目次
第一章 病気の解説
心療内科とは何か
うつ ご本人へ
うつ ご家族へ
うつ チェックリスト
大切な何かを失ったとき・悲嘆の仕事(Grief Work)
適応障害
パニック障害
不眠 最近の考え方 薬のやめ方
自律神経失調症
過敏性腸症候群(IBS)
月経に関連した気分障害(Premenstrual Mood Disorder)、PMS、PMDD
めまい
頭痛・偏頭痛
痛みと妄想
ストレス脆弱性モデル
社会不安障害(社交不安障害・対人恐怖・SAD)入門
SAD・社会不安障害・本論
SAD・社会不安障害・チェック
不安性障害の発生病理・動物行動学的学習理論
強迫性障害(OCD)
レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome:RLS):むずむず足症候群
HIV・エイズ
家庭内虐待 アダルトチルドレン 機能不全家庭 共依存
引きこもりがちのきみに
児童思春期・不登校 ADD ADHD
男女更年期
ED バイアグラ レビトラ 和漢薬
老年期の心身症
なぜ漢方か
ディスチミア(Dysthymia, 気分変調症)親和型うつ病
うつ病概念の拡張 子供のうつ病
異常と正常 精神病とそれ以外
第二章 治療
抗うつ剤の飲み方
積極的リラクゼーション・テクニック
自律訓練法
EAP 従業員支援プログラム
禁煙治療を始めよう!
うつ病で治療する場合の復職までの流れ
うつ病患者復職準備尺度
三寒四温
レコーディング 睡眠日誌の実例
寛解と回復の図
前駆期・極期・回復期
コーチング
STAR*D:うつ病軽減のための代替的連続治療法
第三章 こころの仕組み
こころの奥底にあるもの
明確化、直面化、解釈、徹底操作
ED座談会
精神科についての理解
精神療法 解釈の例 論語を精神分析
欲を捨てるか ストレスを捨てるか
陽性症状 詩人であるということ
測定問題と了解問題
EBM ( Evidence Based Medicine )
Evidence Based Medicine と真理の源泉
NBM ( Narrative Based Medicine )
PUS : 一般市民の科学理解
リーダーの条件
未来の教育とインターネット
省略系/構成系 短詩形文学を支える背景共通認識
現象学
荻野恒一「現象学と精神科学」
自己決定権
「こころの薬箱」由来

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心療内科とは何か

「心療」とはなんですか?


「心療」は「心理療法」の省略形です。いろいろな症状を心理療法(カウンセリング)も使いながら解決する場所です。
医学的治療を分類すると、
(1)薬物療法(西洋薬、和漢薬)、
(2)手術、
(3)心理療法・カウンセリング(精神療法ともいいます)、
(4)物理療法(省略して物療)
などがあります。

自律訓練法とは?


緊張しすぎる傾向のある人に、緊張を自分でコントロールする方法としてお勧めする方法です。簡単・安全・無害です。不安傾向の高い人、緊張しすぎる人、パニック障害の傾向のある人などに適しています。お気軽にどうぞ。
わたしみたいな症状で心療内科に行ってもいいでしょうか。それとも精神科か内科に行ったほうがいいのでしょうか。そのへんがよく分かりません。

事情があって本人が行けないときはどうしようもないですか?


ご本人の相談でなくてもおいで下さい。家族の誰かに関する相談もおいで下さい。ご本人が困っているが相談に行きたくないという場合もあります。ご本人よりもまわりの人が困っているという場合もあります。たとえば、お子さんの不登校や引きこもり、ご主人のアルコール問題、ご家族のうつ状態、パニック障害、性格の不一致、離婚問題のこじれ、老年期の物忘れなどが、家族相談として多いようです。

どうしたらいいか分からないときの、はじめの相談窓口として利用して下さい。難しいことは気にせず、まずいらして下さい。あなたにぴったりの相談窓口はどこか、まずそこから相談しましょう。もしわたしたちではあまりお力になれないとしても、悩みの内容や家族の事情、交通の都合、これまでに相談した人、これまでに読んだ本、そうしたことを考慮して、どのようなところで相談したらよいかをお勧めします。また、身体的な病気の検査をまずお勧めすることもあります。

料金は?


