失敗談
1.家族、友人の応援が得られない
ネタ案自体は100本以上ありましたが、その中で迷いに迷って選んだのが、このテーマです。起業するときの、家族や友人の反対。起業を志して動き出す人の中で、およそ半分くらいが突き当たる問題です。
私の見てきたケースですと、年齢を経れば経るほど、反対される率も高い様子。もっとも、若くても「まだ若いんだから我慢しろ」とか「若いうちに雇われる経験をもっと積みなさい」とか言われるケースもありますから、必ずしもというわけではありません。
さあ、では失敗例を見ていきましょう。
【失敗例:家族に黙って起業して…】
家族に黙って退職、とか、リストラでクビになったことを家族に言えず…というケースはよく耳にします。起業の場合でも、家族に黙ってはじめた場合、成功すればまだしも、失敗すると大変です。
すでに家庭を持っている方の例では、
・勤め人のときよりも帰宅が遅くなり、浮気を疑われた
・収入が減っていることをごまかすために、サラ金に手を付けた
・手元の資金が足りなくなって、こっそり家の貯金に手を付けた
などがあります。
独身の場合でも、
・なぜかバレて田舎の両親からこっぴどく叱られた
・いざ困ったときに援助・協力してもらえなかった
などの例があります。
家族もそうですが、独身の方の場合、おつきあいしている彼氏・彼女という存在もキーポイントになります。家族や、自分の周りのごく近しい人たちには、どうせやるなら「応援されて」起業したいものです。
「でも、みんな反対するし…」
そうおっしゃる方の気持ちもわかります。私だって、自分なりに決意したことにいろいろ言われるのは苦手です。もちろん、家族に黙ってはじめたものの、今ではちゃんと周囲の応援も得ているという方もたくさんいます。反対されるくらいなら黙ってやってしまおう!と考えることにも一理あるとは思います。
でも、私は「それでも家族や近しい人たちには応援してもらってほしい」と思います。今後いろいろな失敗についてお話しますが、起業家って結構孤独なんです。つらいときに、戻れる場所って必要だと思うんですね。それはやっぱり家族や友人たちのトコロだと思うんです。退路を断って、背水の陣で…というのもカッコイイですが、もしものときを考えるとオススメできません。
そして、もう一つ。
「あなたを理解してくれているはずの家族や友人も説得できないのに、
アカの他人であるお客や投資家、銀行などを説得できるのか?」
ということを私からお聞きします。
どうですか?あなたの場合は。
【解決策:とことん話し合え!すでに始めていても、話し合おう!】
偉そうなことを言っていますが、実は私自身「黙って」始めたクチです。それはもう、あとあと苦労しました。まして、親にカネを出してもらって入学したはずの大学にさっぱり行っていませんでしたから…。
まあ、私の話はさておきまして。やはり、話し合いが肝心です。理詰めで、きちんと、粘り強く。決して感情的にならずに。相手が根負けするまで、がんばりましょう。
資金計画、経費や開業資金、事業の見込み、自分が新たな事業に賭ける思い…
きちんとまとめてから話しましょう!あなたがその努力を放棄する、というなら…あなたの起業に対する情熱はその程度の覚悟だった、ということにも受け取られますよ。
「失敗したらどうするの!」
「どうせ失敗するよ!」
「大手の会社にいたほうがいいよ!」
というような返しも考えられます。
私がよく使う反論?はこんなところです。正しいとは思えませんけれども。
・山一証券だって○○だって潰れたくらいだから、大手でも安心じゃないよ
・とりあえず○○カ月(○年でも可)だけはチャレンジさせてくれないか?
・借金はしないでやるから、やらせてほしい
・若いうちにチャレンジしなくて、いつチャレンジすればいいの?
・経験を積んだ今だからこそ、チャレンジするのに最適なんだ!
などなど、あなたも想定問答を考えてから説得に臨みましょう!
なんだか精神論っぽくなってしまいましたが、家族や友人は本当に大切にしてくださいね。起業して、成功したところで、家族や友人に祝福されない というのは寂しいものですからね。
2.起業時の借金にご注意!
あらかじめお断りしておきますが、資本金を他人から一時的に借り入れて…というのは法律で禁止されている行為なので要注意。個人で長期的に金を借りて、そこから資本金を出す、というのならいいのかもしれませんが、私は法律には全く詳しくないのでその辺は弁護士なり司法書士なりにご確認を。
さて、話が少しそれましたが、起業時の借金についてお話ししましょう。当然のことですが、起業時に借金をすることが、すべて悪いというワケではありません。店を構える場合など、ある程度の設備投資が必要な場合、どうしても手元の資金だけでは足りず、お金を借りなくてはいけない、ということもあるでしょう。こういう場合、国民金融公庫の創業時貸付や、地元の信用金庫などからの「普通の借金」なら全く問題はありません。
借りられる、ということは事業計画とあなたのひとがらにそれなりの信用を得たということでもあるわけだから、自信をもってやればOK。
今回のネタで取り上げる「失敗する借金」とは、ずばり消費者ローンなどの「利率の高い借金」のことです。
【失敗:起業直後にサラ金直行】
お恥ずかしい話、私臼井は起業してすぐ、高利の借金をしました。それも「学生ローン」から。
当時はまだ学生証を持つ身分でもあったので(ろくに出席せず、結局3年休学した後自主退学しましたが)学生ローンが使えたののです。当時はまだ法人化したばかりで、何の実績もなく、また関わっていた仕事でも入金が遅れがち。信金や国金も回ったもののなかなか手応えが得られず、結局お手軽な方法を選んでしまったというわけです。
学生ローンといっても、要は、学生向きのサラ金。利率は29.9%…いや、最初はもっと高かった記憶がありますが、こんなクソ高い利子のローンで、なんと50万も借りたのです。それも、わざわざ系列店を紹介してもらってまで。覚えているのが「アムウェイじゃありませんよね?」「マルチ商法じゃありませんよね」としつこく確認されたことですね。結構、いるんでしょうね。そういう人。
借金どころかローンも悪、というような教育を受けていた保守的一家に生まれた私が、こんなにあっさり借金をしたのには理由があって、日本のネット草創期に活躍されたベッコアメ・インターネットの創業者、尾崎氏の著書に
「広告を出したかったが、お金がなかったので『ほのぼのレイク』で借りた」
というような一文があったこと。ひとのせいにするわけではないのですが、なんだ、成功する自信があれば別に借金なんて怖くないや、と勘違いをしてしまったのです。氏の場合、結局成功して返せたからいいようなものの、私の場合にはこれがケチのつきはじめ。その後も借金を重ねて、最終的にこの学生ローン会社に返済が終わったのは、起業から9年も経った2005年のことでした。なお、その他高利の借金を返し終わったのは、2009年春のことでした。ちなみに、今も親戚から借りたお金(結構な多額)はさっぱり返せていません。
【解決策:無計画と高金利は敵だ!】
ある経営者に聞いたところ、ビジネスをやっていけるギリギリの借入利率とは
『年利で7%まで』
とのことでした。
詳しい計算式については忘れてしまいましたが、、7%を超える利子を払うような借金は、ビジネスを組み立てる上では成立しない、と強く言われたのを覚えています。知人の経験則から来ている数値なのかもしれませんが、どこか納得できる数字ですよね。
● 無計画に借金をしない
● 利率の高いところでは借りない
※ 最近は銀行、信金と消費者金融が組んで行うビジネスローンもあるから注意しよう。利率は必ずチェック!
そしてもう一つアドバイスを。
● 個人名義で借りた借金も、仕事に使ったのであればちゃんと帳簿に残す
これを徹底した方がいいでしょう。
私は数年前、個人の借金が回らなくなっていったん会社からいったん身を引いたのですが、そのとき、帳簿を適当にしか作っておらず、いくら会社に入れているということがわからなくなってしまいました。そのため、非常に難儀したのですが……この話も、本書で取り上げることにしましょう。
起業と借金は、ある意味切っても切れない縁。
計画的に借金するのであればいいのですが…私のように無計画にカネを借りてしまうと、本当にクセになってしまいます。「計画的な人は借金などしない」と言い切る人もいるくらいですから、借金には十分ご注意を。私のようなタイプは、そもそも借金せずに商売するのが、一番いいことなのでしょうね。借金話は、語り出すと止まらなくなってしまうので、このへんで。
3.資本金って、いくらがいいの?~前編
現在の会社形態は、
・合名会社
・合資会社
・合同会社
・株式会社
の4つ。
他にもNPOでの起業などもありますが、ここでは割愛します。
すこし前までなら、
300万集められるなら、有限。
1000万円集められるなら、株式。
300万未満なら、合資か合名。
ある意味迷うことなく決められたのですが、新会社法になって株式会社の資本金制限が廃止され「1円」でもOKになったことで、結局いくらにすりゃいいのか、と悩む方も増えました。会社形態については、次の項で書くことにして、この号では「資本金で大失敗?」という、起業したことのない方には「なんじゃそりゃ」というお話をまずはお伝えしましょう。
【失敗:資本金1,000万円にしたら税金が…?】
2002年、すでに起業して6年が過ぎていた私に転機が訪れました。
もろもろあって、1000万円のお金を用意することができたのです。元々会社規模の拡大を目指していた私、これを元手に、会社を株式会社にし、もっと本格的に、大規模に事業がしたい。そう思いました。
さっそく、株式会社設立にチャレンジ。登記などは、すでに1度「合資会社」の設立でやっていますが、株式会社はそれとは比べものにならないくらい煩雑。でも、入門書がありましたから、それを参考に書類を作り、あとは法務局の職員に聞きつつ、特に問題なく設立登記までは終わりました。当時はまだ「確認株式会社制度」はありませんでしたから、株式会社=1000万円以上の資本金が必要。ようやく作った1000万、ようやくのステップアップと張り切っていました。
ところが…ワナは次の年に訪れます。株式会社として初の決算作業を進めていく中で、初めて気づいたのです。
「消費税を払わなくてはいけない」
ということに。
補足しましょう。
消費税には「免税点」制度というものがあり(消費税免税事業者制度といいます)売上1000万円以下の場合には消費税の納税義務はありません。正確に言うと、「前々事業年度の課税売上高が1000万円を超える場合は当事業年度において消費税を納める義務が生じる」ということになります。ややこしいですが、要は起業して2年は消費税を納める必要はない、ということです。(前々事業年度が存在しませんから)
ところが、コレには落とし穴があったのです。
【資本金額が1,000万円以上の法人は、1年目から納税義務がある】
という注釈がつくのです。
よく見てください。
1,000万円以上。
1,000万円以上。
そう、免税点としては「1000万円まではOK、1000万1円からはダメ」ですが、1年目の資本金額については「999万円までは免税、1000万円から課税」だったのです!
「新設法人は2年納税義務なし」
「売上1000万まではセーフ」
と言うことを人から聞いて、単純に覚えていた私。
要は、自分の会社が免税事業者だと、勝手に勘違いしていたのです!
