閉じる


<<最初から読む

2 / 13ページ

試し読みできます

楽天市場がなくなる日

表紙画像

試し読みできます

楽天市場がなくなる日


試し読みできます

楽天市場がなくなる日

■はじめに

 

 入稿を明日に控えた1 月23 日の午後8 時、「水戸黄門」でも見ようかとTBS にチャンネルを合わせると「堀江貴文容疑者逮捕」との一報が飛び込んできました。メディアは大はしゃぎしています。厳密には判決が降りるまでは「グレー」なのですが、どうにも塀の向こう側にいった感が否めません。ちなみに私は2 年ほどライブドア株を保有しており、毎日資産が目減りしています。株式投資は自己責任ですので笑うしかありません。痛いですが。

 この報道を受けて何かと比較され、ともすれば「後出しジャンケン」といわれてきた楽天の三木谷社長はどのように感じているのでしょうか。目の上のたんこぶがなくなり小躍りしているのか、それとも最初から「アウトオブ眼中」だったのか。

 楽天が掲げる楽天グループの目標にはこうあります。

「世界一のインターネット・サービス企業」

 ところが現在、楽天が突き進んでいるのは銀行、住宅ローン、損害保険、証券、リテールローン(個人向けローン)、クレジットカードといった金融コングロマリットのようです。確かに情報でやり取り可能な金融業務とIT の親和性は高いのですが、「インターネット・サービス」は金融分野だけに限定されません。『日経ビジネス』の2005 年10 月24 日号に、「EC(電子商取引)事業『楽天市場』の伸びが鈍化/主力のEC 事業は曲がり角/2002 年以降の手数料の実質引き上げに、一部出店者の間では不満がくすぶる」と書かれてしまう「楽天市場」のほうは今後どうなるのでしょうか?

 三木谷社長の言動はコロコロ変わります。

 プロ野球の新規参入時もそうですし、TBS の買収も事前の口約束を反故にした形です。しかし、たった二人ではじめた楽天を短期間で日本を代表する企業にまで膨張させた優秀なビジネスパーソン三木谷社長ですから、コロコロ変わっているのではなくチャンスを見つけた瞬間に3 秒前のことは忘れてしまうのではないでしょうか?

 確かにドッグイヤーと呼ばれるIT の世界では、刻々と常識とルールが変わっていきます。過去のことを考えていては置いてけぼりを喰らってしまいます。

 そう、IT の世界では昨日の覇者が明日も覇者でいるとは限らないのです。

 2005 年を席巻した「ブログバブル」は、眞鍋かをりさんという女王を生み出しましたが、それまで玉座に座っていた「楽天日記」を引きずり下ろし、ライブドアブログが新たに君臨するという主役交代も実現しました。

 また日本国内一番手の検索エンジンYahoo も、世界最強検索エンジンGoogle、世界最大のIT 企業マイクロソフトのMSN の猛追を受けて、人力登録からロボット型へと軸足を移し防戦に出ています。

 実は、気づかないウチに主役が交代している例は沢山あります。

 サービスが終了したため、本当に鳴らなくなった「ポケベル」。電話の加入権にアナログ回線電話も風前の灯火です。

 これらは技術やサービスが開発され進歩していくうちに、陳腐な技術となったり、時代に必要とされなくなったりしたものです。携帯電話で動画もメールもやり取りできて、ワンセグ放送が見られる時代にポケベルは使いません。

 シャッター通りとなった商店街の映像は悲しいものがありますが、近所に大きな総合スーパーが出来れば、そちらに足が向きますし、巨大なアウトレットモールが出来れば今度はそちらに行くでしょう。人はより便利で快適なものに流れていくのです。そして、インターネット通販で何でも揃う時代になれば、わざわざ買い物に出かける機会も減ります。

 こうした時代は実際にやってきました。2005 年12 月末現在で15000 店を突破した日本のEC 市場を支える仮想電子商店街「楽天市場」は、今まさにこの世の春を迎えているのかもしれません。

 そして、時は流れていきます。技術は一般化し、ビジネスモデルは色あせて陳腐化していきます。これは流通革命が単なる値引き合戦に埋没していった歴史が証明しています。その運命のサイクルは等しく全ての存在に降りかかることでしょう。株式相場の格言に「もうはまだ、まだはもうなり」という言葉があります。まだまだ大きくなるといっている時が本当のピークかもしれないいうことです。

 楽天には「成功のコンセプト」という楽天社内の憲法のような五箇条が掲げられています。

 

第一条:常に改善、常に前進

第二条:Professinalism の徹底

第三条:仮説→実効→検証→仕組化

第四条:顧客満足の最大化

第五条:スピード!! スピード!! スピード!!

