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「今まさに旬?の環境について」

 

今度は今まさに旬?の環境について考えてみたいと思います。

 

「環境」、なんとも耳に心地よい単語ですね。もっともこれが心地よいように感じられるのはここ3~40年程度の話ではないでしょうか。中国ではせいぜい10年あるかないかかもしれません。

 

国民の大多数、世界の多くの方々の関心事上位にランクされる環境問題ですが、ことこの話題に関しては日本もかなりの先進国と言えるでしょう。我々の環境意識は今に始まったことではなく、太古の昔から自然と人の暮らしの調和を体現してきたように思います。自然資源の浪費を戒める「もったいない」という言葉、排泄物を肥料として活用してきた知恵、山海の自然をめで、それをその自然のまま生かすという美学など多くのDNAが我々に受け継がれてきました。(フランスでは宮殿にさえトイレがなく物陰で用を足し、ローマ市内は過去には立派な下水設備があったにも拘わらず、一部では排泄物を路地などに垂れ流していたことはご存知のとおりです。彼らは人工物構築こそ優れていますが-----

 

人口爆発以前、産業革命前は、まあ諸民族はそれぞれお互いの風習と生活様式を黙認できたわけですが、大航海時代を経て産業革命以後は資源の浪費、汚染の拡大など全地球的規模での環境マターが深刻な課題になりました。とりわけ20世紀中盤以後は地球のありとあらゆる資源をあらゆる場所(深度数千mや海底掘削、密林の奥地など)から収奪し、しかも副産物として廃棄物や熱エネルギーなどを大量に廃棄する時代になり、見過ごすわけにはいかない事態になりました。つい数十年前まではイタイイタイ病に代表される水銀や六価クロム、塩化ビフェニルにダイオキシンなどが問題にされてきましたが、ご存知のように昨今ではCO排出量増加が最大の問題になっています。

 

地球大気に関する世界的条約としては有名なフロンガスを規制するウイーン条約と翌々年の1987年に締結されたモントリオール議定書があります。後者は189の国と地域が参加した全世界的なもので、全ては1974年にアメリカのF.S.ローランド博士が唱えたフロンガスによるオゾン層破壊仮説に基づいています。(ちなみに博士は1995年にノーベル化学賞受賞)この仮説は実際に南半球のオゾンホール拡大が観測されたことにより広く認められ、よほどの「ならずもの国家」以外の賛同を得て、一致団結的アクションに結びついています。

これに対しCO排出量増加による地球温暖化問題については1997年にいわゆる京都議定書(地球温暖化防止京都会議)が提出されたものの、アメリカをはじめとした多くの有力国家が批准見合わせまたは参加を拒んできました。


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「リスク、その回避とあえて冒すリスクについて」

 

今度はがらりと趣向を変えてリスクとその回避について考察してみたいと思います。

 

前項の進化とも関連しますが、およそ生物全てがリスクを好むと言っていいでしょう。

「好む」という用語に語弊があるやもしれませんが、植物、動物問わず、いやどちらにも分類し難い原始生物においても、その生存と生殖のために、かなりの危険を冒すことが知られています。原始の大海で生を受けた動物が陸に上がり、さらに空を飛び、間断ない進化をとげたのも、基本的には彼らの生存領域拡大のため、それらの祖先が試みたことのないリスクに挑戦してきたのです。

よく会社や団体で多様されるKYK(KYT=危険予知訓練)はこれら生物にも祖先からの刷り込みによって受け継がれてきました。しかし時折の冒険家あるいはならずものの大英断と幾多の犠牲、そして突然変異と進化などが引き金となって、より新しい生息領域、生命形態の獲得に成功してきたわけです。

 

人類も基本的にはリスクを時として試みます。しかし、狩猟生活から放牧や耕作に生活基盤が移り、安定した収入と生活が普遍的願望として定着すると、ある程度進歩、冒険、リスクは冒したいが基盤的安全、生活の安定は死守したいという贅沢な欲望がおこり始めました。

 

これが今回の主題です。

リスクが科学的に認知されたのはルネッサンス時代、パスカルとフェルマによる確率論誕生に遡るといわれています。

ただし、これは数学的に明快に説明されたということであって、太古の昔から人々は確率をある程度体感していたと想像されます。実際確率論完成以前からギャンブラーはフォアカードのほうがフルハウスよりも難しい事、ルーレットの賭け方のオッズはその難易度と相関している事などは常識でした。しかし、明確にこれらを説明したのが確率論でした。

この確率というものが明確になったことにより、安全性とその裏返しであるリスクというものを漠然とした期待や恐怖ではなく、%で示すべきであることに気が付いたと言えます。

このリスクそのものを最初に本格的、体系的ビジネスにしたのがイギリスの保険会社でした。もちろん、これ以前にもリスクを利用し、あるいは餌にした頭の良い者はいたことは想像にかたくありませんが、一大ビジネス分野に仕上げたのは1600年代のオランダと覇を競っていたイギリスでした。その中でも草分け的存在であり、現在でも世界最大級の規模を誇るロイドの創始者でした。彼はコーヒーハウスの経営者でしたが、顧客の多くが遠洋航海の船舶経営に携わっていることを知るや海難保険の窓口を始めたわけです。彼自身が保険を引き受けるのではなく、より資金力がありながらも投資先を探している「アンダーライター」達に、当時考えられる妥当な保険掛け金と災害時の支払い額バランスを提示し、ビジネスを拡大していきました。

このリスク回避の考え方は何も保険に限ったわけではなく、ありとあらゆる分野に広まっていきました。


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