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はじめに

はじめに

Blaberus属のゴキブリについて、筆者がここまでのめりこんだ経緯について簡単に綴っていこうと思います。

きっかけはSMSを通じて知り合った友人からペットゴキブリを奨められたところから始まります。
生物が幼いころから好きで色々と飼育したり観察したりしてきましたが、自分の周囲には似たような趣味をもつ人間を知らず、同じような飼育趣味の友人をSNSに求めた訳です。そして、世の中には沢山自分と同じような趣味を持つ者がいて、ネットを通じそれらの同好者達と情報を共有できる喜びからこの飼育趣味にますます没頭していくことになります。まあ、そのコミュニティー関係の話はとりとめもないのでまたの機会に。

色々な生物に興味があった私ですが、ゴキブリについてはほとんど未知の世界でした、そんな私が友人の奨めで初めて飼育したゴキブリがBlaberus属の一種だったのです。
譲っていただいたのは1cmにも満たないまだまだ小さな幼虫でした。友人曰く、「Blaberus.atropos (ブラベルス・アトロポス)という名前だ」とのことで、私はなんの疑いもなくこの幼虫を世話し毎日毎日その成長を楽しみながら飼育を開始しました。
餌を食べているところを観察しては色々な飼料を与えてみて好みを探り、脱皮を観察してはその成長を楽しみました。試行錯誤しながら冬場の保温をし失敗も重ねながらやっと羽化した成虫を観たときはすこぶる感動したのを覚えています。ブラベルス属のゴキブリは数あるゴキブリの種類のなかでも大型な部類に属します、羽化した成虫は初めてその姿を観た私にとってとても見応えのある姿でした。
羽化したての真っ白な成虫の姿に神々しさを覚えた程に。

そうして飼育するうちにゴキブリという生物に対して今飼育しているアトロポス以外にも色々な種類を集めたい!飼育してみたい!殖やしてみたい!という欲がどんどん膨らんで、主にSNSの友人関係などから様々なゴキブリを蒐集しその数は一般的な方からみれば病的とも見える数になったのです。その数は最大でおおよそ60種ほどになり6畳ほどの飼育部屋が天井まで飼育ケージで埋め尽くされた時期もありました。
勿論、蒐集したそれらの種の中にはアトロポス以外のブラベルス属も数種あったのは言うまでもありません。

しかし、ただそれだけでは私がブラベルス属のゴキブリにここまで固執することは無かったでしょう。
では何故か。

それは、分類に関するとあるニュースが私の耳に届いたからです。

内容は簡潔に申しますと「フスカがアトロポスのシノニムとして種名から落とされた」というもの。
このニュースを耳にした時、私の中に様々な疑惑が持ちあがりました。
なぜなら、自分が現に飼育しているゴキブリの中に問題のアトロポスもフスカも居たからなのですが、どう素人目に見てもこの二つのものが同一の種であるとは信じられなかった。すんなり納得出来なかったのです。
私が飼育中のブラベルス属ゴキブリは大きさのみで大きく分ければ2タイプあり、アトロポスという名で入手したものは小型タイプ、フスカという名で入手したものは大型タイプなのです。
いままで飼育累代をしていて、これらの大きさの違いが環境によっての個体差や過密飼育による矮小化などの違いではないことは解っていました。
ですが、そのニュースはその種名の二つは同一の種であるとして分類学上統一されたという確かな信用出来るソースがあり、疑いようのない事実。

これはつまりどういうことなのか。
私が飼育していたブラベルス属のゴキブリに付与された種名が本来の種名ではなかったということです。
国内で出回っているブラベルス、流通しているブラベルス、そのどれも名前が間違っている可能性がありました。
国内に輸入された時点で既に間違っている可能性も。
海外でのブラベルスの扱いはどうなっているのか。
私と同じようにこのシノニムのニュースはブラベルス飼育者達を困惑させました。
ブロガーなどそのシノニムの件でもっともらしい修正を加えたり、ソースを貼ったりして納得してしまっているものが殆どです。私はそれらを責めたりすることは出来ないと思いますし、それらが間違っているとも言えません。
ただ、どれも自分が納得のいくような内容ではなかった。
他の誰もやらないなら自分で調べるしかない。
他の誰もやらないなら自分で同定するしかない。
「間違った種名で流通しているこれらのブラベルス、自分の飼育しているこの子達の本当の種名が知りたい!」
これが私のブラベルスに執着した理由です。

この本を書いている今現在、その幾らかも判らないままです。
元々、分類学者も悩ませてきたブラベルス属。
同定難は覚悟していましたが資料を探す段階からしてなかなか思うようにいきませんでした。困難なものほど夢中になるのは私の性かもしれません。
周囲からは、権威ある研究者でもない、ただの素人に同定や分類など出来ようはずもない、どこまでやったとしても結局素人の戯言だ、そのような声がよく聞こえてきます。

確かにその通りなのです。
しかし、この本には私が知りうる限りのブラベルスに関する情報を盛り込んでいこうと思います。



2012.8.23 araneae

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B. craniifer ”ブラックウイング”前胸背板前方から


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