愕然としました…。
もろもろ計算して、およそ数十万円分の納税が必要。ギリギリの計算でやっている事業でしたから、そんなに突然キャッシュがあるはずありません。この後は、もう大変でした。本当にお恥ずかしい話です。
中途半端にわかった気でいるのが一番怖いですよね。「生兵法は怪我のもと」本当にそのとおりです。このときも、設立時に税務署へ出向いているわけですから、ちょっと相談するだけでこんなミスは防げたわけです。
みなさんは、こんなバカバカしいミスはしないと思いますが、資本金999万円と1000万円、この1万円の違いでこんなことが起きるのは今も同じです。プロに相談するのが一番ですが、仮にプロに相談する余裕がなくても、役所の人にちょっと確認するだけで済むのですから、「わかった気」で進めないようにしてくださいね。もっとも、当時は株式会社にするには資本金額が1000万円必要でしたので…。そもそもそこにミスがあった、という考え方もありますね。
本当に書くのも恥ずかしい、正直これまで会社の役員以外には公表していない内容でしたが、起業したい!という皆さんのお役に立てれば…と、思い切って(半ばヤケで)公開することにしました。私のようなバカ起業家はそういないと思いますが、こんな落とし穴もあるんだよということは覚えておいてくださいね。
次の項では、よりよい会社形態と「資本金額」について考えてみましょう。
4.資本金って、いくらがいいの?~中編
では、今号では「会社形態」の選び方について考えていきましょう。
内容はずばり「株式会社で、ほんとにいいの?」というお話です。
【失敗:株式会社にして大失敗】
特に実益などは考えず、格好を付けて「株式会社」を選択した起業家は結構いるもので、彼らは起業後にそのめんどくささに困っているケースもあります。私もたまに思いますよ、株式会社なんかやめときゃよかったって(苦笑)。
もちろん、将来的な株式公開を考えている、というような気宇壮大な方の場合、株式会社を選ぶしかありませんが、それ以外の方はちょっと待った!よく考えてみてくださいね。
●株式会社のメリットとは
何と言っても、企業イメージが良い。
これにつきますね。
他にももちろん「株」を発行することで多くの人から資金調達が可能、とかがありますが(というよりだからこそ【株式】会社なんですが)、起業したての大半の方には、このメリットが一番。私は以前「合資会社」という形態で会社を運営していましたが、合資会社だと領収書ひとつ取るのも面倒でした(10年ほど前は)。
「ごうしがいしゃユータック、でお願いします」
と言ったときに、字がわからない、ということも多々ありますが
「前株ですか、後株ですか?」
などと言われたこともあります。たしかに、会社の形態なんて有限と株式くらいしか普通の人は知りませんものね。
求人の際にも
「合資会社ってなんすか?」
と質問されるなど、結構説明だけでも面倒。一方で、「今どき合資とはめずらしいですねー」と、営業に行った際の話のタネにもなりましたから、モノは考えようかもしれません。
●株式会社のデメリットとは
以前なら「1000万円集めないと作れないこと」が最大のデメリットでしたが、これがなくなった今のデメリットとは
・設立時の手続きが若干面倒(公証人の定款認証など)
・登記費用が高い
・決算公告が必要(決算の数字を公表しなければならない)
・役員の任期がある
などがあります。特にこの中で「登記費用」と「決算公告」にターゲットを絞りましょう。
詳しいことは司法書士さんのサイトでもどこか検索していただくとして(手抜き)ここでは概要を述べます。おおざっぱに言って、登記費用が約14万円ほど、高いんですね。登記時の「登録免許税」(収入印紙で納める)が9万円合資・合名や合同会社に比べて違うほか、定款認証手数料も必要。「1円起業」と言ったところで、登録免許税はかかりますからね。
そして、決算公告。以前は「官報」というもの(見たことあります?)に載せるのが定番で、こちらの掲載料が最低でも5万以上したものです。最近では「電子公告」と言ってインターネットのWebサイト上で告知することもOKになりましたので、費用も手間もかなり楽になったのですが、それでも問題は残っています。それは…決算の数字が明らかになってしまう、ということです。
ある意味で言うと正しいことなのですが、起業したてで、ほとんど売上がゼロだったとしても、正直に(あたりまえ)公表しなくてはならないのです。「ウチは売上ないですよ~」って。かっこつけてもしかたないのですが、ちょっと精神的に大変、という方もいるかもしれません。
私の会社なんかも、今は常勤は私だけ、ほかは役員1人だけで社員ゼロですから、売上も微々たるもの。まじめに仕事はしていますが、どこか恥ずかしい気持ちになることもあります。
【対策:新形態、合同会社を見直そう】
株式会社は何しろかっこいいですし、誰に言ってもわかる会社形態。ちょっとの面倒さをガマンすれば、まあこれが最良の形かもしれません。でも、本書ではあえて別の形も推薦しましょう。それは、合同会社です。
新会社法が話題になっていた時期には、日本版LLCというような言われ方もしましたが、
「組合的な形態で、出資者に関し【有限責任】を認める会社形態」
です。
ややこしいのですが、
・出資者の責任は株主などと同様、有限責任であり、たとえば破産したときにも出資額が返ってこないだけで済む。
・機関設計が自由で、利益分配比率や議決権の分配も、出資割合(金額)によらず決めることができる
というような特徴があります。
新しく設立することができなくなった有限会社に変わり、合同会社の設立が増加しているとか。「有限責任の小規模法人」向けの形態です。仲間内で起業する場合や、複数の個人事業主に近い形の人が集まって法人化するときにはぴったりの方法。名前もようやく知られるようになった程度ですが、いまから起業するのなら検討するに値するのではと思います。
5.資本金って、いくらがいいの?~完結編
■資本金額って、見られているの?
新会社法の施行以来、「株式会社=1000万円以上の資本金額」という図式は成り立たなくなりました。もともと、公表されている資本金額は、実際に会社が持っている金額とは何の因果関係もありませんでしたので、資本金の額が高いから信用できる会社、と一概には言えないわけです。ただ、それにも増して、「株式会社だから信用できる」というイメージが崩れたことが、一般の方にとっては結構大きな要素なのではと思います。
で、実際資本金額をどれだけ見ているかという話ですが、企業対企業で取引しようとする場合、中堅以上の企業や、売掛(現金引き換えとかではなく、ツケで買えるようにする)が発生する取引の場合には、事前に相手企業を審査(与信審査)することがあります。 各社によってどの数値を評価するかという基準はもちろん違いますが、以下のようなところを見ているそうです。
・社歴(長く商売を続けているのか)
・主要取引先
・直近の売上高
・資本金額 など
資本金額についても「一応一定の評価はする」と言うところが結構あるようで、以前合資会社で商売をしていたときには、私の会社の資本金額が30万円だったので「なぜ資本金額が30万円なのか?」という問い合わせを受けたこともあります。(質問の真意はわかりませんが)
ところで、資本金額が少ないときに困るのが、書類なんです。とある企業から「記入するように」と渡された台帳には
「資本金額: 百万円」
という欄がありまして、これはどうしたものかとしばらく考えた末、
「資本金額:0.3 百万円」
と書いて提出したこともありました。結果、審査は通ったからいいようなものの…。今考えてみれば「百」を二重線で消せばよかったのではと思いますが。ちょっと恥ずかしい経験ですね。
とまあ、資本金といやぁ100万以上だろ!と考えている企業(というより過去は百万単位以上がほとんどだったわけですが)が圧倒的に多かったわけです。
■資本金額を評価する理由は?
今までにお話ししているとおり、資本金額=会社にその分の現金がある というわけではありませんから、資本金額なんて屁の突っ張り(某金メダリスト風味)にもなりません、と考える会社も多くあります。
一方で「一定の評価をする」という会社もあるわけですが、それはなぜでしょう?
探ってみたところ、
「少なくとも設立時には、資本金額分のお金を集めることができたということ
を評価する」
という話を聞くことが出来ました。なるほど、という感じですよね。ちなみに、ある程度の規模、資本金額の会社になると株主の構成までチェックすることもあるそうです。
■会社形態は見られている?
いわゆる歴史ある、古い会社や大企業の中には、やっぱり株式会社と有限会社しか会社組織じゃないと考えているようなところもあります。ですが、合資時代の感想から言えば、一般の方には知られていなくても(前項でお話した領収書の件なんてその好例ですよね)、銀行の融資や取引の際にはあまり影響はなかったですね。もっとも、ウチは超大手と直接取引するようなことはありませんでしたが。
最近はどうかというと、合同会社も設立数が増えてきましたし、そもそも起業される法人の数が昔に比べてかなり多くなっていますから、会社形態によって「門前払い」されるようなことはあまりないのではと思います。ただし、担当者個人の印象までは変えられませんから、「株式会社じゃないのかよ」と思ってしまうタイプの方に当たってしまうと、それなりに苦労するかもしれませんね。
■それ以外に参考にされることって?
・帝国データバンクなど第三者機関の調査結果
・社長個人の信用情報
・主要な取引先の信用情報
与信の際に参考にされること、というと他にこのようなことがあります。長く会社をやっていると、私のところのような小さい会社にも帝国データバンクなどの調査会社が来ることがあります。たいていは、取引先が依頼しているのでしょう。社長に話を聞いて帰る、という程度の調査であることがほとんどですが、多少緊張しますね。
「社長個人の信用情報」とは、具体的に言えば社長本人の借金や資産の状況です。特に借金系、銀行や信販会社のデータベースでいわゆる「ブラック」になっている人は大変なことも多いです。
私なんぞもそのクチで、以前に社業から離れた際に個人名義の借金を弁護士に依頼して「任意整理」してもらいました。その結果、信販や消費者金融のデータにキズが付いてしまいました。その影響で、私の会社ではカード決済をやろうと思ってもなかなか通りません。ただ、一般の企業としての取引は全く問題なくやれています。最近は銀行や信金からの借金をせずに会社を経営できていますので、いざ借りるとなったときにどうなのかはまだ未知数ですが。以上、またしても私のお恥ずかしい話?でした。
最後が「主要な取引先の信用情報」。
どこかに提出する書類の「主要な取引先」には、取引金額が大きいところを書くのが普通ですが、やっぱりここに大手の企業を書きたくなりますよね(笑)。それはそうと、主要取引先の状況まで調査する、というケースもあるんだとか。連鎖倒産もあるご時世ですから、そういうところまで見るのですかね。
【対策:資本金額は、1000万「未満」の多めの額?】
さて、最後になりますが資本金額について考えてみましょう。ここではあくまで「小規模での起業」をターゲットにしています。多数の株主、出資者を集められる環境であればもっと大きなサイズでの起業を目指すほうがいい場合もあります。
これまでのことを踏まえると
・株式会社は一番イメージはよいが、手続きなどがちょっと面倒、金も少し多く掛かる。
・資本金額は1円でもOKだが、イメージは良いわけではない。
・資本金が1000万円以上になると、税金がごにょごにょ。
・各種会費とかも資本金1000万円を境に変わるものが多い。
(※商工会などの会費を調べてみてください)
ずばり、私の推薦する資本金額…それは。
1)1000万円未満の出来るだけ大きい金額
または
2)100万円
さらに
3)1円
のどれか(幅広いですね)です。
1)は、デメリットもある1000万円にならないようにするが、努力の成果を見せるための選択ですね。
3)は「権威や今までの常識なんて関係ない!」という方にぴったり。20代で起業するなら、1円起業、かなりオススメです。ただ、本当に1円で会社設立できるわけじゃないですからね、ご存じでしょうけど(笑)。30代以上だと…どうでしょう。「貯金無いのかよ」とか思われるのもなんですよね。イメージの問題だけですけど、もうちょっと格好つけましょうか。
2)は、いいとこどり、の勝手な案です。でも頑張った感もあるし「1百万円」と書けるし(笑)、小規模起業にはいい金額なんじゃないかと思います。いかがですか?
現金がない、という場合には「現物出資」という手もあります。全額を現物出資というわけにはいきませんが…詳しくはネットで調べてみてください。
6.「肩書き」で大失敗?
【失 敗 : 創業直後に「大げさな肩書き」を付けたら大失敗?】
■起業家を悩ます?肩書きの問題
起業してから数年の間、いやそれ以上悩まされる「肩書き」の問題。致命的ななにか、が起こるわけでもない、どちらかというとどうでもいい問題ではありますが、考え始めると止まらなくなるのが肩書きの悩みなんです。若手、特に20代までの起業家では特によくある話です。
■会社の代表者の肩書きとは?
まずは、こんな質問から。
会社を代表する人物の肩書きとは? と聞かれて真っ先に思い浮かぶのはなんでしょう。
社長?
CEO?
代表取締役?
公式に会社を代表するのは、基本的に「代表取締役」という役職を持っている人ですよね。
※合資・合名会社の場合には「代表社員」「無限責任社員」などになります。
合同会社の場合は「代表社員」です
社長とかCEOとか会長とかは、社内での職位であり、呼び名。この部分はある意味、自由に付けることができます。それをふまえた上で、次へ行きましょう。
■小規模企業・社長の名刺
一人、もしくはごく少人数で起業した場合に困るのが代表者の名刺です。素直に「代表取締役」の名刺だけ作っておけばまあ問題はないのですが、一人で営業も事務もなにもこなさなくてはいけない場合、ちょっと困ることもあります。
私の場合、起業直後にはある方のアドバイスで
「代表」と「営業担当」
の2枚の名刺を作っていました。銀行や役所、そして飲み屋(笑)などでは代表の、そうでない場合には営業の名刺を出すというふうにしていたのです。
※本当は「無限責任社員」と「営業担当」にすべきなのですが、合資会社における無限責任社員とは…という説明がわかっている人が少ないので、単に「代表」としていました
私は起業当時21、2歳でしたから、こんな若造が「代表」の名刺を持って飛び回っているのとどう見えるのか…というところに自信が持てなかったから、このようにしていたのです。現在では若くして起業する人も目立ってきましたから、理解は得やすいでしょう。私のように2枚の名刺を作るのはただの過剰反応かもしれませんね。ただ、一人で起業した場合には、代表名刺と、肩書きのない名刺の2種類を用意してもいいかもしれません。これは私の個人的な感覚ですけれどもね。
【注意】
2枚の名刺を使い分けていて一度だけ困ったことがありました。それは、営業名刺を出していた相手とトラブルになり「上司を呼べ!」と言われたとき(笑)。何しろ上司なんて居ませんからね。私が社長なんですから。
■代表者と「同格」の人の肩書き
さて、今回のメインの「失敗」です。
私は起業当初、相棒と二人での出発でした。当時名刺を作るにあたり、私の肩書き問題は上記のように二種類の名刺を作ろう、という程度で落ち着いたのですが、残る問題は相棒の肩書きでした。
書類上では私が無限責任社員、彼が有限責任社員と私が代表権を持つことにはなりましたが(彼が上に立つのが面倒、という思いもあったようですが)、気持ちとしては同格のつもりです。
一人がは社長なら、もう一人は副社長か?
