目次
猩々緋(しょうじょうひ・陣羽織の赤)の麻美
朽葉色(くちばいろ)の望
胡桃色(くるみいろ)の望
青鈍(あおにび・墨がかった青系凶色)の望
退紅(たいこう)の望
青白橡(あおしろつるばみ)の奈々子
桃染(ももぞめ)の望
聴色(ゆるしいろ)の望
若藤(わかふじ)の奈々子
狐色(きつねいろ)の麻美
甚三紅(じんざもみ)の望
真朱(しんしゅ)の奈々子
緑(みどり・青い)の望
緋色(ひいろ)の望
長春色(ちょうしゅんいろ)の奈々子
萌木(もえぎ)の麻美
東雲色(しののめいろ)の奈々子
クリスマスカラーの3人
鉛色(なまりいろ)の望と麻美
江戸紫(えどむらさき)の望その壱
江戸紫の望その弐
江戸紫の望その参
紅消鼠(べにけしねずみ)の望
銀鼠の望その壱
銀鼠の望その弐
銀鼠の望その参
紅梅色(こうばいいろ)の奈々子
鴇羽色(ときはいろ)の麻美その壱
鴇羽色の麻美その弐
紅梅色の奈々子その弐
小豆色(あずきいろ)の望
鴇羽色の麻美その参
小豆色の麻美?
小豆色の奈々子?
滅紫(めっし)の奈々子その壱
紅柄色・弁柄色(べにがらいろ・べんがらいろ)の麻美
千歳茶(せんさいちゃ)の望その壱
千歳茶の望その弐
滅紫の奈々子その弐の前半
滅紫の奈々子その弐の後半
千歳茶の望その参?
滅紫の奈々子その参
滅紫の奈々子その参エピローグ
白珊瑚(しろさんご)の麻美
二藍(ふたあい)の望
洗朱(あらいしゅ)の奈々子
若竹色(わかたけいろ)の麻美
百塩茶(ももしおちゃ)の望
茜色(あかねいろ)の望

閉じる


猩々緋(しょうじょうひ・陣羽織の赤)の麻美

麻「私、辞める事にした」
望「何を止めるの?」
麻「会社」
望「えっ!?」
奈「先を越された」
望「ええっ!!!?」
奈「いつ辞めるの?」
麻「今日を限りに」
望「そんな話、聞いてないわ!」
麻「課長も聞かされてないよ(笑)」
奈「じゃあ、その計画は頓挫(とんざ)するわね」
望「計画にもなにも、、、。どうして辞めるの!?」
麻「じゃあ、テラちゃんは、どうして続けてられるの?」
望「・・・」
奈「私は、3月まではいると思う。課長面接でもそう言っておいたし、総務部も何かと楽でしょ。麻美もせめて
  12月のボーナス貰ってから辞めればいいわよ」
望「ダメよ!もう10月よ?」
麻「会社に忠実にしてたって、損するばっかじゃん。ま、今日辞めるけどさ」
望「奈々子は、どうして辞めるのよ!?」
奈「辞めない人には分からないかもね」
望「二人とも、どうしちゃったのよ!」
奈「自分こそ、秘書室の異動は肩叩きだと言っておいて、、、。まあ、頑張ったらいいと思うけど」
望「二人とも、いつから辞める気だったの!?」
麻「とっくの昔からだよ。四捨五入して30歳の内にって思ってた」
望「どうして言ってくれないのよ!」
奈「う~ん、、、。自分でも辞めた後の自分を想像できないからかな???」
望「辞めた後の身の振り方も考えてないの!?」
麻「テラちゃんさあ~、なんか私らを責めてるわけ?責められる理由ないと思うけどな。こっちだって一大決心
  なんだよ?」
望「責めてないわよ!びっくりしてるだけよ!」
麻「私も奈々子まで辞めるとはびっくりだよ」
望「ホントに、辞めてどうするのよ!?」
麻「バイトかな」
望「この歳でバイトって、、、」
麻「あ、今、日本中のフリーターの皆さんを敵に回したね」
奈「世界中じゃない?(笑)」
望「笑い事じゃないわ!」
奈「そっちこそ、小市民的な考え方なんじゃないの?」
麻「よそうよ。久し振りで3人顔揃えてのランチなのに」
望「二人が心配だわ」
奈「分かるわ。自分でも自分が心配(笑)」
望「茶化すのね、、、。本気で言ってるのに」
麻「私も本気で言ってるから。多分、奈々子もね」

