目次
坂本竜馬の言説(13)
現代の日本人よ(13)
順動丸の竜馬
― その1 ―  蒸気の震え
― その2 ―  大坂、兵庫、そして京へ
天誅の魔力
― その1 ―  イギリスの台頭
― その2 ―  革命の原動力
激動の京へ
― その1 ―  京の武力制圧策と雄藩連合策
― その2 ―  朝廷の暴走と天皇の憂鬱
― その3 ―  中川宮からの令旨
仲間を集めよ
― その1 ―  郷里の友
― その2 ―  平井収二郎と加尾
― その3 ―  幕府海軍への誘い
― その4 ―  真の敵を見極めよ
― その5 ―  間崎哲馬、土佐へ
― その6 ―  沢村惣之丞との再会
京都守護職
― その1 ―  会津軍入京
― その2 ―  会津藩主・松平容保の決意と覚悟
海軍に入れ
― その1 ―  兵庫の海舟
― その2 ―  勝海舟の夢
― その3 ―  殺気立つ瑞山の孤独
― その4 ―  瑞山の憂慮
― その5 ―  日本の海軍兵士になれ
将軍上洛の前に
― その1 ―  将軍後見職・一橋慶喜の思惑
― その2 ―  容堂の本心と瑞山の忠義
― その3 ―  幕府の浪人募集策
海軍塾の実習訓練
― その1 ―  洋上の大艦隊構想
― その2 ―  容堂との遭遇
奥付
奥付

閉じる


試し読みできます

現代の日本人よ(13)

 「世界の中心は西洋じゃろうか。
 人とは西洋人の事じゃろうか。
 
 東洋人なんて低レベルの人の形をしたものに過ぎない。
 少なくとも彼等はそう思うちゅう。
 
 でも日本人は西洋人も驚く程の奥深さを持ち合わせちゅうんじゃ。
 統率力も高く、その潜在能力の高さには目を見張る。
 それは西洋人もかなわない。
 
 だから西洋人は極東の日本が怖いんじゃ。
 だから2発も原爆を使った。
 日本だけじゃ原爆を落とされたのは、それも2発も。
 そして敗戦日本を彼等の色、西洋色に染め続いているんじゃ。
 そして古き良き日本の伝統を次第に潰していく。
 真実の日本を語り継ぐ者はこの世を去り、いつしか途絶えるじゃろう。
 そうなったら日本は仕舞いぜよ。
 真の大和民族は消滅じゃ。
 
 今、西洋人が西洋人の価値観で作り上げた世界秩序が崩壊し始めちゅう。
 今こそ日本人よ、かつての誇り高き血を呼び覚ませ。
 それが日本の存在意義ぜよ」


試し読みできます

― その1 ―  イギリスの台頭

  日本の鎖国の鍵をこじ開けたのはアメリカであったが、奴隷制度を巡って各州の意見が別れ、遂には国内を二分しての南北戦争に突入。よって極東の日本政策に力が入らなくなっていた。
  一方、ロシアが南下政策を推し進めており、九州の北方に位置する対馬を占拠するなどの事件を起こし、幕府は慌てていた。
  「対馬を北方列島のように占領させてはならん」
  幕府は急遽、勝海舟を長崎へと向かわせた。そしてイギリス軍と交渉。ロシア軍へと圧力を掛けるよう依頼したのである。
  「毒をもって、毒を制す」
  イギリス艦隊が対馬に姿を見せるとロシア軍は撤退した。・・・それは何故か。ロシアとイギリスは数年前までクリミア戦争を繰り広げていた相手国であり、優れた最新兵器を持つイギリス軍との再戦を恐れてロシア側が逃げ出したという訳である。勝海舟はそこまでヨーロッパ情勢を理解していた。
  こうしてアメリカとロシアが日本から距離を置く状況となり、必然的に、ここからイギリスが対日政策の前面に立つようになっていくのである。
 
  ― 京 ―
  天皇の都は荒れていた。
  尊王攘夷過激派による暗殺が横行していたのである。
  「佐幕派を斬れ!」
  京の町には志士による殺戮の嵐が連日吹き荒れている。
  ・・・天誅。
  天に代わって誅す。
  志士達は命を賭け、返り血を浴びながら、攘夷に向かって刀を振るった。
  武芸は殺人術へと変わり、武士が人斬りの血を滾らせる時代へと突入したのである。

