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フランス側の主な登場人物

聾唖のトマス トゥールーズ伯レイモン七世の双子の子供の一人。一方は姉のジャンヌ、そして一方が弟のトマス。しかしトマスは三歳になっても口がきけず、生まれついての聾唖者であることが判明し、その時点で農家へ預けられる。当時、南フランスはカタリ派キリスト教が盛んで、フランス王国とヴァチカンは共同して、カタリ派撲滅のためアルビジョア十字軍を派遣する。この戦いで敗れたレイモン七世は、娘ジャンヌをフランス国王ルイ九世の弟アルフォンスに嫁がせるばかりか、トマスをもパリの修道院に預けるよう命ぜられる。その後、トマスは第二次アルビジョア十字軍の時、カタリ派に身を投じることとなる。
 
トゥールーズ伯レイモン七世/(一一九七年~一二四九年 ) 西はピレネー山脈の麓から東は地中海沿岸のコート・ダジュールに及ぶ南フランス一体を支配下に治める大領主。支配地域の広さもさることながら、この地は、地中海貿易の交易品を北欧につなぐ重要な位置を占めており、その経済的な繁栄がフランス王国に対抗させるだけの力を持たせていた。フランス王国としては、南フランスの制圧なくしてはフランスの統一はありえない。またヴァチカンは、この地にはびこる強大な異端カタリ派キリスト教を撲滅しなければならない。この二つの目的が、凄惨なアルビジョア十字軍の遠征につながっていく。

エスクラルモンド カタリ派の女性指導者の一人。フォワ公爵レイモン・ロジェの妹でジュルダン侯の未亡人。聾唖のトマスの理解者であり友となる。モンセギュール城陥落に当たっては、救慰礼を受け、火焙りになる道を選ぶ。トマスに「マリアの福音書」を託す。

ルイ九世/(一二一四年~一二七〇年) フランス王国カペー朝第九代の国王でルイ八世の子。死後、カトリック教会より列聖されSaintが称され、ここから、サン・ルイと呼ばれるようになった。ブルボン家の先祖でもあり、同家の王の多くがルイを名乗るのも彼に由来すると思われる。内政に力を入れ長期の平和を保った。彼の治世の間、フランス王国は繁栄し、国内外を問わず争いを収めるよう努力したためヨーロッパの調停者と呼ばれ、高潔で敬虔な人格から理想のキリスト教王と評価されている。カタリ派の討伐では、紛争後の南フランスを統治する必要から、トマスを密偵としてカタリ派に潜入させ、その宗教と文化を調べさせる。


現代の主な登場人物

康男 夜間大学に通いながら、大阪のCMプロダクションで制作進行として働いている。ローマロケのスタッフに決まった頃から、不思議な幻覚に悩まされ、ローマロケ中にも幻覚が再発し、サンピエトロ寺院で失踪してしまう。失踪している間、一六世紀~十七世紀を生きたトマス荒木の人生を追体験することとなる。

伊牟田 康男と同じプロダクションの美術部で働く。康男の年上の友人であり相談相手。元は絵描きを志望していたが、妻の清花と結婚するため、その夢を断念。ヨーロッパ美術に造詣が深く、霊感の強い妻の清花と共に、日本にあって康男の失踪事件を解決しようとする。

清花 父親の宗教狂いで家族が崩壊し、荒れた高校時代を送るが、担任の古野吉祥先生を知ることで立ち直る。生活のためストリッパーをしていたが、伊牟田に見初められ結婚。結婚後は、持ち前の感受性の強さもあって、見えない世界への感性を高めていく。康男の失踪では、意識の世界から康男の行方を探る。

藤信次 テレビ草創期からのプロデューサー。金遣いの荒さが災いし、東京から逃げるようにして大阪のCMプロダクションにやってくる。康男を可愛がり、「あいつは、俺が仕込まないと、この世界では食っていけない」と、自分がプロデュースする仕事には必ず康男を付ける。ローマロケでは、康男の失踪後、ローマに残り、日本の伊牟田と連絡を取りながら、康男の行方を追う。


この本の内容は以上です。


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