証券だって○○だって潰れたくらいだから、大手でも安心じゃないよ
・とりあえず○○カ月(○年でも可)だけはチャレンジさせてくれないか?
・借金はしないでやるから、やらせてほしい
・若いうちにチャレンジしなくて、いつチャレンジすればいいの?
・経験を積んだ今だからこそ、チャレンジするのに最適なんだ!

などなど、あなたも想定問答を考えてから説得に臨みましょう!


 なんだか精神論っぽくなってしまいましたが、家族や友人は本当に大切にしてくださいね。起業して、成功したところで、家族や友人に祝福されない というのは寂しいものですからね。

2.起業時の借金にご注意!

 第2話で取り上げる失敗は「起業時(創業時)の借金」。
 あらかじめお断りしておきますが、資本金を他人から一時的に借り入れて…というのは法律で禁止されている行為なので要注意。個人で長期的に金を借りて、そこから資本金を出す、というのならいいのかもしれませんが、私は法律には全く詳しくないのでその辺は弁護士なり司法書士なりにご確認を。
 さて、話が少しそれましたが、起業時の借金についてお話ししましょう。当然のことですが、起業時に借金をすることが、すべて悪いというワケではありません。店を構える場合など、ある程度の設備投資が必要な場合、どうしても手元の資金だけでは足りず、お金を借りなくてはいけない、ということもあるでしょう。こういう場合、国民金融公庫の創業時貸付や、地元の信用金庫などからの「普通の借金」なら全く問題はありません。
 借りられる、ということは事業計画とあなたのひとがらにそれなりの信用を得たということでもあるわけだから、自信をもってやればOK。
 今回のネタで取り上げる「失敗する借金」とは、ずばり消費者ローンなどの「利率の高い借金」のことです。

【失敗:起業直後にサラ金直行】

 お恥ずかしい話、私臼井は起業してすぐ、高利の借金をしました。それも「学生ローン」から。
 当時はまだ学生証を持つ身分でもあったので(ろくに出席せず、結局3年休学した後自主退学しましたが)学生ローンが使えたののです。当時はまだ法人化したばかりで、何の実績もなく、また関わっていた仕事でも入金が遅れがち。信金や国金も回ったもののなかなか手応えが得られず、結局お手軽な方法を選んでしまったというわけです。

 学生ローンといっても、要は、学生向きのサラ金。利率は29.9%…いや、最初はもっと高かった記憶がありますが、こんなクソ高い利子のローンで、なんと50万も借りたのです。それも、わざわざ系列店を紹介してもらってまで。覚えているのが「アムウェイじゃありませんよね?」「マルチ商法じゃありませんよね」としつこく確認されたことですね。結構、いるんでしょうね。そういう人。


 借金どころかローンも悪、というような教育を受けていた保守的一家に生まれた私が、こんなにあっさり借金をしたのには理由があって、日本のネット草創期に活躍されたベッコアメ・インターネットの創業者、尾崎氏の著書に

「広告を出したかったが、お金がなかったので『ほのぼのレイク』で借りた」

というような一文があったこと。ひとのせいにするわけではないのですが、なんだ、成功する自信があれば別に借金なんて怖くないや、と勘違いをしてしまったのです。氏の場合、結局成功して返せたからいいようなものの、私の場合にはこれがケチのつきはじめ。その後も借金を重ねて、最終的にこの学生ローン会社に返済が終わったのは、起業から9年も経った2005年のことでした。なお、その他高利の借金を返し終わったのは、2009年春のことでした。ちなみに、今も親戚から借りたお金(結構な多額)はさっぱり返せていません。


【解決策:無計画と高金利は敵だ!】


ある経営者に聞いたところ、ビジネスをやっていけるギリギリの借入利率とは

『年利で7%まで』

とのことでした。
詳しい計算式については忘れてしまいましたが、、7%を超える利子を払うような借金は、ビジネスを組み立てる上では成立しない、と強く言われたのを覚えています。知人の経験則から来ている数値なのかもしれませんが、どこか納得できる数字ですよね。

● 無計画に借金をしない
● 利率の高いところでは借りない
 ※ 最近は銀行、信金と消費者金融が組んで行うビジネスローンもあるから注意しよう。利率は必ずチェック!