温めたプレートで出してくれる洋食屋で、奈々子の白身魚も、麻美のハムカツも冷えていなかった。望のオムライスの卵は、外側から冷え始めていた。

麻「奈々子~、私カッコ悪い~」
奈「ダメだって?」
麻「来月に辞めていいって」
奈「じゃあ問題ないじゃない。別に次の仕事決まってないんでしょ?」
麻「そりゃそうだけど、、、」
奈「12月まで我慢できないの?」
麻「嫌だとなったら、後一日でも嫌だ」
奈「バイトで苦労して、そういう性格も直すといいわ」

フラストレーションが溜まる。フッチーにも内線かけちゃえ。

麻「フッチー、今いい?」
藤「どうした?」
麻「望、思った通り怒ったよ」
藤「目に浮かぶ(笑)。で、課長にも話した?」
麻「うん。渋い顔してた。でも、来月辞めていいって言ってくれた」
藤「麻美は長くいるから課の戦力だし、さしたる理由もなく辞めるとなると課長の立場もね」
麻「どうして辞めるのか聞かれたから、この制服着るのにもううんざりですって言っちゃったのに、、、」
藤「あはは、、、。それ、課長にも言っちゃったの?」
麻「決意の程を見せようと思って、、、」
藤「人に言っちゃダメだよ(笑)」
麻「奈々子にも言ってない」
藤「そうそう。これから特に会社って後ろ盾が無い社会で生きてくんだから、賢く立ち回って」
麻「今日も残業?」
藤「飲みに行く?」
麻「いいの?」
藤「こうして話しているよりマズくないよ(笑)」
麻「ごめん、、、」
藤「気にするなよ。麻美は人生の転機にいるんだからさ。応援するよ。終業時間キッカリは無理だけど、そっち
  も残業しながら待ってて。電話する」

嫌だなあ。明日も朝起きて、ああ、今日も会社かあって思うなんて、、、。1ミリも楽しくないから、会社を辞めてもむしろ更に悪い事になるって考える方に無理があるでしょ!辞めるか辞めないかじゃない。辞める?辞める?辞める!だよ、全く~!選択肢は、辞める、のみ!いざ、鎌倉!ってどの武将が言ったんだっけか、、、。そもそも、武将が言ったのか???ま、いいや、どうせすっかり気分が萎えた、、、。

*のっけから、会社を辞めるという麻美(と、奈々子)で、続編スタートです。辞める理由ってこんな程度なの
 でしょうか?何かあったのでしょうか?藤野は、相変わらずイイ奴ですね。麻美と奈々子の今後もですが、
 おいてけぼりの望もどんな行動を取るか、、、。秘書室の異動???次回、そのあたりが描かれるでしょう。
 乞う、ご期待!

朽葉色(くちばいろ)の望

笹「お電話換わりました、笹木です」
望「手羅です。ご無沙汰しています、、、。まだ残業していらっしゃる気がして、、、」
笹「久し振りですねえ。こちらは、そう(笑)、残業中です。お元気でしたか?」
望「・・・」
笹「もしもし?今、どこです?」
望「以前お会いした公園です、、、」
笹「そうか、、、。なら、ちょっと抜けられると思いますのでそこにいて貰えますか?ただ、5分程度で申し訳
  ないのですが、、、」
望「すみません、、、」

とうに秋の陽は落ちて、渋谷の喧騒から遠いこの公園の街灯は侘しかった。ひと気はなくて、枯葉の音が心細い。都会に無理やり作った公園なのだろうか。細長くてなんだか公園と呼ぶには情けない感じだ。ふらふらと来てしまった。迷惑なだけだろうけど。

