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ポリス

ポリス

ユウキとの会話は続く。


「いやいや、たまたまカツヤ君のおかげで同伴してもらえただけだしな。」


「いや、でも雄一さんならすぐに人気が出ますよ!頑張ってください。」


頑張ってください…か。

ユウキの言葉が妙に上から言ってるように聞こえたが、まぁいい。

そのうち巻き返してやる。


「そう言えば極勇会の方はどうだ?」


最近話を聞いてなかったので、会の事が気にはなっていた。


「俺はもう抜けて居ないんですけど、順調にやってるみたいですよ。
あ、そうだ。雄一さん、ケイジさんを覚えてますか?
雄一さんが店に来る事を話したら、会いたがってましたよ」


「ケイジ……ポリスか?」


ケイジと言うそいつは、俺が義勇を立ち上げたときに居たメンバーの1人だ。

あだ名は、ケイジ(刑事)だからポリス。
ユウキの先輩にあたる。


ポリスは、お坊ちゃんだった。

普通暴走族になるような奴ってのは、
家庭が複雑だったり、最初から何処か尖ってる様な所もあるのだが、
ポリスの家は全く普通の家庭だった。

むしろ親は公務員をやって居る様な、躾に厳しい家だった。
確か最初は学校の成績もかなり良かった筈だ。


そんな、ごく真面目で順調な中学時代を過ごした様だが、
あるきっかけで、高校の途中で”不良デビュー“してしまった。


出会った当初は、黒髪でオドオドしていて、
いかにも”真面目くん”って言葉が似合っていたポリス。


そんなポリスも、段々と場数を踏んで行く度に、気合が入って行った。

最初はポリスの事をからかっていたメンバーも、
色んな事を一緒にやって行く度に段々と仲間意識を持つ様になったのか、
いつしかポリスは極勇会に欠かせないメンバーになっていた。


「そうか、俺も久し振りに会いたいと伝えて置いてくれ。」


「うっす、伝えときますね!」


この事がきっかけでポリスと会う事になったのだが、それが思わぬ事件を起こす事になる。


話は戻り、2日目の花ごころも盛況だ。
トモミさんに着いた後は、色々な人のヘルプに付いた。


ホストと言う仕事は、決して楽で楽しいものではなかった。
少なくとも俺にとっては。


とにかく、客はストレスを溜めている。
その発散に店に来ているんだから、楽な筈はない。

別に女に不自由していなかった俺にとっては、女と話す事が楽しい訳じゃなかった。

この頃は、仕事としてホストをやっている意識が強く、
辛いけど頑張らなきゃと言う思いが強かった。


ホスト業界は狭いもんで、色々な情報が筒抜けで入ってくる。
俺が仙台から帰って来た事も、瞬く間に広まったようだ。


前にも書いたが、この頃のホストは元ヤンが多かった。

俺もそうなのだが、過去に付き合いのあった先輩や後輩が他店で働いていて、
それらの店に挨拶に行く事も多かった。


「何か困った事があったら言ってくれ 」


他店で働いているホストの先輩から、声をかけてもらう事もしばしば。

当時、ホストの店同士の諍いは結構多かったのだが、
俺は他店に知り合いが居た事で、ホストとしてやりやすかったのも事実だ。


そうしている間に、ポリスとの約束の日が近づいて来た。

久々に会うポリス。
俺は奴がどう変わってるか楽しみだった。


しかし、約束の日にポリスと会う事は出来なかった。