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著者紹介

マイク・ブラックバーンは30年以上にわたりいろいろなチームのリーダーやマネージャーの経験をしてきた。 その活躍の舞台は地域社会から海外、大企業や中小企業、NGO、ボランティア活動など様々な組織や団体にわたる。 

 


  

1957年 アメリカ オハイオ州生まれ

1979年 Wright State Universityで生物学・化学の学士を取得

1992年 University of Massachusetts でエンジニアリングマネジメント大学院修士課程修了


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最終更新日 : 2012-08-30 00:04:01

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まえがき

“人生は旅である”とは幾度と無く語られた言葉である。その途上で最高の経験をするのかどうかは各人次第だが、各人の行いだけでその旅が最高の思い出となるかどうかが決まるわけではない。

 

リーダーとして現状を少しでもよくするために奮闘する過程にこそ、学習すべき事と経験すべき事が少なからずある。この経験は我々の人生を豊かにし、また他の手段を持ってしては得ることの出来ない人生訓を与えてくれる。

 

リーダーになるには何が必要なのだろうか?

 

単にリーダーシップコースや本から得た教育だけでその答えを見つけることは出来なかった。 それは自分自身の中にあったのだ。 そしてそれを見つける重要な鍵となったのは様々な経験と一緒に働いたチームメイト達であった。


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リーダーとは?

マイクは“レギュラーガイ”だ。彼は中流階級の町でごく普通の家庭に育った。彼の父は、きつい長時間の肉体労働と引き換えに、家族の衣食住を支えるだけに十分な給料しかもらえなかった。

 

そこでマイクは『自分は教育を受けて父の歩んだ道よりも上を行こう』と早いうちから考えるようになった。高校を卒業した時、大学へ行くという選択肢しか考えなかった。

 

マイクはこの目標を達成し、なんと親戚中で初の大卒となった。しかも生物学と化学の学位を2つ同時にとった上で就職活動に臨むことが出来た。

 

運命の日、最初の就職先の第2時面接の日だった。父親より少し若いくらいの面接官が『あなたのキャリアゴールは何ですか?』と質問した。マイクは自信と信念を持って『僕はマネジメントをしたいんです。』と答えた。 

 

そう言ったものの、“マネジメントをする”ということが実際どういうことなのか明確にはわかっていなかった。わかっていたことと言えば一番奥の席に座っている人がマネージャーで、その他の人たちはマネージャーの部下、それ位のことだった。

 

唯一マイクが明確に解っていたのは、『マネージャーになりたい』ということだった。

 

実際に働き始めてみると、3年目にマネージャーの位をもらい他の州へと栄転、さらに昇進を積み重ねてマネージャーとは何であるのかを経験を通して学んだ。

 

様々な経験や勉強を重ねていくうちに20年があっという間に過ぎた。

 

ある日、マイクはマネジメントに代わって、リーダーシップというものが次第に重要性を増していることに気がついた。それは場所を問わず頻繁に話題になっていた。政治、ビジネス、また地元のボランティア活動の組織においても常にリーダーシップの必要性が叫ばれるようになっていた。

 

リーダーの特徴とは何であろうか?  今日のリーダー人材を開発する方法は? 明日のリーダーはどうやって見つけるのか? 世の中が皆リーダーを探していた。 


 

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リーダーの特徴とは何だろうか?

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マイクの働く会社では従業員全員の共通言語として“リーダーシップモデル”というものが採用された。会社は『社員全員がリーダーになるべき』という期待を持っていたからであった。

 

マイクはリーダーが持つべき人間的要素や資質とは何かについてありとあらゆる文献を読みあさった。

 

あるリーダーシップモデルは、『ビジョン、ストラテジー、指揮、実行、任せること、この五つがリーダーの持つべき要素だ』と語っていた。 その5つの要素はリーダー人材開発において、リーダーの特徴や性質として実際に説明・実行可能なものであるという点で納得できた。

 

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リーダーが持つべき資質;

