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ホストクラブ花ごころ

ホストクラブ花ごころ


「雄一、ここだ!」


新宿歌舞伎町にあるビル”風林会館”。

その近くのスーパー「エニイ」がカツヤ君との待ち合わせ場所だった。


そこに向かう途中の道すがら、カツヤ君に呼び止められた。


カツヤ君は豹柄のコートを羽織り、ブーツを履き、
いかにも只者じゃないオーラを出していた。


…この人は昔からこうだ。


後輩に対して厳しく、破天荒な所がある。

昔は良くカツヤ君の無茶振りに付き合わされたもんだ。


(相変わらず派手な格好をしているなぁ)

そんな事を思いながら、カツヤ君に挨拶をする。


「お久しぶりです!これからよろしくお願いします」


おう、と軽く返事をし、カツヤ君はしげしげと俺のいでたちを見る。


「雄一…お前、荷物は?」


「手ぶらで来ちゃいました」


「手ぶらって、着替えもないのか?」


「サイフだけっす」


一瞬間を置いたカツヤ君、
事態を飲み込むと、周囲を気にせず大笑いしだした。


「お前!相変わらずだな…!」


俺はそんなに変な事をしたつもりでは無かったが、
白い歯を見せるカツヤ君を見る限りなかなか普通ではなかったのだろう。


良い意味なのか悪い意味なのか分からないが、
相変わらずと言われたことが俺は妙に嬉しかったのを覚えている。


「裸一貫で、一旗揚げに来ましたから」


俺は少し、はにかみながらこう答えた。


その場で少し雑談し、早速カツヤ君がやっているホストクラブに連れて行ってもらう事に。



歌舞伎町は、有名な看板のある一番街通り、
一番広い中央通り、その横の桜通りがあり、その3つの通りが主要な通りだった。


これから連れて行ってもらう、ホストクラブ”花ごころ”は、その桜通りの更に横。
桜通りと区役所通りとの間に位置する、東通りにあった。


「雄一、ここだ。」


「え……ここですか?」


ルナールと言う喫茶店の地下2階に位置するその店を初めて見た感想は、
…想像していたよりずっと小規模な店だった。


そしてここから、俺のホストとしての人生がスタートした。