保険診療の場合、各種保険取り扱いでおよそ1500円から5000円くらいが多いようです。バイアグラ、レビトラ、低用量ピルは自費です。臨床心理士のカウンセリングは自費の扱いです。

心理方面の診断というと、「性格が悪い」とか、「心理的に異常だ」とか診断されるのでしょうか?


そうではありません。まずストレス診断をしましょう。心理的診断では、「どのような種類のストレスがどの程度あるか、そしてその人の心はストレスに対してどのように反応しているか」、つまりストレス診断が中心になります。

ストレスと性格の関係について教えて下さい。


どのようなストレスがつらいかは人によってさまざまです。たとえば、忙しいことが大変苦痛であると感じている人がいます。その逆に暇になると苦しくて仕方のない人もいます。また、大勢の人と一緒にいるとつらく感じる人もいます。その逆に一人でいるとつらく感じる人もいます。つまり性格の違いによって、どのようなストレスが特につらいかが違ってくるのです。そういう意味で性格を把握します。性格がいいとか悪いとか診断するのではありません。ストレスとどう関係しているかを検討しましょう。

精神の異常を何度かの面接で決められるのですか?


そうですね。簡単に決められるものではありません。そのような裁判所の決定のような診断をするのではないのです。あなたが何がつらいかが問題なのです。私たちにとって、「何が本人にとってつらいか」が問題なのです。私たちは裁判所でも警察でもないのですから、この人は異常だと判断するのではありません。本人がつらければ助けになりたいし、本人がつらくなければ、何もしません。それが根本です。心理が異常かどうかではなくて、むしろあなたの置かれている環境がどの程度のストレスであるか、診断することが大切でしょう。

カウンセリングをしても、客観的な事態は変わらないのに、なぜ有効なのですか?


とてもつらいとき、弱音を吐いたらいけないと思う人がいます。自分が重大と思うことことほど一人で悩んでしまう人がいます。「こんなに大変な状況に置かれたならば、あなたでなくても誰でもうつ状態になりますよ」といった感想を申し上げる場合も多いのです。自分の状況がつらいほど、弱音を吐いたらいけないと思い続ける傾向があります。自分が重大と思うことほど、自分一人だけで悩み続ける傾向があるのです。そんなときに、自分の置かれた状況をもう一度見つめなおしてみましょう。そのためにカウンセリングをしましょう。あなたは一人ではないのです。

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最終更新日 : 2012-09-06 14:26:32

うつ ご本人へ

うつ状態に悩む方へ

原因


たいていのうつ状態は、「精神病のうつ病」と表面的には似ている点があるものの、根本的には全く別のものです。うつ状態は、がんばりすぎた後に、「ちょっと休息をください」と心と体が要求している状態です。精神病ではなく、ストレス反応性のものです。専門的には、脳の神経伝達物質とレセプターの部分に疲労による変化が起こるのだろうと推定されています。
 寒いところにいれば風邪をひくように、ストレスを受けながらがんばりすぎた後に、うつ状態になります。風邪もうつ状態もどちらも重病とはいえないものの、病気の一種で、休息が必要であることも共通しています。こじらせないことが第一です。

気合いではなく、休息


気合いを入れても良くなるものではありません。逆に、がんばればそれだけ心のエネルギーを使い果たすことになります。気持ちがたるんでいるからうつ状態になったのではなく、うつ状態になったから元気が出ないのです。必要なのは休息です。

マラソンの後には筋肉痛が起こります。休養をとって回復を待ちましょう。

お薬


休息をとっていてもうつ状態はつらいものです。薬でそのつらさをやわらげることができます。薬が本格的に効き始めるまで、約二週間待って下さい。その後はとても楽になります。いろいろな薬があり、作用も違いますから、そのつど説明します。副作用やのみ合わせの心配などにもお答えします。疑問点は遠慮なくおたずね下さい。新しい薬は副作用はほとんどありません。約三~六ヶ月のあいだ薬を使います。その後はすっかり元の生活に戻ります。
 漢方薬を用いて治療することも有効です。また、薬物は使いたくないとご希望の方もいらっしゃいます。納得できるようによく話し合いましょう。

期間


完全に治り、もとの生活に戻るまでには三ヶ月から六ヶ月と考えて下さい。仕事は、状況によりますが、できれば一、二ヶ月程度は休むのがよいようです。診断書を提出して落ち着いて治療に専念しましょう。職場復帰にあたっては、仕事内容、職場、時間などの調整をします。たとえば半日勤務で開始することなどを会社に要請することもあります。


