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スウィートヘブン

スウィートヘブン

「ケイジさんがやられました!」


いつものように開店の準備をしている俺に、
ユウキが真剣な顔をしてそう告げた。

ポリスとの会う約束をしていた、2日ほど前の事だった。


「…何やらかしたんだ?」


正直、喧嘩をする事自体は特別珍しくない。
暴走族だからな。

しかし、今回の喧嘩は少し事情が違ったようだ。


「ケイジさんをやったのは、スウィートヘブンの奴等です。」


スウィートヘブン…初耳だった。

何か暴走族らしくない名前だな…そう思ってると、
横からアツヒコ君が会話に入ってくる。


「スウィートヘブンか、あそこタチが悪りぃんだよな」


アツヒコ君も、花ごころで働いている先輩ホストだ。
しかし俺よりも歳は下の為、君付けで読んでいる。


「アツヒコ君も知ってんの?」


暴走族上がりではない彼が知っている程、
そのスゥイートヘブンと言う団体は大きいのかと思ったが…どうやらそうではないらしい。


「スウィートヘブンはキャバクラですね。」


「……キャバクラ?」


予想外の答えに拍子抜けした声が出てしまった。


「何でキャバクラなんかにポリスがやられんだ?無銭飲食でもしたのか?」


「いや、雄一さん。あそこはボッタクリっすから。
それでそのポリスって人、被害に遭ったんじゃないすか?」


アツヒコ君がそう言ったが、それも少し違ったようだ。


「いやアツさん、確かにボッタクリが関係してるんすけど、
ケイジさん本人がその被害に遭った訳じゃないらしんすよ。
何でも、ボッタクリの被害に遭おうとしてる人を助けようとしたらしくって…。
それで店の奴から袋叩きにあったらしいんです」


「ボッタクられようとしてる人を助けた…?」


何と言うか…呆れる程お人よしだ。

ポリスは、昔から正義感の強いやつだった。
極勇会の中でも、汚い事や曲がった事にはとことん反発していた。


「そうです。でも、たまたまって訳じゃなく、
ケイジさん前からあの店に対してイザコザがあったみたいすからね。」


後にわかった事だが、ポリスの連れが店にぼったくられた事もあったらしい。
きっとそう言った鬱憤が溜まってたんだろう。


「マジで奴ら調子に乗ってるからな。この間俺も揉めたわ。
俺の客でたまたまその店で働いてる娘が居たんだけど、
その娘が帰ってから俺の携帯にボーイから連絡がかかってきて、
”てめぇうちの店の従業員たぶらかしてんじゃんーよ”だと」


どうやらそのスウィートヘブンって店の奴等は、相当タチが悪いらしい。


折角久々にポリスに会えると思ったのに、また今度になりそうだ。


「とにかく、そんなだったら明後日会うのは難しそうだな。」


「難しいどころじゃないですよ!
…ケイジさんまだ意識戻ってないんですから。」


「…何だって?」