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5話 ウソの味

5話 ウソの味

 
「うわぁ、おっきい……」
 千代ちんはそういうと粘液でぬれる豆をつつく。
そして黒く硬い二本の棒を中に突き立てると、ニチニチと音を立て乱暴にかき回し始めた。
 棒を引き抜くと、つ、と細い糸を引く。
 わたしは熱っぽさでぼうっとした頭でその様子を眺めていた。
「このあっついのによく納豆なんて食べれるわね……」
 朝からのこの暑さでわたしは食欲がわかない。ましてや炊き立てご飯に納豆なんて……
「しっかり食べないからばてるのに……」
 千代ちんが納豆をご飯にかけながら言った。
「ちゃんとあっつい時用の食べ物があるのよっと……」
 そういうとわたしは台所に立ち上がり、どんぶりにご飯と三奥屋の古漬け「晩菊」を入れてかき混ぜながら冷ます。そしてラップの上にあけておにぎりに握る。
「むー、コレだと食べられる……」
 グラスに冷たい麦茶を半分ほど注ぎ、口の中の晩菊ご飯を胃袋へと流してやる。
「行儀悪いなあ」と言いたげな千代ちんの視線を無視して再び台所へといき、冷蔵庫から三和漬物の「だし」とカレー用のスプーンを持ってくる。
 何を始めるんだろうと興味を持っている千代ちんの納豆ご飯の茶碗に、有無を言わさずスプーンいっぱいの「だし」をべぃっとかけてやる。
「ちょっとぉ、ナニするのよ!」
 と語気を荒げる千代ちんに、
「いいからだまされたと思って食ってみ」
 と、うながしてやる。
「あ、さっぱりして食べやすくなった」
「でしょ、夏に納豆食べるならこれないと……」
 そういうわたしは「だし」を冷奴に一さじ乗せて、崩しながらいただく。
 8月15日、お盆も終わりの今日、わたしは千代ちんと二人で遅めの朝食を食べていた。
 昨晩お盆の挨拶に来た千代ちん一家から千代ちんを引き剥がし、夜遅くまでシンハもまじえて今日明日の対策について話をしていたので起きるのが遅くなったのだ。
「今までの化け物の出現状況を分析すると、さくらんぼのときを除くと人が大勢集まっている場所に現れるのよ」
 このことに気がついたのは千代ちんだった。これが前回「犬の宮」からの帰り道の話で、その後、人の集まりそうなイベントには、パトロールがてら二人で積極的に参加するようにした。
 8月の第一日曜、糠野目のカッパ祭り。これは昔近くで悪さをしたカッパ、そのカッパの結婚相手を模した山車を引っ張るお祭りだ。世界一長いカッパ巻き作りに挑戦したりもする。
8月10日のごんぼの実祭り。マジックテープのようなとげのついた、ゴルフボール大のごぼうの実、コレを好きな相手に投げつけて、家に帰るまで気がつかなければ恋の願いがかなうという、昭和縁結び通り商店街の名前のもとになっているロマンチックな伝説があるお祭りだ。
とはいえ、実際のところは、小学生が面白がってチカチカする「ごんぼの実」のぶん投げあいをする少々危険なお祭りになっている。
両方のお祭りをわたしたちは当初の目的も忘れて満喫した、幸いなことに例の化け物は現れなかったが、これではいかん!と活を入れなおしたのが昨晩のことだった。
「えーと、今日の予定が10時からスノーアクティブフェスタに、夕方からみこしパレード、終わったら音楽イベントね……」
「またテレビに映るかな?」
千代ちんの言葉にわたしは
「あぁ……」と頭を抑える。
以前から都市伝説的にささやかれていたラクシュミーの存在は、先日の犬の宮の一件で、米沢のケーブルテレビによって千代ちんとともに白日の下へとさらされた。遠目からの撮影で音声が入っていないのが救いだった。
その後動画投稿サイトで転載に転載を重ねられ、某巨大掲示板ではさまざまなジャンルでスレッドが立てられた。「某マッチョ系俳優が泣きながらわたしたちと戦う画像」というコラージュを見たときにはこっちが泣きたくなった。
オタクっ気のある友達が言うにはコスプレする人まで現れているらしい。
ラクシュミー効果で物見遊山の観光客が増えて、名物の種無しぶどう「デラウェア」の売れ行きがよく、お父さんの機嫌がいいのが唯一の救いだ。
こうした動きに対し千代ちんは割りと好意的に見ているが、わたしは世間の注目っぷりにすっごいプレッシャーを感じていた。
「変身、絶対ばれないようにしなきゃダメだかんね!」
「でも、変身したら決めポーズとかしなきゃなんないと思わない? 口上とかさ、まほろばの大地に千年の安らぎを! ラクシュ・ミレニィ! なーんて」
千代ちんがくるくる回り、最後にビシィッとポーズを決める!