そう思いましたが、私自身「社長」を名乗る気はさらさらなくて(気恥ずかしかったんですね)、代表と名刺に記載したわけですから、一方だけを「副社長」にするわけにもいかない。株式や有限会社のように取締役がいるわけでもないし…。かといって代表とヒラというのもなんとなく気が引ける(私が)。
ということでひねった末、私が「代表」、相棒は「チーフマネージャー」という肩書きを付けることで落ち着きました。なんだか違和感もありますが、当時はこれはこれで馴染んでいたんですよ。某所で一緒に仕事をした方は、名字で気軽に呼んでもらうようになるまで、ずっと相棒のことを「チーフ」と呼んでいましたね。そういえば。
話は長くなっていますが、まだ失敗の話ではありません(笑)。ここからが本題。
■中途入社のメンバーの肩書きで失敗!
そんなこんなで1年ほど仕事を続けたころ、我が社に初のメンバーが入社することになりました。私の友人で、年は1つ上のエンジニア。某大手系列の孫会社でSEとして働いていましたが、ウチの会社でシステム開発の案件が発生したため、口説きに口説いて入社してもらった人でした。
当初は給料もまともに出ない、そんな環境に来てもらうわけですし、ましてや将来的にはウチのシステム部門を大きくしてもらいたい…そんな希望を込めて、私、そして相棒と同格の「ほぼ創業者」格で入社してもらうことにしました。(もちろん、実際には給与を私が払わねばなりませんから、完全にイコールではなかったのですが)
入社前、私は彼にこう言いました。
「あなたの名刺を作る。肩書きは自由に決めていいよ。俺らと同格なんだから、事業部長でも副社長でもシニアバイスプレジデントでも好きに名乗っていい」
数日後。
まじめで、ハンサムな彼がじっくり考えてきた肩書きが
「上級副社長 兼 CTO」
でした。(CTO=最高技術責任者)
資本金30万円の合資会社の3人目のメンバーには、チト似つかわしくない肩書き。正直、二人で飲みながら話していたネタをそのまま持ってきたような肩書きでした。面食らいましたが…彼がそれでいいならと名刺を作成。
その後は…まあだいたい想像の通りです。
彼は友達に名刺を配ってはニヤニヤされ(不快ではなかったようですが)、私や相棒と同席した商談等では、先方から「一人だけまるで違う会社のようですね」と言われ、人によってはクスッと笑われる結果に。(外資系ですか?と真顔で言われたこともあったような)
とか書いている私も、一度「CEO」って入った名刺を作ったことがあります。今となっては笑い話ですし、初対面の人との話し始めのネタにはなりますのでこれも一つの方法かな、とも思いますが。
前項までの資本金の話にも通じますが、背伸びしすぎというのもマズいですよね。何事もほどほど、中庸が一番です。特に、年配の方や役所、銀行を相手にするときには気をつけましょう。こうした方々は「いわゆる常識的」な考え方を好まれる傾向にありますからね。
【解決法 : 大げさな肩書きや、わかりにくく長いカタカナ肩書きはつけるな!】
というところで、本項はこれまで。
7.「事務所」で大失敗?
【失敗1: 地下に事務所を構えて大失敗?】
「前書き」で予告したネタです。
これ、私の体験談なんですけれどもね(苦笑)。私の会社で8年ほど前に使っていた事務所、地下だったんですよ。
地下に事務所を構える第一のメリット。それはもうなんと言っても「安い」こと。近隣の同レベルの広さのある物件と比べ、格段に安い。2割かそこら違ったんじゃないかな、と記憶しています。
第2のメリットは、静かだということ。物事を考えるにも、会議をするにも最高です。
しかし、結構大きなデメリットもあります。ひとつずつ見ていきましょう。
■電気代がかなり掛かる
地下室はその構造上自然には空気が流れません。(半地下なら窓があるところもありますが、完全な地下室だと…)ですから、終日エアコンや換気扇を付けっぱなしにしなくてはなりません。まして、誰かがタバコを吸うような事務所ですとなおさら。もちろん、照明も付けっぱなしになります。この電気代、かなり掛かるんですよ。幸い、冷暖房の効率は良くなりますが…そのメリットを打ち消してしまうほど、デメリットは大きくなります。
■湿気がひどい
物件にもよるでしょうが、湿気がひどいことが多いですね。PCなどの機材にも良くないでしょうから、湿気取りや除湿器、エアコンなどでどうにかして湿気を取らなくてはいけません。
■昼夜がよくわからない
一日中静かな代わり、外光が入ってこない環境ですので、今が昼なのか夜なのかもわかりません。もちろん、時計を見ればわかりますが、地下で仕事をしていると、普通に外光が入るところで仕事をしているよりも、事務所に長居してしまう傾向がありました。事務所に長くいる、ということは結果的に、もろもろのコストに跳ね返ってくるわけですね。
■風水的に悪い?
これは又聞きの話で、本当かどうかは知りませんが「気」の流れが良くないとかで、そもそも事業の事務所には向いていないらしいんですね、地下室って。
■洪水が起きる?
物件の構造が悪かったり、思いの外激しい集中豪雨に見舞われたりすると、地下室にどっと水がながれこんでしまうこともあります。私の事務所でも一度、チョロチョロレベルですが水が入ってきて困ったことがありました。
★もっとも、これはあくまで「事務所」としての地下室の話です。バーなど、地下にあってもさほどデメリットがない、メリットの大きい商売もありますから、すべて一概には言えません。安い、広い、静か…という一見大きなメリットのある地下事務所ですが、実はその裏にはさまざまなデメリットもある、ということは覚えておいて損はないかも。
【失敗2: 他社と共同で事務所を借りて大失敗?】
さて、事務所の失敗その2。こちらも私の失敗談です。
その後あちこちの知り合いに聞いてみたところ、似たような失敗をしている人も結構いましたので、ある意味ポピュラーな失敗と言えるでしょう。
埼玉が本拠地だった私の会社。取引先の大半が都内の会社で占められるようになった頃、いろいろと便利だから都内に事務所を移そう、という話になりました。
ですが、事務所を移すにも私たちのような極小規模の会社では何かと大変。そんなときに、知り合いの某氏から「いっしょに事務所を出さないか」との話がありました。これ幸いとその話に乗る私たち。よさげな物件も見つけ、不動産会社、大家さんに相談したところ「どちらかの名義で借りて欲しい。又貸しは許可するから」とのことに。話し合いの結果、某氏の会社が主体となって借りることになりました。
問題なのは、敷金、礼金。礼金については資産にならないお金ですから、単に折半して払い、領収書を某氏の会社名で切ってもらうだけ。ところが敷金は、資産として帳簿にも残りますからどうしたものか。考えた末、賃貸の名義通り、某氏の会社がいったんかぶりました。
こうして、念願の事務所がオープン。社員数はこちらのほうが多かったのですが、占有スペースはほぼ同じくらい。家賃、電気代、水道代などは半額ずつということにしました。ところが……。
某氏の会社では消費電力の大きいサーバーを続々と導入、稼働させるなどしてどんどん消費電力が増えてきました。最初のうちは黙っていましたが、次第に「こちらが使う分は増えていないのに、電気代が高くなりすぎる」という不満が沸いてきました。某氏と交渉の末、電気代負担については毎月見直す、ということになりました。
電気代問題に決着が付き、やれやれと思っていたころ…。今度は某氏の会社が、事務所から撤退すると言い出したのです。話を聞けば、思ったより儲からず、赤字が大きいので自宅に事務所を移すとか…。これには困りました。私たちの事務所までも無くなってしまう……。
かといって私たちだけでそこの家賃を払い、敷金を追加するほどの予算はありません。仕方なく私たちも一緒に事務所を引き払い、別の物件に移ることになりました。本社の登記をそこの物件に移していたので、この登記変更にも当然お金はかかります。後々計算してみたところ、自分たちだけで物件を見つけて、借りた方がよほどトクだったのです。
共同で事務所を借りる場合にはワナがあります。社長同士が親しいからと言って、共同利用するのは考え物。どうしても単独で借りるのが難しい場合には、シェアオフィス、レンタルオフィスや各種インキュベーション施設などを検討しましょう。
8.「事務所」で大失敗?その2
【失敗3: タダで事務所!の甘いワナ】
私も一度経験のある「大失敗」です。
他にも数人、こうした経験をしたという方に会ったことがあります。
その失敗とは…。
「タダで事務所(店舗)を貸してあげるよ」
の一言から始まります。
私の場合、会社のメンバーの友人から持ち込まれた話でした。「都内某所に事務所を持っている人がいるのだが、その人だけでは事務所が広すぎるので一部のスペースを使わないか?留守番や電話番をしてくれれば、ガス代や電気代の一部を払ってくれるだけで家賃は要らない」という話でした。
別の方の例では、こんな感じ。「バーを経営しているのだが、昼間物件を空けておくのがもったいない。儲けが出たらその中から数パーセント払ってくれればいいから、タダで昼間店を使わないか?」という話だったそうです。
どちらも、さっと聞くといい話のようですが、その結末は…?
■タダの事務所、引っ越すときに○○万円?
タダ同然で間借りした事務所ですが、わずか1年弱後…。貸してくれた方との間にトラブルが発生。なんと、引っ越し費用や、仮住まいの費用などもろもろ200万円以上を請求されるハメになってしまいました。貸してくれた方の「上」に、とんでもない人がいたのです……。これ以上詳しくは書けませんが、私の起業人生13年弱のなかで、一番のピンチだったかもしれません。お金の問題だけじゃなくてね。ほんと、今思い出してもハラハラドキドキします。
■タダの間借り店舗、機材トラブルで○○万円!?
