閉じる


<<最初から読む

3 / 12ページ

試し読みできます

わーい。芽が出たよ!!

その日からゆうちゃんの楽しみが、増えました。学校から帰ると、まず郵便受けを確認して、それから、トマトの様子を見ます。パパからの手紙にも、植木鉢の写真が入っていました。「二人で育てるトマト。大きくなれ」手紙に書いてありました。


一週間位した日、パパからトマトの芽が出た写真が、送られてきました。ゆうちゃんのトマトは、どうなったのでしょうか。おそるおそるベランダへ行ってみると、

「私のトマトも芽が出た!」


ちっちゃくて、かわいいトマトの芽が、ちょこんと出ています。

「パパと育ててるトマト、芽が出たんだよ」


ご飯を食べているあいだじゅう、ゆうちゃんは、うれしそうに話します。

「もうちょっと大きくなったら、芽をまびきしないとね」

「まびきってなに?」

「一番大きく育っている芽を残して、あとは抜いちゃうの」

「せっかく、芽が出たのに、抜きたくないよ」


ゆうちゃんが、ふきげんそうに言うと、ママは、優しく答えます。

「パパと育てているんだから、パパと一緒に同じことをすればいいのよ」


それから、まもなく、パパから手紙が来ました。写真を見てみると、植木鉢に芽がひとつだけ、残っています。

「わかった。パパ。私もまびきする」


仕方なく、一番大きく見える芽をひとつ残して、あとは抜きました。かわいそうな残りの二つのために、ゆうちゃんは、お墓を作りました。手を合わせながら、心の中で、「ごめんなさい」と、あやまりました。


試し読みできます

スズメがやってきて


トマトは日に日に大きくなり、しっかりと立っていられるように、棒を立ててあげました。そして、花が咲き、ついに実が、5つできました。まだ、青い実です。パパからの写真には、まだ実がついていませんでした。



お日様の光を浴びてトマトは、ぐんぐん育っていきます。そして、とうとう、ひとつの実がまっかになりました。

「おいしそう」

ゆうちゃんが、トマトをつもうとすると、どこからか、声が聞こえてきます。

「ちょうだい。ちょうだい。そのトマト」


ベランダの手すりに、とまっていたすずめが、言っているのです。

「私、ずっと見ていたの。そのトマトが大きくなるの」




試し読みできます

スズメがちゅん、そして

ゆうちゃんは、悩みました。

「1個だけ、1個だけ。もう言わないから」

 

まだあと、4個あるから、1個くらいいいわ。すずめの言葉にゆうちゃんは、トマトをつんで、すずめにあげました。

 

「ありがとう」

すずめは喜んでつついています。ゆうちゃんは、喜んでもらえてよかったと思いました。

 

「みんなが食べたい、おいしいトマト」

ちゅん、ちゅん、鳴きながら飛び立っていきました。

 

 

2つ目のトマトが、真っ赤になりました。「今度こそ食べよう」と、ゆうちゃんが、トマトをつんで、すぐ、また、声が聞こえてきました。

 

「ちょうだい。ちょうだい。そのトマト」

 

今度は、リスです。

「どんぐりばかりで、あきてしまったの。たまには、トマトが食べたいわ」


試し読みできます

次々に、お客さんがきます

ゆうちゃんは、リスにトマトをあげてもいいのか、悩みました。

「1個だけ、1個だけ。もうおねだりしないから」


リスはクルクルお目目をまん丸にしてお願いします。何度も、何度も、トマトを食べるしぐさをくりかえしています。よっぽどトマトが食べたいみたいです。



まだ、あと3個ある。ゆうちゃんは、リスにトマトをあげました。

「こんなおいしいトマト、食べたことない」

うれしそうに食べています。


「ありがとう。みんなが欲しくなるおいしいトマト」

ペコリと頭を下げて、去って行きました。


パパからの写真には、トマトが実っていません。「どうしてなのかな?こっちは、寒いからかな?」パパからの手紙には、そう書いてありました。


3個目のトマトが、赤くなりました。今度こそ食べよう。ゆうちゃんが、トマトを口にはこぼうとすると、「ぴんぽーん」誰か来たみたいです。




試し読みはここまでです。続きは購入後にお読みいただけます。

この本は有料です。閲覧するには購入する必要があります。
購入するにはしてください。
有料本の購入に関しては、こちらのマニュアルをご確認ください。
販売価格50円(税込)

読者登録

佐藤祐実さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について