閉じる


はしがき(前書き)

はしがき

 

 個人的なことで恐縮ですが、はやいものでこの学校にはいって三度目の文化祭をむかえました。もうすぐ中学卒業ということになります。この国においても中学校を卒業すれば社会人になるという方はなかなか大勢いるものですが、自分と比較すると尊敬の念を禁じ得ません。同級生の成長もあいまって、己の未熟さ、幼稚さをあらためて感じる今日この頃です。

もちろん、どんな学生にも自分を成長させる機会は転がっています。しかしそれを拾えない、拾おうとしない学生もすくなからずいると思います。少なくとも僕はそうなってしまっているのです。そのような学生に、言葉は悪いですがいわば強制的に成長の機会を拾わせる。それが文化祭をはじめとした行事なのではないか、と三度目にしてようやく気がつき始めました。

今年の文化祭で僕はどのくらい成長できた(できなかった)のか。作品の出来を見ると少々不安になりますが、それでもためらわずに掲載できる、自分にできる限りのことはしたという思いはあります。その判断は来場者の皆様にゆだねましょう。

 

 本当に自分のことばかりですみません。個人的な目標や思いはどうあれ、始まった文化祭ではやはり来場者の皆様に楽しんでいただくことが第一です。はしがきはすこし堅苦しくなってしまいましたが、掲載している作品は、その目的を果たすために、部員一同が面白く親しみやすいものをめざして書き上げたものです。中学生の頃を懐かしみながら、あたたかく見守っていただけると幸いです。そしてもし面白いと感じていただけたなら、これに勝る喜びはありません。

それではどうぞ本誌をお楽しみください。

 お手に取っていただき、誠に有難うございました。

 

                   やくると


雨ニモマケズ・二十億光年の孤独(詩)

雨ニモマケズ・二十億光年の孤独  やくると

〈人類は小さな球の上で〉

「雨にも負けず 風にも負けず」

「雪にも夏の暑さにも負けぬ 丈夫なからだをもち」

〈眠り起きそして働き〉

〈ときどき火星に仲間を欲しがったりする〉

〈火星人は小さな球の上で 何をしてるか〉

「慾はなく 決して怒らず」

「いつも静かに笑っている」

〈(或は)〉「一日に玄米四合と 味噌と少しの野菜を」

〈ネリリし キルルし ハララし〉「食べ」〈(ているか)〉

「あらゆる」

〈僕は知らない〉「ことを 自分を勘定に入れずに」

「よく見聞きし分かり そして忘れず」

〈しかしときどき〉「野原の松の林の陰の」

「小さな萱ぶきの小屋にいて」

〈地球に仲間を欲しがったりする〉

「東に病気の子供あれば 行って看病してやり」

「西に疲れた母あれば」

「行ってその稲の束をおい」〈もとめ合う〉

「南に死にそうな人あれば」

「行ってこわがらなくてもいいといい」

〈それ故みんなは不安である〉

「北に喧嘩や訴訟があれば」

〈宇宙はどんどん膨らんでゆく〉「からやめろといい」

「つまらない」〈宇宙は〉「日照りの時は」〈ひずんでいる〉

〈万有引力とは〉「涙を流し」〈ひき合う孤独の力である〉

「寒さの夏は」〈思わずくしゃみをした〉〈僕は〉

「おろおろ歩き みんなにでくのぼーと呼ばれ」

〈それはまったくたしかなことだ〉

〈それ故みんなは〉「褒められもせず」

「そういうものに」「苦にもされず」

〈二十億光年の孤独に〉「わたしは なりたい」

 

(注)

 

 これは題名の通り、

「雨ニモマケズ」(宮沢賢治)

〈二十億光年の孤独〉(谷川俊太郎)

の二つの作品を切り貼りしたものです。しばしば順番が変わっています。


最高の一生(小説)

最高の一生 せいやとおる

    ~~~~~~

 僕の人生、特に悪いことも無いが、特に良いことも無かった。外見はいたって標準的だし、運動や勉強も平均の前後。算数は得意だったが数学はちんぷんかんぷんで、クラスの問題児ではなかったが決して人気者でもない。就職の時だって、三次志望レベルの企業に運よく入れたぐらいだ。だから、自分の人生が最高の人生だと思ったことなど一度さえない。

