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 これは実話だ。
 幼い頃、お米を残すと自分の目が潰れると教わった。
 だから昼食のカツ丼のドンブリ残った米粒を一生懸命僕は食べる。
 同じくカツ丼を注文した友人のM島も同じように残った米粒に集中している。
「お前も残さず食うなぁ」
 僕がM島に言う。
「当たり前や無いか、お前教えて貰ってへんのか?」
「何を?」
「ご飯粒を残したらあかんて言う昔からの言い伝えやんけ」
「もちろん知ってるさ」
 僕は自分の目を指さして応えた。
「目が潰れるんだろ?」
「そうそう」
 M島は力強く頷きながらこう付け加えた。
「お百姓さんのな」
「?」
 僕は一瞬あっけにとられた。
 M島の家ではどんな初等教育をしているのだろう。(了)

この本の内容は以上です。


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