ビジョン、ストラテジー、指揮、実行、任せること

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これらの要素をグルーピングしてみると具体的にどんなスキルの組み合わせが、どのような場面でリーダーをより強いものとしてくれるのかも見えてくる。 学ぶことを信条とし、何事も納得のいくまで調べることが好きなマイクは、リーダーとして自分を開発するためにも、それらの要素を実際の経験を通して探ってみることにした。

 

マイクの目的はあくまで彼自身と 同僚、部下、上司、職場全体を少しでもよくしたいということであって、新たに理論やモデルを開発しようなどと言うことではなかった。

 

マイクはマネージャーとして『リーダーになるには何が必要なのか?』と言う質問を言葉を変え幾度となく受けた。 言葉や表現の違いはあれ、これらはすべてリーダーになるという目的を達成するための方程式やレシピを探しているんだということは明らかであった。

 

だが、リーダーになれる特効薬など簡単に見つかるわけがない。人がついてくる、模範とされる、賞賛される、といったリーダーとしての特徴をにわかに作る呪文などあるわけがなかった。

リーダーは生まれつきなのか? それとも教育によって生まれるのか?

 

マイクはこのことをいつも考えていた。そして何年にもわたる観察の結果ある答えを得た。それはマイクがマネージャーとして行った合計数百人に上る人達との採用面接と、採用した人たちの実際の働きぶりから得た一般論であった。

 

マイクの観察の結果はこうだ。 80%の人は容易に職場での問題を認識できる。つまり約20%の人は(もちろんこの人たちを採用したことはない)問題を認識することすらできないということだ。

 

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遺伝か学習か?

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経験則では、この20%の人たちは採用面接にて簡単に見分けることができるということ。 だとすると、この20%は先天的な資質からくるものなのか、それとも後天的なものなのだろうか? マイクの一般論はこの20%はそれぞれの人の思考回路からくるもの、つまり先天的なものではないかというものだった。

 

採用された人たちは皆、トレーニング、システムやプロセスなど職場に道具さえそろっていれば問題を認識した上で適切に行動をとることができた。

 

次なる課題は、問題が今まで経験したことのないタイプのものであったり、職場という環境上複雑な事情があって解りにくい時があることだ。

 

これに関するマイクの観察結果はこうだ。 採用された人たちのうち20%は問題を認識しその解決策までを見つけることができる。 さらに興味深いのは、この20%の人の4分の1(つまりたった5%)が問題を認識し解決策を見つけた上で、その実行までを上司からの権限委譲やサポートがなくても実行できるということだった。

 

この5%の自分で行動のできるリーダーは教育や学習によって生まれるものなのだろうか? あるいは遺伝的な何かがこういった人たちを生んでいるのだろうか?

 

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あなたも学習することでリーダーになれる?

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“生まれながらのリーダー”という表現がよく使われるように、多くの人はリーダーは生まれながらのものと信じている。 こういったバイアスをもった上司が部下の(実はリーダーとしての優れた)資質を目にすることがあっても、もしその会社や上司のリーダーシップモデルにはまっていなければ、結論としてその部下はリーダーになれないという判断をされてしまう。

 

もし会社の論理が、『会社の資源はリーダーとしての才能や素質を既に持っている人たちに使った方が効果的』であるとすると、会社のリーダーシップモデルとぴったり合っていない人たちは、いくら素養があったとしてもそれを発揮することのできる地位やチャンスを与えられないということになる。

 

マイクはそういった会社の論理を理解することができたが、それがやり方として正しいものなのかという点では納得していなかった。 そこには天性以外のものも関係していることが彼には解っていたからであった。

 

マイクは会社の求める次世代リーダーの素質の一つ一つを理解してはいたが、自分自身がすでにそれらすべてを持っているわけではなかったので、改善の努力を怠らなかった。

 

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改善の努力とスキルを作って行くこと

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マイクの目標は自分自身の改善法を見いだすだけでなく、リーダーになろうと奮闘する同僚や部下たちの一助になることでもあった。

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目標:リーダーになりたい人を支援する

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人、プロセス、目的

ジョンは入社したての新人だ。彼は業界においては既に何年もの経験を持っており、マイクとしては重要な“即戦力“として採用した。 そういうこともあってジョンの入社オリエンテーションに参加してできる限り多くの話をしたかった。