バーの件では、仕事はそこそこうまくいっていたそうです。ただ、あるとき、エアコンや什器が連続で壊れてしまったとか。それを、どっちが壊したということで争いとなり、結局順調に続けていたお店(カフェと軽食の店だったそうです)はあきらめることに…。オマケに、修理費用などをたっぷり請求されたそうです。その額、合計100万ほど。
とてもじゃないが払えないと交渉した結果減額してもらったそうですが、その方は「もう間借りはこりごり」だそうです。
★結論☆
前項でもとり上げましたが、間借りや共同利用はトラブルの元。できるだけ、避けましょう。
【番外編: 雑誌に取材されて大失敗?】
起業すると、結構な割合で掛かってくる電話に
「タレントさん(または有名人)をインタビュアーにして、社長さんにインタビュー・取材させていただきたいのですが…」
というものがあります。これ、100%ではありませんが
「取材費用と称して、掲載料を取る業者」です。
マスコミ業界にいるとわかりますが、ふつう取材をお願いするときは、タダか、もしくは取材経費・謝礼を逆にお支払いします。お金をいただく場合には、それは「広告」。完璧に区別しています。
ですから、「取材」という言葉に早合点してOKしないでください。必ず、「料金が掛かるのかどうか」を確認してくださいね。区別するポイントは、タレントやアスリートなどが来るというところです。Yesと返事をする前に、社名を聞いて、ネットで検索しましょうね。
まあ、別に「反社会的」とまでは思いませんので、お金を払ってでも掲載したい方はチャレンジしてみてもいいかもしれません。ただ、こうした媒体は別に書店売りしているわけでもありませんし、はっきり言ってあんまり見かけません(笑)。それに、あるところで聞いた話では、こういう媒体に載っている社長さんは「カモ候補」としてリストアップしている業者もあるとかないとか…。この真偽はわかりませんがね。
ああ、もう一つ。
最初は●万円と決めていても、取材終了後に値上げしてくる悪徳業者もいるそうですから、くれぐれも気をつけてくださいね。
9.創業者の仲間割れ
「起業するなら1人、もしくは偶数人数で」
なぜかと言いますと、1人の場合は例外として、奇数人数で起業した場合には、何か対立点があった場合に1対2など「優劣が付く可能性が高くなりその結果として分裂しやすい」という話。何のデータも取っていないただの経験則なのですが、多数の取材から導き出したネタですから、あながち間違いとも言えないと思っています。
というわけで、今回のネタは「創業者の仲間割れ」。
起業したて、もしくはちょっと順調に行き始めた頃にありがちな話です。
まずここでひとつお断りなのですが、私は「仲間割れすること」イコール悪いこと、とは思っていません。夫婦でも友人でもなんでもそうですが、お互い悪感情やしこりを抱えたまま、ぐずぐずと関係を継続するよりも、すっぱりと精算してしまった方がよいということも往々にしてあるからです。ただ、せっかくの起業をコケさせるような無用な分裂を避け、無意味な仲間割れをしないようにするために、このネタを取り上げることにしました。
では、具体的な失敗例を。
【失敗1:「分け前」で大失敗、仲間が分裂の危機】
いろんなところで聞くパターンです。それこそ、窃盗集団などでもよくある事例(笑)。
がんばった!儲かった!さて、分け前をどうしよう。俺だ、いや俺がやったからだ…。そんな言い争い、どこでもあり得るんですよ。
例)営業担当と技術担当の二人で起業
→ 営業を担当していた人は「自分が客を取ってきたからだ」
技術を担当していた人は「自分が技術を開発したからだ」
営業の出来るヒトは「声が大きい」(比喩ですよ、わかりますよね)のが普通。技術系のヒトは、そういうところが弱いことが多く、言われるがまま、うまく反論できないケースもあります。そうなると特にまずい。しこりが残ったまま、仕事を続けるのは大変です。いつ暴発するかわかりませんからね。実は、創業者同士での仲間割れではありませんが、私も仲間に対してしでかしたことがあるんです、この失敗。
例)営業担当と、事務担当の二人で起業
→ 営業担当は「俺がいなかったら会社にカネが入らない」
事務担当は「じゃあおまえが書類整理してみろ」
このパターンでこじれるとやっかいですよ。
まだ前の例では、技術担当も「稼いでいる」イメージがありますから、きちんと冷静に話し合えば問題ないことが多いのですが、主に外に出る担当と、社内でしっかり守るタイプのコンビは大変です。
営業でそこそこの実績を上げたサラリーマンに多いタイプでもあるのですが、営業成績を上げたのは自分の手柄、と思い込んでいるヒト、結構いますよね。でも実際には、見積書を作ってくれたり、領収書を整理して経理処理してくれたり、契約書の書式を作ってくれたり、そういう事務方、裏方さんなしには、仕事は出来ないハズなんですよね。そこを勘違いしているヒト、結構います。あなたはもちろん、大丈夫ですよね?
【失敗2:「負担」で大失敗、創業者分裂の危機】
今度は、逆のパターンです。
何かに失敗して、借金ができたとき。お金を払わなくてはいけないとき。
例)社長の肩書きが付く人+つかない人の二人で起業
→ 社長「共同創業者なんだから、二人で負担しよう」
社員「やだね。あんたが社長なんだから」
まあ、しごく当然の結果に。これはねえ、私もよくわかりますよ(笑)。とことん話し合うか、それとも社長が泣くか。これから「社長」のカンバンを背負おうと思っている人は覚悟しておいてくださいね。最初から腹をくくっていれば、問題にはなりませんからね。といっても、共同で始めたのだから…と思うのも当然の心理ですよね。
★解決策☆
かならず、儲かる前、負担ができる前…つまり起業するときに、あらかじめ取り決めを作っておきましょう。くれぐれも、問題が出てからではなく「先に」。
・いついかなる場合でも、もうけは折半にする
・いついかなる場合でも、負債は折半にする
とか。あとは、
・便宜上Aが社長を名乗るが、Bも社長同様の責務を負う
というような。
まあ、契約書にまでするのが一番いいんですが、結婚時に離婚するときのことを考えながらってのも味気ないですからね。血判状じゃないですが、お互いの誓約書程度でいいんじゃないでしょうか。ともかく、取り決めを何らかの形に残すのが重要です。あとは、面倒でも「共同代表」にしておくのも一考すべきかと。二人でやるなら、二人とも代表取締役。代表社員。そうしておくことで、法的にも同格ということを示しておくのもいいですね。ただ、これでは何かと面倒ですけれども。
さて、ここまで読んでみていかがでしたか?起業前の方はこう思ったかもしれません。「仲間割れするのはイヤだから、ひとりで始めよう」と。それもひとつの選択ですが、ひとりではなしえないことも、仲間とならできるかもしれません。
歌にもあるじゃないですか、
「ひとりより二人がいいさ、二人より三人がいい」
…わかる方はきっと同世代ですね(笑)
10.ハローワークで大失敗?
事実不景気なんですが、こんなときこそ逆にチャンスです。「採用」を考えている方、今後いずれは人を採りたいと考えている方必見のネタです。題して「ハローワークで大失敗?」。
人を採用する、となると誰しも思いつくのが
・求人媒体に広告を出す
・ハローワーク(職安)に求人を出す
・知人・友人づてに探す
・人材紹介・人材派遣業に頼む
こんな方法だろうと思います。
人手が要る、と言うときにはまずこのコトバを思い出してください。
「身内より安い社員なし」
大事なことなので、もう一度(よくある手ですな)。
「 身 内 よ り 安 い 社 員 な し 」
身内をうまく利用しよう、という話はそのうち。今回はハローワークがテーマです。
ハローワークのいいところは、何と言っても「無料」であるということ。ただ、無料であるが故に採用も玉石混淆、いや「石」の方が多いのでは、と思えるほど。これは、実際に職を探しにいったことがある人ならおわかりいただけると思います。
しかし、無料である程度広く募集を掛けることができるのはハローワークの魅力でもあります。では実際、ハローワークに求人情報を出すとどのような結果が得られるのでしょうか。某私の会社が昔やった例でお話ししましょう。
ハローワークに出す。
応募が来る。
とにかく来る。電話が鳴る。
どこのハローワークでもそうなのかは知りませんが、まずはハローワークの担当者(職員)から電話で連絡が入ります。これがまず面倒。社長一人しかいないような会社だと、まず電話に出られない。かといって携帯にすると…まあ面倒くさい。
電話で言われるのは「こんな資格をもったこんな人が来てるんですが御社が求人を出している○○職に応募してもいいですか?」とまあこんな感じの言葉。とりあえず誰でもいいから見てみよう、という場合には「はいどうぞ」で済むのですが、ちょっと細かく聞いてみたい場合は大変。
「パソコンOKと言いましても具体的にはどんな感じですか?」
「本人が大丈夫って言ってるんですが…えーと…ワード?とエクセル?ができ
るとか」
「何か資格は持っているんですか?」
「えーと…(電話の向こうで話す声)…本人にかわります」
とかまあこんな感じです。とにかく、まどろっこしい(笑)。その上、こんな失敗までしでかしちゃうことがあります。
【失敗1:山ほど応募が来て大失敗】
・求人がそもそも少ない地域
・珍しい職種
・人気のある職種、業界
・高齢者にでもできそうな職種
・給料が相場より高め
・休みが多い
上のような条件を満たす求人はそもそも人気。
もしもこんな求人がハローワークに登録されたら…そりゃまあすごい騒ぎになります。電話じゃんじゃん。応募続々。小規模企業では、受け付けて、面接して…というだけで日常業務の邪魔になりかねません。実際、私の会社でも電話がちょくちょく鳴って大変だったことがあります。まして今のような経済状況、社会状況ですと求人を出しているだけでたくさんのアプローチが来ることが予想されます。
【失敗2:ハローワーク担当者にキレて?大失敗】
ハローワークは基本的にお役所ですから、リ○ルート社や○ンジャパン社のようなきめ細かいサービスは受けられません。また、担当者によって対応や「能力レベル」もまちまち。(これはどんな企業でも役所でもそうなんですが、ね)
職を求めている人を、紹介するという目的のためにがんばっているのはわかるのですが、明らかにウチの会社には合わない、と言う人を「とりあえず本人も本気なので一回面接してみてください」という押し売りのような担当者もいれば、求人票に書いてあることもろくに読まずに電話してくる人もいるんです。もちろん、大多数の人はちゃんとしているんですが…。
こちらも人間ですから、あまりにもいいかげんな対応をされるとイラっとくることもあります。私ではありませんが、担当者にキレてしまい、その場で「もう結構です!」と怒鳴ったことのある人事担当者さんもいます。
【失敗3:営業電話がじゃんじゃん鳴る】
これは求人広告を出したときも同じなのですが…。
いちいち調べているのか、広告会社から「求人広告いかがです?ハローワークに出されてますよね?」と売り込みの電話が掛かってくるようになります。私も求人広告関連で仕事をしていますから何とも言えませんが、何度断っても同じ会社の別の担当者から電話が…なんてこともしばしば。本当にどうにかならないものですかね。
まあ、これは失敗というほどのお話ではありませんが。
さて、以上のようなことを踏まえて、ハローワークをどのように使えばいいのかを検討しましょう。
【アドバイス1:ハローワークにどんな求人が掲載されているかを知ろう】
まずは現状をしっかりと知ることが大切。ハローワークは、幸いWeb上で求人を検索することができます。求職者じゃなくても大丈夫ですので、一度見てみましょう。
→ https://www.hellowork.go.jp/kensaku/servlet/kensaku?pageid=001
注:ここに掲載されているのは、すべての案件というわけではありません。
(Web転載不可の案件もあります)
あなたが募集を掛けようと思っている職種、地域、業種…それらのデータを検索し、
・給与相場がいくらくらいなのか
・他社ではどのような条件をつけているのか
を見てみましょう。
【アドバイス2:少しだけハードルを上げよう】
他社の案件を見たら、そこから少しだけハードルを上げてみましょう。
ただし、給与額を減らすのはチト考え物。想定していた給与額は、そのままでいきましょう。表示する給与額を下げると、どうしても応募者のレベルは下がってしまいます。
私の会社でやった例ですと、
「選考の際に400字の自己PR文をお書きいただきます」
というようなもの。職種が編集者・ライター(未経験者歓迎)でしたので、妥当な選考方法と判断してもらえたようです。
これを書き加えた場合と、そうでない場合では(時期が違うために単純比較はできないものの)応募者が5倍違いました。つまり、作文アリだと応募者が5分の1になった、ということですね。
【アドバイス3:担当者(係員)と直接話して要望を伝えよう】
一般事務など、よくある職種で「2」でお話ししたような、選考ハードルを上げることが難しい場合も含め、できればやった方がいいのがこちら。
基本的にハローワークでは、書類さえきちんと整っていれば、求人は受理され、早ければ当日~翌日にはデータが登録されます。普通なら書類を出しに行くだけ、場合によっては郵送でもいいわけですが、そこで一手間。
実際に人事担当者がハローワークに出向いて、係員に直接手渡し、さらにその際に「相談」をするのです。
「このように書いたが、ウチはこれこれこういう会社だから応募者とのミスマッチがないようにしたいので、相談したい」
そういえば、担当者と直接話ができるはず。細かい仕事の内容や、こういう人でないと困る、こういう人はよこされても困る、という風に要望を伝えておくのです。ハローワーク側でも、ミスマッチが多いと問題になりますので、こうしたきちんとした事前相談にはちゃんと対応してくれるはず。書類を出して終わり、ではダメ。
言葉は悪いですが、役所は担当者を「うまく使う」ことでよりいっそう活用することができるのです。担当者が何を思って求職者に求人案件を紹介しているのか…。それを直接会うことで探るのです。こうすることによって、ハローワークを使っていても「まるで合わない応募者が来る」という可能性を減らすことができます。
応募者にとっても、求人している会社にとっても、ミスマッチは時間と費用の無駄ですからね。
11.社長はどこ?で大失敗
中小規模の会社がぎくしゃくするときの原因には、いくつかの黄金?パターンがあります。そのひとつが「コミュニケーション不足」。コミュニケーション不足は、日本人の悪い癖と言うことができるかもしれません。なにせ「ツーカー」文化(携帯じゃないよ)の国ですからね。。
「言わずともわかるだろう、通じているだろう」
とか、
「なんとなく言いたくない、言う気にならない」
「はっきり言わずに済むなら、そうしたい」
と思ってしまい、はっきりと意思表示をするのが苦手な人も多いですよね。かくいう私も、基本的にはズバズバものを言うように見られがちですが、実際には、あまりはっきりものを言いたくないタイプ。少し話が逸れましたが、いわゆる「ほう・れん・そう」であるところの報告・連絡・相談 がうまくいっていないときは、得てして会社がうまくいかなくなってしまうものです。
その亜種、と言えなくもないのが今回のケースです。
【失敗:社長や役員がどこにいるか、何をしているかわからない…】
小さな会社では、社長が営業も兼ねていて朝から晩までどこかを飛び回っている…ということは珍しくありません。また、大企業のように秘書やサポートする社員がきちんと付いているわけでもありませんから、社長のスケジュールは社長にしかわからない、という状態もある意味、普通です。他のスタッフにとっては、朝出社時に挨拶を交わしたほかはさっぱり接点がない、なんていうことにもなりかねません。また、最近はメールという便利なものが普及していますから、社長からの指示は全部メール、ということもよくあります。
ある程度の人数になってくると、社長のほかに、中間管理職的な「スタッフの中でのリーダー」ができてきますから、社長とスタッフの間をうまく取り持つことも可能ですが、社長とスタッフの2種類の職位しかないような、小規模組織の場合は「社長の顔が見えない」ということはスタッフの不安にも繋がることがあります。
・社長がいつもいない…
・何をしているのかわからない…
・何時に戻るかわからない…
こんなふうに思われてしまうと、結構面倒です。
小さなトコロでは、スタッフが事務所の電話を受けた際に「社長はいらっしゃいますか?」という質問に対してうまく答えられない、なんていうことも起きます。その程度ならまだマシ、かもしれませんが、これを放っておくと社長への不信感にも繋がる可能性だってあるのです。そうなると、組織が空中分解する危機に陥ってしまいます。
・何しているのかわからない→働いてないのでは?
