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「奪い合い」

1.「奪い合い

 

 

 「ボクラジコンカー、返してよ

 「いいじゃないか すこしぐらい 今いいとこなんだ

 「そう言って、さっきからずっと、ひとり占めしてるんじゃないか

 「もうちょっと貸してくれたっていいだろ

 「うえ~~~ん ひどいや! パパいいつけてやる

 「まてよ! おまえすぐそうやって、パパ、パパって言う ずるいぞ

 「ずるくないもん いいつけるもん

 「まて~~っ

 

 「パパ~ッ! じいちゃんボクラジコンカー取って、返してくれないんだよ~っ

 「おじいちゃん! 孫のおもちゃ奪うのやめなさい!

 

     〈ion〉  

 

 


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「標的を外さない」

2.「標的を外さない

 

 

 「ほぅーっ…」

 オレは、体の力を抜いて、安堵のため息をもらす。

 百発百中。  「ジャッカル」と呼ばれるスナイパーオレは、標的を外したことがない。

 これまで一度も依頼主の信頼を裏切ったことがない。

 今、孤独な戦いの場から解かれ、オレは、戦士に与えられた、ひとときの休息をかみしめる。

 

 だが、休息は、ほんのつかの間。

 オレは 「ブルッ」 と一つ身ぶるいして、休息の時を終える。

 次なる標的を求め、「ジャッカル」 はまた、戦場へと発って行く。

 

 「パパー! やだー また外にまき散らして どうして、いつもいつもトイレ汚すのよ

   便器お掃除する者の身にもなって!!

 

     〈ion〉

 

 

★ ここで一句

  スナイパー うちではトイレの的外し

                   〈ion〉

 


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「異星人襲来」

3.「異星人襲来」 

 

 

 

 

 

 

 そのUFOは青白い光を放ち、異様な器械音を発しながら宙を遊泳していた。

 機体下部の突起からは、地上に向けて未知の光が照射され、

 我々の知らないパワーで宙に浮いているのが分かる。

 中央に並ぶいくつもの小窓からは、不気味なマスクのエイリアン達がこちらをのぞいているのが見える。

 

 突然、UFOから自動翻訳マシンを通しているとおぼしき、抑揚のない音声が聞こえてきた。

 「ワレワレは、この地球を征服しにやってきた。 オトナシク降伏すれば命だけは助ける。

  ダガ、刃向かえば、攻撃を開始し、オマエラを壊滅させる。直ちに降伏せよ」

 

 その時だった。

 座布団で寝ていたニャンコが目を覚まし、UFOを見て身構え、ヒラリと宙にジャンプした。

 ニャンコはくわえたUFOを「ガシュ、ガシュ」と、二度、三度かんだあと、顔をしかめ、

 「ペッ、ペッ」と吐き出した。

 UFOはグチャグチャに歪み、ニャンコの足元に転がった。

 ニャンコにかみ砕かれ、哀れ、エイリアン達はUFOごと、あえない最後を遂げた。

 

 「うちのニャンコは、しょうがねえな、飛んでるもの見るとなんでも、すぐ食いつきたがる」

 「お願い、あなた、UFOの残骸、ティッシュで取って、ポイしといて」

 

         〈ion〉


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「残り香」, 「二度目!」

4.「残り香

 

 キミの残り香

 キミがいた…   たしかにいた…  

  ここに、この部屋に…

  キミが、確かにいたことを、教えてくれる、キミ残り香

 

 どうして待っていてくれなかったのか

 香りだけ残してキミは、いなくなってしまった

 

 「ひどいよ 自分たちだけこっそり

  父さんにだって、残しといてほしかった! 松茸のお吸い物

 

      〈ion〉

 

 

 

5.「二度目!

 

 車をぶつけられた。  これで二度目だ。

 一ヶ月前に同じ場所で追突されたばかり。

 プルプル怒りにふるえ、車から出て、

 ぶつけた相手の顔を見て、オレは怒鳴った。

 「またおまえかァ!!

 

     〈ion〉

 


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「オレたちに明日はない!」

6.「オレたちに明日はない

 


 キミに思い切りひっぱたかれた。
 キミの平手がいきなりボクの頬に飛んできた。

 キミは目に涙を浮かべ、ボクをにらみつけて言った。
 「どういうつもりなの?! アタシたち一族ヤミに潜んで生きる存在なのよ
 「分かってるさ…、でも、なぜ叩かれなきゃならないの? ボクが何か悪いことした
 「分かってないのね! アタシたち明日に希望を持つことなんて許されないのよ
 「ボクがいつ、明日に希望を持ったと言うんだ?!
 「自分の胸当ててごらんなさい

 

 ボク自分の胸当ててみた。
 「あう~~ッ?!  な、な、なんてこった~~~~っ

 「分かったでしょ?!  ハト胸の吸血鬼なんて! どう見たってらしくないわ!

 

     〈ion〉

 



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