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守るべき価値

「いずれ母艦潜水艦もサルベージして、どの国の仕掛けだったかは解明されるだろう。
 もうサルベージ船の手配も始めている。
 しかし」
 井岡警部は口を歪めた。
「普通の気のいいお弁当屋さんを殺しておいて、なにが秘密だってんだ!」
 シファも頷いた。
「私もそう思います。本当に」

 厚木基地に乙戦が戻ってくる。東京湾口まで幾重もの対潜網にもかかわらず潜水艦の侵入を許したことで各戦闘哨戒飛行隊が大騒ぎになっているのだ。
「ああ。
 取り乱してしまったが、弁当屋の彼になんの罪がある?
 仕事と趣味の幸せを普通に求めているだけなのに、なぜ?
 不条理にもすぎる!」
 シファは頷いた。
「井岡さん、これからご遺族にこの事件のことをご報告に伺いますよね?
 私達もご一緒します」
 井岡は顔を上げた。
「一緒に御佛前に報告しましょう。
 割り切れない事件ですが、でも彼は自分を、自分に関わる人々を守ろうとした。
 その守るべきものを、私達が守らないでどうするんです?
 悔しいのは本当です。
 私も悔しいけれど、彼の守ろうとしたものは、私達も守るべきです。」
 井岡はしばらく考えて、そののち、頷いた。
「この世で守るべき価値は、職責にかかわらず、みな同じですから」

<了>

奥付



プリンセス・プラスティック/マリン・マッドネス


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著者 : 米田淳一
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