 

 実に素晴らしい。この憲法が生き続ける限り楽天帝国に落日は訪れないでしょう。しかし、楽天市場は違います。

 EC に親しんでいくうちに楽天市場の不便さを消費者も出店している店舗も気がつきはじめたのです。

 楽天市場が産声を上げた当時は、インターネットは高額なものでした。そこに5 万円だけで出店可能な楽天市場は魅力的に映りました。ところが今は5 万円の半分で独自ドメインが取れる時代です。

 インターネットが一般的になり、検索技能の進歩により必要な情報を的確に探し出せる人は多くなっています。同時にネット商店街の優位性が消え、対照的に中小企業や個人商店にも大きなチャンスが回ってきました。

 このことを証明するかのように、楽天は金融コングロマリットへと性急な「スピード!!」で変身しています。

 楽天という企業にとって楽天市場は一つのサービスであり収益源です。しかし、他に稼ぐ方法があればこだわる必要はありません。営利企業というのは「稼ぐが勝ち」なのですから。

 今誰もポケベルビジネスに参入しないように、インターネットショッピングモールというビジネスモデルにも必ず終焉の時は訪れます。

「楽天市場がなくなる日」。

 この日こそ真にインターネットが当たり前の道具として、庶民の生活に溶け込む日なのかもしれません。

宮脇 睦

 

■電子書籍版発刊に寄せて

 本書は書籍版をそのまま電子書籍化しております。各種データは発刊時のものとなっております。

 


試し読みできます

楽天市場がなくなる日

特別寄稿「楽天商法」を批判する

株式会社生活と科学社

代表取締役 猪ノ口幹雄

 

石けんに関するサイトとして好評を博す

 私が代表取締役を務める株式会社「生活と科学社」(以下、「当社」)は国内外の消費者テスト、商品テストなどを参考に、消費者の立場にたった生活用品、国内外の石けん、精油、化粧品など生活用品の販売、卸売を業としています。1999 年11 月には、インターネット上に自社サイトである「石けん百科」という石けん等に関する情報を提供するサイトと、主に石けんの販売部門として「石けん百貨」を開設し、営業しています。

 インターネットはリアルタイムで世界中の最新の情報を入手することができる便利な道具です。同時にインターネットが普及すればするほど不正確、もしくは間違った情報を提供するサイトやまた意図的にそのような情報を提供するサイトも存在します。

 例えば、Google での「楽天市場 マイナスイオン」の検索結果では、エアコンやドライヤーなどの家電製品から肌着などの衣料品に至るまで、いろいろな商品がマイナスイオンを謳い、販売されている情報が十数万件も出てきます。

 一方、「マイナスイオン 国民生活センター」の検索結果によると、「消費者はマイナスイオンを謳った商品の効果を期待して使用するが、期待通りの効果かわからない」「マイナスイオンの発生量表示は、あるものも、ないものも、発生量を表示してもその数値と人体への効果との関係が明確でない」との問題点を指摘しています。

 営利を目的とするサイトは確実に増えていますが、そのような中には被害をもたらす可能性のあるものもあります。ビジネスに特化すれば、PL 法の施行により消費者が保護されやすくなったとはいえ、高価な割に期待通りのものではなかった等の消費者からの訴えは未だ後を絶ちません。

 消費者にとって最も大切なことは売り手側の謳い文句を鵜呑みにしないで、それが正しい情報なのかどうか調べる癖をつけること、1つだけでなく、様々な角度から得た情報を元に自分で考えて判断をすることです。得た情報を相対的にみることで判断力を養うことができます。

 当社の自社サイト「石けん百科」は『朝日新聞』(2004 年11 月)や『毎日新聞』(2005 年8 月)で紹介され、また洗浄に関する専門書にて引用、公共図書館などでリンクされるなど、石けんに関する科学的な情報を発信するサイトとして高い評価を得てきました。

 同時に掲示板「石けん楽会」は活発な意見交換によって、石けんなどの上手な使い方と正しい知識を提供する場として大きな役割を果たしています。

■石けん百科http://www.live-science.com/index.html

■石けん楽会http://www.live-science.com/cgi_bin/bbs2000/wforum.cgi

■石けん百貨http://www.live-science.co.jp

「石けん百貨」は、上記「石けん百科」「石けん楽会」などとリンクすることにより、単に商品を販売するだけでない質の高い情報提供のサイトとしてお客様の信頼を集め、順調に売上げを伸ばしてきました。

 

楽天市場へ出店した理由

 

 2000 年の春頃になり、「石けん百貨」において、情報を暗号化して送信する仕組み(SSL)の利用が必要となったために、他社が運営しているオンライン・ショッピングモールを利用して出店することを検討し始めました。