「……それにあわせろって言うの? わたしも……」
ちなみに、以前に名づけた「ミレニアム」という名前は、語呂が悪いので、私の「ピオニィ」にあわせて「ミレニィ」に省略された。


「あの、なんで夏なのに雪があるんですか?」
スタッフらしい背の高いメガネのおじさんに千代ちんは物怖じしないでたずねる。
「えっ、あっはい、これはですね、飯豊町のほうに雪をおっきな雪室の中に入れて貯めておいて、夏場に冷房なんかに使うところありましてですね、そこからダンプで5台分くらいもらってきてるんですよ」
「へぇえ……」
単管パイプを組んで作られた高さ8メートルほどの人工的な山、ズンズンとクラブ系の音楽が流れる中、そこから何人ものスノーボーダーが滑ってはジャンプし、ワイルドに、華麗に、エアーを決めていた。
スノーアクティブフェスタ。この事業も十数年続いており、お盆だというのに近隣だけではなく青森や東京、はては関西からまで参加希望者が来ているという。
「あ、そり貸しますだって。ね、ね……」
「いやよ、はずかしい!」
みなまで言う前に断固拒否する。千代ちんは露骨に残念そうな顔をした。
「さぁ皆さんお待ちかね!われらが布施忠の登場だ!」
MCがそうアナウンスすると会場がどよめく。
するとTシャツ姿のおじさんが、今までの誰よりも力強くワイルドにエアーを決めた。
「おおおおおぉぉぉぉぉ……」
会場から歓声があがる。
「ね、ね、だれだれ?」
千代ちんが興奮してわたしの背中をばしばし叩く。
「なんか昔若いころプロだったみたいよ、スノボはしないから詳しく知んないけど」
背中をさすりながらわたしは答える。
「お譲ちゃん、忠はね、スノーボードのトップブランド、バートンのグローバルチームに所属していた唯一の日本人プロだったんだぜ。一番乗ってたときなんか、なみいる世界のプロのすべりを集めたDVDのおおとりまでつとめたんだ」
近くにいた、スタッフらしき丸っこいおじさんが、まるで自分のことのように自慢げに教えてくれた。

「ねぇちょっと静かなところに行かない?」
わたしたちは会場でかき氷を買うと、それをもって「幸橋」という小さな橋を渡り、裏通りを東に向かって歩いた。
しばらく行くと小さな堀と木立に囲まれた厳島神社、通称弁天様が見えてくる。
目の前にある縁結びどおりから新高畠音頭が流れてきて静かにとはいかないが、木陰の涼しさが心地良い空間を作っていた。
「御仮家の祭りって言って、安久津八幡神社のお神輿が屋代地区を回ったあとにその日のうちに帰れないからここに泊まったんだって。 それを青竹に飾ったちょうちんでお迎えしたから「青竹ちょうちん祭り」っていうんだってさ」
「ふーん……」
千代ちんは、かき氷をじゃっくじゃっくとつつきながらわたしの説明に退屈そうに相槌を打った。
「なかなか出ないもんだね……」
どうやら千代ちんは化け物退治のことで頭がいっぱいの御様子だ。
「そうだね、でも出ないなら出ないで平和でいいと思うんだけどなぁ」
わたしは正直化け物退治はこりごりだ。
「それは困るッハ、あの化け物が出てきてくれないと文珠が回収できないっハ、あ、それと僕も少し氷が食べたいっハ」
シンハがスニーカーをぺちぺち叩きながらうったえた。わたしはカキ氷の容器を大ぶりに割ると、その上にかき氷を盛って差し出してやる。シンハはまってましたとむしゃぶりついた。
「あの化け物ってさ、何が目的なんだろうね?」
「……そういえばそうよね」
千代ちんがふと口にした疑問、言われてはじめて気がついた。
「最初が学校でしょ、次が旧高畠駅の公園、その次がさくらんぼで、こないだが犬の宮……共通点とかないよね……」
わたしは首をひねる。
「ねぇシンハ、心当たりとかないの? 文珠を盗んだ犯人の……」
千代ちんの問いかけにシンハは顔を上げれずにいた。
「……わかんないんだ……しょうがないなぁ……」
「……いっつもあの時期はたいへんなんだッハ。 受験生の波、波、波! 松が明けてやっと休みもらって、小正月までぐっすり寝ないと疲れなんか取れないんだッハ」
千代ちんのさめた物言いに、切れたシンハがまくし立てた。
「よ、要するに、1月の8日から15日くらいまでになくなってたってコトよね」
わたしはシンハをなだめるように確認を入れた。
「そういうことになるッハね」
「文珠のこと知ってるのは?」
「この時代では君たちくらいしか知らないッハ」
「この時代?」
「そうだッハ、文珠が僕の力の源だって言うのは、歴代のラクシュミーにしか教えてはいないッハ。前のラクシュミーは明治の初めのころの話だから、もう生きてはいないはずだッハ」
「歴代、ねぇ……」
