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ウワサの検証・亀岡無免許死傷事故 同和、在日? 加害者少年はただのDQN?

「人に車で突っ込むのがドライバーの間で流行なのか?」そういきどおりたくなるほど、今年の四月、京都では不可解な交通事故が相次いだ。興味深いのは、奇しくもいずれの事件も「人権問題」との関係性が取り沙汰されたものだった。

一つは一二日の午後に京都市東山区で暴走した自動車が次々と通行人をはねて、通行人七人が死亡、最後に自動車は電柱に衝突し、運転手も死亡した事故だ。運転手の藤崎ふじさき晋吾しんごが〝てんかん持ち〟であり、病気を隠して免許を取得していたことが明るみになったが、事故とてんかんの関係は未だにはっきりしないままだ。無論、この背景には、「てんかんタブー」とも言うべき背景もあってなのか、すでに風化した印象すらある。

そして、二三日には亀岡市で集団登校中の児童と保護者の列に、無免許運転の自動車が突っ込み、三人が死亡、うち一人は妊婦で胎児も死亡した。運転手の伊津いづ和真かずまが一八歳と未成年であったことから、〝少年法〟によりメディアは運転手の名前を報じなかった。

二つの事件に共通するのは、例えてみれば歯に何か挟まったようなメディアの報道、そしてメディアに対する不信感だ。

京都市東山区の事故では、いちはやく社団法人日本てんかん協会が「てんかんのある人に対する社会の偏見が助長されることの無い」ようにと声明を出し、そのことを各メディアが取り上げた。てんかん協会といえば思い出されるのが、いわゆる「言葉狩り」の絶頂期であった一九九三年の、小説家筒井つつい康隆やすたかによる断筆宣言だ。当時、小説「無人警察」中のてんかんについての描写が差別的であるとしててんかん協会から猛抗議を受け、角川書店が高校国語の教科書に収録されることになっていた「無人警察」を筒井に無断で削除したことから、断筆に至ったという事件である。当時を知る人々にとっては、またメディアが「自主検閲」をしているのではと不信を持ったことだろう。

そして、亀岡の事件ではマスコミは加害者の名前を報じない一方で、ネットではマスコミの報道を手がかりに、こぞって加害者を特定する活動が行われた。結局たちまち加害者の名前から住所、電話番号、顔写真までが特定されるに至った。

特に、本誌は後者の事件に興味を持った。加害者の写真では金髪に染めており、見た目の印象では絵に描いたような「DQN」である。さて唐突に「DQN」という言葉を使ったが、この言葉をご存知の方はどれくらいいるだろう。これは「DQN」=ドキュンと読むインターネットスラングだ。この言葉、由来は、テレビ番組『目撃! ドキュン』(テレビ朝日系列)に由来している。一九九四~二〇〇二年まで放送されたこの番組は、当初のコンセプトとしては様々な家庭事情を描くニューマンなドキュメンタリーという色彩が強かったが、次第にヤンキー夫婦のライフスタイルの実相を描く、こんな体裁に変わっていった。パチンコにハマる元暴走族のダメ夫に悩む元レディースの妻と幼児にしてモヒカンカットにさせられているその子、といった具合の家族模様を取り上げるのが最盛期の番組内容なのだが、本誌両名ともこの番組の大ファンだった。現在ではこの「DQN」は、すでにネット上では浸透した用語であり、実はすでに「蔑称」として法廷の場でも認定されている。しかしあえて本稿ではこの「DQN」を使用させてもらう。そして、京都─DQNと言えば、決まって出てくるのが〝同和〟疑惑だ。確かに加害者の住所である京都府亀岡市保津町ほづちょうには隣保館があり、同和地区が存在することは間違いない。

保津町には保津文化センター、保津ヶ丘文化センターと二つの隣保館があり、いずれも加害者宅と近い。こうした背景もあったのと、やはり京都という点でネット住民の関心は〝人権絡み〟の方へスライドしていったようだ。

ちゃんねるの人権板では「京都亀岡殺人事件と京都府警と同和部落」というスレッドが立てられ、また事件に関するスレッドでは執拗しつように、亀岡市と同和に絡む不可解な話を掲載したブログ「ライター社納しゃのう葉子ようこのテララ町ぶるーす」へのリンクがコピペされた。実は、亀岡市と同和絡みのトラブルは、事故以前から取沙汰されており、一部からは〝人権爆裂ばくれつ都市亀岡〟と揶揄やゆされたほどだった。ほぼ同時期である四月二七日に千葉県館山市で二〇歳の男性が軽自動車で登校中の小学生の列に突っ込む事故も起きたが、こちらに関してはまるで「同和」のドの字すら浮上していない。それもやはり千葉県という東日本の地域性があってのことで、裏返すと亀岡の場合は、過去、同和事業において多くのトラブルがあった京都府下で起きたことのため、その地域性もあいまって「同和」と関連付けたのだろう。