こんな風に思われたら最悪ですよね。
【失敗:社長はいつも飲んでばかり…】
これは私も経験した失敗ですが、朝から晩まで営業など、まじめに仕事をしているとしても、それが見えていないと大変な誤解を生むことがあるのです。
たとえば、朝会社から出て行って、夜遅くの時間に飲んで事務所に帰ってきたとします。そのとき、社員がまだ残業していたら…?もしくは、夜遅くまで(朝まで)飲んで、会社に泊まったとします。朝事務所が酒臭い…、社長が二日酔い…。それがしょっちゅうだとしたら?
お恥ずかしい話、私は社員・スタッフに努力する姿を見せるのがキライでした。そもそも努力が嫌いな上に、こせこせ努力をするのが「格好悪い」と思っていた時期だったんです。スタッフの前では余裕ある振る舞いをし、事務所を出てからはバリバリ活動…そして夜遅くにストレス解消の一杯(「いっぱい」違いのことも多々ありましたが)。まあ、でもスタッフの立場になって考えてみれば、事務所にはいない、朝来たらイスで二日酔い状態…なのでは不信感のひとつやふたつ抱きますよね。反省。
【失敗:あの人、だれ?】
ついでにもうひとつ。
私の共同創業者である某氏は、あるときからかほとんど出社しなくなりました。というのも、彼のビジネススタイルは、どこかほかの会社にうまいこと潜り込み、そこで信頼を勝ち得てから私たちの会社に仕事を何か流す、というのが特徴。もっとも、本人が意図してやっていたかはわかりません(笑)ただ、自分の好きなようにやっていただけかもしれません。
そのため、自分の会社とはいっても、事務所にはほとんど顔を出さない役員だったのです。ところが、何か用事があったり、気が向いたりするとふらっと現れるんです。仕事の用事ならいいのですが、私たちの会社の事務所は、ある意味遊び場でもありましたから、ただゲームの話をするためだけに事務所に現れることもありました。
私、そして某氏にしてみたら当然の行動なのですが、ここで問題になるのが事情を知らないスタッフがいること。なにしろ、数ヶ月に1回しか現れないような時期もありましたから、その間に採用したスタッフは、彼のことを全く知らないのです(笑)。結果、「社長はよくわからん友人を会社に連れてきて遊んでいる」というような誤解を受けることも(受けそうになったことも)ありました。
● アドバイス ○
「社長の行動など、いちいち社員に伝える必要はない!」と言う方もいますが、私の経験からすれば、きちんと社長のやっていることを知っている社員と、知らない社員とでは、会社に対する考えも違ってきます。社長の考え、行動をうまく共有すること。あたりまえのようですが、これが大切です。特に、小さな会社ではコミュニケーション不全は、社運を左右することにもなりかねません。
「社長には社長のヒミツがある」
という方もいます。私も昔はそう思ってました。
でも、よく考えると、社員に隠さなきゃいけないことって、何かありますか?営業状況?借金の額?そんなの、会社の様子からだいたい検討付きますって。プライベートなことは隠してもいいでしょうが、仕事に関わることは特に隠さなくてもいいんじゃないでしょうか。
まあ、何もかもあけっぴろげにしろ、というつもりはありませんし、朝まで酒を飲むな、会社に泊まるな、と言っているわけでもありません。こうしたことをきっかけにコミュニケーションが不足するようなことがないようにしてください、と。これだけのことなんです。
12.「社員」?「スタッフ」?「仲間」?
■創業メンバーでの「気持ちのズレ」
たとえば3人で起業したとします。
その3人の中で、便宜上誰かを代表者にする必要があり、A君を社長にしました。それ以外のB君、C君は副社長。給与は固定ではなく、もうけを単純に3等分…。起業前に仲間で話をしていると、こんな形でいこう、とまとまるようなスタイルです。特に若い人はこんな風にしがちかも(私もそんな感じでした)。
これなら、3人は同格…と思って仕事に取り組めそうですが、しだいに仕事が落ち着いてくると、だんだん気持ち的に変質してくるもの。社長とそれ以外の2人とでは、自然に認識がずれてきます。
Aは社長、BとCは社長「ではない」。
人間は肩書きによって考え方まで変わってくるもの。トラブルが起こったときにも、自然とA君が最終的に責任を取るようになります。たとえ共同創業者だとしても、それがある意味自然。A君的には「共同創業者なのに何で俺だけ…」と思うこともあるでしょうし、B君C君にとってみれば「あいつは社長なんだから当然」と思っていたとしても不思議はありません。
こんな話を以前もしましたよね。「創業者の仲間割れ」というテーマで。創業者同士でもこういう行き違いが起こり得るのですから、創業者と社員(メンバー)の間なら余計とあり得る話です。――でも、それぞれの立場に立って考えれば、どちらもしごくもっともな話なんですけどね。
■「社員」の気持ち的な扱い
給料を払って働いてもらっている人は、
「仲間」なのか。
「従業員(社員)」なのか。
呼び方はスタッフだったりメンバーだったり構成員(!)だったりといろいろでしょうが、ここでは「気持ちの問題」が一番重要です。
・給料を払った分働いてもらえばいい
・給料は給料で払っているが、創業メンバー同様に自分の会社だと思ってともに発展していってほしい
あなたの社員(メンバー)に対する考え方はどちらでしょう?
あえて言うとどちらのほうに近いですか?
前者は、ものすごくわかりやすいやり方。ビジネスライクな考え方ですよね。
後者は、昔の日本企業のような感じでしょうか。ある意味会社もひとつの家族のようなものと考えて、ある種の忠誠心を求めるやり方ですね。
どちらが良い、悪いという話ではありません。
何が重要なのかというと、
「社長の都合によってこの2つをしょっちゅう使い分けるのはやめよう」
ということです。
ずっとビジネスライクにやってきたのに、ある日突然
「会社が厳しいから、一緒に苦しんでくれ」って言ったところで
「ハァ?」と思われるのが関の山。
逆もまた真なりです。苦楽をともにしてきたのに、ある日突然
「ウチは完全成果主義でいくから、長くやってる社員も関係なしね」
なんて言い渡されてしまったとしたら…?
会社のメンバーは社長のご都合主義を一番いやがるもの。私もいろいろ失敗しました。社長本人は首尾一貫しているつもりなんですが、周りから見ると、まるでいいかげんに思えてしまうこともあります。特に人間関係に関することでは、何事もよく考えて行動しなくてはなりません。逆に、社長の立場に立って考えてみてもわかるでしょう。
ある社員は、かなり有能なのですが、たまに仕事の手を抜くという悪癖があるとします。社長からしてみたら「給料を払っているんだからちゃんと働け」と思うでしょうが、社員には「社員とはいえ起業仲間なんだから、多少ムラがあるのは許容してもらえるだろう」という甘えがあったとしたら…?
「都合のいいときだけ起業仲間になるな!」って思いません?昔の私なら、間違いなくそう思っているはず。今はある意味達観してますし、人間ってのは誰しも都合良く考えるものですから、あんまり悪いようには思いません多少はいらっとくるかもしれませんが(笑)。
【会社が崩壊する原因、起業をあきらめる原因】
話は変わりますが、会社が崩壊する一番の原因ってなんでしょう?
借金?
売上の低下?
確かに「倒産」というところに注目するとそうなのかもしれません。ですが、私が思うに、会社が崩壊する一番の原因は
人間関係
です。
お金は、最悪どうとでもなります。自己破産したところで、復活できないわけではありません。破産してもそこから這い上がってお金持ちになった人なんて、いくらでもいま
す。起業だって失敗したところでやりなおせばいいだけです。
ですが、壊れてしまった人間関係はそう簡単には修復できません。
だから私は、一番の失敗の原因を「人間関係」だと思っているのです。
こんな風に書いてきましたが、実際には入社する社員が身内の人間だったり、昔からの友人だったり、または公募で採った人だったりと、会社以前の人間関係に大きく左右されることでもありますから、なかなか難しいですよね。好き嫌いもありますから、どこかえこひいきになってしまうことだってあるでしょう。でも、基本的な考え方としてはおわかりいただけると思います。
「都合良く社員を扱うな」
その一点さえ押さえておけば問題ないでしょう。
さて、ここまで読んでくれたあなた。あなたは、社長として「社員」をどう扱いますか。ぜひ一度、考えてみてくださいね。
● アドバイス ○
社員を「社員」と対外的に呼ばない会社も結構あります。
「ウチの社員が」というところを、「ウチのスタッフが」「ウチのメンバーが」「ウチの仲間が」と呼ぶ。こんな小さなことでも印象は変わってきますし、社員の考え方も影響されるんですよ。
ただ、繰り返しになりますが、どちらがいいとか悪いとかではありません。ある社長さんに言わせると「社員を仲間扱いするのは、プロとして働いてくれている社員に失礼。『社員』であることに誇りと責任を持って働いている人もいる」とのこと。
会社が発展する中で変わっていくのは当然のこととして、あなたの会社は、どちらの方針でいきますか?起業時のスタンスは、決めておいた方がいいかもしれません。
13.断って大失敗
「断っちゃダメ」
だと思うのです。本項では、そんなお話を。
■自営業における「断る」はキケン
よく、ビジネス書で売れている本を読むと
・自分から断る営業マンが伸びる
であるとか、
・いやなことはやらない、というほうが成功する
というような論調のものがけっこう見受けられます。
私も実はこういう論法がけっこう好きでして(笑)、いやなお客とは取引しない!とか、いやなこと、やりたくないことははしない!という方針にあこがれを持ちます。でも、実際にはそうはうまくいきません。
こういうネタの本を読んでいると、気分がいいんですよね、第一に。いやなことはやらなくていい!そういわれるとホッとするんですよ。私もそうです。しかし、ここには大きなワナがあります。
【「断る」「やらない」ことの基準は常に見直す必要がある】
【「断る」「やらない」ことのリスクを十分に認識する必要がある】
この二点をきちんとわかっていないと、断ったことで、やらないことで大失敗、となるケースが多くあるのです。
一点目については、こういうことです。
仮にあなたが、
「ギャラが1万円未満の仕事はやらない」
と決めているとします。
でも、不景気でそもそもギャラの相場が下がってしまったら…?
あなたの失敗が原因で、高いギャラの仕事が来なくなってしまったら…?