 当時、他のモールが100 万円以上の初期投資費用を要していたのに比べて、楽天株式会社が運営する楽天市場は「月額5万円の固定料金、売上げマージン一切不要」という非常に安価な出店料金体系を謳い文句にしていました。

 そこで、当社としても、この安価な出店料金体系に魅力を感じて、「楽天市場」に当社の店舗である「石けん百貨」を出店することとしました。そのため、2000 年7 月に楽天株式会社との間で出店に関する契約を締結し、同年9 月に「石けん百貨」楽天店をオープンしました。「1 年10 カ月前に始めたとき、日本の電子モールは惨たんたる状況でしたね。大企業が自己満足的に作ったシステムなので使いにくく、出店にもかなりの費用が必要でした。僕らは、とにかく安く便利にモノを売れる仕組みを提供して、いっぱい面白い店を集めて城下町を造っちゃおうと。織田信長の楽市楽座の発想です。楽天市場では、月に場所代を5 万円払えば、あとは一切かかりません。僕らにすれば、マーケットに人さえ集まれば、ビジネスチャンスはなんぼでもあるんです。広告を買ってもらうとか、新企画に参加してもらうとか」(『朝日新聞』1999 年3 月6 日、「編集長インタビュー」)「出店料は月5 万円にしました。いくら売れようと出店者から口銭を取ることもしません。」(『日経PC21』1999 年7 月号)「出店料金体系は月額固定料金となっており、売上マージンはいただいておりません」(2000 年当時の楽天市場の資料より)

 

晴天の霹靂̶̶料金体系の変更

 

 2002 年2 月、株式会社楽天は突然、楽天市場の出店者に対して、従来の月額固定料金の基本料金に加えて月間の売上高やメール配信数に応じた超過料金を徴収する新料金体系を導入することを通知し、その後、同年4 月から新料金体系が実施されました。

 この新料金体系によって、月額固定料金に従量課金制度が上乗せされ、当社の支払い料金は一気に5 倍を超えてしまい、当社の営業上の収益構造に大幅な変更を迫られることとなりました。そのため、この頃は大変資金繰りに苦労しました。当社と同様の悩みを抱えた出店者の一部は強引な新料金体系の導入に対応することができず、やむなく楽天市場から退店していきました。「石けん百貨」楽天店は当時、既に当社の全売上げの中でも重要な位置を占めていましたので、退店することは売上げの激減を意味することから、当社としては、不満を感じながらも退店することも出来ず、結局、新料金体系に従わざるを得ませんでした。

 当社は、楽天市場に出店してから今日に至るまで、料金体系の変更にもかかわらず、楽天市場から請求されている出店料の支払いは確実に行っており、遅延などは一度もありませんでした。

 

外部リンクの禁止についての通告

 

 楽天市場は規約の最終条項に規約改定に関する以下のような条項を盛り込み、一方的に規約変更を行える根拠としました。そして、これを根拠に、出店者に不利益な内容の規約変更を繰り返してきました。後に詳しく述べるように、その規約変更の内容は課金システムや顧客メールアドレスの管理権等の当事者間の出店契約の根幹に関わる重要事項にまで及んでいます。

 

「第20 条(規約の変更)本規約の変更については、甲(楽天)が変更内容を通知または公告した後において、乙が出店を継続した場合には、乙は新しい規約を承認したものとみなす」(1999 年8 月1 日当時の規約)

 

「第25 条(規約の変更)1. 甲(楽天)は、必要と認めたときに、乙(出店者)へ予告なく本規約及び付随契約の内容を変更することができる。2. 本規約の変更については、甲が変更を通知(甲のサーバー内で乙がID 及びパスワードでアクセスできる部分に掲示した場合を含む)した後において、乙が出店を継続した場合には、乙は新しい規約を承認したものとみなし、変更後の規約を適用する」(2002 年4 月1 日当時の規約)

 

 当社を含む多くの出店者は、多大な経費と労力を払って楽天市場上のショップを核店舗としてつくり上げることで営業をしており、最早、楽天市場上のショップなしで会社の経営は成り立たない状況になっています。そのため、楽天市場から撤退するという選択が出来ない状況になっているのです。そのような状況で一方的に不利な条件変更を通知されても、泣き寝入りせざるを得ない店舗が大多数です。

 当社も、同様に出店後の規約改定によって、「石けん百貨」から「石けん百科」へのハイパーリンクができなくなったため、設立当初からの当社の基本姿勢である、お客様に豊富な情報を提供することができなくなるという多大な不利益を余儀なくされました。

