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百合嫁2012年10月号 - 目次

ごあいさつ。
ツイッター 2010年7月1日~2011年12月31日まで。(有料のみ。試し読み無し)
小説『百合ざんげ』(一部無料公開)
あとがき。

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こんにちは。
藤間紫苑です。
 『百合嫁』も第三号になりました。
 今号は「ツイッター2010/07/01~2011/12/31」。とうとう311日記になります。
 私は東京に住んでいて、それ程地震の被害にあいませんでした。
 前のアパートでは玄関が壊れてしまいましたが、引っ越しが決まっていたので東京以北に住んでいらっしゃる方々に比べたら些細な問題でしょう。
 放射能の被害はすぐに訪れました。
 311以降、初めて雨に濡れた時。左手の甲に雨が当たったらいきなり骨がずきーんと痛みました。
「何? この痛み」
 私はとても不安になりました。アイスピックで刺されたかの様な痛みといいましょうか。
 その夜から左手には湿疹が出来、左手、左腕、肩、右腕、右手、胸、腹、足、と湿疹は全身に広がっていきました。
 湿疹は結局、8月頃まで残り、9月頃、やっと目立たなくなりました。それでも腹には湿疹の跡が残り、嫌な感じだったのを覚えています。今(2012/09/29)はもう湿疹の跡も消えています。
 それからウチメシを関西の食品に替え、外食を減らす方向へ行きました。
 ずっと続いた下痢も、9月頃大分落ち着いてきました。
 今でも外食はどうしてもしてしまいますから、ビオフェルミンSは飲み続けています。
 ヨーグルトもほぼ毎日食べています。
 311はアレルギー持ちの私にとって世界が変わった日でした。
 そういうアレルギー持ちさんは多いのではないでしょうか。
 健康な人には見えない放射性物質ですが、病人には目に見える形で悪影響がありました。
 そんなツイッター日記と、小説『百合ざんげ』です。
 『百合ざんげ』は宇野千代の『色ざんげ』のオマージュ作品なので、ぜひ『色ざんげ』も読んでみてください。
 それでは『百合嫁』をお楽しみください。
 藤間紫苑

 

 表紙イラスト:仁清七光

 


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今号のツイッター記事は見本がございません。
記事内容は2010年7月~2011年12月まで。311前後の呟きも含まれます。


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小説 百合ざんげ
藤間紫苑 著
 夢なんですわ、きっとこれは夢……。
 私は女の後ろ姿を汽車の中で見付けた時、そう思いながら何度も瞬きをした。女は平均的な日本人女性より、頭一つくらい背丈が高く、髪型をデートリッヒのような巻き毛にし、薔薇の造花を挿していた。きっと銀座を歩く時には洋装なのだろう。肌の色は浅黒かったが、白粉は塗らず、髪に挿した造花の薔薇と同色の紅い唇をしていた。その紅は私の見た事のない色で、輸入物だと思われた。女は手摺に寄り掛かりながら、流れる風景を親の敵のように見つめていた。特別車ではない普通車に何故乗っているのだろうか、そんな疑問を持つ前に、私は女に声を掛けていた。「ねぇ、ちょっと貴女。小牧高尾さんじゃありませんか。」私の声に女は振り返り、こう答えた。「貴女なんて知らないわ。」「私は貴女を知っているわ。私の名前は千代。私……」高尾は私の言葉を遮った。「千代。あの三流作家とおんなじ名前ね。改名すべきだわ。貴女、あのスキャンダラスな艶本を読んだというの。」高尾は唇に薄笑いを浮かべながら私を見た。ああ、この笑みよ、私が求めていたものは。私は体がきゅっと引き締まるような快感を覚えた。高尾本人だという確信を持った私は、女の右腕を掴み抱きしめた。「ええ、読んだわ。宇野千代さんが書かれた『色ざんげ』でしょう。私、何度も、何度も読んだわ。貴女が湯浅譲二に一目惚れして駅でずっと待っていた話、ホテルに行った話、家出した話から、家が没落した話、それから商才を発揮なさって成功された話、私、何度も、何度も貴女の章を読み返したのよ……でも『色ざんげ』には、貴女の素晴らしさが書き込まれていないわ。きっと、書けなかったのよ、貴女が素晴らしい女性だって。だって……だって……。」私は高尾の腕を握り締めながら、彼女の顔をじっと見詰めた。「だって……こんなに貴女の事が好きだなんて……言えなかったのよ……きっと……作者は。」私は高尾の瞳を覗き込んだ。高尾はその浅黒い顔に残酷な笑みを浮かべた。「貴女は私の事が好きなの?」高尾のはっきりした声は、車内に響き渡った。海兵服を着た女学生達が私達の方を見ながら、声を立てずに笑った。海水浴に来た学生達は、ちょっとの間、話を止め、聞き耳を立てた。私は恥ずかしさを感じ、さっと俯いた。こんな気の弱い私を高尾は責めるだろうか。嫌いにはならないだろうか。私は高尾の腕をさらに強く抱いた。私は自分の胸に高尾の腕をさらに強く押し付けた。暫くすると、車内は再び旅行者達の喧騒に包まれた。「わ、私……、高尾さんが好き……です。」私は俯きながら、そう言った。汽車の、痺れるような振動が高尾の体を伝わって、私の体内に流れ込んできた。

 

(見本 続きは有料になります。)


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イラスト
仁清七光

 

 今回も表紙を描かせていただきありがとうございました。
 ツイッターでいつも藤間さんのつぶやきを見ながら
 応援したりほっこりしたりしていても、なかなか
 それを伝えることが出来ていなかったので
 そんな日々の気持ちを込めて今回のこの表紙を
 描かせていただきました。
 今は同じべビ待ち嫁と言う事で勝手に心強く
 思っていたりします。

 

 描かせていただいた表紙を通して一人でも多くの方に
 藤間さんの本を楽しんでいただけたら幸いです!

 

 本当にありがとうございました^^

 

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※ 前回は百合同人誌『征服の乙女』でイラストをお願いしております。


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