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プロローグ「免疫なき自治体を襲う同和の触手」

プロローグ「免疫なき自治体を襲う同和の触手」

はじめに、少し前置きが長くなるがお付き合い頂きたい。以前から同和事業、同和教育の影響力が低い地域をレポートしなければならないと思っていた。と言うのは、私自身が〟そういう地域〟の出身ということもあるが、本誌でも扱った昨年一一月の「部落解放研究第45回全国集会岐阜県大会」の後、一層思いが強まった。もしかしたら書籍版の方をご覧の方は、ご存知かもしれないが第3号「―直撃! 部落解放研究全国集会」で「岐阜集会はフラグ!? 伝染する「同和」に警戒せよ」を掲載した。この記事は、集会レポートの補足的な意味合いで書籍版にのみ書き下ろしで掲載したものだ。記事の主旨を説明しておくと、今後は、大阪、広島、福岡、三重といった同和事業が盛んな地域ではなく、これまで同和に馴染みがなかった〝免疫なき自治体〟に注視すべしという内容で、ある人物の証言が非常に重要と判断し急きょ、掲載したものだった。

その人物は、以前も取材に協力してくれ、岐阜県大会の後、鳥取ループとも一緒に再会した。同和問題に精通し、特に同和教育史の内情を知る人物であり、私も鳥取ループも大変、私淑ししゅくしている。もともとは運動家といってもいいほど同和教育に情熱を注いだ人ではあるが、現在は一線を引いたそうだ。同氏は、「(記事は)重要なポイントが欠けている」と指摘した上で、こう言った。

「記事の中で、集会の会場になった岐阜は、解放同盟や同和事業の影響がなかったと書いてあったでしょ。その前の44回大会は新潟じゃないですか。ここも同和行政があまり根付かなかった地域です。つまり今、大阪、奈良、京都、福岡といった地域で〝同和離れ〟は確実に進行している一方で、従来同和が盛んではなかった地域に浸透しつつあるんですよ。岐阜と新潟が会場になったのは、そんな意味もあると思いますよ。同和が伝染している、そう言ってもいいのではないかな」

氏の警鐘にはとても強い衝撃を受けた。確かに西日本各地では〝同和離れ〟が確実に進行しつつある。もちろん一般対策の名を借りた事実上の同和対策が存在したとしても、かつてほどの〝大盤振る舞い〟ではなくなった。

奈良県御所ごせ市という町をご存知だろうか。この御所とは「全国水平社」の生誕の地なのだ。つまり解放運動家たちの聖地でシンボルともいうべき、いわば〝解放のふるさと〟である。その御所市は昨年、人権・同和対策課を廃止し、業務を人権教育課に変更した。もちろん「人権」というキーワードに同和は含まれるわけだが、それでも解放のふるさとですら「同和」の冠を外したのだから関係者の衝撃も大きかったことだろう。

では、今後どうやって「同和」の名を引き継いでいくのか? 同氏の指摘通り、従来、同和事業に馴染みなかった中部、北陸、関東、東北といった〝免疫なき自治体〟に進出するしかない。免疫がないとは、同和事業に馴染みが少ないこともあるが、もう一つに解放同盟との交渉、対応の経験値が低いという意味もある。そこを物の見事に突かれているが、今回レポートする石川県金沢市なのである。先に〝解放のふるさと〟御所市は、「同和」の看板を外したと説明したが、金沢市の場合、興味深いことに九〇年代後半になって「同和」の名がついた部署を設置している。

もともと石川、富山、福井といった北陸地方は、関係者の間で「同和不毛の地」と呼ばれてきた。このことは、裏返すと運動団体との交渉能力、もっと言えば〝あしらい方〟、そんな「免疫力」を持ちにくい土壌でもあるわけだ。その中でも特に石川県金沢市は、いわば免疫不全の状態にあると言っても過言ではない。そして、こうした背景もあって、同市内の中学校が昨年から糾弾に見舞われた。その内情を検証してみると、恐ろしく不可解な事態が起きていたのだ。


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膨大なデータを家庭に届けるデジタル放送

今年の五月中旬頃、日本のデジタル放送を受信するチューナーやテレビ等には必ず入っている、B―CASビーキャスカードを書き換えするためのソフトウェアが出まわり、誰でも簡単にWOWOWやスカパーなどの有料放送をタダで見ることが出来てしまうことが明らかとなった。その事実は複数のブログで紹介され、新聞でも報道された。カードの書き換えはパソコンと、税金の電子申告などに使うカードリーダがあれば簡単にできてしまうことから、各地でカードリーダーの売り切れが続出する事態となった。