 リンクとは、文書内に埋め込まれた、他の文書や画像などの位置情報のことをいい、ハイパーリンクを用いて複数の文書、および関連する画像などのオブジェクトを関連付けたテキストをハイパーテキストといいます。そしてWWW はハイパーテキストの代表例で、Web ブラウザで文書を表示し、リンクのある場所をマウスでクリックすると、関連づけられたリンク先へ自由に行き来できるようになっています。インターネットの世界にWWW(World Wide Web)が登場してから、インターネットといえばWWW のことだと思っている人もいるほど、WWW は普及しました。

 World Wide Web とは、直訳すると「世界中に広がった蜘蛛の巣」という意味であり、リンクもしくはハイパーリンクと呼ばれる紐のようなもので結ばれています。

 当社の出店当初(2000 年9 月)、楽天規約には外部リンクについての特別な制約はありませんでした。しかし2002 年4 月の改定で「楽天サイト外に取引を誘導する事」に対し、そして2004 年4 月の改定では「外部Web サイトへのハイパーリンクを禁止」と、次第にその禁止内容がエスカレートしていきました。

 2004 年4 月1 日の楽天側からの一方的な規約改定によって、楽天市場以外のサイトへのリンク(外部リンク)が「モール外の店舗の宣伝、外部Web サイトへのハイパーリンク、電話・FAX・電子メールなどを利用したサイト外取引についての優遇措置の表示、その他の方法により顧客をモール外の取引に誘引する行為」として突然禁止されました。

 私は、当社が販売しようとする商品に関しては、単なる宣伝にとどまらず、様々な角度から豊富な情報を提供したいと強く考えています。そのため、情報提供サイトである石けん百科を運営し、同サイト内の掲示板で活発な議論や情報提供がなされるように、努力してきたのです。

 しかし、外部リンクの禁止は、このような基本姿勢に基づく営業を不可能にさせるものでしたから、当社としてはこの外部リンク禁止は受け容れがたい条件変更でありました。

 それでも、先に述べたとおりの事情から、楽天市場から撤退するわけにもいかず、楽天店舗のサイトにハイパーリンクを外すことや「石けん百科」のホームページアドレスを記載しないことを受け容れました。その上で、リンクができないことでお客様には迷惑をおかけしていることにつき、お客様に詫びる文言のみを記載することとしました。

 また、継続して、楽天株式会社に対し、商品説明に関する当社の基本姿勢を説明して、楽天に対し外部リンクに関する条件の変更について検討するよう要求してきました。

 

本末転倒(サービス低下)の外部リンク禁止

 

 干渉が特に執拗になったのは、2004 年11 月下旬から__つまり、楽天におけるメールアドレス例外表示手続きの完了(2004 年11月16日)に伴い、メールアドレスのCSV データダウンロードサービスを受け、同年11 月24 日から当社の配送業務をヤマトロジスティクス株式会社に委託し、その業務が順調に稼動し始めた時期でした。

 2004年12月16日、その時点で、楽天市場の石けん百貨サイトには外部へのハイパーリンクはサイト全体で1箇所もありませんでした。にもかかわらず、石けん百貨トップページに記載した文言などを指して「お客様を楽天市場外のサイトに誘導する行為は禁止」とし、文面の削除・変更を迫り、従わない場合はメールアドレスのCSV データダウンロードサービスを一方的に停止すると通達してきました。

 

2004 年12 月16 日の記載

■ご注意:楽天からの直接リンクが出来ません。お手数ですが、Google、Yahoo !などの検索エンジンで「石けん百科」を検索してご覧ください。

 

 楽天の見解(楽天株式会社法務審査部K 氏からのメール)にて「楽天外部サイト誘導に該当する記載」に該当するため「削除等ご対応」してほしい。対応期限:2004 年12 月17 日(金)午前10 時。期日まで該当の記載について削除等対応しなければ、「CSV データダウンロードサービスのメールアドレス」の利用を停止する。というものでした。

 それに対し、当社からの見解として実際に外部リンクはしていないのだし、「楽天サイト外に取引を誘導」もしていない。

 このWeb ページの記述は何ら問題ないと思われる。何が問題なのか、なぜ修正の必要があるのかを説明して欲しい、と要求しました。

 しかし、メールアドレスのCSV データダウンロードサービスを停止されると、弊社は順調に稼動し始めたヤマトロジスティクス株式会社による配送業務に重大な支障が生ずるため、遺憾ながら該当部分を以下のように修正しました。

 

2004 年12 月20 日の記載

■ご注意:楽天からの直接リンクが出来ません。大変ご不便をおかけしますが、ご理解くださいますようお願いいたします。

 