今日も上司に褒められたり怒られたりの会社を終え、西日暮里駅から十五分の自宅アパートに向かっていた。そんなときである。道の端に光る何かが落ちているのを見つけたのだ。なんだろうと思って拾ってみるとそれは、「アラジンと魔法のランプ」に出てきそうな魔法のランプだった。

    ~~~~~~

 家に帰ってランプをこすってみると、もくもくと白い煙が出てきた。

「わ~。おじいちゃんになっちゃうよ~。……あれ、なってない。」

目を開いて部屋を見渡すと、そこにはインド人風の魔人が立っていた。立っていた、といっても足は無い。僕が呆然としていると、

「お呼びでしょうかぁ、ご主人さまぁ。」

独特なイントネーションで話しかけてきた。

「私があなたの願いを三つだけ叶えてさしあげるのでーす。感謝しなさいなのでーす。」

「何だって。じゃあ……、願いが無限に叶うようにしてくれ!」

 すると、魔人の顔がいきなり怒った表情に変わった。

「ふざけるなぁ。そういう屁理屈を言う人私嫌いでーす。もうあなたをボコボコにしちゃいますよぉ。チチンプクプ……」

魔人が呪文を唱え始めた。

「うわぁ!やめてくれ!」

「かしこまりました!一つ目の願い、叶えてあげまーす。」

 そう言って魔人は呪文を唱えるのを、やめてくれた、のだった。

    ~~~~~~

 その後、僕は発言に注意しながら二つ目の願いを考えた。

宝くじに当たる?いや、どうせすぐにお金を使いきってしまう。

美人と結婚する?でも貧乏じゃいやだな。

 やっぱりあんまり具体的なのはやめよう。……そうだ!。

「僕の人生を最高の人生にしてくれ。」

「かしこまりました!二つ目の願い、叶えてあげまーす。チチンプクプク、最高の人生になれ!」

 すると、魔人の口から白い煙がもくもく出てきた。

「わ~。おじいちゃんになっちゃうよ~。……あれ、なってない。」

 目を開いて部屋を見渡すと、魔人がいなくなっていた。しかし、僕のからだに変化は無い。残ったランプをこすってみても、何も起こらない。釈然としないまま、僕は寝ることにしたのだった。

 次の日に会社に行くと、上司にとても褒められた。どうやら、僕の出した企画が大成功したらしい。

 その後も、僕はどんどん仕事がうまくいき、どんどん偉くなっていった。宝くじの賞金以上のお金を手に入れ、あり得ないほどの美人と付き合い始めた。そして自分の会社を立ち上げ、日本では知らない人がいない程の会社にした。テレビの情熱大陸でも特集された。

 そして、みんなは口をそろえて僕に行った。

「あなたの人生は最高の人生だよ!」

    ~~~~~~

 五十年後、今日も部下を褒めたり怒ったりの会社を終え、代官山の高級マンションに着いた。インターネットをしていると、ふとあのランプを思い出した。あれは金庫にしまってある。

 地下室の金庫からランプを出しこすってみると、もくもくと白い煙が出てきた。

「わ~。おじいちゃんになっちゃうよ~。……って、もともとおじいちゃんか。」

「お久ーしぶりでーす。ご主人さまぁ。」

 魔人の姿は変わらず、インド人風であった。

「今日は、君に三つ目の願いを叶えて欲しいんだ。願いは、もう一回最高の人生を楽しみたい、だ。私はもう老人だ。若い頃に戻らせて欲しいんだ。」

「かしこまりました!三つ目の願い、叶えてあげまーす。つまり、あなたが生まれ変わって、もう一度あなたに生まれるようにしてあげまーす。だからまずあなたが死んでくださーい。」

 魔人は、いきなり拳銃をだして私を撃った。

 思い出した。これで一五六七回目だ……。

    ~~~~~~

彼は、このあと再び彼として生まれ、良くも悪くもない期間を過ごした後、ある日魔法のランプを拾う。そして魔人に願いを叶えてもらい、最高の人生を送る。五十年後、彼は魔人に殺される。