歴代なんて聞くとなんだか自分たちがすごい存在なのかなと錯覚してしまう。
ともあれ文珠を奪った犯人については三人寄ってもわからずじまいだった。


「いえーぃ、アメちゃんゲーット!」
体を真っ赤に塗って赤鬼に扮したおじさんが沿道へと向けて投げたあめ玉を、千代ちんは幸運にもつかみ取った。
夜のとばりが落ち、真っ赤なちょうちんに火がともった。
御仮屋の祭りのおみこしパレードの始まりだ。
商工会、建設組合、わかわしバレーなどなど、例年6、7台のおみこしが商店街を練り歩く。
いつのころからは知らないが、縁結び通りと、まほろば通りの交わる交差点で、モチやら、アメやら、ビーチボールやらをまくようになった。
千代ちんが手にしたそのアメは、商工会青年部のおじさんが投げたモノだった。
「なにかご利益あるのかな?」
千代ちんが手にしたアメをわたしに見せながらうれしそうにいった。
「さぁ?」
そっけなく返事したのは、ふみつぶされないようシンハを抱き上げているため、アメの争奪戦に参加できなかったからではない。決してない。
そうこうしているうちに、青い龍のおみこしが交差点へと現れた。
「泣いた赤おに」とならぶ浜田広介のもう一つの代表作「りゅうの目のなみだ」の龍を模したおみこしだ。
役場男性職員の手によって中華街の蛇踊りのような演舞を見せ、観客の歓声を受ける。
ひとしきり演舞が終わり、龍がまほろば通りに流れていこうとしているとき、とつぜん場違いな悲鳴が上がった。
悲鳴の主は、龍のおみこしに随伴してきた、黄色い龍のずんぐりむっくりした張りぼての着ぐるみ、いや、着ぐるみの後ろで尻もちをついているおじさんだ。
着ぐるみは不気味な光を放ちながら、むくむくとその大きさを増し、
「ダデーナーーーー!」
と大きく叫び声を上げた。
「来たッハ!」
「ぼたんちゃん!」
「うん!」
わたしたちは顔を見合わせると人目につかなそうな三郎薬局のかげへと駆け込んだ。
と同時に、黄色い龍の変化に気がついた人々の悲鳴が聞こえてくる。
「いそぐッハ!」
シンハが如意宝珠をよこす。
『オン・チンターマニ・ソワカ!』
二人は声をハモらせてラクシュミへと変身した。
「行かなきゃ!」
と、かけ出そうとするわたしの肩をミレニィがつかんで引き止める。
「どうしたのよ?」
とふりむくわたしに、ミレニィは人差し指で上を指す。
「どうせなら、派手に行かなきゃ」
といって彼女はわたしの返事も待たずに三郎薬局の屋上へと跳びあがった。
「ん、もう!」
わたしも後を追う。
屋上へと降り立つとすでにミレニィは交差点を見下ろしている。
小走りで近寄ってミレニィの後ろに立った瞬間、彼女は大きな声で
「そこまでよ!」
と叫んだ。
黄色の龍と御祭りの観客がいっせいに彼女に視線を集める。
「まほろばの大地に千年の安らぎを、ラクシュ・ミレニィ!」
そういうと彼女は見得を切った。
そして、あんたも早くやんなさいよ、といわんばかりに目くばせしてくる。
心の準備も何も出来ていないわたしはアタマが真っ白になって、
「ピ、ピピピピオニィ」
と、噛みながら、それらしいポーズをとるのが精一杯だった。
「楽しいお祭りをメチャクチャにしようなんて許せない! 行くわよピオニィ!」
そういうとミレニィは黄色い龍めがけて飛び降りた。すぐにわたしも後を追う。
「づあぁあぁ!」
ミレニィのキックが龍の鼻面へと突き刺さる。
「はぁあぁあ!」
衝撃で下がった龍のあごを、目の前に着地し沈み込んだわたしが、伸びあがりざまに掌底で突き上げる。
黄色の龍は信号機の高さまでその体が跳ね上げられ、受身もとれずに地面へと激突した。
背中合わせで龍の挙動を警戒するわたしたちに、歓声と、拍手と、カメラのシャッターがいっせいに浴びせられた。
黄色い龍は片手をつきながらゆっくりと立ち上がろうとする。
「私は胸から上、ピオニィは腰から下よろしくね」
そういうと、ミレニィは背中の羽を使ってわたしの背中をなで上げる。
「わ、わかった」
ぞくりとするその感触に、彼女が何をしようとしているのか理解する。
「ゴウ!」
黄色の龍が立ち上がり、わたしたちに向かって威嚇の声を上げた。
その声がまさにゴーサインだった。
二人同時にとび出すと、龍に向かって連続攻撃を叩き込む。
空を飛べるミレニィは、約2メートルほど浮いて連続で回るようにキックを、私は地に足をつけてパンチやひじを叩きいれる。
龍は必死にガードしようとするがとても手が足りない。
じりっ、じりっと後ろに下がっていく。
すごい……
この前は千代ちんまでひどい目にあうんじゃないかって不安に思ってた。
でも違った。
体が軽い。