 楽天の見解(楽天株式会社法務審査部、K氏からのメール)にて、「この表示についても、楽天外部サイトを案内する記載となっている。リンクされていない状況なのに、リンクされているような記載をそのまま残し、リンクができない旨、注意書きされる事は、楽天外部サイトをご案内する事と同様の記載と判断する」。ご対応期限:2004 年12 月24 日(金)午前10 時。期日まで該当の記載について削除等対応しなければ、「CSV データダウンロードサービスのメールアドレス」の利用を停止する、と告げられました。

 それに対し、当社からの見解は、楽天からの直接リンクができないこと、そしてそのことによってお客様にご不便をかけていることは事実であり、それを記載しているにすぎず、これは「お客様を楽天市場外のサイトに誘導する行為」=「楽天サイト外に取引を誘導する事」には当たらない、と反論しました。当社は、2004 年の暮れから2005 年3 月にかけての楽天法務審査部と弊社とのリンクに関する文書を全て公開する旨、楽天に通告しましたが、楽天出店規約第17 条第1 項で定める守秘義務規定に反するものとして拒否されました。「CSV データダウンロードサービスによるメール通知サービス」とはそもそも、楽天市場内の店舗である石けん百貨でご購入された商品につき、より早く配送事前連絡をし、かつ受取人様がご自身で配達日時のご選択・ご変更を行えるようにするためだけのものです。

 お客様の利便性を向上させるものであり、楽天市場に対してもサービス向上を図れることはあっても不利益を蒙らせることはないにもかかわらず、利用停止を通告したのは、石けん百貨トップページの文面の削除、変更を押し通すためになされた結果としてサービスの低下となる本末転倒の手段だったのです。

 

公正取引委員会への申請を決意

 

 2004 年12 月22 日、弊社は楽天側の出店契約の一方的変更や外部リンク削除の強要等は、出店者に対して多大の不利益を課するものであって、独占禁止法で禁止されている不公正な取引方法にあたるものと考えられ、公正取引委員会への申請を行うこと、さらに楽天市場に対する公開質問状を出すと回答しました。

 2005 年1月28 日、楽天株式会社法務審査部部長、S氏から弊社に対し、以下を通告してきました。

 

(1)楽天出店規約に規定された基準を全て満たした「楽天用ミラーサイト」を新たに作成して再度外部リンク申請をする。(2)自社サイトへの外部リンク禁止及び、楽天支店トップページの「外部リンクが出来ません」等の文言の削除すること。(3)楽天規約の変更等について承服できないという場合は出店契約の継続は難しい。上記に対して2 月4 日までに回答をすること。

 

2005 年2 月4 日、楽天株式会社法務審査部部長、S氏からの通告に対して、弊社は以下のように回答しました。

 

(1)「楽天用ミラーサイト」については制約が多すぎる上、出店者側にのみ多大な手間と費用を強いる提案であるため検討の余地はない。

(2)これまでに行われてきた出店契約の変更等は出店者にのみ不利益をもたらす一方的なものであって、これは独占禁止法で禁止されている「不公正な取引方法」にあたると考えられる。また、楽天支店トップページの外部リンクについての文言はご不便をお掛けしているお客様への弊社からのお詫びであり、これが何故問題にされねばならないのか理解に苦しむ。

 

 インターネットの極めて優れた機能であるリンクによってお客様は商品に関する豊富な情報を得ることが出来ますが、外部リンクに制限をかけることは、商品情報を得る手段に制限をかけることであり、URL にWWW(World Wide Web)を冠することに矛盾しています。外部リンクの制限は最小限にすべきであると指摘しました。

 楽天市場側の横暴さに対して当社としては公正取引委員会への申し立てを検討せざるを得ない。楽天市場がこれらのことを正しく理解され、出店者との共存共栄の方針を取られるよう要望しました。

 

楽天への「公開質問状」を作成

 

 2005 年2 月22 日、当社は「楽天市場の諸問題 健全なネットショップ構築のためのサイト」(http://www.ingc.jp/)を開設し、同3 月28 日「公開質問状」(※添付資料①)を送付すると同時に同サイト上で公開しました(未だ、この公開質問状に対して返答はありません)。

 2005 年4 月18 日、2 月4日以降、なんらの回答がなかった楽天株式会社から、西日本営業本部部長のY 氏(以下「Y 氏」)と同社の当社担当者であるA 氏が当社を訪問され、これまでの経過及び石けん百貨の店舗運営に関する基本的な考え方について話し合う機会を持ちました。この時、Y 氏からは、楽天株式会社として公開質問状への回答の準備があるとお聞きしましたので、それを弊社サイトにて公開できるようにしてほしいと要請しました。

