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ごあいさつ

この本を手にとってくださり、まことにありがとうございます。

私は三条 祭と申します。

 

私は27歳のごく普通の青年です。

有名人でもなければ、何か特別な才能があるわけでもありません。

 

この本はそんな青年の緩やかな日常を書き綴ったブログを電子書籍化したものです。

 

しかし、普通の人間の生活と侮ってはいけません。

一見どんな普通の人間の日常でも他人が覗いてみれば、どこか滑稽でまた感動があるものです。

 

したがって、この私の日常を綴った本もなんとか『読むに耐えうる』レベルになっているものと信じております。

 

信じるものは救われる。

月並みな言葉だが、至言だと思う。

 

さて、冒頭でも述べましたが、この本はブログ「日々をキリバリ」の記事の中から、私が勝手に選んで大幅に加筆修正したものです。

 

ブログのほうはほとんどノリで書いているために、誤字脱字や怪しい表現、狙ったんだけど不発に終わったギャグ、下ネタなどを放り込んである阿鼻叫喚のできとなっていて大変に見苦しい。

 

だから、きちんと加筆修正したものを読んでもらいたいと思っています。

 

そして、 もしもこの本が気に入ったとしたらきっとブログも気に入る事と思います。検索ワード「日々をキリバリ」で検索していただければ、きっと私のブログが出てくるはずなので、ご興味のある方はどうぞ。

 

・・・と、地味に宣伝してみたりもします。

 

あ、そうそう、宣伝ついでにもう1つ。

この本が気に入ったらぜひとも知人や友人、果ては彼女や知らないオッサンにまで、この本を薦めてもらえると助かります。

 

何が助かるんだって? それは私の家計です。

 

食卓に一品おかずを増やしたいので、どうかよろしくお願いいたします


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誠実とマフィン

3月某日

 

私より遅れて出社してきた女性が「作りすぎたんですけど、食べますか?」と言ってビニール袋に放り込まれたマフィンを山のように持ってきた。 「あぁ、ありがとう。小腹がすいていたんだ」と言ってしまってから、よくよくマフィンを観察するとマフィンは青紫色をしていて、ヌラヌラと不気味な光沢である。 ちっとも、食欲をそそられない。というか、率直に言ってまずそうだ。

 

あれ? マフィンってこういう状態の食べ物だっけ、と私は思う。 この見た目のことを突っ込みたいのだが、そもそもこういう食べ物だったらどうしよう、赤っ恥である。マフィンとはこのような見た目の食べ物だったような気もするし、まったく違う気もする。

 

こんな風に自信がないのは私が「マフィン」をよく知らないからである。 さすがに名前は知っているが、どういう食べ物でどんな味なのか、見た目のイメージもあいまいだ。 お菓子なのかパンなのか、それともまったく別のカテゴリーなのだろうか。 人生のどのタイミングで出会う食べ物なのか、まったく未知の物質である。

 

ちっとも、おいしくなさそうで、実際にそうであってもそういった味の食べ物かもしれない。 マフィンとはこういう味の食べ物なんです! と、開き直られたらもう何も言えなくなってしまう。変にイチャモンをつけたと思われるのだけは嫌だ。 美味いにしろ、マズイにしろ、それはマフィンとしてのおいしさの評価でなくてはいけない。

 

そういえば、この女性が以前に別の料理を持ってきたときはたいそう好評だったらしい。私は食べていなかったのだが、別の人間が絶賛していたのでよほど、うまかったのだろう。

 

マフィンの見た目とはまったく逆に彼女の料理の腕がさらに事態を複雑化させていた。 料理べたが作ってきたのなら私もある程度、強気に出ることができるのだがそうでないので自分を疑ってしまう。 まったく困ったことになった。

 

「悪い油であげちゃったから、匂いが悪いかも。でも、ブルーベリーが入っているからおいしいですよ」と彼女はなかなか食べようとしない私に追い打ちをかけてきた。 ここまで言われたらもう覚悟を決めて食べるしかない。

思想も味の好みも私の誠実さもすべて振りきって、ただ「うまい」というのだ。

うまいと言えば何の問題も起きないだろう。

 

そうして、私は「うまい」と言った。

 

マフィンはベタベタしていて、味がなかった。 それでも、3つも食べた私は偉いと思う。

後日、彼女が「あれは失敗したやつで、おいしくないはずなんだけど・・・。あれは絶対に嘘だよね」と言っていたことは、当時の私は知らない。

 

マズイと言えば笑い話になたかもしれないのに、むやみに信頼を失ってしまった。 やはり、誠実が一番である。

 


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4月某日

 

仕事が終わったので、何か食べに行くことにした。 後輩と食べに行くことになっていたのに、突如として断られて少し気落ちした。   もうすっかり、行くつもりになっていたのにこのままでは気持ちがおさまらない。 そこで私は事務所内にまだ残っている人間がいないか探すことにした。

 

事務所内を見回すと私の同期である南嬢が、なぜかハタキをもってウロウロしていたので、捕まえることにする。 南がハタキを持っていた理由は不気味すぎて聞いていないので、理由は今もって謎だ。

 

「飯でも食いに行く?」と、南に話しかけると快諾してくれた。

 

南は基本的に断わらないので、誘う際のプレッシャーがなくて楽だ。

ただ、南は上司と飲みに行ったときにセクハラはされなかったものの、ホステス的な扱いをされたとかで病的なしつこさでもって怒りを持続させている。そのため、上司が同席する場合は南に声をかけると大暴れする可能性があり危険である。   まぁ、今回は上司がいないので何の問題もなかった。

 

「この時間帯だとあのラーメン屋くらいしかないですね」  「腹が膨れれば何でもいい」 という、会話で店は決定した。

もう少し、気のきいたやり取りはないのか、と思うのだが食に興味がない二人だとこのような、味もそっけもない店選びになってしまう。 夜も深かったのであまり選択肢がなかったことも関係している。

 

近所にファミレスもあるにはあるのだが、南は偏食で赤い色をした食べ物は食べることができないため、ファミレスはNGであった。 定番のハンバーグも赤みが少しでも残っているとは食えないし、ミートスパゲティーもダメ、ピザの上にのっているサラミも食えないというダメダメな人間なのである。

 

しかし不思議だ、と思う。

 

なぜ赤がダメなんだろう。 というか、南は赤い車に乗っているし、携帯も赤である。 本人に聞いたところ「赤は好きな色なんです」とのことだった。

 

わからん。 赤い携帯はOKで赤いタコさんウインナーは嫌いなのだ。

精神構造がとっちらかったとしか言いようがない状態で南は今日も楽しく生きているのだった。

 

つづく。

 


試し読みはここまでです。続きは購入後にお読みいただけます。

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