一緒に戦う仲間ができたっていう気持ちがそうさせているのかな。
やられる気なんてまるでしない。
二人いるってサイコー、もう何も怖くない。
「づあぁ!」
ミレニィがひときわ強く黄色い龍の頭を蹴りつけた。
「うりゃぁ!」
バランスをくずした龍を思いっきり蹴り上げる。
龍はまるで風車のようにぐるぐると回転し、頭から地面に激突すると痙攣した。
「いまよ!ピオニィ!」
ミレニィの声に、わたしは龍から5メートルほど間合いを取ると、トゥインクルロッドを取り出す。
くるくると舞を舞うようにしながら空中に曼荼羅を描くと、しだいに力がみなぎってくる。
「ようし!気力充実! ラクシュミー・トゥインクル・ファウンテン!」
わたしがロッドを振りかざすと、輝く光の奔流が黄色い龍に向かって降り注いだ。
「ダ、ダデェエェェエェェェエェエエナァァァァァアアアアアアァァー…………」
黄色の龍が絶叫を上げ、その体から力が急速に抜けていくように感じられた。
ほっ、としたその時、視界の端で何かが動くのを感じた。
ふと目をやると、そこには役場の職員が操っていた青い龍がなぜか空中に浮かんでいて、その大きな、いや巨大な口がわたしの眼前にせまっていた。


恐る恐る目を開けると薄暗い。
目の前にたくましい男の人の背中がある。
この服は……覆面の人だ。
覆面の彼が腕を突っ張っている。
鋭く並んだ牙が鈍く光って見える。
ここは?
龍の口の中?
今まさに噛み千切られようとしているわたしを、覆面の彼が腕を突っ張って龍の口が閉じるのをふさいでいてくれたようだ。
「は、早く逃げろ……もう……もう、もたん……」
覆面さんが絞り出すような声で言った。
わたしは急いで龍の口から転がり出る。
と同時にその口が閉じられた。
「覆面さん!」
わたしが叫び声をあげると同時に、ミレニィが龍めがけて炎を連発で叩き込む。
その炎にひるんだ龍は苦しそうに飛びあがると、口から覆面の彼を放り出した。
龍は上空高くまで舞い上がると、空中でとぐろを巻き、その瞳から滝のように水を流し始めた。
その尋常ではない涙は、まるでダムから放水されたような勢いで交差点へと降り注いだ。
降り注いだ水は濁流となって町を飲み込む。
わたしたちはその水を避けるように魚竹商店の屋根へと跳びあがった。
あちこちから悲鳴が上がる。
人が、屋台が、おみこしが、圧倒的な量の水に押し流されていく。
まるで小学校のときにニュースで見た津波のような地獄絵図だ……
「あんなのが使えるなんて……文珠にしたら20個分くらいの化け物だッハ……」
シンハが震える声でつぶやいた。
「こんにゃろ! こんにゃろ!」
ミレニィが上空の龍めがけて火の玉を何発も何発も撃ち込んだ。しかし、流れ出る水の壁に阻まれてダメージを与えられないようだ。
「ピオニィ、ミレニィ、こうなったら空中戦しかないッハ!」
「なるほど、近づいて叩き込めってことね」
いうなりミレニィは飛び上がった。だけど……
「なにしてるッハ!ピオニィ!」
シンハが怒鳴る。
「や、だってわたし羽生えてないし……」
「生やせばいいっハ、イメージするッハ」
「イメージったって……」
「ミレニィは竹にすずめ、ピオニィは蝶にボタンだッハ!」
「何よそれ、麻雀と花札じゃない」
「いいからチンターマニに手を当てて、蝶の羽をイメージするッハ」
わたしは言われたとおり、胸の如意宝珠に手を当てて、妖精のように背中に蝶の羽のはえたピオニィの姿を思い浮かべる。
蝶の羽……蝶の羽……
念じていると背中がなんだか温かくなってくる。
不意に、シャラララン、と、すずやかな音がしたかと思うと、背中のリボンが大きな蝶の羽へと変わっていた。
「よーし、行くッハ!ピオニィ!」
シンハの掛け声とともにわたしは屋上をけって飛び立った。
見るとミレニィは、何とかよいポジションから攻撃を仕掛けようと龍の周りを飛び回っているが、抵抗にあってなかなか有効な攻撃を与えられない様子だ。
わたしは羽こそ蝶だが、まるでトンボのような勢いで突き進み、ミレニィに気を取られて、下からの攻撃に対して注意がおろそかになっている龍のあごを、掌底で思い切り突き上げた。
「ギャオォオオオォォォオオオン……」
龍は痛みで悲鳴を上げ、頭を上に向け空中で一本の棒のようにのけぞった。それとともに龍の目の泪も止まる。
「ナイス!ピオニィ!」
ミレニィは、いまだとばかりに龍の体に至近距離から炎の玉を次々と撃ち込んだ。
「ギャアァァアアォオォオオオォォォオオオン……」
至近距離からの炎の連撃は、龍の体すべてを炎で包み込んだ。
パニックになった龍は身をよじって何とか炎を消そうともがく。
と、突然龍が急降下を始める。