 

『ジョン、解らないことや僕と確認したいことがあればいつでも言ってくれよ。 どんなことでも自分の経験や意見を君とシェアしたいし、僕は何にだっていろんな意見を持っているから。』

 

新卒であれ、経験を持って課長や部長として入ってきた新入社員にも常に同じ申し出をしてきたが、実際に質問や相談をしてくるものは殆どいなかった。 大志を持って転職してきたジョンの場合、社内のことを表面的にだけではなくもっと深く理解しておく必要があった。 それには長年会社にいる人から学ぶことが一番だ。そこでジョンはマイクに幾度と無く話し合いの時間をもらった。

 

ジョンの入社3週間目の金曜日の午後のこと、ジョンが少し話をしたいと申し出てきた。もちろんマイクは快く応じて、カジュアルに話を始めた。

 

マイク:『ジョン、どう? いろいろうまくいってる?』 

 

マイクにとっては、何かを学びたいと思っているジョンと自分の経験や知識をシェアしたり意見交換したりすることは喜ばしいことであった。

 

ジョン:『ええ、おかげさまでどうにか。先週教えてもらったウェブサイトのおかげで、例のシステムを理解するための時間が2−3日分は節約できたんじゃないかと思います。』 とうれしそうに話を始めた。

 

マイク:『それはよかった。僕があのシステムを使い始めたときにそのサイトが既にあったらどんなに楽だったことか。 全体像が見えるとパズルもかなり簡単になるよね。 で、その他はどんな感じ?』 と微笑みながら言った。

 

ジョン::『実は、3階のチームのやってることを理解しようとがんばってるんですが、何回ミーティングしても真剣に聞いてくれないというか…    ポイントを具体的に質問しても答えがもらえないんですよ。 データリクエストのプロセス通りにお願いしてるんですが、答えがもらえた試しがないんです。僕がやり方をまちがっているんですかね?』 

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僕は何を間違えているのか?

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マイクは少し考えてから、 『ああ、なるほど。 あのチームでの担当者はデビーかな?』

 

ジョン:『ええ、なんで解りました?』と少し驚いた感じで答えた。

 

マイク:『いろいろ想像できるよ。 デビーの所まで話に行く前に予めデータリクエストを送った上でリクエストを受け取ったか確認しておいたとか?』

 

ジョン:『3階に隠しカメラでもあるんですか? 社内のサイトにある正規のプロセスに従ってリクエストを出したんですが、3階のチームはあのプロセス通りやらないんですかね?』

 

マイク:『そんなことないさ。 そうだね、この会社のことでもう一つ知っておかなきゃいけないことがあること忘れていたよ、ごめん。』

 

マイク:『いくつもの会社のいろいろな人と接してきた経験からできた僕の持論だけど、会社の文化を理解するには大きく分けて3つのタイプがあるんじゃないかと思う。 関係、プロセス(手続き)と、ヒエラルキー(組織構造)の3つだ。』

 

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会社の文化:関係、プロセス、ヒエラルキー

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『どんな会社も3つとも持っているけれど、優先順位があるというか、必ず1つがその会社の文化の決定要因になってる。 例えばヒエラルキータイプの会社というのは組織やそれに関係する社内の構造が文化の決定要因になっているということになる。』 

 

『たとえば数年前に買収した子会社があるよな。 あの会社はヒエラルキータイプの古典的な例とも言える組織で、買収当時はコミュニケーションがうちの会社とうまく取れないんじゃないかと心配された。 例えば、経理部のある係長がちょっとしたカイゼン・ミニプロジェクトを思いついてそのために品質管理の係長と仕事をしなければいけないことになった。その係長は自分の上司である経理課長からその上司の経理部長に話をしてもらい、その経理部長からその品管部の部長に話を通さなければ何も始められないという状態だった。』

 

『こういった文化の違いを乗り越えて同じ会社のチームとして一緒に仕事をするのは難しいし、このケースは正直まだうまくいってないらしい。』

 