笹「お待たせしました(息を弾ませている)。何かあったんですね?営業先との大きなトラブルとか?」
望「(苦笑)今は営業じゃないんです」
笹「!?じゃあ、今は?」
望「秘書室です」
笹「秘書室なんてありましたっけ?」
望「(苦笑)曖昧なのがあるんです」
笹「業務が厳しいとか?」
望「(苦笑)いえ、むしろ遣り甲斐は無い位です」
笹「それは、人事のミスですね。手羅さん程の女性を有閑職になんて。失礼ですが、秘書の方は何人いらっし
     ゃるんですか」
望「私を含めて3人ですが、元々2人で充分だった部署だと思います。2人は忙しそうにしています。あ、私に
     はちゃんと親切ですよ」
笹「手羅さんは、そこでは何を?」
望「名前だけ会長秘書なんです。主に電話番です。パーティーの招待とか、あ、いえ、もっと固いものもあり
     ますが、出席するかどうか会長に確認して先方に連絡するとか、鞄持ちとか」
笹「スピーチの原稿を口述筆記するとか、そういうのは無いんでしょうか。いえ、ボクは詳しくないですけど」
望「多分、あの2人がやっています」
笹「多分???」
望「それやこれや、疎外感で一杯です、、、。神山課長も出向させられてしまって、、、」
笹「えっ!?」
望「最後に残っていた同期の2人も会社を辞めると言い出して、、、」
笹「女の方ですね?ご結婚じゃないんですね、、、そうですか、、、なるほど、、、ちょっと、手を出して下さい」
望「???こうですか?」
笹「いえ、両手を。そうです。さあ、ボクの手を掴んで。息を吸って。まだまだ。いいです、もう一回。もうちょっと
  大きくです。吐いて。繰り返して。そう、段々できて来た。どうです?少し楽になりました?」
望「分かりません、、、。すみません、、、」
笹「重症みたいですね、、、。じゃ、飲みに行きましょう!」
望「えっ!?お仕事は!?」
笹「目の前で女の人が困っているのに?(笑)上着取って来ます。一人で待てますか?」
望「はい」
笹「すぐ戻ります。手羅さんはきっと大丈夫ですよ!自信を持って!」

おしまいの言葉が木霊する間に、彼の背中は見えなくなって、また一人になった。車の音が遠く近くに聞こえる。そうか、やっぱり重症なんだな、、、。

*笹木文人、見参!蛇足ですが、漢字変換キーで、見参は出ないですね~。
  で、神山課長、出番なしか???


胡桃色(くるみいろ)の望

神「ハイ、神山」
望「手羅です、、、。業務中にすみません」
神「どうしたね?」
望「あの、、、私は平気です。だけど、本当に出向なさるんですか?」
神「おかしな子だね(笑)。回覧か掲示を見たから言ってるんだろう?手羅クンの異動と同じくらい決定した事
     だよ」
望「だけど、、、そんなのって、、、」
神「悪い癖だぞ(笑)。どうしていつも自己評価が低いんだ?だから、人の事まで低く見てしまうんだよ?」
望「出向をバカにしてなんか、、、。あ、すみません、、、。だけど、やっぱり納得いきません」
神「う~ん、しょうがない人だねえ(笑)。あのクライアントが厳しい先だという事は、君だって知ってるだろう?
    何かと呼びつけられるより、あっちに常勤の者がいた方がいいんだよ」
望「神山課長が行かなくたって、、、」
神「人の心配どころじゃないだろう(笑)。秘書室なんて、それこそ右も左も分からないんじゃないのか?」
望「そ、それは、、、」
神「これからも、いつでも、何かあったら相談して来なさい。うちにも来るといい。女同士がいいなら、私の妻に
     話すといい。結構頼りになる筈だよ。いつか、剣道も見に来なさいね」
望「ありがとうございます、、、」
神「手羅クン」
望「はい?」
神「幸せになりなさい」

人事部からは、秘書室への異動の説明はあった。会長、社長、副社長とおられるので、やはり3名の秘書を置くべきだと決定したが、総務からは適当な人材を見つける事が出来なかった。新採用にも不安がある。兎に角、機密事項が多いからだ。有能で愛社精神がある手羅望でと満場一致。営業部としては痛いが、トップの安定が社の安定。
私、信じない!

奈「望、大丈夫?」
望「ダメでも仕方ないじゃない」
奈「よしなさいよ、投げやりな言い方は。望らしくない」
望「神山課長がいなくなる」
奈「この世から消えるわけじゃないわ」
望「同じ事だわ!私のせいよ!」
奈「はい???」
望「私が、営業部でちゃんとした働きを出来なかったから責任を取らされて」
奈「待て、待て、待て。飛躍してるわよ?」
望「神山課長が、優しかった、、、。絶対に変!」
奈「望には、いつだって優しかったわ」
望「そうよ!その神山課長がいなくなるのよ!」
奈「だったら、人事に直談判でも何でもしなさいよ。だけど、自分の心配もしなさいね」
望「神山課長が、幸せになれって(泣)」
奈「そうよ。あんたは、幸せになるのよ。飛ばされた神山課長の分もね。あんただけじゃないわ。私達全員、
     出来る事で頑張るしかないの!」