「そうか、地面の水で……」
と、思った瞬間わたしは龍の角へと飛びついた。
地面へと向けて加速をつける。
気がついた龍がブレーキをかけようとする。
が、わたしの思惑に気がついたミレニィも龍の角へとしがみつき、さらに加速をつける。
みるみる地面がせまる。
バッシャァアアァァァアアアァァァアン…………
と、高く水しぶきが上がった。
はるか上空からアスファルトにたたきつけられた龍は、気絶し、その長い体をくたくたと横たえた。
「今よ!ピオニィ!」
ミレニィの言葉にわたしはトゥインクルロッドを構える。
踊るように空中に曼荼羅を描き……
「ようし!気力充実! ラクシュミー・トゥインクル・ファウンテン!」
ロッドを振りかざすと、輝く光の奔流が龍に向かって降り注いだ。
「ダ、ダデェエェェエェェェエェエエナァァァァァアアアアアアァァー…………」
光を浴びた龍は、ひときわ高い絶叫を上げて、のた打ち回っていたが、次第にその体からは力が失われ、元の龍みこしへと戻った。
しだいに水も引き始め、龍みこしのかたわらに文珠が鈍い輝きを放ちながら転がっていた。
「すごい文珠がこんなにあるッハ」
駆け寄ってきたシンハがうれしそうに声を上げる。
「そんなことよりピオニィこっち!」
声を上げたミレニィのほうを見ると、その足元には覆面さんが倒れていた。
ピクリとも動かない彼のそばにミレニィはしゃがみこむ。
「この覆面の人、息してない!」


わたしもそばへと駆け寄った。
覆面さんは、瞳を閉じてぐったりと体を横たえていた。
「誰かこの人を……」
 助けを呼ぼうと周りを見渡す。が、そのあまりの光景にわたしは言葉をなくした。
 ずぶぬれで動けないのは覆面の彼だけではない。
両手を地面について、肩で荒い息をしている人。
ケガをしたのか大声で泣き叫んでいる小学生くらいの女の子。
離れ離れになった子どもを探すために声をあげている母親らしき人。
水圧でぐにゃぐにゃになったテントを必死に持ち上げようとしているハッピ姿のおじさん。
ぐったりした人の肩をたたいて呼びかけている警備の消防団員。
「ひどい……」
「みんなさっきの水で流されてそれどころじゃないッハ」
シンハは言うと、再び鈍い光を放つ文珠へと向かって駆け出していった。
「それこそそれどころじゃないでしょ! こんなときに文珠なんてほっときなさいよ!」
 ミレニィがシンハに大声を上げる。
 ふたたびわたしは覆面さんへと顔を向ける。
 彼は、先ほどと変わらず眉間にしわを寄せ、ピクリとも動かない。
 彼の顔を見ていると今までのことが走馬灯のように思い浮かんでくる。
 中学校で、化け物に横から体当たりして助けてもらったこと。
 旧高畠駅の公園で、わたしを抱きしめて化け物の攻撃から守ってくれたこと。
 犬の宮では、たぬきの攻撃を代わりに受けてくれた。
 そして今日の龍の噛み付き。彼が龍の口を支えてくれなかったら今頃……
 いつも彼に助けてもらってばっかりだった……
「決めた! ミレニィ、心臓マッサージお願い! わたし……人工呼吸する!」
「人工呼吸? だってそれって口と口とで……」
 ミレニィが驚いた顔をしてわたしを見る。
「今まで何度も彼に助けられたんだもん。今度は……わたしが助けなきゃ!」
 彼をあお向けに寝かせる。
 そして……
 そして、口を出すために覆面をはぎ取った。
「!」
「あ、赤木!……君」
 ミレニイがのぞきこんで大きな声を上げる。
 でも誰だっていいじゃない。今、ここにいるのは、生死の境をさまよっている、何度もわたしを救ってくれた命の恩人だ。
今、彼を助けられるのはわたしだけ。迷ってなんかいられない。
「ミレニィ、お願い。確かテンポは……」
「もしもしカメよだっけ? いくよ!」
 体育の時間に習った心肺蘇生法、ミレニィも覚えてた。
 鼻をつまみ、あごを上げる。
 そして……
 わたしは大きく息を吸い込んで、赤木君の口に唇を重ねた。
ぷぅー はっ ぷぅー 
大きく二度息を吹き込む。
ついで、ぐっ、ぐっ、ぐっ、と手のひらを重ねたミレニィが、赤木君の胸の中央をリズミカルに刺激する。
「……どっ、しって、そっ、なっに、のっろ、いっの、かっ」
 心臓マッサージ1セットの30回が終わった。
わたしはふたたび大きく息を吸い込んで、赤木君の口へ空気を送り込む。
 と、赤木君の体が小刻みに震え、
「ガ、ガハッ」
と、大きく息を吐き出すなり赤木君が飛び起きた。
突然の動きを避けられず、ミレニィは弾き飛ばされ、わたしはしたたかに頭突きをもらう。
ぶつけた頭を抱えているわたしの横で、赤木君はまだ呼吸が普通ではなく、むせているような音をたてているようだ。