 2005 年5 月6 日、Y 氏が当社を訪問し、ミラーサイトの制作費用について質問されました。それに対して、当社が、具体的な手間や費用について説明したところ、ミラーサイトの構築が容易でないことは理解していただけたようでした(*「石けん百科」ミラーサイト制作の見積金額は1683150 円)。

 また2002 年の新料金体系の実施は性急過ぎたので、2004 年12 月通知の新料金体系への移行は余裕を持って行う等の改善措置を行っていることなど、楽天株式会社の取り組みについても説明されましたが、当社とは見解が相違するので、上層部は当社の楽天市場出店継続は難しいと判断しているともいわれました。

 出店継続困難という話を持ち出されると、当社のように、楽天市場上の店舗を核として営業している会社にとしては、大変なプレッシャーを感じました。

 しかし、これはあくまで楽天市場と出店者との共存共栄を目指すための協議であり、公平な判断を求めるため公正取引委員会へ申告した結果、当社の主張が通らなくてもその裁定に従うことは明言していました。この申し立ては、経済的弱者にとって公正な判断を求める貴重な権利の行使に他なりません。また、協議の一方できちんと毎月の利用料は支払い続けていたので、共存共栄のための協議や、公平な判断を仰ぐための公取への申告について楽天株式会社にも理解して欲しいと伝えました。

 2005年5月18 日、Y 氏より電話がありました。その際、再び、出店継続は難しいとの楽天市場からの通告に対して、当社は公正取引委員会の裁定が出るまで公開質問状を取り下げるので、石けん百貨の出店継続を認め、公正取引委員会の裁定後に改めて出店継続について話し合いましょうと提案しました。

 この当社からの提案に対しY 氏は上部と相談することを約束されました。

 なおY 氏から、当社が「石けん百貨本店グランドオープンのご案内」を当社の顧客に送った際、その中に楽天の会員が含まれていたことが上部で問題になったとの話がありました。これは、これまで取引のあった当社のお客様にご案内したものであって、何の問題もないはずである。また当社の従来のお客様が楽天の会員になっているケースも多々あるのであるから、問題にする方が間違っている、と反論したところ、Y氏も理解を示されたようでした。

 2005年5月20 日、Y 氏から5 月18 日の当社からの提案を認めるとの電話がありました。

 当社は念のため、以下の2 点の確認を求めました。

(1)公開質問状は取り下げ、楽天市場は7月3日以降の出店契約の継続に応じ、公正取引員会の裁定が下った後に出店について再度話し合う。

(2)石けん百貨トップページの文言については公正取引委員会の裁定が下りるまで蒸し返さない。

 

 Y 氏は以上2 点を了承されました。

 

楽天側から「解約通知書」が届く

 

 2005 年6 月1 日早朝、Y 氏から「楽天市場の諸問題のページが6月1日の時点でアップされている。5 月31 日までに削除することで社内調整をしているので至急ページの削除をお願いする」とメールが届き、その後電話がありました。当社はその電話でY 氏に対し以下の点を正しました。

 

(1)削除するのは「公開質問状」のみである。削除の期限についての約束はなかった。

(2)5 月31 日までに削除の方向で社内調整されているという話は弊社には届いていない。

(3)これまでの会話は全て録音済みであり、上記について疑問があればテープを送付する用意がある。

 

 上記指摘に対してY 氏は「説明不足だったが公開質問状は直ちに削除し、『楽天市場の諸問題』のページはできるだけ早く削除する」ことを要求しました。

 当社は6 日(月)の午後に弁護士と相談する予定であったので、回答は7 日まで待っていただくよう要請しましたが、Y氏は今回の電話での話し合いの内容を上部に伝えると答えました。

 2005 年6 月1 日夕刻、「楽天市場出店契約期間満了に伴う解約通知書」がファクスにて、翌2日内容証明にて当社に到着しました。

 このたびの解約通知書には「出店規約第11 条(※資料2)に基づき本書を持って通知いたします」と書かれています。解約の理由に全くふれられていないことから、同規約の第26 条の2(資料3)を適用したものと考えられますが、「公開質問状は取り下げ、楽天市場は7 月3 日以降の出店契約の継続に応じ、公正取引委員会の裁定が下った後に出店について再度話し合う」との合意までお互いが話し合ってきましたので、「出店規約第11 条」を持ち出したことは極めて不適当であったことは明らかです。「楽天市場の諸問題」のサイトの閉鎖要求についても、当社は7 日に回答すると約束していたにもかかわらず、6 月1 日に「5月31 日までに削除の方向で社内調整している」との話を突然持ち出してきました。当社が対応を検討する猶予を全く与えずに、「解約通知書」を送りつけてきた行為も同様に不適当かつ乱暴なものでした。