男にとって、出世コースを外されるという事がどういう事か、望に騒がれなくても分かっているわ。でも、心の中で万歳を叫んでいるヤツらの声も聞こえる。特に、神山課長を面白くなく思っていた人達。会社には派閥があるわ。専務派、常務派。イチ社員の私には手が届かない世界だわ。届いたところで、どっち側についたらいいかも分からないし。なんだか潮時を感じるわ。自分の居場所のアテは無いけれど、ここじゃない事だけは確かだわ。ガラッと違う所に一度身を置くのもいいかもしれない。
そこでもなかった時の事を思うと恐いけれど、、、。

*光源氏が、明石の君への手紙を、胡桃色の紙にしたためました。黄褐色。

青鈍(あおにび・墨がかった青系凶色)の望

笹「センター街は若者に任せて、道玄坂にしましょう。ああ、ホントいけないなあ。ボクに摑まって歩いていい
     ですよ?」
望「すみません、、、」

少し躊躇ったけれど、腕に摑まらせて貰ったら確かにずっと歩き易くなった。自分の足元だけ見て笹木について行くだけで良かった。
ファッションビルのエレベーターは狭かった。銀色の四方に自分の姿が映る。笹木は、階数を確認している。
和服の似合う女性が席に案内してくれた。笹木は低い声で、奥まった所をと頼んでいた。
4人用のベンチ席で、平たい座布団が乗っていた。

笹「奥に座って下さい」

笹木は、望を守るように通路側に座った。周囲は板張り。長い暖簾が下がり、完全に外から見えない作りだった。

笹「お酒、少し飲んでみます?」
望「分からない(涙)」
笹「じゃ、料理もボクが適当に注文しましょう」

慣れたように笹木は暖簾を持ち上げて、紺色の上下の男性を呼ぶと、幾つかの品をオーダーした。

笹「最近、ちゃんと食べてます?」
望「ええ。でも、言われてみると、長い事食欲ってものがなかった気がします」
笹「もっと早く連絡してくれれば良かったのに」
望「申し訳ないですから」
笹「さあ、何でも話して下さい。時間の事は気にしないでいいですから」

笹木が頼んでくれたのは、ロックの梅酒だった。とろり甘くて飲み易い、、、。

望「あ、、、」
笹「バカだなあ。こんな時までお酌の事なんか気にする事ないですよ。さあ、いいから。今夜は何でも聞き
     ますから」

笹木に胸のつかえを語る内に、自分の心が整理されて来たように思った。藤野と麻美を本当は許せていない事。それ以前に結婚に失敗した自分に我慢ならない事。営業部で精一杯やってみたけれど、突然の異動命令が下り、加賀見達の余りにもあっさりした様子に傷付いた事。異動は、自尊心をガタガタにしたけれど、表向きは配属先が移ったというだけの事なので、ぶつけられない苛立ちがフラストレーションになっている事。柏木サンも真里チャンもいい人達だけど、目に見えないバリアーを感じる事。秘書の仕事は、やれてるんだかやれてないんだかさえ自分でも摑み切れていない事。密かに父のように慕っていた神山課長に恩を仇で返した形になっている気持ちが払拭できない事。何よりも、会えないとなると無性に会いたい事。麻美と奈々子が、自分を裏切って会社を辞めるように感じてしまう事。

笹「充分吐き出した?もっと箸も進めて」
望「ありがとうございます。くだらない話に付き合って下さって、、、。私も同じ日本酒を頂いてもいいですか?」
笹「や、ボク、結構ハイピッチで空けてますね(笑)。もう1本立つ位いいでしょう(笑)。今頼みますね」
望「私の話ばかりしてしまって、、、。笹木サンは、何か変わった事はなかったんでしょうか?」
笹「ボクなんか、な~んにも無いですよ(笑)。今日は、手羅サンがボクを思い出してくれたのが事件ですね
    (笑)」
望「こんな話ばかりで、ごめんなさい、、、」

彼は笑うと少年みたいだ。私も20代に帰りたい。でも、思い切って会いに来て良かった。ご飯が美味しく感じられる。

笹「じゃ、そろそろ、、、」
望「あ!すみません!かなり遅くなってしまいましたね」
笹「たまには人に甘えるものですよ(笑)」

表通りに出ると、笹木は駅に背を向けて、道玄坂を登り始めた。望はいぶかしく感じながらも、酔い覚ましだろうと考えた。望としては、まだ別れたくない気分だったので、黙って腕を摑んで並んで歩いた。笹木が、はい、と肘を突き出したから。酔って足元が危ないのかもしれない事にした。次、いつ会えるか分からないんだし。月は見えなかった。それか、渋谷のネオンに隠れていた。