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文化を理解する

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『ジョン、君が前にいた会社は業界でも優れたプロセスを持っていることで有名だよな。 以前にも君がプロセス通りに全てが効率よく進むって話をしてくれたのを覚えている。 つまり、プロセス重視文化の会社のいい例だと思う。 でもうちの会社は、関係重視文化の会社なんだよ。 誤解がないようにもう一度言うと、どの会社も3つのすべてを持っている。 関係・プロセス・ヒエラルキーの全てをね。 だけどどれか一つが必ず優勢で、そのバランスが時とともにかわってくることが多い。 我が社では歴史的に関係重視文化だけどそれをプロセス重視文化に変革中というところだ。』

 

『言葉を変えて言えばこの会社ではプロセスの前に関係が必要だというところ。 特にデビーみたいに何年もいる人たちと仕事をする時はね。関係を作ったうえでないとことがうまく運ばない。』

 

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リレーションシップレベルで話す

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『そうだ、ひとつ試してもらいたいことがあるんだけどいいかな? 次にデビーと話す時に「マイクから聞いたんだけど、あなたと僕の子供は同じ年で、進学する大学を探してる最中って聞いた」なんて会話を始めてみてよ。 そうすると僕の言っているリレーションシップレベルの会話ができて、関係を築くきっかけになると思う。 そうすればデータリクエストだけじゃなくて関連する彼女の洞察や考えなんかも一緒に聞いて学ぶことができるというのが狙いだね。』

 

新たに会社の文化という洞察を得て、心配事を解決したジョンはゆっくりと週末を過ごせることとなった。 

 

さて、次の週の後半になって、ジョンはまるでおもちゃ屋さんにいる子供のようにうれしそうにマイクに話しかけてきた。

 

『マイク、すごい偶然を発見しましたよ。 先週教わった通りにデビーと話してわかったんですが、なんと僕たちの息子は3つも同じ大学に志願書を出してたんです。 それでつい息子ネタで長話しちゃいました。 しかも必要だったデータはもとより 「もうちょっとするとこれが必要になるから」って、ほかに3人の名前と2つのレポートのコピーをくれました。 これはマイクマジックとでも呼ぶべきですね。』 

 

マイクは、こういった交流をジョンとばかりでなく、他の同僚とすることにもとても喜びを感じていた。 彼自身の経験をシェアし、少しでも他の人たちに役立ててもらうことは非常に達成感と充足感を与えてくれた。 いうまでもなく、リーダーの能力のうち重要な側面のひとつは他の人に影響を与えるということだからだ。

 

 

リーダーシップへのアプローチ

 

マイクはリーダーシップについて書かれたいろいろな文献を読んで、考えていくうちひとつの疑問に行き着いた。 なぜ今日、マネジメントだけでなくリーダーシップが重要視されているのだろうか? マネジメントだけではなぜ十分でなくなったのだろうか?

 

我々の親の世代には終身雇用が前提で就職活動は一生のものと考えていた。自分の職場でいくら難しい状況になっても転職しようと考えるのはかなり少数派だった。

 

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会社の忠誠心

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そういったことを背景にマネジメント理論が多く語られて進歩してきたが、当時は社員たちも会社に対して忠誠心を持っていたし、同じく会社側も社員に対して忠誠心を持っていた。

 

ところが、マイクが社会人になった頃から企業社会の環境がかわり始めた。 会社は 解雇や部門の切り売りや工場閉鎖を頻繁に行うようになり、各四半期の利益がますます優先されていった。 多くの終身雇用を前提として人生を設計していた会社員たちの仕事が突然変わり、会社が買収され、そして解雇された。 

 

終身雇用は瞬く間に過去のものとなった。 従業員はリストラされ、多くの仕事は契約社員に任され、企業年金を失うことすらあった。 こうして会社の社員に対する忠誠心が失われていった。

 

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あなたの市場価値は?