そしてもう一つアドバイスを。

● 個人名義で借りた借金も、仕事に使ったのであればちゃんと帳簿に残す

これを徹底した方がいいでしょう。

 私は数年前、個人の借金が回らなくなっていったん会社からいったん身を引いたのですが、そのとき、帳簿を適当にしか作っておらず、いくら会社に入れているということがわからなくなってしまいました。そのため、非常に難儀したのですが……この話も、本書で取り上げることにしましょう。


 起業と借金は、ある意味切っても切れない縁。
 計画的に借金するのであればいいのですが…私のように無計画にカネを借りてしまうと、本当にクセになってしまいます。「計画的な人は借金などしない」と言い切る人もいるくらいですから、借金には十分ご注意を。私のようなタイプは、そもそも借金せずに商売するのが、一番いいことなのでしょうね。借金話は、語り出すと止まらなくなってしまうので、このへんで。

3.資本金って、いくらがいいの?~前編

 旧聞に属することかもしれませんが、いわゆる「新会社法」の施行以後、ちょっとした悩みのタネになったのが「資本金の額」と「会社形態」。新会社法で日本版LLCと呼ばれる「合同会社」が加わり、その代わりに有限会社の新設が認められなくなりました。

現在の会社形態は、
・合名会社
・合資会社
・合同会社
・株式会社
の4つ。

他にもNPOでの起業などもありますが、ここでは割愛します。

すこし前までなら、

300万集められるなら、有限。
1000万円集められるなら、株式。
300万未満なら、合資か合名。

ある意味迷うことなく決められたのですが、新会社法になって株式会社の資本金制限が廃止され「1円」でもOKになったことで、結局いくらにすりゃいいのか、と悩む方も増えました。会社形態については、次の項で書くことにして、この号では「資本金で大失敗?」という、起業したことのない方には「なんじゃそりゃ」というお話をまずはお伝えしましょう。


【失敗:資本金1,000万円にしたら税金が…?】

 2002年、すでに起業して6年が過ぎていた私に転機が訪れました。
もろもろあって、1000万円のお金を用意することができたのです。元々会社規模の拡大を目指していた私、これを元手に、会社を株式会社にし、もっと本格的に、大規模に事業がしたい。そう思いました。

 さっそく、株式会社設立にチャレンジ。登記などは、すでに1度「合資会社」の設立でやっていますが、株式会社はそれとは比べものにならないくらい煩雑。でも、入門書がありましたから、それを参考に書類を作り、あとは法務局の職員に聞きつつ、特に問題なく設立登記までは終わりました。当時はまだ「確認株式会社制度」はありませんでしたから、株式会社=1000万円以上の資本金が必要。ようやく作った1000万、ようやくのステップアップと張り切っていました。

 ところが…ワナは次の年に訪れます。株式会社として初の決算作業を進めていく中で、初めて気づいたのです。

「消費税を払わなくてはいけない」

ということに。

 補足しましょう。
 消費税には「免税点」制度というものがあり(消費税免税事業者制度といいます)売上1000万円以下の場合には消費税の納税義務はありません。正確に言うと、「前々事業年度の課税売上高が1000万円を超える場合は当事業年度において消費税を納める義務が生じる」ということになります。ややこしいですが、要は起業して2年は消費税を納める必要はない、ということです。(前々事業年度が存在しませんから)

 ところが、コレには落とし穴があったのです。

【資本金額が1,000万円以上の法人は、1年目から納税義務がある】
という注釈がつくのです。

よく見てください。

1,000万円以上。

1,000万円以上。

そう、免税点としては「1000万円まではOK、1000万1円からはダメ」ですが、1年目の資本金額については「999万円までは免税、1000万円から課税」だったのです!

「新設法人は2年納税義務なし」
「売上1000万まではセーフ」

と言うことを人から聞いて、単純に覚えていた私。
要は、自分の会社が免税事業者だと、勝手に勘違いしていたのです!

愕然としました…。

もろもろ計算して、およそ数十万円分の納税が必要。ギリギリの計算でやっている事業でしたから、そんなに突然キャッシュがあるはずありません。この後は、もう大変でした。本当にお恥ずかしい話です。

中途半端にわかった気でいるのが一番怖いですよね。「生兵法は怪我のもと」本当にそのとおりです。このときも、設立時に税務署へ出向いているわけですから、ちょっと相談するだけでこんなミスは防げたわけです。

 みなさんは、こんなバカバカしいミスはしないと思いますが、資本金999万円と1000万円、この1万円の違いでこんなことが起きるのは今も同じです。プロに相談するのが一番ですが、仮にプロに相談する余裕がなくても、役所の人にちょっと確認するだけで済むのですから、「わかった気」で進めないようにしてくださいね。もっとも、当時は株式会社にするには資本金額が1000万円必要でしたので…。そもそもそこにミスがあった、という考え方もありますね。

 本当に書くのも恥ずかしい、正直これまで会社の役員以外には公表していない内容でしたが、起業したい!という皆さんのお役に立てれば…と、思い切って(半ばヤケで)公開することにしました。私のようなバカ起業家はそういないと思いますが、こんな落とし穴もあるんだよということは覚えておいてくださいね。


 次の項では、よりよい会社形態と「資本金額」について考えてみましょう。

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