 

  「天誅!」
  実行犯は土佐勤王党ら攘夷浪人であり、『人斬り』の異名を持つようになった岡田以蔵や薩摩藩の田中新兵衛がその中心であった。そして彼等を操っていたのは勤王党の首領・武市瑞山であり、長州藩の久坂玄瑞である。
  またその背後には朝廷内の攘夷強硬派がいた。
  彼らが狙ったのは、安政の大獄や和宮降嫁に関与した佐幕派・公武合体推進者達であり、そして、志士達の恨みを買っていた幕府関係者である。
 
  ・・・それは文久二年(1862年)七月の島田左近斬殺から始まった。
  島田左近は、大老・井伊直弼に仕えた人物で、多くの志士、学者らを捕縛し続け、その見返りに幕府から多額の賄賂を受けるなど、京の影の実力者として君臨していた。そんな男を、志士達は心底憎んでいたのである。
  それを薩摩藩の田中新兵衛ら四名が襲撃した。首を刎ね、それを加茂川の河原に晒した。そして首の無い死体が高瀬川に浮かんだ。
  反幕府側の志士や公家達は拍手喝采であった。
  その直後、田中新兵衛は土佐勤王党の盟主・武市瑞山と義兄弟の契りを結んだ。瑞山にすれば既に参政・吉田東洋を暗殺し、下横目・井上佐市郎をも殺害していたから、もう良心の呵責は失せていた。そんな土佐勤王党と田中新兵衛が手を組む事で、世の中が変わるその時まで、徹底的に天誅を貫く決意だったのである。
 
  次の標的は越後国出身の志士・本間精一郎であった。彼は藩に属さぬ浪人であったが、攘夷を口にして金を手に入れるなどを繰り返し、悪評も立っている。また攘夷勅使の邪魔をしたり、有ること無いこと吹聴するなど幕府と通じている節も見られた。
  「天誅!」
  遊廓から出てきたところを斬り殺した。そして斬首し、『天誅』と認したためた斬奸状(ざんかんじょう)を張り付けて晒した。実行犯は土佐勤王党の岡田以蔵、平井収二郎、島村衛吉、松山深蔵、小畑孫三郎、弘瀬健太、田辺豪次郎、そして薩摩藩の田中新兵衛であった。
  その後も、島田左近と共に志士を弾圧した宇郷重国を斬首し、左近の手先・猿(ましら)の文吉は裸にして竹で体を下から上に貫いた。また長野主膳の妾・村山可寿江は三条大橋に縛り付けられて生き晒しにする。収賄や横領などで手を染めた平野屋寿三郎と煎餅屋半兵衛を裸にして生き晒しにし、志士弾圧に加わった金閣寺の寺侍・多田帯刀は首を刎ねた。
  すると志士摘発を行った京都町奉行所与力の渡辺金三郎、森孫六、大河原重蔵、上田助之丞の四者が京から江戸へと逃れようとしていると情報が入った。瑞山は岡田以蔵ら三十を越す浪士で石部宿まで追い掛けさせ、惨殺させた。
  「天誅に例外はない」
  武市瑞山は鬼神と化していた。
 
  もう、こうなれば京都所司代も手出しが出来ない。京は薩長土・攘夷浪人の蔓延る無法地帯と化していたのであった。


試し読みできます

奥付



竜馬外伝i-28 天誅


http://p.booklog.jp/book/50747


著者 : 中祭邦乙
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/nakamatsuri/profile


感想はこちらのコメントへ
http://p.booklog.jp/book/50747

ブクログ本棚へ入れる
http://booklog.jp/item/3/50747



電子書籍プラットフォーム : ブクログのパブー(http://p.booklog.jp/
運営会社:株式会社ブクログ



試し読みはここまでです。続きは購入後にお読みいただけます。

この本は有料です。閲覧するには購入する必要があります。
購入するにはしてください。
有料本の購入に関しては、こちらのマニュアルをご確認ください。
販売価格100円(税込)

読者登録

中祭邦乙さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について