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マイクが就職して10年目くらいに読んだ新聞の論説記事で忘れられないものがある。その記事が取り上げていたのは、“あなたのマーケタビリティー”(労働市場で売れる人・売れない人)ということだった。『もしあなたが過去5年間に転職をしたことがなければあなたという商品はジョブマーケットで売れない商品である可能性が高い….』 という記事のコメントに対し、会社に忠誠心を感じていたマイクは非常に憤慨したことをはっきり覚えている。

 

マイクの働いている会社でも彼の30年以上のキャリアの中で初めてリストラによる大規模なレイオフが行われた。 彼の会社に対する見方が変わった。 会社の社員に対する忠誠心は全く感じられなくなった。20年前にマイクを憤慨させたあの論説記事は期せずして正当化され、同僚たちも会社に対する忠誠心を失っていた。

 

以前、忠誠心を持つことは名誉な事とみられていた。 名誉とは正しいことをすること、誠実さ、尊厳やプライドと一緒のものだ。 つまり会社と従業員両方の側からプライドが失われたのだとマイクは考えた。

 

企業社会でプライドを失ったという最大の例はエンロン事件だ。 巨大な企業の崩壊と社員が失ったもの、これは名誉の喪失とそれと共に明らかになった利益追求一辺倒の企業の論理が世の中を支配するようになった結果だ。

 

忠誠心を失った会社が次に意識するようになったことは、人材の入れ替えコストなるものだった。 マイクはついにマネジメントだけでは十分でなくなった理由を見いだした。 マネジメントが失ってしまった誇りや忠誠心を、リーダーシップによって取り戻すことが期待されるようになったのだ。

 

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リーダーシップへの3つのアプローチ

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リーダーシップへのアプローチも会社の文化のタイプと同じく3つあって、そのうち1つが他の2つより色濃く出てくる。 ただし、リーダーシップの場合は(関係・プロセス・ヒエラルキーの代わりに)人間・プロセス・目的の3つになるとマイクは考えた。

 

 

リーダーシップモデルを作る

 

マイクは長年の親友であるトムにこのことを話してみた。

 

トム:『その人間、プロセス、目的って、そのことが会社文化の3つのタイプである関係・プロセス・ヒエラルキーとどう結びついているの?』

 

マイク:『難しいことを言っているつもりはないんだ。 まず一番難しい関係にあるヒエラルキーと目的の2つについて話していいかな。』

 

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関係 − 人間

プロセス − プロセス

ヒエラルキー − 目的

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『ヒエラルキーのあり方はその会社での行動形態を決めるよね。 肩書き重視のヒエラルキー文化の組織では、多少手続きが煩雑で新入りの人には分かりにくくても、肩書きの上下を無視して行動はできない。 逆に有名なIT企業みたいにCEOと直接歯に衣着せず意見を戦わせることを大切にする文化の会社で職位を優先して行動していれば、おそらく次の査定のときにはクビだ。 ヒエラルキーが違うと行動も変わってくる。』

 

『一方リーダーは、その人の目的が何であるのかによって、プロジェクトリーダーから契約社員まで、チームの行動形態が変わってくる。 例えば、目的の違う2タイプのチームリーダーを例に考えてみよう。 1人目の最優先目的は仕事の期限を守るということ。 常に進捗をレポートさせることでチームをリードしようとするタイプ。 2人目はそれと対照的で、その時々メンバー各人がなすべきことを明確に理解しているかを確認して後は任せることを最優先の目的としている。 よってゴール達成のためにチームメートの必要に応じてサポートをするだけのタイプのリーダー。』

 

『両チームの結果が同じだったとするよね。 すると最初のタイプの評価よりも2番目のタイプのほうが高く見られることになる。 これは2人の目的の違いから来るものだよね。』

 

『次にプロセスだけど、プロセス重視の会社やリーダーは、やはり同じプロセス重視で仕事をしたり、リード をするということになる。 プロセスに従ってことを運ばせるようにすれば人間にしてもシステムにしてもある程度予想通りの結果を安定的に得ることができる。』

 

『大切なのは、プロセスが適切で、かつ皆がプロセスに従うという条件が揃えばこのアプローチはとても効率がよくなる。 だが、それには皆が同じプロセスを共有し、曖昧さが無く誰もが同じように実行できるような職場環境もなければいけない。 例えば職場は清潔にと言う標語を掲げたとしてもその意味や解釈は場所や文化によってまったく違ったりする。 こう言うことはガイドラインでも作って具体的に示さないとね。』

