目次
坂本竜馬の言説(17)
現代の日本人よ(17)
江戸開戦の危機
― その1 ―  乙女への覚悟の手紙
― その2 ―  強硬なるイギリスの恐怖
― その3 ―  江戸に残された者達の判断
将軍東帰か滞京か
― その1 ―  春嶽辞職
― その2 ―  朝廷中心の大政への転換
― その3 ―  将軍の帰東延期
― その4 ―  老中・小笠原長行を江戸へ
― その5 ―  竜馬に問い質したい乙女
尊皇攘夷過激派公卿・中山忠光
― その1 ―  京を飛び出した青年公家
― その2 ―  京で戦を起こせ
壬生浪士組から生まれた誠
― その1 ―  主導権争い
― その2 ―  殿内義雄斬殺
偶然か必然か
― その1 ―  目付・杉浦正一郎
― その2 ―  幕臣の嘆き
― その3 ―  人の運命なんて
ジョン万の護衛
― その1 ―  以蔵現る
― その2 ―  流浪する運命
― その3 ―  優しさの根源・アメリカの平等精神
攘夷親征の波紋
― その1 ―  大開国論と大政奉還論の後退
― その2 ―  賢侯国許へ
石清水行幸の企て
― その1 ―  脱皮しようとする高杉
― その2 ―  大坂湾の海防不安
― その3 ―  将軍暗殺計画と壬生浪士
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現代の日本人よ(17)

 「なめらたらいかんぜよ!
 弱腰外交が日本のお家芸かもしれんが、好き勝手され過ぎじゃ。
 幕末でもそうじゃった。
 徳川幕府も征夷大将軍様も海外の言いなり。そもそも征夷大将軍ちゅうのは夷狄(外国)を征するための大将軍様じゃろうが、それが徳川の血筋の若者に継承するだけの飾り者。
 何とも日本人らしい腑抜け振りじゃ。
 それで戦に勝てるはずがないから、海外諸国になめられる。
 現代も似たようなもんじゃ。
 
 侍が居なかったら日本は先進諸国の植民地になっちょったろう。

 

 侍が必要なんじゃ。!

 大和民族、大和魂。
 一体どこへ行ったがよ!
 
 侍の気高さと気概、武士道は死んでしまったかよ!
 自らを律し、心の穢れに対して自ら腹を切る。
 そんな心の美しさと強さの伝統を失えばもう日本は特別な国ではなくなる。
 坂道を転がるようにして、国家レベルは堕ちてしまうじゃろう」


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― その1 ―  乙女への覚悟の手紙

 ― 大坂 ―
 文久三年三月、竜馬は故郷に手紙を書いた。
 懐かしい故郷・・・。それを思い出すだけで心が痛くなる。
 「きっと心配しちゅうろうか。・・・いや、わしの活躍ばかりを思い、信じながら、日々の辛さの中で岡上家の嫁として汗水流しちゅうがやろうのう、きっと。・・・決して泣き言を言う人やないきに、わしの方が心配になる」
 土佐を脱藩する時に見せた乙女の寂しげな瞳。珍しくそう思えたのを覚えている。
 「でも絶対に一番理解し、一番信じてくれちゅう。それは間違いない」
 それに疑いはない。
 どんなに離れていても、互いは太い絆で結ばれているのだ。
 (けれど迷惑だけは掛けたくなかった)
 乙女姉さんは岡上家の嫁なのだ。
 だから出来るだけ手紙は控えてきたつもりだ。
 (でも一応は脱藩の罪が赦免されたきに、手紙を出しても大丈夫じゃろう)
 そんな言い訳を飲み込んで、今の心境を綴ったのである。
 
 『人間の一生なんて合点の行かぬものばかりです。
  運の悪い者は風呂から出ようとして金玉をぶつけて死ぬる者もありましょう。
  それに比べて私などは運が良く、死ぬるような場所に居っても死にもせず未だに生き延びています。
  御安心下さい。
  今は日本第一の人物、勝海舟先生の弟子になり、日々、海軍修行に精を出しております。だから四十歳くらいまでは家には帰らんつもりです。
  権平兄さんにもその覚悟を伝えましたところ、その御許しを頂き、今後は日本のため天下のために全力で尽す所存です。
  どうぞお喜び下さい。
  乙様へ。
  御付き合いのある親しき人には内緒で見せても結構です、かしこ』
 
 強い海風をまともに受けながら、西南の海を仰いだ。ここは天保山沖に停泊中の順動丸の甲板上である。遠く淡路島の向こうに、見えるはずのない四国・土佐がその脳裏にはっきりと見える。
 竜馬の眼にははっきりと映っているのだ。
 「負けられん」

 と己を奮い立たせた。
 ・・・その時、勝海舟から火急の指示が下った。
 「順動丸の機関に火を入れろ! 老中・小笠原様を無事江戸に送り届けるんだ!」
 待ってましたとばかりに竜馬が跳ねる。

 「よっしゃ!」
 「小笠原は重要な命を受けておられるのだ!」
 「任せちょき!」
 海舟の片腕・佐藤与之助を中心とした土佐の面々は、順動丸を操る事に多少の自信も芽生えてきているのだ。

 やがて老中・小笠原らを乗せ、
 「準備は良えいか! 出航じゃ!」
 船は江戸を目指して天保山沖を離れた。

 「江戸の周辺海域にはイギリス艦隊を始めとする西洋の蒸気船が多数出入りしている、油断するな!」

 と言う佐藤に対し、
 「わしらの行動で日本の命運を変えちゃる、命だって惜しまんぜよ!」
 竜馬が吼えた。


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竜馬外伝i-32 過激公卿・中山忠光


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著者 : 中祭邦乙
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