それを、彼は永遠に繰り返すのだった。

彼の最初の願い、

「願いが無限に叶うようにしてくれ!」

を魔人が叶えた結果である。


パン・ヒーロー(詩)

 パン 智喜 冨和

 

たとえそれが

血に浸されたパンだとしても

 

 

家族と食えば美味いだろう

 

 

たとえそれが

汗に浸されたパンだとしても

 

 

仲間と食えば美味いだろう

 

 

 

たとえそれが

出来立てのパンだとしても

 

 

一人で食えば不味いだろう

 

 一人で食えば不味いだろう



ヒーロー                智喜 冨和

 

助けて

助けて

 

ありがとう

ありがとう

 

 

口を揃えてみんなは言う

 

君がいなけりゃ

大変だ

 

君がいるから

安心だ

 

 

心の中で僕は言う

 

助けて

助けて

 

 

でも

誰も気づかない

 

でも

誰も助けない

 

 

誰も彼を救えない


あなたはだぁれ?(小説)

あなたはだぁれ? YUKI

 

学校から帰るといつも通り母さんが迎えてくれた。いつもと何か感じが違うような…まあ気のせいか。そう思った僕は「ただいま」と言って自室に向かった。――このとき気付いていればこんな事にはならなかったのに…。

僕は中学2年生。東京で姉と両親と暮らしている。父は某有名銀行の執行部に勤めていて、僕が言うのも何だが超お金持ちだ。家には金塊を隠していると昔父さんが言っていたけどさすがに冗談だろう。家は4階建てでプールとテニスコート付きだ。昔強盗に入られそうになったことがあるらしく警備は厳重で至る所に監視カメラがある。僕はまだ中学生と言うことでボディーガードまで着いていて学校の行き帰りなど外出時にはいつもついてくる。だから友達と遊ぶことも中々出来ないんだ。姉さんはもう大学生だからボディーガードも外れて毎日のように遊んでいるみたいだ。僕も早く大人になってもっと遊びたいな…。

なんて考えながら宿題をしていると姉さんが帰った音がした。玄関でなにやら母さんと小声で話している。しばらくすると階段を上ってくる音がして、姉さんが顔を出した。

「何か母さんいつもと違わない?」

そう言ってきた。姉さんも気付いたか。

「うん…。なんでだろう?」

「さっき玄関で今日は中学の○○さんと遊んでたって言ったんだけどその人のこと全然覚えていないみたいだったのよ。もしかして記憶喪失…?なんてまさかね。」そう言うと笑って出て行った。

 記憶喪失か…まさかな。そう思っていると母さんが夕飯に呼んできた。

 食べながら、母さんに「僕が4歳の時、間違えて家の窓割っちゃったときのこと覚えてる?」と聞いてみた。

「え?あぁうん も――もちろん覚えてるわよ。」

「警報が鳴って警備会社の人が来ちゃって大変だったよね。」

「そうそう。そうだったわね。」

!!! 警報は鳴ったけどすぐに父さんが連絡したから警備会社の人は来なかったのに…。今日の母さんは、外見は母さんでも中身は全然違う人みたいだ…。昨日まではいつも通りだったのに。

「今日どこかに行った?」そう聞いてみると

「どこにも行ってないわ。今日はずっと家にいたの。」

夕食のあと僕の部屋に又姉さんが来た。

「さっき母さん今日はずっと家にいたって言ってたけど今日母さんらしい人見た気がするの。新宿で友達と遊んでたら母さんを見た気がして追いかけたんだけど、見失っちゃった。」