数カ月の間には軽い波があるのが普通です。途中で少し悪くなっても悲観しないことです。全体としてよい方向に向かっているのだから大丈夫だと考えましょう。

後遺症


命には別状ありません。後遺症もありません。遺伝もしません。ご安心ください。

大きな決断


治療が終わるまで、仕事、学校、家庭での大きな決断はしないようにしましょう。退職、退学、離婚などの必要はありません。休職や休学でよいのです。体調が万全になってから、その先のことを考えましょう。いまは悲観的な考えしかわいてきません。

ご家族の理解


ご家族の方にも病気の説明をします。休養中に気分よく過ごせるように、ご家族に協力していただきましょう。

アルコールはがまん


治療が終わるまで、アルコールはがまんしましょう。

居場所の確保


休養中に居場所がないのが悩みとなることがあります。自宅、図書館、喫茶店、公園などで時間を過ごすことも多いようです。病気について理解を深めながら、この機会に仕事の仕方やライフスタイルについて点検してみましょう。

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最終更新日 : 2012-09-06 18:41:12

うつ ご家族へ

うつ状態に悩む方のご家族の皆様へ

対応の仕方


疲労のせいでこころと体の一部が活動停止しているのだとイメージしてください。「怠け病」や「気持ちの持ちよう」ではないので、ご本人を責めないで下さい。また、励ましの言葉や外に連れ出すことに対しても、患者さんは期待にこたえようと気をつかい、焦り、体力を消耗します。とにかくゆっくり休ませて下さい。旅行に連れ出したり、酒を飲みに誘ったりする人もいますが、今の時期にはお勧めできません。
 心が風邪をひいたと考えてください。充分な休養が一番の治療です。風邪をひいた人は無理をしないで寝ているのが一番です。それが本人の自己治癒力をひきだすのです。うつ状態も同じです。 

今後のこと


命に別状はありませんし、後遺症もありません。しかし、がんばる癖がある場合には再発しやすいようです。これからは「がんばり過ぎではありませんか?」と声をかけてあげてはどうでしょうか。

職場や学校


三ヶ月から六ヶ月ですっかり元にもどります。必要に応じて診断書を提出して休職や休学もできます。しかしときに患者さんは退職、退学、離婚、財産処分などを急ぐことがあります。大きな決断をしようとしていたら、「まず元気になって、それからよく相談しても遅くない」と説得しましょう。
 事情を知らない人が、上のような決断について文面通りに受け取ってしまうことがあるかも知れませんので、ご家族の方が配慮してあげてください。

家族相談


 ご本人が何かの事情で相談に来院できない場合には、家族相談の形でご家族の方がいらして下さることも多くあります。間接的ですが、アドバイスできます。ご家族がよく理解して適切な態度で接することは大変重要です。お気軽においでください。保健所、精神保険センター、市役所の無料相談窓口、(あなたが女性なら)女性センター、こころの電話などで最初の相談をしてみるのもよい方法です。
まず家族相談を始めましょう。

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最終更新日 : 2012-09-06 18:41:20

うつ チェックリスト

うつ状態チェック

どんなときに「うつ状態」というのか教えてください。


うつ状態のチェック表を紹介します。何個か当てはまったからといって、すぐに「うつ状態」だと判定するものではありません。人間ですからいろいろなことで落ち込むのが当たり前です。多く当てはまっていたならば、少し休んだ方がいいのかなと考えて参考にしてください。(ストレス・マネージメント・パワー・グループによる。笠原、SDSなどから構成。「こころの辞典」参照)

