目次
坂本竜馬の言説(19)
現代の日本人よ(19)
日本を狙う異国人
― その1 ―  新市場としての日本
― その2 ―  長州との接近
攘夷派公卿・姉小路公知
― その1 ―  大坂湾視察
― その2 ―  開国論者へ
― その3 ―  炸裂弾
― その4 ―  小五郎の疑念
― その5 ―  将軍との同調
生麦事件の賠償問題
― その1 ―  賠償期限
― その2 ―  開戦予告
― その3 ―  賠償問題決着
― その4 ―  鎖港通告
攘夷直前
― その1 ―  孤立する慶喜
― その2 ―  馬関の御旗
― その3 ―  光明寺党の血気
攘夷決行の日
― その1 ―  文久三年五月十日
― その2 ―  砲撃・ペンブローク号
― その3 ―  家茂の溜息
― その4 ―  イギリスへの密航者達
― その5 ―  混乱の京
越前へ
― その1 ―  徳川政権返上論
― その2 ―  北陸路の竜馬
― その3 ―  エヘンの手紙
横井小楠と三岡八郎
― その1 ―  神足通
― その2 ―  西洋の学と日本の学
重商主義
― その1 ―  商人の血
― その2 ―  交易と富国強兵
― その3 ―  だから海軍、だから操練所
― その4 ―  有道の国と無道の国
― その5 ―  世界に誇る唯一の国
京の危機感
― その1 ―  朝廷の怯え
― その2 ―  江戸城の反乱
奥付
奥付

閉じる


試し読みできます

現代の日本人よ(19)

 「日本には世界中のどこの国にも負けんものがある。
 ・・・その一つが心の美しさじゃ。
 ただ優しいだけやない。
 貧しさの中でも凛とした強さを内分した気高さなんじゃ!
 でもよ、
 それもだんだん失われて行きゆうがちや、日本から。
 金ばっかり追い掛けたから。
 物欲に心を奪われたからじゃ。
 つまりは金のために心を捨てゆうがよ。
 
 全ては利己主義じゃ!
 母親ですら自分を中心にして生きちゅうから、子供が邪魔になり捨てよる。
 いや、捨てるよりも殺してしまおうという思考になってきた。
 恐ろしいもんぜよ。
 もう、善悪の基準は自分なんじゃ。
 ・・・気持ち悪い・・・。
 どんなに容姿が綺麗でも、化けの皮を剥がせば中身は魔物。
 もう人やない。
 
 ・・・心に豊かさがないぜよ。
 ・・・心に余裕がないから。
 それが現代じゃ。必死に働いて働いて手に入れた現実がそれなんじゃ・・・。
 早く気付いて抜け出さんと、その子供も、そのまた子供も同じ世界に浸かったままになる。
 抜け出せんようになる。
 ・・・早く、早く、歪んだ世の中から脱藩せんといかん!
 わしはそう思う」


試し読みできます

― その1 ―  新市場としての日本

 ― 日本 ―
 天下太平の世にあった江戸の終焉はここから始まった。
 嘉永六年六月三日、蒸気機関のペリー艦隊が江戸沖に現れた、黒船来航である。
 それから五年後、大老となった井伊直弼によって西洋諸国との間で通商条約が調印され、異人が国土に足を踏み入れるようになったが、安政七年三月三日、江戸城桜田門外において大老・

井伊直弼は開国に反対する浪士の手によって白昼堂々惨殺された。更には坂下門外で老中・安藤信正が襲われ、京では攘夷浪士による幕吏への天誅が横行していった。
 徳川幕府の独裁に明らかな翳りが見え始める。
 水戸・長州を中心とした反幕府勢力、それに諸藩の浪士浪人が手を結び、尊王攘夷で結束して京を支配した。
 ・・・その力を背景にして朝廷の発言力が増大していく。
 
 文久二年、薩摩藩の島津久光が率兵上京して朝廷の勅使と共に徳川家に幕府改革を迫った。
 幕府は一橋慶喜を将軍後見職に、松平春嶽を政事総裁職に任命し、京都守護職には会津藩・松平容保を就かせた。
 薩摩藩の圧力によって幕府の改革が始まったのである。
 しかし、その薩摩藩が帰国の道中にて異国人を殺傷する生麦事件を起こしてしまった。大名行列を妨害したイギリス人四名を斬り殺したのである。そして関東にイギリス公使館焼き討ちや

西洋人斬りが横行し、それらがイギリスとの外交問題に発展。横浜にイギリス大艦隊が集結した。彼等は幕府に圧力をかけ、法外な賠償金を要求してきたのである。
 一方、日本国内は攘夷すべきか否かで揺れていた。幕府の中でも答えが出せずにいる。
 そんな状況下で、征夷大将軍・徳川家茂が家光以来二百二十九年ぶりに将軍として上洛し、天皇の下に跪いた。そしてそのまま京に留まり、遂には孝明天皇に文久三年五月十日の攘夷実行

を約束したのである。・・・
 西洋との戦争が現実味を帯びてきた。
 イギリス艦隊の集結する関東に恐怖が走った。

 ― 欧米 ―
 クリミア戦争に続いて、アメリカの南北戦争も終戦の時が見え始めていた。
 奴隷解放を訴えた北軍が戦況を有利に進めたのも、最新銃と最新砲さえあれば勝てる、という事を証明して見せたようなものであった。
 戦争の終結。
 ・・・それは、世界中に武器が余り始める事を意味していた。先を競うようにして開発され、製造された銃砲の多くが行き場を失う事になるのである。
 世界中にダブつく大量の武器兵器。
 それらが死の商人によって日本へと流れ込んで来るようになるのも当然な流れであろう。
 戦争を望む西洋人達。
 日本を新たな市場として捉えている西洋の商人達。一般商人も武器商人も日本を目指す。
 日本の小判は大変価値があった。その交易には魅了が溢れているのだ。
 尊王攘夷によって混乱の続く日本に戦争の匂いがしてくる。
 日本人の甘さに付け込めば膨大な利益が得られる。・・・獣人が日本に群がろうとしていた。


試し読みはここまでです。続きは購入後にお読みいただけます。

この本は有料です。閲覧するには購入する必要があります。
購入するにはしてください。
有料本の購入に関しては、こちらのマニュアルをご確認ください。
販売価格100円(税込)

読者登録

中祭邦乙さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について