「つつつ……命の恩人にとんだご挨拶ね……」
 ミレニィが、ぶつけたおしりをさすりながらぼやく。
「ここは……おれはいったい……」
 赤木君は、事態を把握しきれていないのか、呆然とした顔でわたしたちの顔を交互に見ている。
 その顔を見ていると、なんだかぶつけた頭の痛みとは別の涙がこみ上げてきた。
「お姫様のキッスで王子様の呪いが解けたところよ」
「え?」
「な?」
 ニヤニヤしたミレニィと、驚いておそらく顔が真っ赤になっているわたしの顔を見比べて、赤木君が事態を把握したのか頬を赤らめる。
「ちょ、ちょっとなんでそんな言い方、そんな……わたし……た、ただの救急救命処置で……」
「ちゅー ちゅー ちゅー めー?」
「きゅーちゅーちゅーめー! 医療行為だからノーカンなのノーカン!」
 わたしたちのやり取りに赤木君は言葉が出ない。
「はいはいわかりました。とりあえず、ココをはなれましょ。」
立ち上がったミレニィがお尻をはたきながらいった。
「あなたも顔を隠していたってことは、正体がばれたくないんでしょっと」
 いいながらミレニィは赤木君の肩に手を回した。
「でも、町のみんなは?」
 まだ助けの必要そうな人はまわりにたくさんいた。
「私らだけじゃとっても手が足りないし、それにもうだいぶエネルギーも使ったわ。助けてる途中で変身が切れたら、それこそいろんな意味でたいへんでしょ」
 ミレニィのいうとおり、赤木君が息を吹き返したことに安心したのか、なんだか急にどっと疲労感が襲ってきたような感じがする。
「じゃ、とりあえず人気の無いところ、っていうと……」
「羽山公園あたりかしら」
 わたしはミレニィの反対側から赤木君の肩に手を回す。そして、ゆっくりと宙へと浮かび上がった。
 羽山公園は、お祭りをしている商店街から屋代川をはさんで北に約500メートルほどにある、羽山の中腹にある公園だ。わたしたちはそこへ向かって、赤木君に負担をかけないようにゆるゆると宙を進んでいく。
 眼下を見ると、先ほど龍の吐き出した水が、屋代川の手前にある水路を超えて屋代川へと流れ込んでいた。そのせいで、この時期はほぼ枯れかかっている屋代川が、まほろばどおりと交差するあたりから急に大きな流れになっていた。
「ねぇ、ほんとにだいじょうぶかな……」
「……いや、だめだめ、後は消防と警察に任せよ、ね」
わたしの問いに、ミレニィはしばしためらったが、頭を振って再び羽山公園へと向き直った。
確かにこうして飛んでいるのもだんだんつらくなってきた。
「ったく、ナニ考えてるのかしら、あのフードの男ってのは……」
 ミレニィが強い口調ではき捨てるように言った。
 彼女も眼下の事態に関われないことが心苦しいんだなと思った。


「ぶるあぁあぁあぁぁあぁぁあぁー、重たかったー」
 しばらくして、ようやく羽山公園へとわたしたちは降り立った。
 ミレニィは赤木君をおろすと、少しはなれたところに大の字に寝転がる。
「長距離、飛ぶのが、こんなに、しんどいとは、思わなかった、わね……」
わたしも地面に両手をついて、肩で息をする。
「そういえば、息してないのに、気ぃ取られてたけど、アレにかじられたのよね? そっちはだいじょぶなの? 赤木君?」
「そういやそうよね」
 わたしの疑問にミレニィは、寝返りをうち、這いながら赤木君のもとまでいくと、彼のおなかをペタペタとなでた。
「あ~、チョッとあざに、ってかカッチカチ。どんな鍛え方してるのよ赤木君?」
 ミレニィのボディタッチに顔を赤らめていた赤木君だが、ふと表情が真剣になる。
「なぜ……どうして……俺の名を……」
 赤木君が不思議そうにわたしたちの顔を見た。
 わたしたちも顔を見合わせる。
「あぁ、そうかこんなカッコじゃわかんないわよねー」
「いいよね、ばらしても?お互い様だし」
 いうなり千代ちんは変身をといた。
「ほら、ぼたんちゃんも……」
「いやほら、わたしさっきあんなことしたばっ、あぁー! いま名前で呼んだー!」
「ほらほら、もう観念してばらしちゃいなって」
 きょとんとした顔でわたしたちのやり取りを見ている赤木君の前で、わたしもしぶしぶラクシュミーの姿からもとの姿へと戻った。
「竹田……さんと、冬咲……さん……」
「みんなには内緒だからね」
千代ちんが人差し指を口に当てる。
そのとき、ガサッ、と後ろの茂みから何かが動いたような音がした。
その音に振り返ると、そこにいたのは旧高畠駅で見たあのフードの男だった
「……君たちが……お前たちがラクシュミーだったのか……」
 男はかみ締めるように低い声で言うと、ふところをまさぐりだした。
(しまった!正体がばれた!)