前述のブログの主、ライターの社納葉子氏によれば、二〇一一年七月に亀岡市教育委員会の依頼で「わたしが出会った部落問題 ~個人として、ライターとして、部落差別と向き合う」という表題で講演したのだが、聴衆から講演の内容が「えせ同和行為」だと指摘されたというのだ。しかし、話した内容のうち、どの部分がどのような理由で「えせ同和行為」なのかはっきりと説明されることはなく、逆に亀岡市教育委員会人権教育課から「話し合いをしたい」と執拗に求められているというのだ。そして、ネットでは「また部落解放同盟が理不尽な要求をしているのでは」とささやかれた。行政側から個人、一般市民に対して「話し合いをしたい」と呼び出すことは本当に異例のことだ。本誌も随分、きわどい質問をぶつけてきたが、こうした対応は過去、一度もない。正確に言えば鳥取県倉吉市の職員であり、部落解放同盟の前田まえた利光としみつ氏から鳥取ループに対して「謝罪に来い」といった発言はあったが、この一件はあくまで前田氏個人のものであり、何も自治体の組織をあげてのものではなかった。これに対して社納氏の場合、「人権教育課」という一部署からの要請だからいかに異例なことなのかお分かりだろうか。

こういった背景もあったため、亀岡は、部落解放同盟やその他同和地区住民の影響力がとても強い地域との噂が広まっていたのである。

亀岡の事故と「同和」そこには本当に接点はあるのか。これはぜひとも本誌が取り組むべき問題だろう。なぜならもし同和と関係があるならば、陰惨いんさんな事故を検証するためにも当然そのことを指摘しなければならないし、またそれがあくまで噂、偏見の域ならば運動体や同和のためにも誤解を解いていくべきだろう。取材陣は事件の現場である亀岡市に向かった。


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声に出して読みたい「同和と在日」文献の旅・特別編

<h2>国立公文書館が公開した「同和地区精密調査報告書」</h2>
<p>今年の二月、国立公文書館がある文書を公開した。タイトルは「同和地区精密調査報告書」。その名のとおり、全国に点在する同和地区を文字通り<span class="_em">精密に</span>調査したものだ。</p>
<p>この文書は以前からインターネットでアクセスできる国立公文書館の目録に掲載されていたため、筆者もその存在は確認していた。ただし、目録では「要審査」となっており、閲覧のためには審査が必要だった。しかし、現在では目録上の記載では「公開」に変わっており、誰でも閲覧を請求できるようになっている。</p>
<p>その理由は、誰かが国立公文書館に対して閲覧を請求し、審査の結果「公開」という判断が下されたからだ。その経緯について、国立公文書館の担当者はこう語る。</p>
<p class="_noindent">「この文書はもともと総務省の同和対策の部署に置かれていたのですが、平成一三年度いっぱいで同和対策が終わって部署が廃止されたので、公文書館に移管されたものです。公開という判断については、国立国会図書館に同じような資料がありまして、そこにこの資料と同じ地区名が書かれていまして、特に利用制限もかけられていないので、慣行として公にされているもの、という判断で公開しました」</p>
<p>詳細は後述するが、この資料で調査対象となっている同和地区は一六箇所であり、その地名はもちろんのこと、人口や世帯数、年齢構成、職業構成などが非常に詳しく記載されている。略地図が掲載されている地区もある。例えば同じ物が「同和問題が未だに深刻な」自治体にあった場合、その公開を求めれば強く抵抗されることだろう。しかし、同和地区名が掲載された出版物が公開されていることは、国立国会図書館では珍しいことではなく、そのことが国立公文書館にも影響しているのだ。</p>
<p>国立公文書館が確認した別の資料とは何なのか聞いてみると、こういうことだった。</p>
<p class="_noindent">「日本差別史資料集成(3)近代・現代篇(2)という資料です。どういう経緯で国立国会図書館にあるのか分かりませんが…確認してみたら、地区名が全部網羅されていました。今回はそれで公開しましたが、他の同和地区名が掲載されたような資料は別途審査することになると思います」 </p>
<p>筆者は早速、国立国会図書館でその資料を確認した。七,八センチくらいの厚さのあるハードカバーの外見は立派な本だ。しかし、本を開いてみるとその内容は非常にお粗末。そのほとんどは政府や自治体が作成した同和対策関係の資料を、そのまま横書き二段組で延々と転載しただけのものだ。それで価格は五万円。この値段と内容からすると、どうもエセ同和が押し売りしている本を思わせる、<ruby>胡散<rp>(</rp><rt>うさん</rt><rp>)</rp></ruby>臭い雰囲気が<ruby>漂<rp>(</rp><rt>ただよ</rt><rp>)</rp></ruby>うものだ。しかし、皮肉なことにこの本の存在が、国立公文書館が同和地区精密調査報告書を公開する要因になった。</p>
<p>国立公文書館は歴史的な公文書を保存して公開するための機関なので、現に公文書を使用して業務を行なっている機関に比べれば、気兼ねすることは少ない。それでも、同和地区名が書かれた資料を公開することは、少し難しい判断だったようだ。それもそのはず、「同和地区精密調査報告書」というタイトルの公文書はいろいろな意味でいわくつきだからだ。</p>
<div class="imagebox"><img src="http://img.booklog.jp/071241FE-B040-11E1-9CFC-DC4EFFDA975F_l.jpg" alt="" /><strong><br />調査対象となった姫路市高木地区の周辺図。手書きであるところが味わい深い。</strong></div>


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