 

『最後に人間と関係、これは言うまでもなくとても密接に結びついている。 関係重視の会社でうまく働くためには関係を築き上げ、それを育んでいかねばならない。 リーダーにとっては周りの人間を理解しサポートしてゆくための関係が必要と言うことになる。』

 

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リーダーシップアプローチ:人間, プロセス, 目的

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『人間・プロセス・目的を考慮すること無くしてリーダーシップは考えられない。 その3つのうちのどれを一番の動機としてリードするかで、もちろん違うスタイルに見えるということになる。』

 

トム:『わかった。会社は関係・プロセス・ヒエラルキーのうちどれか一つが主導的であるのかにより3つのタイプに分けることができる。まさに会社の文化がここに反映されるわけだよね。』

 

『リーダーには人間・プロセス・目的の3つのうちどれが主導的なのかで3つのタイプに分かれる。これはそのリーダーのスタイルやモチベーションが反映されているということ。』

 

マイク:『その通り!』


 


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最終更新日 : 2012-08-30 00:04:01

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訳者あとがき

日本で大学を卒業して以来20余年、アメリカを初め数カ国の企業、政府などで働いてきた。確か欧米人はリーダーシップを常に意識している。 競争のある場所、つまり会社の中などではもちろんだが、ボランティアで公園の掃除に行っても、空港で列を待っていても意識しているらしく、”リーダーシップを…”ということはいつでも聞かれる。 必ず誰かリーダーが “正しい”方向を示して、みんなで協力してついてゆくことで効率よくやっていこう、と言う感じに日本人の私には聞こえる。 どちらにしてもみんなが同じ常識と考えを共有しているとか、自分ひとりで何かをやるのでない限り絶対に必要なことだ。 


欧米人の中で比較しても、アメリカ人はそのリーダーシップに特に秀でていると言うのが20年以上見てきた素直な感想だ。 どんな場所でも、どんなレベルでもリーダーがいて、層が厚いというのはひとつの理由だと思う。 だが行動規範や“テクニック”なるものも常に彼らは考えている。 それをどうしても日本の友人やこれからの若い人たちとシェアしするいい方法はないかと考えていた矢先、もと上司のマイクにこの本の翻訳を頼まれた。 

 

それぞれ国によってスタイルは違うが世界のリーダーを生み出している国のマネージャーたちは凄い。 頭がいいということはもちろんだが言葉で表現しがたい人間としての強さを持っている人たちが多い。何百億円も給料をもらっている金融界の一部のスーパーエリートマネージャーの話ではない。私の働いている普通の製造業でもそうなのだ。 

 

日本で国際競争が言われるようになって久しいが、社内の人間関係までがそれにさらされる時代はこれからだ。国境を越えて成長を目指す企業は社内公用語を英語にするなど大変な努力を始めたばかりだ。日本を外から見てきた時間のほうが長かった私の偏見であるかもしれないが、政治の世界に目を転じると日本の状況は恥ずかしいと同時にかなり危険な域に入りきっているように見える。国のリーダーである総理大臣が毎年変わる国が他にあるのだろうか? 現在の日本の企業でカリスマ経営者と言うことはよく聞くが、経営者がリーダーとしても有名な人は(カルロス・ゴーン氏を除いて)いるだろうか? 

 

世界中の人たちが集まり、ビジネスのみならずいろいろな世界でリーダーシップということに対する情熱を強く持つアメリカに学ぶものはたくさんある。企業でのリーダーになるためにはもちろんそれに見合った知識が必要であるが、地域のボランティア活動や趣味のサークルなどでもリーダーの人間としての本質は変わらないはずだ。レギュラーガイマイクの経験と考察を通じてアメリカのリーダー文化を理解することは、日本の社会・教育で育った我々が国際的な場でリーダーになることの一助となるはずだ。 

 

鈴木章司

ツイッター: @suzukini1967


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最終更新日 : 2012-08-30 03:52:21

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