そうは思いつつも、反射的に顔をかくしながら、わたしと千代ちんは身構える。
如意宝珠は、変身をとくと不思議な力でシンハの元へと戻ってしまう。
つまり、再びシンハと合流しなければ変身することはできないのだ。
変身とかなきゃよかった、と思ってももう遅い。
絶体絶命の……ピンチ……
 ここはもう逃げるしかない!
 ザリ、と音を立ててわたしたちは後ずさる。
フードの男がふところの中の何かをつかんだ。
しかし、つかんだはいいが、なぜか彼は動かない。
心なしか小刻みに震えているようにも見える。
フードの男がどう動くか目を離せない。
視界の端で千代ちんを見る。
どうやら彼女も動けないらしい。
緊張感に満ちた沈黙が流れた。
「……もう、もう終わりにしよう……青木……」
 沈黙を破ったのは赤木君の声だった。
赤木君の発言に、わたしと千代ちんは顔を見合わせる。
「……青木…………」
 ふたたび赤木君がフードの男に呼びかける。
男は舌打ちをひとつすると、ゆっくりとフードに手をかけ、その素顔をさらした。
「……には……君には知られたくなかった……」
 フードの下から現れたのは、確かに青木君の顔だった。
 声が震えている。
町場からの明かりを受け、もともと青白い顔に影が落ち、彼の持つ異様な雰囲気がいや増している。
「ちょ、ちょっとまってよ! 青木君が化け物を操ってて、赤木君とわたしたちはその化け物と戦って、それでいて青木君と赤木君が学校だといつも一緒で……ってどうゆうことよ?」
 事態を飲み込めない千代ちんが、いやわたしもぜんぜん飲み込めてはいないが、二人をかわるがわる指差しながら声を上げた。
「……が……だちが…………しかった……」
赤木君がうつむいて、こぶしを震わせながらつぶやいた。が、よく聞き取れない。
「……ともだちが……友達がほしかった!」
 叫ぶように言うと、突然赤木君は両手をついて泣き崩れた。
「……ちょ、と、友達が欲しいって、話の流れがかみ合ってないと思うんだけど……」
わたしは千代ちんと顔を見合わせた。
「つまり……今までの化け物騒ぎは、全部俺たちの自作自演だったんだ……」
「え?」
「自作自演?」
 はてなマークを浮かべたわたしたちに向かって、青木君は震える声で語りだした。
「俺がダデーナー、あの紫の化け物のことだが、あれを操って、赤木がみんなの見ている前でダデーナーをやっつける……そうすれば、みんなが赤木をもてはやす……赤木が人気者になれると思ったんだ……」
青木君はこぶしを震わせ、うつむきながら続けた。
「俺たちはこんな見た目で……俺は気味悪がられて、赤木は怖がられて、今まで誰からも敬遠されてきた……俺たち二人のほかに友達って呼べる奴がいなかった……だから友達が……どうしても友達が欲しくて……」
「なによ……なによそれ……友達が欲しい……なら余計な小細工なんかしないで素直にいえばいいじゃない!」
 わたしは爆発した。青木君の話はまったく理解の範疇を超えていた。
「それは……」
 青木君が何か言いたげに口を開くが、まだわたしの気はおさまらない。
「自分たちの都合でいろんなもの壊して、みんなを危険な目にあわせて、自分たちだって危ない目にあって、わたしだって……わたしだって何度も……何度も怖い思いや、痛い思いして……それでいて友達が欲しかったですって……馬鹿にしないでよ!今日だって!」
 そのとき、わたしの頭に先ほどの人工呼吸が思い出された。
 今まで助けてもらった恩返しだと思っていた。
人命救助のための神聖な行為だと思っていた。
わたしのファーストキス。
それが……
 それがだまされて、無理やり唇を奪われたように感じて……
 吐き気がした。
グシグシと腕で口をぬぐう。
それでもまだ汚れている気がして、つばを吐いた。
何度も……何度もつばを吐いた。
「冬咲君……」
「冬咲……」
心配そうな声で二人がわたしを見る。
でも……
「……気持ち悪い……」
 二人の顔を見ると、なんだか心臓の鼓動が不安定になっていく……
 頭の中がぐるぐると渦を巻いているように感じる。