「つまり母さんは新宿に行って何かをしたけどそれを隠してるって事?」

「うん。きっとそうよ。それが今日の違和感の原因なのかも。」

そうか。それなら辻褄が合う。それなら…。

「じゃあ今から新宿の姉さんが母さんを見た場所に行ってみない?裏口から行けば母さんにも僕のボディーガードにもばれないよ。」

「えー今から?父さん帰って来ちゃうんじゃないの?」

「何言ってんの。父さんは明後日まで出張だから帰ってこないよ。」

「あっ そうだったわね。じゃあ行こうか。」

 身支度を調えた僕たちは裏口から出て新宿に向かった。新宿駅から少し歩いたとき姉さんが立ち止まり

「確かこの辺よ。母さんを見たのは。」と言った。

そこは大通りから一本入った細い路地で、古そうなビルが建ち並んでいる。

「この辺のビルに入ったのかなぁ?」

「そうかもね。ちょっと調べてみようか。じゃあ私はこっち側のビルを調べるからあっち側はよろしく。」そう言うと姉さんは道路の右側に建ち並ぶビルに向かっていった。

 僕も左側のビルを一番近い方から調べることにした。1番目2番目には何のテナントも入っていなかった。3番目には『催眠療法部屋』と書かれている。まさか母さん催眠術で…と思ったその時後ろから急にハンカチが口に当てられ目の前が真っ暗になった。一瞬姉さんの顔が見えたような……。

 目が覚めると僕はベッドに寝かされていた。一瞬夜のことは全部夢で自分の寝室にいるのかと思ったが違うみたいだ。窓からは光が差し込んでいる。もう朝みたいだ。

 でも窓には鉄格子がしてあるし窓の反対側も一面鉄格子で覆われている。部屋にはベッドとトイレがあるだけ。まるでテレビで見る刑務所みたいだ。

 しばらくすると突然男の声がした。見ると鉄格子の後ろに一人の男が立っている。

「おまえは誰だ?ここは何処だ?」そう聞くと

「ここは君が入ったビルの一室。私は…そうですねルパン4世とでもしておきましょう。私は世紀の大泥棒です。」

 ???誰だこのナルシストは?だいたい泥棒がなんで僕に…あ!

「ねらいはもしかして父さんか?計画って何だ。」

「私の狙いは貴方の父親の持っている金塊です。私は20年前にも金塊を盗もうとしましたが失敗し捕まってしまった。このリベンジのために私は刑務所でずっと計画を練っていたのです。」

「じゃあ金塊の話やそれを盗もうとしたこそ泥がいるって話は本当だったのか。」

「私は世紀の大泥棒。こそ泥ではない!!まあ良いでしょう。もうすぐ金塊が来るはずだ。それまで私の素晴らしい計画を聞かせてあげましょう。」そういうと男は忽然と語り出した。

「20年前の私の計画は完璧なはずでした。執事の一人として屋敷に入り込み隠しカメラと盗聴器を至る所に設置し金塊の隠し場所を突き止めました。それは意外にも貴方のお母様の寝室の床下にあるのですよ。そのことはお母様も知らないようでしたが。別に金庫に入っているわけでもなければ警備員がいるわけでもない。ただ床の正しい位置を押せば良いだけだったのです。こんな簡単なことはない。そう思った私はご両親がパーティーに行っていて自宅にいない日に寝室に忍び込み金塊を盗むことに成功しました。あとは逃げるだけでした。そのとき突然赤ちゃんの泣き声がして子守役らしき人が部屋に入ってきたのです。その赤ちゃんが貴方のお姉さんです。いつもはお父様の部屋で寝ているはずなのにその日に限ってお母様の寝室で寝ていました。不覚にも私は部屋に入る時その存在に気付かなかった…。手に金塊を持っていた私は子守役に通報され捕まってしまった…」

「それから20年、私は牢獄の中でずっとリベンジの計画を練っていました。そしてついにその計画を実行することが出来ました。牢獄に入れられた私はまず何がいけなかったのか考えました。そして気付いた。もし金塊を持っていたのが私ではなくお父様かお母様だったら…何も怪しまれなかったはずです。だが貴方の家族に金塊を盗んで欲しいと言っても聞いてはくれないでしょう。だから私は貴方の『家族』を自分で作り上げることにしたのです。」

 そう言うと男は不敵に笑った。僕の家族を作り上げる?どういう意味だ?