笹「手羅サン?」
望「はい?」
笹「ボクが、いつあなたに初めて好意を持ったか知ってます?」
望「!?」
笹「あなたの会社に初めて足を踏み入れて、神山課長から紹介されて、内心ボクは緊張でガチガチだった。
     その時、ボクを鼓舞するかのような目で見守っている人に気付いたんです。あなたでした、、、。ボクの
     勘は正しくて、その後も何かと気を配ってくれて嬉しかった、、、。ボクね、自分と特別な縁がある女性の
     事は見分けられるんですよ?(笑)」
望「・・・(目を見開いている)」
笹「見分けさせてくれるでしょ?」
望「?」

笹木がいざなう先は、一段とネオンが眩かった。

*流れから言って、望が何ひとつ笹木に逆らえる気はしないですね~。笹木は妻帯者でしたよね。
   弱っている女に手を出すのはいかんと思うか、もっと慰めてあげなきゃと都合よく(?)考えるか、、、。
   が、望が逃げ出すかもしれず。 いや~、お酒も入ってますしね~。
   まあ、望はもっと不真面目になった方がいいとも思います。



退紅(たいこう)の望

望「麻美?あの、、、私、、、あの時は、ごめんね?」
麻「ヤダ!私がいけなかったんだよ!?テラちゃん、忘れられるはずないよね、、、」
望「ううん。私、将軍の正室以下だったのに(苦笑)」
麻「えっと、、、どういう意味か聞いていい?」
望「なんというか、、、フッチーは、ただの恋人だったのにって事」
麻「ただの?響き、良くないよ、言える立場じゃないけど、、、」
望「ごめん。上手く言えない、、、」
麻「なんかあった?」
望「まさかの事があった、、、」
麻「???電話で話せる事?」
望「難しいかも、、、」
麻「う~ん、そっか、、、。今夜お泊りに行ってあげようか?」

テラちゃんって、思い詰めると落ち込み激しいからなあ。何があったか見当もつかないけど、まあ、聞いてから一緒に考えればいいや。

麻「エッ!!!あの笹木サン!?」
望「うん、、、」
麻「意外に大胆だったんだねえ~。いや、強引そうなトコあったか」
望「別に、無理やりじゃなかったわよ!?」
麻「どうするの?」
望「どうしよう?」
麻「じゃあ、どうしたいの?」
望「また会いたいの、、、」
麻「そりゃそうだよね~」
望「でも、もう会えないかもしれない」
麻「どうして?」
望「奥さんいる人だし、男の人って一回したらその女に興味失うでしょ?」
麻「笹木サンに聞いてみればいいよ」
望「聞いてみたの」
麻「嘘!?なんて!???」
望「どうして?って、、、」
麻「なんだって言った?」
望「・・・」
麻「遊び、だとか?いや、そういう意味じゃないけどさ、、、テラちゃんが余りに魅力的だったから自制できなか
     ったとかさ?」
望「男だから、って答えた、、、」
麻「ハア!?何ソレ!女ったらしなセリフ!!!」
望「実際、すごく遊び慣れてる感じだった、、、」
麻「えっと、、、それって、内容、が、かな???」
望「何から何まで、、、」
麻「何から何まで、、、か、、、。それは、よしておいた方がいい相手だと思う」
望「どうして?」
麻「私がそういう人と関係したら、テラちゃんは何て言う?」
望「やめろって言うわね(苦笑)」
麻「自分で分かってるじゃん!結果が見えてる恋路を走るな!」
望「恋愛は、過程でもあるんじゃない?」
麻「私に当たるのはどうかと思うけど、いいよ、友達だから、、、。だけど、深追いはダメだよ?」
望「分かってる。こうして折角話聞いて貰っても、もう終わった恋かもしれないしね(苦笑)」
麻「もしも、だけど、、、奥さんと上手く行ってなくって別れる話が出ている場合は、そん時だけは、飛び込んで
     ネ!神山課長に言われたんでしょ?幸せになれって、、、」
望「こんなに誰かを好きになったのは初めてなの、、、(泣)」
麻「泣かないで。泣くのは早いよ。それに、幸せの涙を流そうよ、ねっ?」

*この色は、紅を洗い落としたような色です。身分の低い者が着用する服の色。


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