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きっと良くなるよ

5月5日の土曜日の朝ペットクリニックからショーンの様態が悪いと電話があった。すぐにかけつけた私はすっかり衰弱して苦しそうなショーンを見て、何が何でもショーンを家に連れて帰ろう、そう思い医師に伝えると、家で面倒を見るなら酸素ケージを用意したほうが良いと言われ、その足で急遽酸素ケージをレンタルしてきた。5月5日は子供の日、連休中でもレンタルできるところがあって本当に良かった。中で動き回れるようペットクリニックにあったものよりも大きめのケージにした。お昼に部屋に設置したそのとき獣医からまた電話があった。ショーンの様態が良くないのでその日退院させたいのなら今すぐ来て欲しいと。3日前入院させたときよりもすっかり弱って今にも息絶えそうになってしまったショーンをそっと抱いて車に乗り大急ぎで家に連れて帰ってケージの中へ入れた。
 
その夜は一晩中ケージの中で苦しそうにしながらも、家に帰ってホッとしたのか、よく眠っているショーンを見守った。翌朝6日、きっとトイレに行きたいのだろうと思って、ケージの扉を開けてやると、なんとか立ち上がると、ヨタヨタとトイレの方へ向かったので倒れないように手を添えてやると、いったい何日分溜めていたんだろうと思うくらいたくさんおしっこをした。その時の私の安堵感といったら、手足の力がいっぺんに抜けて行くのがわかったくらいだった。食事が取れるようになったのは翌日の7日の夜から、それまでは家にあったブドウ糖を薬と一緒に水に溶かして与えていただけだったので、夕ご飯にジャガイモとカボチャを柔らかく煮てペースト状にしたものを大さじ一杯ほどを食べてくれたときは、この子はきっと良くなる、いいえ、私が良くして見せる、と心に誓いながら、嬉しくて涙が止まらなかった。翌日からは少しずつ食欲も出てきて、量は少ないものの、おやつにボーロを数粒、みじん切りにしたスイカやトマトなどをやるとおいしそうに食べていた。それからは、殆どケージに入る必要もないほど呼吸が安定してきた、と同時に夜は私のベッドに乗せてやると朝までぐっすり良く眠るようになった。食欲が戻って来ると、困ったことにご飯の催促をしてワン、ワンと吠えるようになった。歩くことも吠えることも当時のショーンの心臓には大きな負担になったに違いない。以前一日一回だった食事も心臓に負担をかけないようにと、朝と夜の2回に分けていたので、いつもお腹が空いていたのかもしれない。キッチンで夕食の準備をする私の足下で生野菜をねだるショーンは、まるで以前と変わらず元気に見えて、もしかしたらショーンはもう少し長く生きられるんじゃないか、そんな希望を持ち始めていた。

それから暫くはショーンの様態が安定して見えたので、私も以前のような生活を取り戻しつつも、ショーンの行動や息づかいを見守る日々だった。そのときの3週間は熟睡できない日々、ショーンを家に残す心配との葛藤の日々、帰宅は一刻も早くショーンの元へという焦りの日々、それでも一日づつショーンの命が続くことが嬉しくて、ショーンと一緒にいられることが何より幸せで、そのために必死だった。亡くなる一週間前の土曜日、退院してちょうど3週間が経ったころまでは...

              


最期

5月も終わりに近い週末の土曜日いつものように私の後をついてきては傍に寝たりしていた。夕ご飯も良く食べるようになっていたので、それまでよりほんの少し量を増やしてやってみた。日曜日の朝はなんだかあまり食べたそうにしない、どうしたのかな?夕べのご飯がやはり多かったのかな?急に食欲が落ちた。トイレの回数も減った。ときどき歩いていて急に倒れた。食べるご飯の量が減った。もしかして肺水腫の再発?何も激しい運動はしていないのに、いったいこのときショーンの心臓はどうなっていたのか。ペットクリニックに電話して何度も聞いてみた。やはり連れて来て検査しないと分からないと言われた。

29日(火曜日)の朝、トイレに行こうと立ち上がり歩き始めたがゴロンと横に倒れたときにおしっことウンチが出てしまったらしい。翌日30日(水曜日)お昼過ぎに私が出先から帰ってくると、床で倒れて失禁、朝に食べたひとかけらのトマトを吐いていた。私がいない間に苦しませてしまった。すぐにペットクリニックに電話をして急患として診てもらえるよう頼んだ。今度は絶対に入院はさせない覚悟で連れて行った。

クリニックではすぐにレントゲン、血液検査が行われた。前回の退院時に比べると肺水腫はさほど悪くなってはいないようだったが、明らかに心臓が大きく見えた。息が荒いので暫く酸素ケージに預かると言ってくれたので、私はその間大急ぎで2週前に返却したばかりの酸素ケージをもう一度レンタルしに車を飛ばした。そして帰りにショーンを引き取り家に戻ってきた。ショーンはそれからどんどん衰弱していった。ご飯を催促することはなくなり、大好きなおやつや野菜もほんの少し口にするともう食べられないと横を向いた。お水も自分から飲みに来られなくなり、トイレにも自分では歩いて行けなくなった。力なくただ床に伏せて苦しそうにしているショーンが不憫でかわいそうで仕方がなかった。6月1日(金曜日)ショーンが食べたものはおやつのボーロを5粒ほどと夕ご飯の野菜を煮てつぶしたものを大さじ2杯くらい、大好きだったスイカは食べてくれなかった。その日がショーンの最後の食事になろうとは...

同じ日の夜もう動けなくなったショーンをそっと抱いて寝室のショーンの寝床に連れていった。酸素マスクを顔に近づけて見守った。夜中2時過ぎ、苦しそうに体を動かそうとした、横になったまま敷いてあったトイレのシートにおしっこが出た。それから4時前、クゥーというような声が聞こえたので、お水をやると一生懸命お水を飲んでくれた。喉が渇いていたんだね。夜が明けてずっと見守った。その夜がショーンとの最後の夜になろうとは...

               


ありがとう

動物は自分の最期が分かるという。入院の後奇跡的に元気になった3週間は、もしかしたらショーンが私たち家族にくれたプレゼントではないか。亡くなる前日のお昼過ぎ、出先から大急ぎで戻った私を部屋のドアの近くで迎えてくれたショーン、私を見るとグラグラしながら立ち上がり力を振り絞るように尻尾を1回左右に振って喜んでくれた。以前は、僕ねちゃんとお留守番できたよ、ご褒美ちょうだい、と言うように私の後をキッチンまでついてきたショーン、このときもそうしようと思ったに違いない。立って歩こうとしてその場で倒れてしまった。

ショーンちゃん、小さなお尻を振り振り
いつも家族を出迎えてくれてありがとう。

お留守番ばかり淋しい思いをさせてごめんね。
心臓が痛いの治してあげられなくてごめんね。

ショーンちゃんがいたから頑張ったよ。
ショーンちゃんがいたから楽しかったよ。

幸せをいっぱい、いっぱい、ありがとう。
これからもずっーと宝物、私の大切な宝物。

   





この本の内容は以上です。


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