1. 朝いつもよりはやく目が覚める
2. 朝起きたときに気分がすぐれない
3. 朝いつものように新聞やテレビをみる気になれない
4. 服装や身だしなみにいつもほど関心が持てない
5. 仕事にとりかかる気になかなかならない
6. 仕事にとりかかっても根気がない
7. 決断がつかない
8. いつものように気軽に人に会う気にならない
9. なんとなく不安でイライラする
10. これから先やっていく自信がない
11. 「どこか遠くへ行ってしまいたい」と思う
12. さびしいので誰かにそばにいて欲しい
13. 涙ぐむことがよくある
14. 夕方になると気分が楽になる
15. 頭が重い、痛い
16. 食欲がない
17. 体がだるく疲れやすい
18. 気分が重い
19. 話に集中できない
20. 首筋や肩がこる
21. のどや口がかわく
22. 息がつまって苦しくなる
23. のどの奥にものがつかえる感じがある
24. 寝付きが悪い
25. 夜途中で目が覚める
26. 自分の人生はつまらないと感じる
27. 何をするにもおっくうである
28. 最近やせてきた
29. 便秘している
30. 胸がどきどきする
31. 自分は人に迷惑をかけていると思って心配だ
32. 将来に希望がない
33. 自分は役に立たない人間だと思ってつらい
34. 今の生活に張りがない

家族の一員がひきこもりを続けていて困っています。なにか方法はありますか?


ご本人も、内心では焦ってはいても、どうしてうまくいかないのか分からなくて、どうしようもないという場合が多いのではないでしょうか。ご家族としても、心配はしているが、実際にどうすればいいのか、手がかりがないという場合が多いようです。昔から、人生の一時期に引きこもるタイプの人はいたのではないでしょうか。その人なりの人生の時間がありました。今よりも多様な人生があったのではないでしょうか。しかし現代社会は、そうした時間の流れ方の違うタイプの人を排除する傾向があります。結果として、そうした人たちはますます引きこもることになるでしょう。時間がたてば、ますますきっかけは遠のくようです。ご家族の方が参考文献を読んで、知識を深めるのも意味があると思います。まず家族相談を始めましょう。いろいろと方法はあります。あきらめないで下さい。きっとお力になれると思います。
安定剤や抗うつ剤を使うことは心配です。大丈夫でしょうか?

一般に、薬を使うことについては慎重でなければなりません。安定剤や抗うつ剤に限らず、解熱鎮痛剤でも、抗生物質でも同様です。たとえば厚生省で認可された薬だからといって、万全というわけでもありません。認可・販売が取り消しになる薬もまれにあります。そんな中で、どのように有効で安全な薬を合理的に用いるかが問題です。安定剤や抗うつ剤についてはこうした不安が特に強いようで、患者さん方にお薬をおすすめする際にいろいろと説明しています。必要最低限の量を、最短の期間だけ使うこと。これが薬剤使用の基本です。

薬は自然の食べ物ではありませんから、むやみに口から入れないのがいいと思います。これが原則です。食品添加物、防腐剤、最近話題になっている環境ホルモン物質など、薬以外にも注意すべき物質はいろいろあります。どれも微量だからたいしたことはないと説明されることが多いのですが、微量といえども、少なければ少ないにこしたことはないでしよう。いろいろな危険が複合するときの危険も考えておかなければいけません。薬もそうした危険のなかの一つで、できれば薬なしの自然な暮らしがいいと思います。しかしここでも、効果と危険の合理的な選択があるはずです。

例えば、夏のエアコンを考えてみましょう。エアコンは自然のものではありません。場合によっては冷房病といわれるように、自律神経に影響を与えます。だから全くない方がいいかといえば、それは使い方の問題です。温度や風を適切に管理すれば、エアコンによって夏を大変楽に過ごせるのです。エアコンが悪いのではなく、エアコンの間違った使い方が悪いのではないでしょうか。薬も同じです。毒になるか、薬になるか、使い方一つなのです。そのために薬に関しての正しい知識を身につけましょう。最近は薬を調べる本が出版されていて、副作用の項目を調べて悩んでいる人も少なくないようです。悩んでいないで相談してください。「対話と納得」を積み重ねて、正しく合理的に薬を利用しましょう。

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最終更新日 : 2012-09-06 18:41:28

大切な何かを失ったとき・悲嘆の仕事(Grief Work)

大切な何かを失ったとき・悲嘆の仕事(Grief Work)

1.概略
 交通事故や病気、その他いろいろな原因でわたしたちは愛するものと別れます。人や物、地位など、その人にとって大切な何かを失う体験をすると「悲嘆反応(grief reaction)」が起こります。悲しみの中でも大きな悲しみを悲嘆(grief)と呼んでいます。心のよりどころを失ない、「これは現実ではない」「夢の中に違いない」と感じることさえあります。

 喪失体験に直面したとき、その悲しみから立ち直るためには、悲しみの消化作業が必要です。それがグリーフ・ワーク(Grief Work)、喪の仕事、悲嘆の作業などと言われているものです。