そう考えると、自分で決めたことに縛られて身動きが取れなくなってしまい、結果として失敗することもありえます。まあ、もっとも「安いギャラの仕事をするくらいなら飢え死にした方がまし」というふうに考える人もいるかもしれませんが。
二点目についてはなんとなくおわかりと思いますが、実際に失敗例を見ながら考えて見ることにしましょう。
■失敗例:飲み会を断っているうちに誘われなくなる
まずは、しょーもない例をひとつ。あなたが飲み会に誘われたとします。
「ああ、今日はちょっと都合が悪いから…」
と言って断ったとします。
これを何回か続けていると、そもそも飲み会に誘われなくなります。皆さんもなんとなく、わかりますよね。
あるところで聞いた話なんですが、これって人間の心理としては当然のことなんですって。断られるという行為は、受けた側にとっては少なからぬストレスになるんだとか。それ自体はささいなストレスなんですが、人間というのは自然にストレスを避けようとする習性があるそうで、
どうせ断られる→なら最初から誘わない
というふうに行動を修正していくのだそうです。それも無意識のうちに。さらに、ある1つのことで断られていると、ほかのことまで断られそうに思えてくるんだとか。つまり…飲み会を断り続けているうちに、他のお誘い、たとえば縁談だとか、転職の誘いだとか、自営業であれば「取引の話」だとか…そういった重要なことがらまで、避けられてしまうようになる可能性が高まるのだそうです。これは、怖いですよね。
■失敗例:仕事を断った結果、仕事がこなくなり倒産
もうひとつ例を見てみましょう。
飲み会の例と同じようなことなんですが…。
Xさんという中堅どころのフリー編集者さんがいました。
Xさんはひとつの仕事に集中するタイプ…逆に言うと複数の案件を同時並行でできないタイプな上に、本を丸ごと1冊とか、雑誌の企画を数十ページ分とか、大がかりな案件を中心に仕事をしていましたので、突発的な仕事にはなかなか応えられないという弱みがありました。Xさんは、続々と舞い込んでくる小さめの案件を、申し訳なさそうに断り続けていたのです。
あるとき、Xさんの主要取引先が倒産しました。折からの出版不況のあおりです。そして、気づくと…Xさんには仕事が無くなってしまいました。慌てて営業活動に取り組みますが、なかなか仕事は取れません。結局、フリーの道をあきらめ、某出版社に派遣社員として勤めることにしたのです…。
Xさんは、自己啓発本に影響されて「断った」のではありません。ただ、忙しくて仕事ができないから「断った」のです。断られた側も、十分に理解できる状況です。
しかし…結果としては仕事が無くなってしまったんです。「断る」ことの怖さが、この話でおわかりかと思います。
■では、いかにすべきか?
「じゃあ、どうすればいいんだ?」
皆さん、そうお思いのこととでしょう。
Xさんの例にしても、じゃあ、と引き受けてしまっていい加減な仕事をしてしまったら、結果として仕事はダメになってしまいますし。うまくやる方法として私が提案できるのは、次の三つです。
【1:断らない!】
断らない、そうこれが解決策のひとつです。
…。
何か冷たい視線を感じますが…(笑)。
もちろん、断らずに全部できることがベストです。
ですが、断らない=全部あなた自身が処理しなくてはならない、というわけではないんですよ。たとえば、あるライターXX氏。XX氏はベテランライターとしてそこそこの実績を持っています。そのため、「ギャラが●●円以下の仕事はしない」「資料起こしなど、誰にもできる仕事はしない」というポリシーを持っています。
ですが、彼は来た仕事は断りません。もちろん、安い仕事や、資料起しの仕事もときには振られます。でも、断らない。
なぜか。
実は彼、単なるフリーではなく自分の事務所を経営している起業家でもあるのです。ということで、こうした仕事は、きちんと説明した上で事務所の若手社員に任せることにしているのです。もちろん、最終チェックはベテランの彼自身がする、ということで発注元からも「値段以上にクオリティがいい」と評判です。
また、知り合いのイラストレーターZさん。この方は「断らない」ので有名です。ベテランさんなんですけどね。
あまりに安いギャラを提案されたときには「これは相場からみてあまりに安すぎる。これでは、じっくり時間は掛けていられないから、品質が落ちる可能性があるし、直しなどはタダでは応じられない」と、キッチリ交渉してから取り組みます。自分からは断らない、と決めていても、なんでもかんでも無条件で受け入れる、というわけではないことに注目してください。
【2:代替案を提案する】
なんだかごまかされた、という風に思いましたか?
では、次の案は、ひとりで仕事をしているフリーランスでも可能な方法です。というよりも、何にでも対応できる方法です。
それは「かわりの方法を提案する」ということ。
たとえば、飲み会の話では…。
●代替日を提案する
「今日は行けないけど、来週の●日だったら大丈夫」
●時短を提案する
「10時までなら行きますよ」
●そもそも違うことを提案する
「カラオケなら行きます」
「今度昼飯にいきましょうよ」
仕事の話なら…
●代わりにやれそうな人を紹介する
●空き日程を示して、そこならやれると調整を頼む
●仕事の全部ではなく、一部分ならできそうだと言う
こんな感じですね。
「全面的に断らない」
「相手に選択の余地を残す」
ことが重要です。
相手にバトンを渡しちゃう。そうすることによって、
「断られた」というストレスを与えず、逆に「気を遣ってもらった」という気分になってもらう、というわけですね。
【3:断ったあとのフォローをする】
あるフリーランスの人は、これがウマいんです。アフターフォロー。
たとえば、スケジュールがいっぱいだからと仕事を断ったとします。これはすっぱり断る。で、その後が肝心。
電話、メール、手紙やはがき、飲み、お中元にお歳暮、旅行先でのお土産などなど、あらゆる手段のなかからチョイスして「フォロー」を入れるんです。
たとえば仕事を断った直後にはメールで
「スケジュールが合わず、お断りしてしまいましたが、次はぜひよろしくお願いします」と送ります。
さらにまた1カ月後くらいに、
「忙しい時期がやっと落ち着いたので、近場の温泉に一泊してきました」
と、ごく簡単なお土産を持って訪問する。
さらにまた忙しくなってきたら…
「●日ごろまでは別件で忙しくなってしまいましたが、その後は空いています」
と、依頼がある前に先回りしてメール。
正直、ここまで徹底している人は滅多にいませんが、断られたというストレス以上のなにかをされることによって、ごく小さな悪印象すらも帳消しにしてしまうわけです。これはすごいな、と思いましたね。
======================================================================
● アドバイス ○
「断る」のも善し悪しです。
可能性の扉を閉じてしまうわけですからね。ただ、断った結果「選択と集中」がうまくいくこともあります。
たとえば、ライター兼カメラマンでずっとやってきた人が、あるときどちらかに集中することにして、片方の仕事を断るようになったとします。でもその人にとっては、どちらかのプロになるために片方を選択したわけで、それはマイナスになるとは言えません。その道のプロになって、より高いギャラ、高いクオリティの仕事が出来るようになればいいわけです。
要は何が言いたいか。
自己啓発本も面白いですが、なにごとも鵜呑みにしちゃダメ、ということです。とくに起業直後は「断る」ことで大きな可能性を台無しにすることが多々あります。
断る前に、考える。
でも、明らかに不要なモノのセールスや、おかしな勧誘はすっぱり断りましょうね!
14.社会貢献したのに大失敗
本当の意味で社会貢献を目的に起業する方がいらっしゃいます。
今はNPOでの起業、なんてのも普通に行われるようになり、ボランティアから一歩抜け出したカタチで、社会貢献を…と考えている「社会起業家」も増えてきました。これはこれで、ものすごく大変だし、大切なこと。社会のために貢献したい、という気持ちって、私にはあんまりありませんから単純にすごいな、と思うし尊敬します。
私なんぞは、自分のコトしか考えられないエゴまみれの人間ですから、正直自分が儲ける方を先にしたいところです(笑)。
そうした社会起業家の方ではなく、普通の起業家、ビジネスパーソンの中に、こういうタイプの人がいます。それは、「寄付」とか「社会貢献」という言葉に弱い人。寄付したり、社会貢献したりというのはいいことです。ですが、それが「見栄を張るため」「かっこよさのため」という人が少なからずいるのが問題なんですね。
個人的な意見で申し訳ないのですが、寄付とか社会貢献って、あんまり声を大にしてやることじゃないと思っているんです。もちろん、企業・会社が行う社会貢献活動である以上は、ある程度のアピールは必要だと思います。でもそれって、儲かっている、わりと大きな企業がやることがおおいことですよね。中小、零細のうちは他にやることがあるのでは、と思うのです。
「衣食足りて礼節を知る」
なんて言いますが、まずは自分たちのお腹をいっぱいに膨らませてから、その次に社会貢献や寄付を考えてみては?と私は思います。もちろん、個人の主義主張のことですから、実際どうするかは、自由です。ただ、こんな失敗例だけは、繰り返さないようにしてください。
【失敗例:社会貢献・寄付で社員が…?】
直接の知り合いではないのですが、ある起業家の話。
その起業家氏は、社会貢献が大好き。でも、どちらかというと「目立つ社会貢献」が好きなんですね。元々は、自分の給料の中から寄付や募金を積極的に行ってきたのですが、それだけでは物足りなくなりました。
で、どうしたか。
「会社の利益の●●%を寄付する」
と宣言したのです。
社会的には、ほめられることです。
でも、結果どうなったか。
社員が離反したのです。
「利益を寄付するくらいなら、私たちに分配してほしい」
と。
当然の話ですよね。
誰しも、善意を強制されるのはいやです。断ると、まるで悪者のように思われるかもしれない…と考えてしまい、好きでもない「寄付」や「募金」にいやいや参加するのでは、よくないでしょう。その起業家氏のところでは、結局半数のスタッフが数ヶ月後までに辞めたそうです。こうしたことは、入社前にわかっていないと確かにマズいですよね。こうしたカタチで社会貢献をしたいなら、人を雇うときに説明すべきです。
もう一つ失敗例を。
これは別の会社ですが、社員にボランティア活動を推奨しているところがありました。ただし、推奨…とは言うものの事実上の強制。まだ通常の休日をつぶされないだけマシなのですが、社員全員で同じ日に有給を取得し、ゴミ拾いなどの活動をするのだとか。聞く限りいい活動のようですが…、断れない雰囲気がある状況でのこうした活動って、果たしてどうなのかなと思います。こちらの会社は、しばらくしてこういう活動自体をやめたそうです。
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● アドバイス ○
とても簡単なことなのですが、
「経営者の主義主張、考え方を強制しない」
ということですね。
商売に関する主義主張や考え方は、ちゃんと浸透させないと企業としてなりたちません。ですが、社会貢献のような「善意」に関することがらはとても微妙。もし、会社として社会貢献を、と考えているのなら、
●会社の方針として明らかにしておくこと
●だれかが入社するときには、きちんと説明して理解を求めること
の二点は必須です。
くれぐれも、突然思いつきで始めて、あげく社員を強制的に巻き込む…なんてことはしないように気をつけてくださいね。
社会貢献そのものが目的の会社を別にすると、やはり「企業」の本分は商売で儲けること。これは悪いことでも何でもありません。その「本分」をある程度極めてからでも、社会貢献は遅くないのではないでしょうか。
もし、何かするなら、それは社長個人の財布、社長個人の身体でやるべきです。会社のお金や人材は、社長個人のもちものではないことを肝に銘じておきましょう。
● 追伸 ○
社会貢献をしている、というアピールは、一般の企業だけではなく、いわゆる「悪徳商法」をしている会社でもよくやっていること。社会貢献をしていることで、イメージを改善(ないしごまかす)するためにやっている、というところもあるのが事実。
アピールする裏に、何があるのか。それをちょっと考えてから、行動に移すようにすると、美味しい話にひっかかったり、ダマされたりすることが少なくなりますよ。
本項のお話はもしかすると眉をひそめる方もいらっしゃるでしょうが、やっぱり最初は、自分と仲間がいかに稼げるようになるか、それを考えるべきじゃないかなと思うので、書かせていただきました。
15.プラス思考で大失敗
自分の作った会社から、です。