 2000 年9 月に楽天市場に石けん百貨を出店してから、楽天市場は出店規約第25 条(規約の変更)を楯に、規約の変更を一方的に強行し、そのたびに出店者に大きな負担を強いてきました。

 安定的なシステム構築のため料金改定等の措置が必要となるという論理自体は否定しませんが、楽天市場の料金体系の改定はあまりに唐突でした。また、出店者の意向を汲み取ろうとしない一方的なもので、出店者に大きな負担増を強いるものでした。

 2001 年の年末には楽天市場のシステムトラブルによる相次ぐサービス停止のため大幅な売上げの減少を強いられたこともありましたが、楽天市場出店規約第22 条(免責)を根拠に、それに対する保証は一切ありませんでした。それでも、当社は全面的に協力してきました。

 

顧客情報管理についての一方的な変更

 

 楽天は、先に述べたように、インターネットショッピングモールの世界において圧倒的なシェアを誇っており、楽天市場のシステムにあわせて構築したサイトのデータが、他のショッピングモール等には容易に転用できない特徴があります。

 またすでに、そのURL で店舗営業を続けてきた各店舗にとって全く違うアドレスへ移転した後も顧客を引き継ぐことが困難であること、とりわけ、これも一方的に変更された後の規約なのですが、「乙(出店者)は、本契約終了後、甲(楽天)が書面で特に承諾した場合を除き顧客情報を利用する事はできない」(退店後の顧客情報利用禁止)という規定があり、ひとたび退店すると、顧客のメールアドレス等の情報が一切利用できないことになってしまうのです。

 当社が楽天に出店した当時の出店規約では、メールアドレス等の顧客情報は楽天と出店者が共有してそれぞれが、責任を持って管理すべきとされていました。

 インターネット通販の事業者にとって、それまでの営業により蓄積した顧客のメールアドレス等の情報が、営業の根源をなす重要財産であるということは容易に想像がつくと思います。また、これらの情報は出店者が日常の店舗運営や、懸賞サイトや広告料を楽天に払うなど多大の努力を払ってようやく獲得した財産です。

 このように、退店後は顧客情報を一切利用できないということになると、出店者にとって、退店という選択肢が如何に現実には選択しえないものであるかということをおわかりいただけると思います。

 

楽天市場店舗での売上げを一挙に失うという苦難

 

これまでの経過にありますように、当社は7 月3 日以後も楽天市場に出店を続ける前提で店舗の運営を進めてきました。同日以後、突然に楽天市場へのアクセスを打ち切られたため、

 

これまで莫大な経費をかけてつくり上げてきた石けん百貨楽天店舗を一瞬にして失ったばかりでなく、全社の売上げに大きな比重を占める楽天市場店舗の売上げを失い、当社の経営は極めて厳しい状態に陥りました。

 契約上の立場の違いに十分な配慮をしていない「楽天市場出店規約」第11 条を根拠に、当社との出店契約の継続を一方的に解約してきた楽天市場の行為は、「楽天市場出店契約」が出店者の生殺与奪を含めて無制限で絶対的な権力をふるうものであることを示しています。

 私には、楽天市場が、他社よりも安価な条件で出店者を募集し、一生懸命店舗づくりに励み、やっと店舗の体裁が整い始めた頃に、簡単に退店できない事情を承知の上で規約の改定を押し付けるということを繰り返してきているように思えます。それはまた「楽天市場憲章・出店者サイト外取引基準・外部リンク例外基準 ガイドライン」に謳う、「楽天の憲章はその名のとおり、日本国における憲法と同様の位置付けであり、この基本理念の下に出店規約・楽天規約・サービス利用規約があり、それら規約をより具体的にまた詳細に例示したものが各種ルール・ガイドラインとなります」という記述や、「楽天市場憲章」は「憲法」、「出店規約・会員規約・サービス利用規約」は「法律」、「各種ルール・ガイドライン」は「政令・省令」に位置するものとする憲章の基本理念を自ら放棄するものです。

 ショッピングモールの運営者と出店者は、長期に渡る取引により、営業基盤を共有し、互いにその発展を目指して協力する関係にあるのであり、そのような関係を無視して、一方的に出店という営業基盤そのものを奪われたのでは、出店者はよりよい営業のための改善提案ができなくなります。

 

楽天市場での店舗運営が不可能に

 

「石けん百貨」楽天店は楽天市場の社員からも「優秀店舗」と認められ、売上げにおいても楽天市場内の日用品・生活雑貨ジャンルの中でトップレベルに位置していました。(楽天市場・広場「お買い物レビュー」石けん百貨のショップ情報をご参照ください。http://review.rakuten.co.jp/shop/4/193547_193547/1.1/)楽天市場内のレビューランキング等でも全約1万3000 店舗(当時)中30 位台で推移し、月間の売上も2000 万円程度ありましたが、外部リンク禁止規制等をめぐって楽天側と意見が対立していたところ、同年7 月1 日に店舗サイトを「改装中」との表示に切り替えられ、また店舗管理画面へのアクセスを妨害されるに至りました。