 こんなところには一瞬たりともいたくない。
 そう感じた瞬間、わたしは羽山公園の広場から駆け出していた。


「……やっと、おいついた」
羽山公園から屋代川を渡るための橋に差し掛かったところで千代ちんがわたしに追いついた。
橋には交通規制がしかれており、普通の人は入ることができなくなっていた。
「高畠町消防団第1分団第2部第1班!ただいまから人員捜索を開始します」
消防団が投光機を持ち出して、流された人がいないか川面を照らしている。
野次馬の隙間から見える屋代川の、橋を境に下流側は濁流であふれかえっていた。
そこには、先ほど上空から目にしただけでは感じ取れなかった地獄絵図が広がっていた。
「……行こ……私たちやったよ……これですんだって思わなくちゃ……ね……」
 千代ちんが声をかけてくれた。
 声が震えている。ああは言うものの、きっと納得はしていないだろう。
 しかし、そう思うしかない。考えることに疲れたわたしはだまってうなずいた。
「どこからあっちに渡ればいいの?自転車流されてないといいけどなぁ……」
西の川下の側には野次馬が大勢いた。
「あっちにしよ」
疲れている中遠回りにはなるが、東の川上のほうの橋から向こう岸へと回ることにした。
足をひきずるようにしながら上流への道を進んでいく。
すれ違う人の数もしだいに少なくなってきた。
喧騒から遠ざかるにつれて、まるで逃げているように感じて悔しくなった。
もう一度川下を振り返る。と、橋に居並ぶ投光機の光を受けて、背後に大型の獣のような紫色の影が見えた。
「ひぃっ」
 と、つられて振り返った千代ちんも息を呑む。
犬……よりでかい。
虎とか、ライオンとか、そんなサイズの獣が……一頭だけではない……ざっと数えて十頭前後が、ゆっくりではあるが河川敷ののり面から道路へと上ってきて、こちらへと向かって歩みを進めてきた。今まで水につかっていたのか、ビチャ、ビチャという足音が聞こえる。
「……さっき青木君が言ってたダデーナーってやつかしらね……」
 千代ちんが身構えながらつぶやいた。
「口封じ……とか……まさかね……」
何かしゃべらないと千代ちんは落ち着かないのだろう、けれどわたしは、今の「口封じ」という言葉のせいで、なんだか何もかもバカバカしくなった。
あの二人のくだらないお遊びで、純情を踏みにじられたうえ、こんなところで一生を終えるのか……
天を仰ぎ、目をつぶる。
最後のときを前に今までの人生でも浮かぶのかと思いきや、頭の中に流れるのは先ほどの大水に押し流されて苦しんでいる人たちだった。
彼らは全員無事なのだろうか?
ケガをしてる人は見た。それ以上の目にあった人は……
純情を踏みにじられたどころの話じゃないその人の無念はどんなんだっただろう……
そう思うと心のそこから怒りがふつふつとわいてきた。
彼らの無念をはらせるのはわたし達しかいない。いや、はらせなくてもせめて一発……
わたしの中で何かが壊れた。
「うあぁああぁああぁああぁぁぁぁぁああぁつっ!」
 わたしは一番近くの化け物に走りよると、その鼻っ面めがけて右のこぶしを叩き入れた。
「ギャヒン!」
 と化け物は情けない声を上げる。
「うぁあっ!うわあぁっ!あぁあっ!」
 わたしは無我夢中で化け物を手当たりしだいに殴りつけた。
「ちょ、やめ、やめるッハ……ぼた、やめるッハ……」
 あんなことしておきながら「やめるッハ」っていわれてやめられると思ってんの?
 と、後ろから何かが覆いかぶさるような衝撃を感じる。
 それはわたしの動きを封じようと体に腕のようなものを伸ばしてくる。
 耳元で何かわめいている。
「うるさい!」
ひじを立てて上体を回し何とかそれを振り払おうとする。
「イタッ! やめてぼたんちゃん! ぼたっ、それ化け物じゃないっ!」
「ぼ、ぼたん! 僕だッハ! シンハだッハ!」
「だめだ! キレてわけわかんなくなっちゃってる!」
「ぼたん! 目を覚ますッハ!」
「……んんンもう、ゴメン!」
頭に強い衝撃を受けて、わたしの意識はそこでプツンと途絶えた。

ラクシュミー5話 了