今振り返ってみれば、あそこで会社から離れたことで、結果的に良かったことがたくさんありました。現在、同じ会社で仕事をしているS氏が、一技術担当社員の立場から「役員」として入ってくれたのもそのときですし、そのほかにも「本当の仲間たち」の見極めがついたのも、これがいいきっかけになりました。
とはいえ、そのころの日々は当時の私にとってはひどいものでした。
家から一歩でればもう吐き気がするし、夜は眠れないし眠れば眠ったでうなされる始末。医者に行く以外、たいしたこともできず、当時同棲していた今の妻から、一日500円のタバコ代を恵んでもらって過ごす…。妻の月収が13万円くらいだった頃に、です。(当時はタバコがやめられず苦労しました)
「何で俺がこんな思いをしなくちゃならないんだ」
「何で俺だけ苦労しなくてはならないんだ」
そんなことばかり考えて一日を過ごしていました。
自分語りが長くなってしまいましたね。すみません。
まあ、そんなこんながあったわけですが、しだいに考えが変わっていったのです。
「どうせなら、とことんまで落ち込んでみよう」
と言うふうに。
今までは前だけ向いて、立ち止まり、反省することよりも、新しいことに挑むことを優先してやってきたのですが、それをいったんやめてみようと。前に進もうとしても進めないときに、無理矢理進むのではなく、あえて立ち止まってみようと。そう思ったのです。
そして、作り始めたのが「失敗ネタ帳」。
本書の元ネタになっているものです。最初は、紙のメモ帳からはじめ、今はエクセルファイルにまとめています。前置きが長くなりましたが、今回は私の個人的な経験も込めたネタです。
■「プラス思考」で、トラブルの原因が隠されてしまう
自己啓発本などでも、よく出てくる定番のお話として、
「何が起こっても、ツイてる、ツイてると思っていれば、自然にプラスの状況に向かう」
というようなものがあります。いわゆる「プラス思考」というやつです。誰が提唱、というわけでもなく、あちこちの本・セミナーで取り上げられるネタですよね。私もこれ、大好きな考え方です。あなたも持っているかもしれないあの人の本とか、よく読んでいます。むやみに落ち込むのではなく、すべてのことをプラスに考える。昔一時期いじめられっ子だった私には、子どものころからある程度身についていたものです。
いやな先輩にいじめられても、
「あの人は、後輩に当たることしかできないかわいそうな人なんだ」
と思う、とかね。
プラス思考を取り入れることで、まさにプラスになることもいっぱいあります。ですが、プラス思考で失敗することもあります。
【失敗例:プラス思考の社長、会社の病を見逃す】
とある社長のお話です。プラス思考が大好きで、困難に直面してもすべてをプラスに考えて乗り切ってきた壮年のA社長。
あるとき取引先の1社から、入金が遅れるというトラブルに見舞われました。幸い、その入金がなくても支払などには影響がなく済みました。また、社長氏はこのトラブルを契機に、
「既存のお客さんにばかり頼っていては危なくなるかも」
ということに気づいたのだそうです。
これこそまさに、トラブルの効果。入金遅れがあったおかげで気づけたと、社長氏は周囲に話していたとか。その後、社長氏の会社は既存顧客の状況を詳しく調べ、危なそうな会社との取引条件を見直したほか、新規顧客の獲得にも力をいれることで、その後のキケンを回避しました。……そう、これは失敗例ではありません。実は、失敗したのはもう一人の社長さん。
B社長も、プラス思考が大好き。挨拶はどんなときでも明るく、元気に。そして口癖は「ラッキー!」「ツイてるね!」。
そんなB社長の会社も、先のA社長氏の会社と似たようなケースに遭いました。有力な取引先のX社が、突然倒産したのです。B社長は、そんなつらい状況でも「ラッキー!」「ツイてる!」と言い続けていました。
「X社は、あまりいい条件の会社じゃなかった。ある意味関係が清算できてよかったよ」
そう言っていたそうです。
社員たちも「ある意味そうかもしれない。それならたいした問題じゃない」とそのときは思ったそうです。しかし、ピンチはこれでは終わりません。
B社長の業界は、他業界と比べてもさらに厳しい状況。毎月のように、取引先が倒産したり、取引条件の改悪を提案してきたり…と、息つく暇がありません。しかしB社長はそんな状況の中でも「大丈夫!ツイてる!」と言い続けました。
数ヶ月後…。
「ラッキー」「ツイてる」が口癖のB社長の会社は、倒産してしまいました。目先のプラス思考に逃げた結果、「外科手術」が遅れた…。そんな感じの倒産劇でした。
B社長は今、フリーで働きながら次のチャンスをうかがっているとか…。いまでも「ラッキー」と言い続けているのでしょうか。
人間万事塞翁が馬。
もしかしたら、B社長の会社が潰れたのもラッキーなのかもしれませんが…
表面的には、そうは思えませんよね。社員たちに迷惑だって掛けますし、取引先にだって…。
■過度なプラス思考は、怪我の元?
プラス思考って、ある意味「麻薬」な部分があると思うんですね。つらいことも、前進するエネルギーに転換できる力がある一方、本当は感じなくてはマズい「痛み」まで覆い隠してしまう…。手術しなくては、対処できない「大きなトラブル」の兆候が隠れてしまったら…。怖いですよね。
私も以前は、何があっても
「大丈夫、なんとかなる!」
と言い続けてきましたが、やっぱりこれだけでは怖いですよね。事実、私も「大丈夫」と思いながらドツボに嵌ってきましたから。プラス思考を持つことは、いいことでもありますが、一方に怖さがあることを肝に銘じたいものです。
トラブルが起こった。
「ツイてる!」「ラッキー!」「大丈夫!」と唱えて忘れ去ってしまう…。
これではダメですよね。
トラブルが起こった。
「ラッキー!これでウチの会社の弱点がわかる!」
これなら、きちんとトラブルもモノにできます。
同じプラス思考主義でも、「ラッキー」だけではなく、その後に何を学ぶか。そこに、大きな差が出てくるのだと私は思います。
■プラス思考は「逃げの思考」ではいけない
失敗するのは、誰しもいやですよね。怖いものです。特に、起こしてしまった・起こってしまった失敗からは、誰しも逃げたいモノです。逃げだそうとするのが、当然の反応です。どこかの先生に言われたことがあります。
「人間、必ず逃げ道がないといけないよ、そうでないと追い込まれてしまうから」
確かに、そうです。私の経験でも「あのとき逃げ道がなかったら、どうなっていたか」と怖くなることもあります。
一方で、いつかは失敗にきちんと向き合わないことには、実は先に進めないのではないでしょうか。失敗と向き合うということは、イコール「現実」と向き合う、ということ。
もしあなたが一人だけなら、前だけ向いて突っ走っていけばいいでしょう。どんな失敗をしたとしても、自分で責任を負えばいいのです。でも、他に迷惑をかける(かもしれない)ひとがいるならば…。たまには、後ろを振り返ることも必要ではないでしょうか。
以前ある方に言われたことを思い出します。
「ただ前だけを見て突っ走るのは【勇気】ではなく【蛮勇】だ」
「後ろを振り返る勇気のない人に、いざというとき前に進む勇気が沸くはずはない」
これは、成功法則だのなんだのをさんざん読んで、自分なりに実践してきて、そして失敗をしつづけてきた私の、個人的な意見です。
● アドバイス ○
・プラス思考には「良さ」と「怖さ」の両方の力がある
これを、心のどこかにとどめておいてください。きっと、いつか役に立つと思います。
たまにブログなどでも見かけますが、病気になっても、事故に遭っても「ツイてる、ラッキー」と言い続ける方、いますよね。
私には、すごく怖さを感じます。
きちんと原因を見極めた上で、プラスに考える。それが、プラス思考の正しい使い方なのではないでしょうか。
少々重い話になってしまいましたね。起業とも直接絡まないかも…。前号同様、あまりいい気はしないという方もいらっしゃるかもしれません。でも、皆さんには私や、B社長のような失敗はしてほしくないですからね。意を決して、書かせていただきました。
16.失敗を忘れて大失敗
後で知ったことですが、この年はあの「ホリエモン」が起業した年でもあります。確か、そうだったはず。
そのホリエモンこと堀江氏とは、某シゴトの絡みで数度お会いしたことがありますが今となってはいい思い出です。ちょうど、衆院選に出馬する前のことでした。あの出馬劇には、こちらもいろいろと苦労させられたものです。
という昔話はさておいて…いや、置きません(笑)。
今回の失敗は、私自身の失敗談です。
【失敗:同じ失敗を重ねて大失敗】
私は起業以来、さまざまな失敗をしてきていますが、その中でも2回ほど、ほとんど同じパターンの失敗をしでかしています。
1回目は、98~99年頃。
いろんな種類の仕事が舞い込むようになってきて、急激に拡大路線を突っ走りました。これは私だけが突っ走ったわけではなかったのですが、結果として「いけいけどんどん」の道を選んでしまいました。その結果、二つの「増」で苦しむことになってしまいました。
●人が「増」
ちょっと仕事が忙しくなってきたころから、人をどんどん増やしました。ある事業では、人手が売上に直結することから、アルバイトで10人近く増員しました。ところが、その事業は数ヶ月後、市場の変化のため急激に縮小。アルバイト雇用だったことが幸いして、大けがはしませんでしたが、結局さほど儲けられずに終わりました。
また、このころは新規事業にトライ。新サービスを売るために、当社としては破格の待遇で(世間ではそうでもないくらいですが)営業社員を迎えます。役員の知り合いだったため、全幅の信頼を置いていましたが…結局経費を食うだけ。ほとんど売上らしい売上はつきませんでした。
他にも、経理・総務担当者を増やしたり、エンジニアを増やしたりと、アルバイトを除いても一気に社員が2倍に。結局、当社としては大所帯だったのですが抱えきれないまま、事業を整理するはめになりました。
●事務所が「増」
埼玉の田舎に事務所を置く当社では、以前から「東京進出」がある種夢でした。特に私が直接指揮する仕事では、取引先のほぼすべてが都内の会社。打ち合わせ一つ取ってみても楽になることや、「東京の会社」であるというイメージも得られるため、ぜひとも実現したいことでした。
あるときに、都内の事務所を格安で間借りできることになったのですが、埼玉勤務の社員の中には、都内で働くのはいやだ、というメンバーもおり、結局は東京・埼玉と両方事務所を置くことにしました。
ところがこれが大失敗。
何しろ私の身体はひとつですから、どちらにも目が行き届かなくなってしまいました。オマケに、私はネオンの誘惑に敗北(苦笑)。仕事にいきなり響くことはありませんでしたが、毎日飲み歩いて給料のほとんどをお酒に使うように。数年後、自分のクビを締める遠因になりました。
目が行き届かないと、社員の暴走を招いたり、不満やミスをチェックできなくなります。結果として、小さな会社なのに「不満分子」を作ってしまうことになったのです。その話は、またいずれ。
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結局、コストだけ掛かった「東京進出」は、1年半ほどで終わりました。人手を増やしたことと事務所がわかれてしまったことだけが原因ではないのですが、大きな要因だったことは確かです。
当時、新事業を除いて3本の柱があった私の会社ですが、1本は完全に撤退。1本は、事業を整理して社員は顧客先で引き取ってもらいました。正社員も9人いましたが、最終的には私を含め3人に。いろいろ大変でした。
ところが、この失敗は教訓にならず…。
のど元過ぎればなんとやらだったのか、2002年に株式会社化をする際、もう一度同じようなことをやってしまいました。そのときは、本業が順調に拡大していたのでまあまあ順調だったのですが…。
今度は、
●同じ都内、近所で事務所が2つに分けてしまった
●やっぱり急激に人を増やしてしまった
●お金があるからと、いきなり新事業に予算を突っ込んでしまった
こんな失敗をやらかしました。
ほとんど、前回同様です(苦笑)。
2回目の失敗は、1回目以上にダメージが大きく…。私はいったん自分の会社を離れ、さらに個人名義の借金に追いまくられる日々を過ごすことになってしまうのです。
教訓:「同じミス 2回目やると 痛み大」(おそまつでした)
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● アドバイス ○
人間、不思議なもので「失敗」とか「痛み」はうまーく忘れちゃうんですね。心理学的には、それで正しいことのようなんですが。
(いやなことばかり覚えているのでは生きていけないらしいのです)
でも、仕事やお金、人間関係に関する失敗はちゃんと覚えていなくてはいけません。きちんと記録…手帳でもブログでもいいのですが…書き留めておいて、調子のいいときこそそれを見直す。そんな風にするといいかもしれません。この本も、私にとっては備忘録みたいなものなのかも。
あなたもちょっと思い返してみてください。
けっこう、同じ失敗、やってません?