「私は牢を出るとまず貴方のお母様とお姉様に背格好が似ている女性を二人誘拐し整形を施して全身をそっくりにしました。その一方で私は清掃係として屋敷に忍び込み貴方のお母様を誘拐し、友達と別れ家に帰る途中のお姉様も誘拐しました。そして整形した2人に催眠術で『金塊を盗んで私の所へ持ってこい。息子も連れてこい。』と暗示をかけ、屋敷に送り出しました。そう、今日貴方があったお母様とお姉様はわたしの作り上げた偽物なのです。そして暗示通り貴方をここまで連れてきた。もうすぐ金塊も来ることでしょう。はははははははもう失敗はしません。」

だから今日の母さんはどこか違ったのか。でも姉さんまで偽物だったなんて…。

「今本物の姉さんと母さんは何処にいるんだ?」

「このビルにいますよ。違う部屋に。」

「僕たちをどうするつもりだ?」

「催眠術をかけ、ここでの記憶を消して戻してあげます。殺しても良いのですが私は無駄な殺生はしない主義なので。」

「整形した偽物2人は?」

「その二人は残念ながら殺さなければいけませんねぇ。まあ元々ホームレスの中から誘拐してきたので誰も気づきもしないでしょう。」

「そんな…何故そこまでして金塊を…他にも大金を手にする手段はあるだろう。銀行強盗とか…」

「貴方にはロマンというものがわからないようだ。銀行強盗なんて簡単なことをやってもつまらないでしょう。それに私は狙った獲物は絶対に逃さない!!お宝とはかけがえのないものなのです。」

 やはりこいつ気が狂ってる。ロマンでこんな事をするなんて…でも自分のことを天才だと思っているようだが意外とそうでもないぞ。僕が携帯を持ってることに気付かないんだから。すきをみて警察に通報すれば…。

 その時下の方から音が聞こえ、しばらくすると金塊を持った(偽物の)姉さんと母さんが現れた。

 それを見た男は

「ご苦労だった。君たちにもう用はない。」

そう言うとどこからともなく振り子のようなものを取り出し、「ねむくなーるねむくなーる…」と言った。そんなんで本当に眠くなるわけ…と思っていると本当に二人は崩れ落ちて眠ってしまった。この男以外とすごいのかもしれない。男はこちらを向くと

「あとは2人を海にでも沈めてあなたたちに催眠術をかけ金塊を持って逃げるだけです。とりあえずこの二人を車に入れておきますか。」

と言うと眠る2人を持ち上げ部屋を出て行った。今がチャンス!!そう思って僕は携帯を取り出すと早速警察に電話した。………あれ?繋がらない…あ!ここ圏外だ…牢獄の中を移動してみたが何処も圏外。僕の唯一の望みは途絶えた…。

 僕がうなだれていると男が戻ってきて

「では催眠術を始めましょう。」さっきの振り子を取り出して「ぜんぶわすれーるねむくなーる」と言いだした。僕は必死に振り子を見ないようにしたが目が振り子に吸い寄せられてしまう。そしてだんだん眠くなってきた…。

 

 目が覚めると僕はベッドに寝ていた。窓からは光が差し込んでいる。昨日学校から帰ったあとすぐに寝てしまったようだ。着替えて階段を下りるともう朝食の用意は出来ていた。姉さんと母さんが待っている。父さんは明日まで出張だ。

 次の日の夜、父さんが帰ってきた。僕はもう寝るところだったので「おかえりなさい」と言って寝室に向かった。しばらくして僕がうつらうつらしていると突然父さんの叫び声が聞こえてきた。何事かと思い声のした方へ向かうと、母さんの寝室から父さんが出てきた。

「どうしたの?何かあったの?」

「金塊がない。金塊が無くなったんだ。」

「金塊?父さん本当に金塊を持ってたの!?」

「ああ。母さんの寝室に隠してたんだが今見たら無くなっていて替わりにこんなのが…。」

そう言って父さんが取り出したのは一枚のカードだった。カードには

金塊は頂きました LUPINⅣと書かれている。ルパン4世…どこかで聞いたような…。

 僕の耳には男の高笑いが聞こえてくるようだった。



読者登録

tkbungeiさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について