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1:自転車でどこまでも

私が昔やった遊びで、もっとも記憶に残っていて、楽しかった遊びはこれだ。
やる事は簡単、ただのサイクリングである。
しかし歳は、小学校の5,6年。
正直まだまだ子供だ。
そんな子供が、友達5,6人を連れ立って、みんなで何処までも自転車で遠くに行くのだ。
知らない道、知らない場所、子供だった自分にとっては、冒険に他ならない。
見知らぬ場所にくると、なんだかドキドキした。
雨が降ってきたりもした。
それでも子供だった私たちには、それもまた冒険を盛り上げるスパイスになった。
鉄橋の横に、細い木造の歩行者用通路があった。
下は淀川で、落ちたらヤバイ場所だった。
そんな所を、自転車で突き進んだ。
友達のひとりが、雨でスリップしてこけた。
自転車の1/3が、通路からはみ出し、河に落ちそうになっていた。
危険だと分かっていながら進んだのは、私たちが冒険者だったからだろう。
そしてそんな所を渡った事が、当時はなんだか誇らしかった。
今もあの通路は健在なのだろうか。
きっと危険だと苦情がきて、作り直されているような気がする、そんな場所だった。
その橋の向こう側には、モトクロス場のような場所があった。
誰もおらず、自由に使えそうだったので、私たちは此処まできた自転車で、そのコースにチャレンジした。
凄く面白かった。
また来たいと思った。
景色が少し薄暗くなり始めていた。
今日は此処までにして、私たちは今度は、地元へ向けて自転車を走らせた。
危険な鉄橋横の通路は使わずに、別の道を進んだ。
別に怖いから避けたわけではない。
これは私たちの冒険だ。
来た道を帰るわけにはいかなかった。
知らない道を通って帰るのが当然だった。
私たちは道路標識を頼りに、既に日が沈んだ街を進んだ。
車のヘッドライトとテールライトが、なんだか幻想的だった。
気が付くと、私たちはよく知る景色の中にいた。
此処までくれば、私たちの冒険はもう終了だった。
ひとり、またひとりと別れ、気がついたら私は、自分の家の前に自転車を止めていた。
頑張ってくれた自転車のサドルをひとたたきして、私は家に入っていった。
丁度18時の帰宅だった。

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