やってますよね?
…やってないなら、あなたはすごい。
そもそも、なぜこのネタを書くことにしたかというと、かなり昔、日経なんとかという雑誌(今は休刊しています)で、インタビューされたことがあったことを思い出しまして。それというのも「起業の失敗」に関するネタだったんです。でも、何をしゃべったのかイマイチ覚えていない。見本誌も、無くしてしまっていたんですね。
それで先日、都立図書館まで見に行ってきたんですよ。
そしたらなんと。私が5~6年前にやったのと同じ失敗が、見事に記録されているではないですか。これはネタにせねば!と思ったわけです。
ホント、私バカよね~ と思いましたよ。写真の目つきが悪くて気持ち悪かったこともあって、なんだか自分にイラっときました(笑)。
ちなみに、そのときのインタビュアーさん(ライターさん)は私の知り合いでもあったのですが、今では出版社の社長さんしてます。偉くなったもんです。私なんぞ、今じゃ門前払いですよ(笑)。
17.給与の額で大失敗?
塾講師時代の2年弱、それから日雇い派遣時代、その後の派遣社員時代。いわゆる「お給料」をもらっていたのは、だいたい全部合わせて4年分くらいでしょうか。
今、その頃のことを思い出しながら書いているのですが、給料日って本当にうれしいものですよね。世間の多くの会社で給料日となる25日あたりは、普段ガラガラの居酒屋が混んでいたり、給料日後の金曜などは街が大騒ぎになっていたりしますよね。あの「うきうきした感じ」、いいものです。
ですが、起業し、そして人を雇うようになると「給料日」はけっして楽しいものではなくなります。
「どうやって給料を払おうか…」
「給料あんまり払いたくない…」
こんな気持ちになったこともあります。
「なんでこいつに給料を払わなくちゃならないんだ?」と思ったことも、正直ありました。もちろん、給料をもらう立場から見ると「くれて当たり前」「当然の報酬」であることはわかっているのですが…。そんなこんなで、給料にまつわる失敗について考えます。
【失敗例:給料をケチりすぎて大失敗】
これは、ある意味で定番の失敗。
もちろん?私も似たような失敗を…。
社員に給料を払う段階で、急に出し惜しみしたくなるという社長さんがいます。ひどい場合には、何かと難癖を付けて給料から「罰金」をさっ引く場合も。たとえば「遅刻」「欠勤」「営業成績不振」などにかこつけて給料を下げてしまうのです。結果として、社員がやる気をなくしたり、辞めたりということに繋がってしまいます。
●どこに注意するべきか?
給料を決める、特に「下げる」際には十分注意する必要があります。私が昔よくやっていましたが(やるなよ、と自分にツッコミ)、行き当たりばったり、そのとき限りの基準では「絶対に」ダメ。
先ほど取り上げた「遅刻」「欠席」などに罰金を科す、ということ自体は否定しません。(それは社長さんや会社のカラー、主義にもよるでしょう)ただ、その基準があいまいではダメということなのです。
ある月は遅刻を数回したけど、罰金はゼロ。
ある月は1回だけ遅刻したら、罰金1万円。
これでは意味不明ですよね。
社長の気分や、会社全体の売上の多寡で何となく罰金額を決めたり、給与額を下げたりするのはやめましょう。
【失敗例:給料を出しすぎて大失敗】
今度は、逆のパターン。
特に「儲かっている、儲かり始めた」状態の会社でよくある失敗です。
社員に給料を払う際に、前の例とは異なり、大盤振る舞いをしてしまうという失敗です。実は…というかまたまた私もやった失敗なのですが(苦笑)。
私の場合は、会社が長らく苦しくて、かなり給料も安くしていた時期が続いた後、ちょっとしたことで会社にキャッシュがたくさん入ってきたことがあったのです。私はなぜか?突然安月給を続けていたことに罪悪感を覚え、突然給料に上積みしたボーナスを出したり、基本給額をアップしたりしたのです。古参の社員からは「大丈夫?」と逆に心配される始末。
案の定、数ヶ月後にはキャッシュ不足で倒産危機に。
もはや、笑い話レベルです。
【失敗例:会社に残すお金が不足して大失敗】
次は、私の例ではありません。
ある会社では「もうけはすべて社員に還元する」が社長の口癖であり、ポリシー。事実、毎月毎月のもうけはほとんど社員に給料として還元していました。
「会社にお金が足りなくなったらどうするの?」という外部の人からの疑問には、「いざとなったら、社員みんなで会社を守るから大丈夫」という風に答えていました。
事実、その会社はかなり調子が良く、やる気のある社員にも助けられて順調に成長していました。ところが…。
いざ、会社が苦境になり、キャッシュが足りなくなったらどうなったか。社員が個人的に資金を会社に入れるとか、社長にお金を貸すとか…そこまでは行かなくとも、自主的に減給を申し出るとか、そういうことはあったのでしょうか?
残念ながら、全くありませんでした。
儲からなくなったその会社からは、次から次へと社員がいなくなり、結局は社長一人だけになってしまったとか。幸い、事業はなんとか継続できたそうですが…。
●どこに注意するべきか?
社員の立場を自分に置き換えてみればよくわかりますが、給料をもらう(いただく)のは、自分の労働に対する正当な報酬ですから、もらって当然のお金なわけです。社長の立場からすると「普段これだけ払っているのだから、いざとなったら助けてくれるよね?」と心のどこかで思っているかもしれませんが、実際にはそううまくはいきません。
もちろん、この例とは逆に、会社が苦境になったときに社員みんなに助けられて復活した、というパターンもいくらでもあるのですが、だからといって最初から、社員の自己犠牲と献身を期待するのは間違いだ、ということです。
確かに、社員の中には、会社がお金を貯めていると「自分たちに還元しろ」と何も考えずに言ってくる人もいます。(むろん、その人の立場になると気持ちは理解できるのですが…)ですが、たいていの人は、会社がある程度お金を貯めることには、正当な理由があるということを理解してくれています。社長のポリシーもけっこうですが、ある程度は「余裕」を持つことも悪いことではないと思いますよ。
まあ、中には「もうけはみんなで配分。儲からなくなったら会社をたたむ」と言い切る人もいますし、それでうまく回っているところもたくさんあるのですが、本当に自社の社員全員がそれでいいのかどうか、ちゃんと考えておくべきですよね。
「社長はああいってるけど、俺は明日会社が無くなったら困る」という人も、もしかしたら社内にいるかもしれないわけです。
社員全員の幸福を第一に考える、のであればなおのこと、表面的な「利益配分」に惑わされずに考えたいものです。
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給料の話は、単純に語ることがとても難しいネタです。
私も未だに社員を評価すること、そしてそれに報いる方法については、とても迷います。
「給料」を払わない場合もあるでしょうが、たとえば一人で起業する場合にも、外注さんへの支払という形で似たようなことが起こりえます。
けちすぎてもダメ、気前が良すぎてもダメ。お金ってのは本当にややこしいものですね。
給料ネタはまだまだあります。
●給与基準がテキトウ過ぎて大失敗
●新入社員、中途入社社員の給与額で大失敗
●社長の給与額で大失敗
●給料手渡しで大失敗
●複雑な給与制度で大失敗
●「成功報酬」「成果報酬」で大失敗
続編を書けるかどうかは読者の皆さんの反応次第…(笑)。
● アドバイス ○
社員の立場になってみよう。
「給料をもらうのは当然」
と思われていても、当たり前。
払いたくない気持ちもわかります。でも、ちゃんと約束通り、取り決め通り支払いましょう!(当然だけど)給料を「下げる」ときには事前に取り決めが必要!
…でも、確かに払いたくないときもありますけどね。ほんと。
18.見栄をはって大失敗?
私を含め、起業しよう、なんて思う方はたいていどこかに「見栄を張りたいなぁ」という気持ちが多少なりともあるものです。え、ない?それは失礼しました。
でも、どこかで「自分をもっとよく見せたい」とか「悪いところ、弱いところは見せたくない」という気持ちってありません?今回は、それが悪く出ることがあるよ、というお話です。
■見栄を張って大失敗
まずは定番?見栄を張っての失敗例を。
○「事務所」に見栄を張って大失敗
これは、ある程度資金を持った状態で起業した場合に陥りがちな失敗です。不特定のお客がしょっちゅう来訪するような事務所ならまだしも、特定の取引先が打ち合わせに来るという程度なら、あまり事務所に見栄を張るのも考え物。確かに、デザイナーズファニチャーなど、カッコイイ事務所アイテムもたくさんありますし、そもそも事務所を便利で、かつイメージのいい場所に作りたいという気持ちはよくわかりますが…。余計な固定費はできるだけ掛けない、が経営の鉄則。事務所に見栄を張りすぎないようにしたいものです。
某社社長は、事務所を渋谷の新築ビルに構えましたが、1年経たずに撤退。
結局、さほど利便性は変わらないものの、イメージが若干地味な某駅付近の雑居ビルに転居することになりました。単純に最初のビルの高い賃料だけではなく、引っ越しにかかる費用や、移転に際して取引先に告知する費用など、思いの外お金が掛かってしまったそうです。
○取引先に見栄を張って大失敗
ちょっとした話のなかでついつい見栄を張ってしまうこと、ありませんか?B社社長は、有力取引先での打ち合わせで、こんなことを言ってしまいました。
「B社さんは、最近どうですか?」
「いやあ、おかげさまでこんなご時世ですがけっこう忙しくて…」
実際には、ヒマでしかたがないのに、です。つい「ヒマです」と言えずに、こんな風に言ってしまいました。
ふつうなら、別に何事もなく終わるのですが、この話には続きがありました。それは、取引先の事情です。
実は取引先の会社は、コスト削減のため、外注先を絞り込もうとしていたのです。そこで、複数の取引先のなかで、困っていなさそうなところをいくつか契約解除することにしました。たまたまなのかもしれませんが、取引先の会社は、B社社長の態度から、
「ここなら他にも仕事がありそうだから、大丈夫だろう」
と判断して、契約を解除したのです。驚いて、B社社長が先方に説明に行ったときにはすでに手遅れ。余計な一言を言ってしまったものだ…、とB社社長は後悔しきりでした。
○社員・スタッフ相手に見栄を張って大失敗
見栄を張る方向は大きく分けて二つあります。一つは、外向きの見栄。もう一つは、内向きの見栄。個人的な意見を言わせていただくと、内向きの見栄のほうが、取り返し
のつかない大失敗につながりやすい気がします。それがこちら。
C社長は、他人の前で弱音を吐かないのがポリシー。
どんなキツい状況でも、いつも笑顔でしっかりしている社長として、社員の間でも高い信頼を得ている方。あるとき、社員が抱えきれない仕事を「俺に任せろ」とばかりに引き受けた。ところが、これは単純に手間の掛かる仕事でいくら社長だからといって簡単に
は終わらない。C社長は、一度自分が引き受けたんだから、と根性で仕事に取り組むものの、結局社員に助けを求められないまま〆切オーバー。発注元から大目玉を食らってしまうハメになったとか…。
助けてもらうときは、立場など考えず素直に言うべきだったとは、後のC社長の弁。
別の例では…。
D社長は、ある日突然取引先が倒産した、という報に接します。その取引先は、かなり重要な顧客でしたので社員の間にも動揺が広がります。給料が出せるかもわからない状況…。ですがD社長は何の根拠ある説明ができない状況でも、社員に対して「大丈夫、大丈夫」と言い続けていました。
心配した一部社員が「少しなら遅配でもいいし、多少の減給でも耐えられるから、きちんと状況を説明してほしい」とまで社長に伝えてくれたのですが…、D社長は大丈夫の一点張り。
社員たちは半信半疑のまま、給料日を迎えました。
当日、D社長は憔悴しきった顔で「お金の手配ができなかった」と給与がとりあえず半額しか支給できないこと、残りは来月払うことを社員に伝達。
「こんなことなら最初から言ってくれればいいのに」
と、せっかく協力を申し出てくれた社員まであきれ顔。幸い連鎖倒産は免れましたが、D社長にとって味方だった社員が続々と退社するきっかけになってしまったのです。
● アドバイス ○
少々の背伸びはいいが、
背伸びしすぎないこと。
基本的には、正直な方がトク。
13年の経験から、こんなことを思っている私です。でも、この「基本的には」というところがミソなんですよね。正直すぎてもダメなことがあるというのが、とても難しいところですね。

うすたか(臼井総理)