 営業上の損失が看過し得ないものであったことから、店舗再開を求めて協議しましたが、その後、前述したように「楽天市場」店舗からの個人情報流出問題やそれに伴うカード決済システムの変更通知等があり、もはや楽天市場での店舗再開はできないと考え、退店し、現在は独自に販売サイトを立ち上げて運営しております。

 

「創業精神」で謳われた内容ははじめから嘘だったのか?

 

「楽天」の社名はもともと、戦国時代に織田信長がおこなった政策「楽市楽座」に由来しているといわれています。「楽市楽座」とは、「楽市楽座戦国・安土桃山時代、大名が商人をその治下に集めるため、城下町や重要都市で旧来の独占的な市・座の特権を廃し、新規の商人にも自由な営業を認めたこと」(『広辞苑』より)で、その主眼は「規制緩和」や「自由化」によって、市場経済の発展を促すものと考えられます。

 もしも楽天株式会社の創業の精神が真に「楽市楽座」にあったとするならば、同社は即刻態度を改め、「創業の精神」に戻るべきでしょう。

 初めから後で規約変更の上、料金値上げをする予定だったならば、安い手数料を餌に多くの出店者を釣る、という詐欺行為であり、初めから料金の値上げは「想定外」だったのなら、企業としての経営判断がまったくできていなかったということになります。

 いずれにせよ、出店者への過酷な仕打ちを早急に改めてもらいたいのです。

 当社が「楽天市場の諸問題」のサイトを立ち上げ、楽天市場に対する「公開質問状」を出した時期は、まだ楽天株式会社というEC 分野におけるトップ企業の問題点はほとんど知られていませんでした。

 しかし、昨年の後半から楽天トラベルの利用料値上げ問題、「楽天市場」店舗からの個人情報流出問題、TBS 株取得問題、楽天証券のシステム障害、今年に入って新年早々の「楽天ポイント」のキャンペーン上でのトラブル問題など、楽天株式会社の横暴かつ冷徹な営利追求主義な企業体質が明らかになる事件が続出しています。

 これらの経緯を通じて、健全なネットショップの構築、すなわち、ショッピングモール運営者と出店者、そして何よりそれを利用する消費者にとってインターネットショッピングの世界をより有益で公正な取引の場へと発展させていくためには何が必要だろうか。また、インターネットショッピングモールの世界で「圧勝」している楽天が、出店者との関係でどのようなことをしているのか。このEC 分野におけるトップ企業の本業の実態について、問題提起をしたいということで、独占禁止法違反の被疑事実にあたるのではないかと当方が思料する各事実につき、2005 年11 月12 日、公正取引委員会への申告をしました。(※添付資料③)

 以上に述べたように、現時点では、契約書の文言上、楽天側の恣意による一方的な契約解消が可能な状態となっています。また、契約書上の文言のみならず、技術面においても、楽天は、出店している店舗ページを直ちに閲覧不可能な状態にすることや、出店者をして店舗管理画面にアクセスさせないように妨害することを極めて容易になし得る地位にあります。

 現に、当社は、平成17 年7 月1 日、楽天に対する批判を行ったとの楽天の一方的な主張に基づき、楽天市場から、店舗ページを閲覧不能にし、改装中との表示(何ら改装中の実態がないにも関わらず)に切り替えられ、また、店舗管理用画面へのアクセスができない状態に直ちに持ち込まれました。これは、常識では考えられないほどの強硬的手段を楽天が容易に執りうることを如実に物語る事実でした。

 楽天市場がシェア獲得後のいわばフリーハンドの規約変更を通じた自社利益の追求によって、この業界トップ企業の好業績を支えているということ、その影で、出店者が多大な営業努力を強いられているということ、他の競争者に公正な競争の機会が与えられていない可能性があること、このような構図の存在を、ぜひ、皆さんに知っていただきたいと思います。

 

■添付資料①:公開質問状 http://www.ingc.jp/open1.html

■添付資料②:楽天市場・広場 店舗レヴューコメントhttp://review.rakuten.co.jp/shop/4/193547_193547/1.1/

■添付資料③:独占禁止法第45 条第1項に基づく申告

http://www.ingc.jp/pdf/fairtrade.pdf(PDF285KB)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


試し読みできます

楽天市場がなくなる日

著者略歴



読者登録

miyawakiatsushiさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について