六月に入って、さらに自体は急展開を見せる。堂々とブログでカードの書き換え方法を紹介していた「平成の龍馬」こと多田ただ光宏みつひろ氏が、六月一九日に電磁的記録不正作出・同供用の疑いで京都府警に逮捕された。さらに、書き換えのためのプログラムをネットで配布した人物も不正競争防止法違反容疑で逮捕された。このことはテレビでも報道され、これを機に、カードの書き換え方法を紹介していたブログやウェブサイトは次々と姿を消した。

しかし、これは事態の収束を意味していない。書き換えのためのプログラムは現在でもネット上に出回っているし、秋葉原の電器店などでは「書き換えをしよう!」と言わんばかりに、B―CASカードとカードリーダが一緒に販売されている。放送局側は未だに何の対策もしておらず、書き換えたカードで有料放送を視聴できる状況は今も変わっていない。京都府警の捜査にしても、ネットでは「不公平な見せしめ逮捕ではないのか」「そもそも逮捕は無理筋で、裁判で有罪にすることはできないのではないか」といった批判の声も聞かれる。

どうしてこんなことになってしまったのか、ほとんどのメディアは沈黙したままだ。特にテレビに至っては、報道できるはずもないのだ。それは、単なる不正書き換えであるとか、カードの技術的欠陥であるといった問題だけでなく、問題の核心に触れるためには放送業界が作りあげてきた現在のデジタル放送の〝制度〟そのものが抱える根本的な問題を避けて通ることはできないからだ。

メディアが取り上げにくいもう一つの理由として、問題を理解するには放送技術についての専門知識が必要になるということもあるだろう。そこで本誌では、なるべく一般の読者でも分かるように、これらの問題の核心を解説していこうと思う。

膨大なデータを家庭に届けるデジタル放送

まず、デジタル放送の仕組みから解説しよう。ご存知の通り、デジタルは0と1の信号を組み合わせた、数字の羅列によってデータをやりとりする方式のことだ。これはインターネットで使われているものと全く変わらない。ただし、放送の場合は空から電波として一方的にデータが〝降ってくる〟という点が異なる。

デジタル放送の情報の伝送速度は、地デジの場合15Mbpsメガビット毎秒、衛星放送の場合12Mbpsである。これは0と1の組み合わせがそれぞれ一秒あたり一五〇〇万回、一二〇〇万回あることを意味する。そう言われてもピンとこない人が多いと思うが、これは大変な速度である。家庭用のインターネットの光ファイバー通信回線が100Mbpsと宣伝されているが、実際は10Mbpsも出てればよいところであり、しかも接続先のサイトや、その時々によって速度にばらつきがある。しかしデジタル放送の場合は、全く同じ通信速度で安定して途切れなく家庭に情報が配信されるという特徴がある。もし、この通信速度を文字情報の伝送に使うとすれば、一秒間に本誌「同和と在日」書籍版に換算して約四〇〇ページ分に相当する文字情報を送ることができる。

放送局が放送内容を発信し、家庭でそれをテレビに映し出すためには、0と1の組み合わせをどのように送って、どのように家庭のテレビに再現するかという取り決めがなくてはならない。デジタル放送では、この取り決めとしてMPEG2―TSエムペグツーティーエスという国際標準方式を採用している。この方式では、0と1の組み合わせ1504回分を一つの塊(パケットと呼ばれる)として分割し、テレビに必要な映像や音声だけでなく、文字情報も載せられる仕組みになっている。

地デジの場合は、このパケットが一秒間に一万個近くも送られてくることになる。全てのパケットを映像と音声に使う必要はなく、他のデータを載せたパケットを織り交ぜながら送ることができる。例えば放送局が一秒間電波を飛ばす間、九〇〇〇個のパケットに一秒分の映像と音声の情報を載せ、残りの一〇〇〇個のパケットに番組名などの文字情報を載せるといったことが出来る。このように一〇分の一のパケットだけを文字情報に割り当てるとしても、書籍に換算して毎秒四〇ページ分くらいの文字情報を送れる計算である。

テレビをつけると、すぐに番組名などが表示されるのは、この豊富なデータ量を利用して同じ文字情報を二秒毎に繰り返し送っているからだ。後述するが、この映像と音声以外の情報は、個別の受信者のB―CASカードに書き換えをすることさえ出来るようになっている。


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