 E・キューブラー・ロスは、死にゆく人が自分の死を受容していくプロセスを研究し、どのような傾向があるかまとめました。キリスト教以外でも、自分の死以外でも、悲嘆体験を乗り越えるときには同じようなプロセスをたどるのではないかと拡張して考えました。簡単に言うと、否認(なかったものと思いたい、誰かの思い違いではないかと思いたい)、怒り(関係者に対して、また自分に対しての怒り)、抑うつなどを経て受容に至ります。最後には失ったものを嘆くことやめ、新しい生活に希望を持って向かうようになります。

 悲嘆のプロセスは、心の中で、喪失の意味がゆるやかに変わっていくプロセスと考えられます。時間と強さは人により場合によりさまざまです。

2.グリーフワークとは何か
 どんなとき起こるか、例を挙げます。

 愛する人間、動物との死別。たとえば交通事故で伴侶を失った場合。子供が不治の病にかかった場合。いわゆるペット・ロス。退職して地位や生き甲斐を失った場合。子供が授からないと告知された場合。ずっと希望して努力していた目標をあきらめなければならない場合。

 まとめて言えば、大切な何かを失ない、未来への希望が断ち切られた場合。

 どのように進行するか、研究があります。

 悲嘆反応の一般的経過については、公式のように過度に一般化しても間違いだと思いますが、脳の構造から来る一般的な傾向があることも確かでしょう。

 脳は呼吸や消化などのように進化論的に古い機能から、論理的思考などのように新しい機能まで、積み上げるように構成されています。強いショックがあると、上位機能がまず停止し、下位機能が保持されます。緊急事態に対応するためにはまず生命に必要不可欠な部分にエネルギーを確保することが有利だからでしょう。分かりにくいものもありますが、大まかな順番で並べると次のようになります。ショック、混乱、無感覚、非現実感、現実変様感、罪責感、敵意、拒否、取り引き、探索行動、苦悶、死者に対する思慕や憧憬、希死念慮、抑うつ、寂しさ、引きこもり、自尊心の低下、悲哀感、無力感、無関心、感情の平板化、アパシー、解放感、現実世界への関心、理性的思考、意味の探求、つぐない、希望、発想の転換、新たな決意、新たな自分の獲得、ユーモア、人格的成長、新しいライフスタイルの確立、新たな友人の獲得。

 敢えてもう少し分類してみましょう。

1.茫然として、無感覚。現実感を喪失。パニック状態。思考・判断・感情の停止。

2.喪失に対する号泣・怒り・敵意・自責感などの強い感情。抑制のきかない思考・感情。

3.閉じこもり・うつ状態。

4.新たな自分、新たな社会関係。積極的に他人と関与。

次第に脳の抑制系が再生する過程と見ることができると思います。

3.グリーフワークをどのように見守るか
 悲嘆の仕事の課題として、1.喪失の事実を受容する、2.悲嘆の苦痛を乗り越える、3.あるべき何かが失われた環境を受け入れる、4.新しい希望を見つける、などがあげられます。

 正常な悲嘆反応の場合にはそっと見守ればいいのですが、異常な悲嘆反応の場合には手当が必要になります。この場合の「異常」は、医学的な意味ではなく、生活や仕事に支障が生じる程度の強さと期間と考えて下さい。

 「グリーフワーク」のプロセスを支えて見守ることを「グリーフケア」と呼びます。過度の悲嘆を自分で処理しきれないときは、専門医によるカウンセリングや薬物療法などが必要になります。

 「グリーフケア」の基本は、一時的に出現する感情や行動を、共感的に受けとめることです。日本の社会は、悲しみをこらえるのが大人だと見なされている部分がありますから、あからさまに感情を吐き出すには時と場所を選ばなければなりません。そのような場所がない時は、専門家を訪ねて下さい。

 「お気持ちは良く分かります」「いつまでも嘆いていてはダメだ」のような言葉も、タイミングが大切です。新しい人生に踏み出すにもタイミングが大切です。

 悲嘆を乗り越える方法として、人に話を聞いてもらう、文章などで表現する、同じ経験をした人と語り合うなどが考えられます。サポートを求める勇気を持って下さい。

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最終更新日 : 2012-09-06 14:27:15


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